成人漫画っぽい内容でストパンのイメージが崩れるかもしれません。
くれぐれも注意してお読みください。
それは、インペリアルウィッチーズを中心とした帝政カールスラント皇室親衛隊が、扶桑皇国海軍遣欧艦隊所属の航空母艦“天城”に乗り込んできた日の晩のことだった。
天城の艦長――青山忠扶桑海軍大佐は、親衛隊が借り受けている――天城の乗員からすれば、強引に占拠された――区画まで足を運んでいた。
自分の艦だと言うのに、艦内の当区画は彼の指揮下になかった。いや、艦橋等の主要な部署を押さえられている以上、最早天城は青山の艦ではなくなっていると言っても過言ではないだろう。
カールスラント製の短機関銃“MP40”で武装した親衛隊員が艦内を我が物顔で闊歩する様は、まるで敵国に拿捕されているようで気分が悪い。
――大事なお話があります。2人きりで話がしたいので、私と部屋までお越し願います。
という悠貴の旨を、艦橋に常駐している親衛隊士官を通して伝えられた。
用件があるのなら会談を申し出た側から赴くべきた。自らの都合で呼びつけ、借り受けている他国の軍艦の船室を指して“私の部屋”ときた。
あまりに傲慢。青山としては、問答無用で撥ね付けてやりたいところだ。しかし、相手がカールスラント宰相の養女ともなればそういうわけにもいくまい。
ここで短気を起こして、扶桑とカールスラントの関係が悪化しようものなら、首が飛ぶだけでは済まない。
「お待ちしておりました」
青山が指定された船室の前まで来ると、天城を“ボロ船”呼ばわりした親衛隊大尉――グレーテル・ホフマンが、形ばかりの挙手敬礼で出迎える。彼女の左右には、やはりMP40で武装した親衛隊員が控えている。
親衛隊准将のゾンバルトと、インペリアルウィッチーズ第2飛行隊隊長――アリョーナ・クリューコフ親衛隊大尉の姿はない。
2人は悠貴やホフマンを中心とした数十名の親衛隊員を残し、“ドクトル・エッケナー”へと戻っていた。
「アインツベルン大佐が中でお待ちです。どうぞお入り下さい」
ホフマンは恭しい所作でドアを開き、青山に入室を促す。
見え見えの社交辞令に憮然としながらも、勧められるまま室内へ足を踏み入れる。
「――っ!?」
部屋に入るなり、青山は息を呑んだ。自分を待っているという親衛隊大佐は、会談にはおよそ不釣り合いなバスローブ姿で高級チェアに座していた。
大きく開かれた胸元からは東洋人離れした豊満な谷間を惜し気もなく晒し、丈の短い裾からは程好く肉付いた艶かしい脚がスラリと伸びている。
「こんばんは、青山大佐。急な誘いにも関わらず受けて頂いたこと、心から感謝致しますわ」
艶然と微笑み、悠貴は青山の来訪を歓迎する。彼女の色香に気圧された天城艦長は、小さく頷いて応じるのが精一杯だった。
無論、青山とて例外ではない。両者が顔を合わせてまだ10秒ちょっと。僅かな時間で青山は完全に魅了されてしまっていた。
「あ、アインツベルン大佐……ご用件は?」
青山はなんとか唇を動かし、絞り出すような声で悠貴に問う。質問に答える代わりに、悠貴は自身のルックスを見せつけんばかりの動きで、ゆったりと青山に歩み寄る。
「あら?緊張されてるの?」
親衛隊大佐は青山の様を見て、クスクスと笑声を立てる。
相手の眼前までやって来るなり、彼女は素早い動作で艦長殿の腕を取る。そこから間髪入れずに青山を室内へ引き摺り込んだ。
そして、そのまま脇にあるベッド上に青山を押し倒し、馬乗りになる。
「な、何の真似だ!」
漸く我に還った青山が怒声を飛ばす。対する悠貴は艶やかな笑みを崩さなさい。
「恐い顔なさらないで、私はあなたと“お話”がしたいだけですわ」
穏やかな口調で宥めつつ、悠貴は両手をバスローブに掛ける。バスローブはスルッと脱げ落ち、薄暗い船室内にてインペリアルウィッチーズ司令の美しい裸体が晒される。
「おぉ……」
青山は我知らず感嘆の声を漏らす。まだ20歳手前という若さ……いや、幼さで既に美の絶頂期に到達していた。
人を惑わし、誑かし、堕落させうる美貌。この理想的な豊満ボディと、ひた隠し続けた“ある力”。
それらこそが、悠貴・フォン・アインツベルン親衛隊大佐の最大の武器なのである。
「奥様……和子さんでしたか?御辛いでしょうね?」
「――っ!?」
悠貴の口から妻の名が飛び出したことで、惚けていた天城艦長はハッと現実に還る。
彼が「何故妻の名を!?」と訊き返すよりも早く、親衛隊大佐は言葉を続けた。
「結婚してから、ず~っと奥様を一途に愛し続けてきた……いや、今でも愛している。子宝に恵まれずとも構わない。奥様さえいれば片道1ヵ月の長く過酷な航海、最前線たる欧州への補給任務にも耐えることができた」
