ストライクウィッチーズ 扶桑の兄妹 改訂版   作:u-ya

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またお気に入りにしてくださった皆さんありがとうございます。

中身は同じに見えますが文章を修正したり、追加要素を加えたりしています。


第3話「兄妹の再会」

1944年4月。扶桑皇国、横須賀。

 

畑道を一台のトラクターが走っていた。大量のスイカが積んである荷台の後部には二人の少女が座っていた。二人は横須賀第四女子中学校の生徒である。

ひとりは宮藤芳佳。横須賀で小さな診療所を営んでいる家の娘だ。学業成績は中の中、運動も中の中、特技は料理という明るい性格の少女。

もうひとりは山川美千子。芳佳のはとこで一番の親友だ。芳佳からは「みっちゃん」と呼ばれている。

二人は学校を終えて、迎えにきた美千子の祖父が運転するトラクターで家へ帰る途中だった。楽しくおしゃべりをしていると横須賀にある扶桑海軍の軍港が見えてきた。

 

「うわぁ!大きな艦!あれかな?昨日入港した軍艦って?」

 

見慣れない軍艦が入港していることに気付く美千子。

 

「軍艦?」

 

「うん」

 

「戦争の船だね。やだな……」

 

そう呟いて芳佳は俯いた。

 

「お父さんとお兄さんのこと?」

 

美千子は視線を軍艦から芳佳に戻して尋ねる。芳佳は「うん」と答えた。

芳佳の父は大事な仕事があると言って渡欧した。父の仕事を詳しく知らなかったが戦争に関係することだとは聞かされていた。

 

「お父さんが行っちゃったのは私が6歳の時だったの」

 

芳佳は父が海外へ旅立った日のことを語り始めた。あの日、父は芳佳が母や祖母に負けない力を持っていることを教えた。芳佳はその力でみんなを守れる立派な人になることを、父は仕事が終わったらずっと一緒にいることを約束して芳佳と指切りをしていた。

 

「あれが最後に見たお父さんの姿。3年後に戻ってきたのは鞄ひとつ分の遺品と死亡通知。軍の機密だからって亡くなった理由も場所も教えてくれなかった」

 

悲しみに満ちた表情で話す芳佳。彼女は元々人を傷つける戦争や兵器に対して嫌悪感を抱いていた。大好きだった父親を亡くした遠因になったことでより一層戦争嫌いになっている。

 

「わかっているのは戦争がなかったら父さんは死ななかったし、お兄ちゃんとも離ればなれにならなかったってこと」

 

5年前、父の死を芳佳は悲しんだ。その上、悲しいとき辛いときに泣いている自分をいつもあやしてくれた兄が側にいなかった。

芳佳は兄に帰ってきて欲しかった。ずっと兄の帰りを待ち続け、すぐに出迎えられるように朝から夜まで玄関の前で待っていたこともある。しかし、自分が中学生になっても兄は帰ってこない。

 

(お兄ちゃん……もう帰って来ないのかな?私のこと忘れちゃったのかな?)

 

ふとそんな考えが頭を過り、芳佳は泣き出しそうなのを必死に堪えていた。

その時、トラクターの前に狸が飛び出してきた。美千子の祖父が慌ててハンドルを切り避けようとする。

 

「「きゃああああああ!!」」

 

荷台は大きく揺れ、悲鳴を上げる二人。とっさに荷台の端に掴まったが、美千子はあまりの揺れに手を離してしまう。

 

「みっちゃん!!」

 

芳佳は手を伸して美千子を助けようとするが届かなかった。トラクターはそのまま転倒し、エンジンから煙が噴き出していた。荷台に載せてあったスイカはほとんど地面に落ちて割れてしまっていた。

芳佳は地面に倒れていたが目立った怪我もなくすぐに起き上がった。

 

「美千子!!」

 

美千子の祖父の声が聞こえた。声のする方に向かうと美千子が手で胸を抑えて苦しそうにうずくまっている。

 

「みっちゃん!!」

 

芳佳は慌てて駆け寄ると、傷を見るために美千子を仰向けした。美千子は胸から多量の出血をしていた。荷台から落ちた際に大怪我をしたのだ。

 

