二代目クロノスは仮面ライダー(凍結)   作:嵐川隼人

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前回のあらすじ

KYの人虎現る

以上!


長らくお待たせしました!また再開します!
今回、創真君の凄さがわかる………かも

それでは、どうぞ。

※会話の見やすさを優先し、今回は会話冒頭に名前を書いてません。


人虎、暴露される

「おんやぁ?誰かと思えば東区画の最底辺コミュ“名無しの権兵衛”のリーダー、ジン君じゃないですか」

 

「………一体何の用ですか、“フォレス・ガロ”のガルド=ガスパー」

 

「黙れ、この名無し風情が。コミュニティの誇りのである名と旗を奪われて、それでも未練がましく異世界から新しい同士を呼びやがって」

 

「何だと………⁈」

 

 

 ガルドというピチピチタキシードは、四人が座るテーブルの空席に勢いよく腰を下ろした。するとジンとガルドの間に座っていた創真が、彼に手を差し出した。

 

 

「二人がどういう関係なのかは知らない。だがこういう場で同席を求めるなら、まず氏名を名乗るのが礼儀だと思うが?仮野創真だ、よろしく」

 

「そうね、それと何かしら一言添えるべきではなくて?久遠飛鳥よ」

 

「…………………春日部耀」

 

「おっと、これは失礼しました」

 

 

 愛想笑いをしながら、ガルドは大きな手で創真と握手した。

 

 

 

「私はガルド=ガスパー、箱庭上層に陣取るコミュニティ“六百六十六の獣”の傘下である」

 

「烏合の衆の」

 

「コミュニティ【フォレス・ガロ】のリーダーをしている、って待てやゴラァ‼誰が烏合の衆だ小僧オォ‼」

 

 

 ジンに横槍を入れられたガルドの顔が怒鳴り声と共に激変する。心なしかクローズドラゴンは“ざまぁみろ”と笑っているように体を震わせている。ちなみに“烏合の衆”とは、“規律も統一もなく寄り集まった群衆”という意味。テストには多分でないが、覚えておいて損は無いぞ。

 

 

「口慎めや小僧ォ……………紳士で通っている俺にも聞き逃せねえ言葉はあるんだぜ…………?」

 

「森の守護者だったころの貴方なら相応に礼儀で返していたでしょうが、今の貴方はこの二一〇五三八〇外門付近を荒らす獣にしか見えません」

 

「ハッ、そういう貴様は過去の栄華に縋る亡霊と変わらんだろうがッ。自分のコミュニティがどういう状況に置かれてんのか理解できてんのかい?」

 

「ハイ、ちょっとストップ」

 

 

 険悪な二人を遮るように手を挙げたのは飛鳥だった。

 

 

「事情はよく分からないけど、貴方達二人の仲が悪いことは承知したわ。それを踏まえた上で質問したいのだけど──────ジン君。ガルドさんが指摘している、私達のコミュニティが置かれている状況、説明していただける?」

 

「そ、それは」

 

()()()()()………名を奪われたコミュニティ、だろ?」

 

「ッ⁈…………」

 

 

 創真の言葉にジンは驚き、青ざめる。それに追い打ちをかけるように創真は続ける。

 

 

「箱庭において、コミュニティが活動するには“名”と“旗印”を申告する必要がある。特に旗印はコミュニティの縄張りを主張するのに必要な物だ。例えば、ガルドさんのタキシードに刻まれた旗印だが、それと同じ紋がそこら辺の商店とかにあるのが見えるか?」

 

「えぇ、見えるわ。ということは、この近辺はガルドさんのコミュニティが支配していると考えていいのね?」

 

「そういうこと。さて、ここで二人に質問だ。ギフトゲームとは何だった?」

 

「確か、『ギフトという特異な力を与えられた者達だけが参加できるゲーム』だったかしら?」

 

「その通り。そしてギフトゲームで勝利すればどうなるんだった?」

 

「『主催者(ホスト)側が賭けた賞品を手に入れることができる』だったはず」

 