唇を動かしつつ、青山の左頬に己の右手を添える。まるで優しく撫でるかのように……。
「なのに奥様は裏切った。あなたが欧州へ派遣されている間、家に男を連れ込んでいた……なんて報われないの……」
悠貴は笑みを浮かべたまま淡々と続ける。目を背けていた現実を突き付けられた青山に、「黙れ」と一喝して彼女を制することは出来ない。
自分を憐れみの込もった瞳で見据える親衛隊ウィッチの声が妙に心地好いのだ。
「御迷惑を掛けた御詫び、と言ってはなんですが……私で良ければ慰めて差し上げましょうか?」
そう言って笑みをさらに深くした悠貴は、青山に顔を寄せる。絶世の美女が鼻先まで近付き、天城艦長はゴクリと固唾を呑む。
抜群プロポーションを誇る親衛隊ウィッチの身体の感触を、温もりを制服越しに身体感じ、天城艦長の思考は殆んど停止する。
「夜は長いのですから……ゆっくりじっくりと、ね?」
「…………」
「いいでしょう?」
「………………」
青山は何も応えない。沈黙は肯定の意。悠貴はそう受け取り、満足そうに薄紅色の唇をペロリと舐めずりする。
魔性の微笑みを浮かべて迫る悠貴を前にして、今まで靡かなかった者はいない。異性はもちろん、同性であったとしても容易く堕ちてしまい、彼女の足元に跪く。
カビの生えた男尊女卑を信奉する男性史上主義者でさえ、悠貴の美しさと人心掌握術の前では赤子も同然。見栄も恥も捨て、軍用ブーツの先端にキスをするのも躊躇わない。
「………………」
半開きのドアから、ホフマンが2人のやり取りを無言で見据えていた。
その瞳には侮蔑の色が浮かび、あっさりと悠貴に屈服した青山へ視線を注いでいる。
(…………反吐が出る)
万人を魅了する術を心得る上官は女神如き崇拝対象だが、相対する扶桑海軍士官はなんとも浅ましく、犬畜生にすら劣って見えた。
人間とは――男というのは、なんと愚かしい存在なのだろう。姿形に惑わされ、魔法力も使えず、ネウロイと世界規模の全面戦争に突入しても、1つに纏まりきれず、水面下で下らぬ覇権争い繰り広げる。無能どもが……。
(貴様等は、我々ウィッチの言うことを黙って聞いていればいいんだ……)
ウィッチ・ウィザードは容姿に優れ、魔法力という人智を越えた力を有し、ネウロイから人類を守れる唯一の存在。人類の優良種と言っても過言ではない。
にも関わらず、地位と権威にしがみついている政治家連中や軍高官共は、自分達を便利屋の延長程度としか思っていない。
自分達の子や孫ほどの年齢の少年少女を、最前線へと送り込み、多数のネウロイとの戦かわせ、消耗品のように扱う。下婢た輩に目をつけられることも珍しくない。
無知で無能な愚民共に至っては、人類救済や怪異掃討という大義名分の下、魔女達に献身的な人身御供を強要する。
挙げ句、自分達が年端もいかぬ少年少女を死地に追い込む真似をしている事実から目を背向けている。なんと愚劣なことか。
故に彼女――グレーテル・ホフマン親衛隊大尉は、嫌劣等感たる人間を嫌悪する。
――おら、さっさと脚開け!このクソガキがっ!
「………………」
もう一度だけ青山を一瞥すると、ホフマンはゆっくりドアを閉めた。不意に蘇った忌まわしい記憶を封印するかのように……。
「ねぇ……青山艦長。私をもっとよく見て……」
天城艦長をじっと見据え、悠貴は人を甘く誘惑するような口調で告げる。
両者が見つめ合っていると、彼女の瞳が紅い光を纏い始めた。それはネウロイが発する装甲の輝きに相違なかった。
◇ ◇ ◇
数時間後――
「ねぇ、青山大佐」
青山にしがみついた悠貴は、甘えるような声音で彼に囁く。
「何だね?」
「御願いがありますわ」
彼女は青山にしがみつき、両手の指先で彼のあちこちを撫で回す。ベッド上で1つ毛布にくるまる2人は、どちらも裸であった。
「電信室にも、我が親衛隊の兵士が駐留するのを許して頂きたいのです」
「………………」
「ダメかしら?」
そう訊ねながら、悠貴は両手の指先で青山の身体を撫で回す。
「何の為だね?」
「念の為、許可しては頂けないのかしら?」
重ねて訊ねる悠貴の細くしなやかな指が、青山の触れて欲しい部分の周囲を這い回る。
天城艦長は「う~む」と唸って逡巡するも、すぐに肯定の返事をしてしまう。
「……少数ならば構わんよ」
「ふふっ♪ありがとうございます」
クスクスと小さく笑声を立てると、悠貴は青山の唇を己の唇で塞いだ。
祖国から遠く離れた異国の地で、夢のような一時を過ごした空母艦長。甘い毒に酔いしれる彼は、最早親衛隊大佐の言いなりだった。
ハニートラップ回です、はい!←
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