「よ、芳佳ちゃん……」

 

怪我のせいか美千子の呼吸は乱れており、とても苦しそうだった。

 

「喋っちゃダメ!!」

 

そう言うと芳佳は治療を行うために美千子のセーラー服を破り、痛々しい傷に両手をかざした。すると芳佳の身体から犬らしき動物の耳と尻尾が頭やお尻に現れた。同時に魔法力の光りが手から発せられ、傷を包む。

芳佳はウィッチだった。同じくウィッチである母や祖母から受け継いだ治癒魔法を使うことができる。この治癒魔法は上手く使うことができれば重傷者も簡単に治してしまう強力な魔法だ。だが、力を制御仕切れていない。使い始めてすぐに疲労感が芳佳を襲い、息が上がってきた。

 

「はぁはぁ……ち、力が……」

 

体力を消耗し、芳佳は今にも倒れそうだった。その時、男女二人を乗せた一台の車が近くに止まった。二人は車から降りると芳佳の元へ駆け寄る。

 

「落ち着け芳佳!集中しろ!」

 

男性の方が芳佳の左肩に手を乗せて声を掛ける。芳佳は一瞬後ろを振り返るがすぐに美千子の方へ向き直った。

 

「意識を乱すな!肩の力を抜いて魔法をコントロールするんだ!」

 

男は続けて芳佳に助言を行い、芳佳もそれに従った。しかし、魔法力を使った疲労で芳佳の身体は限界に近かった。

 

「焦るな、お前なら出来る」

 

(……あれ?この人の声聞いていると、なんだか安心する……)

 

優しく力強い声で芳佳を励ます男。芳佳はどうにか治療を続け、美千子の傷は少しずつではあるが塞がっていく。

 

(この人って……もしかして……)

 

そう思った瞬間体力が限界に達し、芳佳は気を失う。倒れたそうになった芳佳を男が……いや、彼女の兄、宮藤優人が受け止めた。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

優人と芳佳の家は代々は診療所を営んでいる。元々は秋元診療所と名乗り、二人の祖母である秋元芳子が経営していた。母の清佳が父の一郎と結婚したことを機に宮藤診療所へ改名された。

 

「た、ただいま……」

 

優人は8年振りの帰省で少し緊張しながら玄関の戸を開ける。入ってすぐのところにある診察室に母の清佳と祖母の芳子がいた。

 

「おや?どちら様ですか?」

 

芳子は優人が成長していたため誰かすぐにはわからなかったようだが清佳は一目見るや自分の息子だと気付いた。

 

「……優人?」

 

「8年振り……かな?」

 

清佳の言葉に優人は頬を指で掻きながら照れくさそうに答える。清佳の目に涙が溜まっていく。

 

「優人ぉ~!!」

 

「うわっ!」

 

清佳に抱き着かれる優人。軍で戦っている息子がやっと帰ってきたこと。そしてその息子が立派に成長していたことが嬉しくてと彼を強く抱きしめながら泣いていた。

母を泣かせてしまい、優人は申し訳ない気持ちでいぱいだった。出来れば母の気の済むまでされるがままでいようとも思ったが、美千子という怪我人がいるためそうもいかなかった。優人は母を落ち着かせて、治療を頼んだ。

 

「まさか事故現場に居合わせるとは……」

 

優人は帰国していきなりのアクシデントに溜め息を吐く。彼は坂本と居間に座っている。

 

「はっはっはっ!まぁお前の妹もあの娘も無事で良かったじゃないか」

 

「みっちゃ……美千子ちゃんは大怪我したんだけど……」

 

呑気な坂本に突っ込みを入れる優人。今、美千子は清佳と芳子から治癒魔法を使った治療を受けている。芳佳とは違って力の使い方を理解しており、美千子の傷はみるみる治っていく。優人が診察室の方へ目を向け、母に美千子の容態を聞こうとした時だった。

 

「みっちゃん!!」

 

魔法を使った疲労のため、隣で芳佳が飛び起きた。起きて早々に親友の心配をする。母はそんな娘に「大丈夫よ」と声を掛け

 