「正解。それじゃあ最後の質問だ。このギフトゲームだが、場合によっては参加するのにチップが必要なこともある。そのチップについて、黒ウサギはなんて言ってた?」

 

「『お互いが納得するものであれば何でも』………あ」

 

 

 何かに気付いたように飛鳥が声を出す。耀も気付いたのか、真剣な表情に変わる。

 

 

「気付いたか…………そう、()()()いいんだよ。たとえそれが()()()()であってもな」

 

「ギフトゲームに負けて、名前と旗印が奪われたコミュニティ…………だから、【ノーネーム(名無し)】」

 

「だろうな。ガルドさんが栄華がどうとか言ってたから、奪われる前は相当すごかったんだろうけど」

 

「なるほどね。でも、創真君の説明だと一つ疑問が残るわ。確かに黒ウサギは、チップは何でもいいと言った。けれど同時に()()()()()()()()()()()()()()とも言ったわ。旗印はコミュニティにとって命そのもの、そう易々と賭けれるものとは到底思えないのだけど?」

 

()()のギフトゲームならな。けど、()()がある。ジン君がリーダーをしているコミュニティは、その()()によってノーネームになってしまった。そうだよな、ガルドさん?」

 

 

 確認するようにガルドを見た創真。するとガルドは、ハッハッハと笑いながら拍手した。

 

 

「いやはや、お見事。箱庭を初めて訪れた人とは思えない完璧な考察でした。確かに創真さんの言う通り、ジン君がリーダーをしているコミュニティは、数年前まではこの東区画最大手のコミュニティでした。何でもギフトゲームにおける戦績で人類最高の記録を持っていたとのことです。しかし、これもあなたの考察通りですが、彼のコミュニティは箱庭における例外、すなわちこの箱庭最悪の天災に目を付けられ、たった一夜で滅ぼされたのです」

 

「……………それが()()、箱庭の唯一最大にして最悪の天災、ってやつか」

 

「なんと!魔王についてまで理解しておられたとは!()()()()()()()()()()()()

 

 

 ガルドが質問した途端、創真はニヤリと笑った。この時ガルドは気付いてなかった。自分で自分を追い詰めてしまったことを。

 創真が懐から、バグルドライバーⅢを全員が見えるように取り出した。

 

 

「これは俺が作った(正確には母さんと姉さんが作ってくれたのを改造した)特殊な道具、いやギフトだ。こいつは俺の体とリンクしていてな、ある条件を満たすことで相手の記憶を読み取り、このギフトで自由に閲覧できる機能が付いている。さっき俺が魔王とかノーネームとかについて知っていたのは、これで黒ウサギの記憶を読み取って見ただけにすぎない」

 

「ふぅん、道理で色々知らない単語が出てくると思ったら、そういうカラクリだったのね」

 

「その、ある条件って?」

 

「簡単だよ。記憶を閲覧したい相手の体のどこかに()()()()()()。頭をなでるとか、()()()()()()な」

 

「ッ⁈」

 

「やっと爆弾発言したのに気付いたか、()()()()

 

 

 しまった、とガルドは後悔した。まさか自分がした質問が、自分の墓穴を掘ってしまうことになるとは思いもしなかった。創真の顔を見ると、まるで『俺がいつお前の味方だと言ったよ』とでも言っているようなニヤつきだった。

 

 

「相手のコミュニティの女子供を攫って脅迫して?ゲームに乗らざるを得ない状況にして?自分の下で従順に働かせるために各コミュニティの子供を数人ずつ人質に取って?更にはその子供の鳴き声がうるさくて殺した上に?証拠が残らないよう部下に食わせる?なぁお二人さん、そんなクソ外道コミュニティどう思う?入りたいか?」

 

「そうね、ある意味素晴らしいわ。そこまで絵に描いたような外道とはそうそう出会えないもの。流石は人外魔境の箱庭の世界といったところかしら?死んでも入りたくないわ」

 

「絶対嫌」

 