「傷も塞がったし、痕も残らないでしょう」

 

と続けた。

 

「良かったぁ!」

 

親友がもう大丈夫だということを理解し、安堵する芳佳。同じく優人も安心していた。彼は嫁入り前の身体に傷が残らないかを心配していたのである。

 

「相変わらず力の使い方がなっちゃいないね。気持ちばかり先に出て」

 

祖母が芳佳に声を掛けてきた。少しだけ俯く芳佳。

 

「誰かのために何かしたいってのはわかるけど……私達の力は使い方を覚えないと自分の命を落とすことになるんだよ」

 

と穏やかに言い聞かせる。

 

「……だって……私だってお母さんやおばあちゃんのようにみんなを助けたいの!」

 

自分の気持ちを訴える芳佳。自分の力でみんなを助けたい、それが彼女の想いである。

 

「それに約束したから」

 

芳佳は父と指切りをした小指を見つめてながら呟く。8年前に父とした約束を今でも胸に抱いている。優人はそんな妹の姿に微笑みながら声を掛けた。

 

「父さんとの約束覚えてたんだ?」

 

「うん……え?」

 

芳佳は母や祖母のものとは違う声に話し掛けられ、声がした方へ目をやると隣の二人に気付いた。ここにいるのは美千子と家族だけかと思っていたため、芳佳は驚いて声を上げる。

そして母同様、目の前にいる男性が誰かすぐに気付いた。

 

「お兄ちゃん……なの?」

 

恐る恐る訊く芳佳に優人は笑顔で答える。

 

「うん!ただいま」

 

その言葉聞き、芳佳は兄の胸へ飛び込んだ。

 

「うおっ!?」

 

「お兄ちゃん!お兄ちゃん!お兄ちゃぁぁぁぁん!!」

 

優人の胸の中で泣き出す芳佳。急に飛び込んだ来た妹に一瞬驚きながらも受け止め、頭を撫でる優人。ずっと会いたかった兄に再会できた、芳佳は嬉しさのあまりに泣き出した、先程の清佳よりも大泣きしている。

 

「帰るのが遅れてごめんな」

 

「遅すぎるよ!私、私……ずっと待ってたのに……」

 

「よしよし……相変わらず泣き虫だな」

 

優人は芳佳が落ち着くまで頭を撫で続けた。その微笑ましい光景に坂本、清佳、芳子の三人も自然と笑顔になる。やがて落ち着いた芳佳は優人から離れ、坂本に目を向けた。

 

「あの……あなたはどなたですか?」

 

「ああ、すまん。挨拶が遅れたな。私は連合軍第501統合戦闘航空団、通称ストライクウィッチーズ所属、坂本美緒少佐。お前の兄さんの戦友だ」

 

「すとらいく?……あっ、こんにちは」

 

芳佳はなんだかわからないという顔をしていたが取り敢えず挨拶をする。坂本は話を続ける。

 

「私達は強大な魔力を秘めた将来有望なウィッチを探しているんだ。お前の力は見せてもらった。粗削りだがいいものを持っている!」

 

「ありがとうございます!」

 

芳佳は嬉しそうに礼を言う。しかし、優人は横目で坂本を睨んでいた。坂本が次に言わんとしていることがわかっているためだ。

 

「というわけで、その力を生かして一緒にネウロイと戦おう!」

 

「はい!……へっ?」

 

元気よく返事をするも言われたことの意味を考えて、呆気をとられる芳佳。

 

「それは!?」

 

「うちの孫を軍隊に連れていく気ですか?」

 

坂本の言葉に清佳は不安な表情を浮かべ、芳子は坂本を軽く睨みながら尋ねる。娘を、孫を軍隊に入れたくはないのだろう。

 

「軍隊……お断りします!私、学校を卒業したらこの診察所を継ぐんです!」

 

坂本の誘いを強い口調で断る芳佳。彼女の夢は診察所を継ぐこと、戦争に行くなど絶対嫌なのだ。

 