「だろうな。でだ、そんなコミュニティのリーダーしているこのアホが堂々と俺たちを引き込みに来た。笑えるね、自分のこと棚に上げて話さないからずっと不思議に思ってたんだ。()()()()()()()()()()()()、ってな。記憶を読み取っておいて正解だったよ、クソ外道。質問したのが仇となったな」

 

「クッ………」

 

 

まぁ、本当は小説読んで知ってるから閲覧する必要はなかったんだけど、実際に見た方が説明する時現実性が増すしね。そう思いながら、創真は自身のバグルドライバーを見つめた。

実は創真が転生する前からこのバグルドライバーを改造していたのには理由があった。それは、『自身が転生者であるが故に情報を持っている』ということをカモフラージュするためだ。どんなに知識があったとしても、この道具を使って知ったということにすれば大体は済むと考えた。この世界ではほぼ無意味に等しいだろうが………

 

 

「(まぁ、無いよりかはマシだな。本当、作っておいて正解だった)さぁ、お前の手の内は全てバラした。これでお前のコミュニティは破滅しか無くなるだろうな。さて、どうする?」

 

「こ………この糞ガキがァァァァァァァァ‼︎」

 

 

プライドをズタズタにされ、怒り狂ったガルドが雄叫びと共に姿を獰猛な人型の猛獣に変貌する。しかし創真は一切動揺せず、ガルドを見て笑った。

 

 

「何笑ってやがる!テメェ、誰に喧嘩売ってんのか分かってんのかァ⁈箱庭第六六六外門を守る魔王が俺の後見人だぞ‼︎その俺に喧嘩を売ってタダで済むと」

 

「へぇ、三桁のコミュニティに属する魔王が後見人か。なるほど、お前の自信の根元は理解した。確かにそれはすごい。けどな、そういうお前こそ分かってるのか?お前の目の前にいるの、二桁のコミュニティ【()()()()()()】が後見人の神様だぜ?」

 

「なっ⁈……………」

 

 

創真の口から出たカミングアウトに、ガルドは言葉を失い固まる。

同様にジンも驚き、目を丸くした。もしかしたら、僕達は今とんでもない大物をコミュニティに誘おうとしていたのかもしれない。

 

 

「さて、と。俺はお前のその絶望に満ちた顔を見れたからスッキリしたが……飛鳥はどうだ?」

 

「まだ物足りないわ。創真君、私はね、こういうコミュニティがただ破滅する程度では満足できないの。特にガルドさん?貴方のような外道はズタボロになって己の罪を後悔しながら罰せられるべきよ。春日部さんは?」

 

「私も同じ気持ち」

 

『〜〜〜〜〜‼︎〜〜〜〜〜〜‼︎』

 

「この子も『ボコボコのズタズタにしてやらないと気が済まない』って」

 

「成る程。ジン君はどうだ?」

 

「ぼ、僕も皆さんに同意です」

 

「よし、満場一致という訳で、俺から良い提案がある。どうするかはガルド、お前が決めな」

 

 

創真は立ち上がり、バグルドライバーの二つの突起物がある方をガルドの目の前に突き付けた。

 

 

「なぁに、簡単な話だ。俺たち四人とお前とで“ギフトゲーム”をする。【フォレス・ガロ】の存続と【ノーネーム】の誇りと魂を賭けてな。どうだ?悪くないとは思うが」

 

「クッ…………良いだろう。ただしゲームの主催は俺がさせてもらう。開催は明日だ、文句は言わせんぞハゲ猿ども」

 

「いいわ。むしろその方がやり甲斐があるってものよ」

 

 

絶対に殺してやる、ガルドはそう吐き捨て、その場を去った。




久し振りに投稿しましたが、いかがでしたでしょうか?

今回これを投稿するにあたり、ストーリーの内容をいくつか改変してみました。前回よりは話の辻褄が合ってると思います。

なお、現在プロットを作成しながら投稿していますので、投稿頻度は前よりもかなり少なくなります。

話は変わりますが、現在東方亜人伝のプロットを作成中です。そちらの方も出来る限り早く投稿できるよう頑張ります。

それでは、また

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