「まぁ、診察所を継ぎたいというお前の気持ちは素晴らしい。だが、その力をもっと必要としている人達がいるんだ!」

 

「坂本!!……やめてくれないか?」

 

優人は芳佳と坂本の間に割って入った。上官への反抗ともとれる優人の行動だが、彼も母や祖母と同じく芳佳を軍に入れたくないのだ。ましてや死と隣り合わせの戦場へ送るなど許せなかった。

長い間、共に戦ってきた優人と坂本の仲は良好である。しかし、妹が絡んでいるためか今回ばかりは優人は坂本に対し怒りに近い感情を抱いていた。

しばし睨み合った後で坂本が口を開く。

 

「いや、今日すぐに了解してもらえるとは思ってなかったからな」

 

坂本は微笑むと芳佳の方へと向き直る。

 

「だが、お前は必ず私のもとへ来ることになる」

 

「なっ……なんでそんなことわかるんですか?」

 

「ん?勘だよ勘!それに力のあるものは最もその力を必要としている場所に導かれる」

 

そう言うと坂本は立ち上がる。

 

「では港で待っているぞ」

 

と言って彼女は玄関から出ていく。坂本が外に出た直後、芳佳があっかんべーをした。優人は芳佳の子どもっぽい行動に苦笑いを浮かべる。

 

「じゃあ俺も行くよ」

 

立ち上がる優人。

 

「えっ……もう行っちゃうの?」

 

芳佳が表情を曇らせる。

 

「せっかく帰ってきたのに」

 

芳佳に続いて清佳も残念そうな顔をする。

 

「数日は横須賀にいるから時間を作ってまた来るよ」

 

「ホント!?」

 

「うん、ホント」

 

優人は微笑みながら芳佳の頭を撫でる。芳佳は気持ち良さそうに目を細める。流石にずっとしているわけにはいかないので優人は芳佳の頭から手を離す。芳佳は「あ……」と少し残念そうな顔をする。

 

「じゃあな!」

 

「うん!お茶とお菓子用意して待ってるね!」

 

「おっ!楽しみ!」

 

そう言って優人は玄関から外へ出た。手を振って自分を見送る芳佳に手を振り返しながら、外に停めてある軍用車に向かって歩く。

車の助手席には坂本が座って待っていた。優人は「待たせたな」と言うと運転席へ座り、エンジンを始動し、横須賀軍港へ向かって車を走らせる。

 

「やはり妹を戦わせたくないか?」

 

しばらくすると、坂本が口を開いた。

 

「当然」

 

少しだけ声を荒げる優人。

 

「芳佳を危険に晒したくない。そもそもあいつは性格的に戦い向きじゃない」

 

優人は少し強めの口調で答える。坂本はふっと笑いを話を続ける。

 

「しかし、妹が自分の意思で戦いたいと言ったらどうする?」

 

坂本の問いに対して優人少し考えてから答える。

 

「本気ならば本人の意思を尊重するが……それはない、今回ばかりはお前の勘もハズレだ」

 

坂本の勘がよく当たることは知っている。しかし、優人には人を傷つける戦争が嫌いな芳佳が誘いに乗るとは思わなかった。

 

「いや、まだわからんぞ」

 

坂本は自信たっぷりの笑みを浮かべている。そんな彼女を横目で見ながら嫌な胸騒ぎがするのを感じつつ、今度は優人が質問をした。

 

「一ついいか?」

 

「なんだ?」

 

「お前に芳佳を推薦したのは誰だ?」

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

翌日の扶桑海軍横須賀軍港。優人はある人物に面談を求め、相手の執務室を訪れていた。通されると室内には男性が2名。1人は50代の男性。もう1人は彼の副官のようだ、警護するかのように男性の傍らに立っている。

 

「よく来たね。まぁ、どうぞ」

 

「失礼します」

 

初老の男性に促され、ソファーへと腰を下ろす。

 

「欧州での任務、御苦労」

 

「ありがとうございます」

 

向かい側に座っている初老の男性、遣欧艦隊司令長官の赤坂伊知郎(あかさか いちろう)中将から労いの言葉を賜り、優人は深々と頭を下げる。

普通ならば、一介の大尉に過ぎない優人が赤坂ほどの立場の人間と簡単に面会出来るものではない。

 

「長官、早速ですがお訊きしたいことが――」

 

「妹さんの件かね?」

 

赤坂が優人の言わんとしていることをズバリ言い当てる。優人が何の用で自分に会いに来たのかを察していたらしい。

 

「何故よし……いえ、妹を501に?」

 

芳佳と言いそうになったのを慌てて直す優人。

 

「元々、海軍が従軍看護婦としてスカウトするためにリストアップしていたウィッチのひとりだったんだよ」

 

赤坂が説明を始め、真剣に優人は耳を傾ける。

 

「君の妹さん、芳佳さんと言ったか?彼女の才能はとても魅力的だ。治癒魔法一つとっても使いこなせるようになれば戦場で大勢の兵を救えるだろ?君の祖母の芳子さんのように」

 

優人と芳佳の祖母である芳子は過去に従軍した経験がある。自身の治癒魔法を大いに活用して重症の患者を一瞬で治療した、百人近く治療してもケロリとしていた、など様々な武勇伝がある。宮藤兄妹は母からそれらの話を聞かされて育った。

 

「しかし、本人に入隊の意思は皆無です」

 

「無論、強制はせんよ」

 

入隊はあくまで本人の自由意思だと言う赤坂。

 

「我ら扶桑皇国海軍は強大な海軍戦力を持っている。が……ウィッチの数は割りとぎりぎりなんだよ。ましてや稀少な治癒魔法を使えるウィッチや空母に発着艦可能な航空ウィッチとなると」

 

「ええ」

 

同意する優人。通常ならば、赤城にも航空ウィッチを8名乗艦させるが、人数を揃えられず彼と坂本しか乗り込んでいなかった。

 

「陸軍のように宣伝映画で志願者が増えればいいんだがね」

 

ぼやく赤坂を見て、優人は顔をしかめた。

 

「あの長官。まだお答えを頂いていませんが?」

 

「ん?」

 

「妹の調査書が何故ブリタニアの501にいる坂本に送られたのでしょうか?」

 

優人は問い詰めるように言うが、赤坂から返ってきたのは予想の斜め上を行く答えだった。

 

「手違いだよ」

 

「はい?」

 

「どういうわけか君ら501の元に推薦するような形で送られてね」

 

「は、はぁ……」

 

優人は何とも言えない表情を浮かべる。

 

「そもそも上官でもない私が西部方面総司令部管轄下にある501の人事に口を挟むなんて真似は出来んよ」

 

「長官も西部方面総司令部に参加する将官の一員では?」

 

と優人。赤坂は連合軍内においては西部方面総司令部所属の将官。扶桑海軍は近い将来行われる予定のガリア反攻作戦に参加する。それに伴い、赤坂も隷下の艦隊を率いてブリタニアへ向かうのだ。

 

「501に限らず、西部方面総司令部所属の各国軍はブリタニアの影響を多少なりとも受ける。あの国は何かと連合軍内の主導権を握りたがるからな」

 

「まぁ、確かに。長官とは反りが合わない方もいることですしね」

 

皮肉染みた言い方をする優人。この時、彼の頭にはブリタニア空軍のある人物の顔が浮かんでいた。

 

「その反りがは合わない輩に関することで頼みがあるんだが……」

 

「頼み?」

 

赤坂の言ったことを繰り返す優人。赤坂の顔を見てみると、彼は何か企んでいる時の顔をしている。

 

(嫌な予感……)

 

赤坂とは対照的に優人は愁眉の表情になっていた。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

「失礼します」

 

赤坂との話を終えた優人は最敬礼して退室する。

 

「手違い……ねぇ」

 

優人は一言呟くと、外へ向かって歩を進めた。

 

 




赤坂伊知郎。階級は中将で扶桑皇国海軍遣欧艦隊司令長官。

元々は旧日本海軍の誰かを出す予定でしたが、個人的に「これだ!」という人物がいなかったのとオリキャラの方が動かしやすいことに気付き赤坂を作りました。


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