とある冒険者のキセキ  「元題名 とある「えこ民」の物語」   作:想いの力のその先へ

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十二話

  とある「えこ民」の物語  十二話

 

 ファーイーストを出発した私たち3人は、飛行庭職人がいる、ファーイースト街道を目指していた。

 道中、特に問題もなく歩いていく。

 精々以前ネクロアーマーに仲間が斬り捨てられたからか、コッコーが遠巻きにこちらを警戒しているぐらいか。

 

「なんと言うか、襲われないのはいいんだが、これはこれで落ち着かないな」

 

「ですね、あの子達は今ネクロアーマーを、すごく怖がってるみたいです」

 

「僕としては、勝手に襲い掛かってきて返り討ちに合ったら、今度は怖がられるというのは納得いかないんだが……」

 

 そうネクロアーマーは、納得できない顔をしているが、正直な話しょうがないと思う。

 自分の仲間を恍惚の表情を浮かべて斬り捨てている輩がいたら、誰だって恐怖するだろう。

 その事を話すと彼女は、馬鹿なとばかりに驚愕する。

 やはり自覚がなかったんだな……

 兎にも角にも、敵に襲われないのはいいことだ。 

 誰だって無意味な殺生は望んでいないのだから。

 

 

 

 その後、モンスター達に襲われる事もなく、目的地に到着する。

 其処はファーイースト街道の南にあるファーマーギルドの管轄地である畑の区画の更に先、飛行庭の墜落現場であった。

 其処にバンダナを巻いた青年が一人、彼が冒険者に飛行庭を造ってくれている飛行庭職人だ。

 彼は此方、取り分けドラッキーとネクロアーマーに気付くと此方に話しかけてくる、アミス先生との付き合いの関係で彼女の生徒達とも交流が盛んであったりするからだ。

 

「やぁ、二人ともどうしたんだい。 この前、他の子が来たから食べ物の配達ではないと思うんだけど」

 

「あぁ、僕たちは付き添いだよ。 アミス先生から飛行庭の依頼があっただろう? その受取人と一緒に来たのさ」

 

 そうネクロアーマーが言ったことで合点がいったのか、私を見て君がお嬢さんが言ってた生徒さんか、と納得していた。

 

「初めまして、ナナシと申します。 今回は先生のご厚意で飛行庭の受け取りにきました。 改めて今回の飛行庭の件ありがとうございました」

 

「あぁ、いいんだよ。 お嬢さんには何かとお世話になってるし、材料は冒険者好きな商人さんから寄付していただいてるしね。 それに今回は混成騎士団からも、贈り物があったからちょっと吃驚したけどね。 君本当に初心者なのかい?」

 

「混成騎士団からの寄付ですか? 一応騎士団からは時々、依頼を受けているので懇意の間柄ではありますが……」

 

「うん、彼は今後あちこちを文字通り飛び回る事になるからと言ってね。 ブースト飛行帆、あぁ、飛行庭が高速で移動できるようになる装備だね。 それを置いていったんだよ」

 

 ブースト飛行帆、それは背負い魔・ブーストと呼ばれる全体的に丸っこい謎生物を、飛行庭に取り付けれるように作られた代物だ。

 但しその時にブーストの全長が、本来の物の十数倍になっているが、それが一体どうしてそうなっているのかはよく分からない。

 元々の背負い魔の時点でも、何を主食としているのかは不明ではあるが、種類としては通常の物の他にパパ、ママ、グランパ等がいた。

 

「また高価なものを置いていきましたね彼らは……」

 

「本当にね、それだけ君が期待されてるって事でもあると思うけどね。 もう飛行帆は付けてあるから、そしてこれが飛行庭の起動キーね。 再発行は出来るけど、時間が掛かる場合もあるから無くさないようにね」

 

「ありがとうございます」

 

 この鍵を使う事で、飛行庭を自身が今いる場所に呼び出すことが可能になる。

 とは言っても、呼び出せる場所には制限があり、飛行庭発着場がある場所でしか呼び出せないが。

 

「それじゃあ、これから大変だろうけど頑張ってね」

 

「はい、色々とありがとうございました」

 

 そう彼と言葉を交わして私達は別れることとなった。

 しかしブースト飛行帆か、既に付けられてるのなら歩いて帰るよりも、イストー岬の村から飛行庭に乗って移動したほうが早いかも知れないな。

 

「これから一度イストー岬に戻って、飛行庭に乗って帰ろうかと思うんだけど、二人はどう思う?」

 

「小生はそれでいいと思います」 「僕もそれでいいと思うよ」

 

「それじゃあ、一度村に戻ろうか」

 

 そう言って一度村に戻る事にした。

 

 

 

 そうして村に戻り、飛行庭を呼び出してアクロポリスに戻る。

 その途中で私はある事を思い出していた。

 この前の憑依の授業で一般の人々が4人、アバターたちが3人と違いがあると言っていたが、その事に関してだ。

 かつてECOには、公式のライトノベルがあった。

 名前はECOねくと!~二次元嫁がやってきた!~、ECOを偶然知った主人公が実際に初めてみようとしたら、他ユーザーのアバターが主人公の下に訪れるという、ジャンルで言えば現実来訪物の作品だ。

 主人公の下に訪れたアバターのティティルのユーザーが、パンチラのスクリーンショットを取る事に情熱を燃やす主人公のクラスメイトの女子高生だったり、その現実来訪の異変自体DEMの陰謀だったりと、色々とぶっ飛んだ本作であるが、その作中でティティルが興味深いことを述べている。

 現実世界とECOの世界は、パソコンを介して実際に接しており、アバターたちはプレイヤーの存在を認識している事。

 現実でキャラ作成した時に、ECOの世界ではそのアバターの容姿に似た人物がそのプレイヤーのアバターとして選ばれるというものだ。

 そもそもに置いてだ、憑依個所は左右の手と、胸アクセサリーに上半身と4ヶ所あるのに、実際には3ヶ所しかできないのはおかしいだろう。

 その事から考えられることは、プレイヤー達はログインした時にアバターたちにとっては疑似憑依されている状態になってのではないかという事だ。

 そしてその結果、アバターたちは3憑依しかできず、一般の人達と差が出来ているのではないかという事だ。

 

 

 それに関連して、前にアミス先生と話したときにとある矛盾したことを私が言っていたことを覚えているだろうか。

 私はアミス先生の教室から卒業した後に、プレイヤーは教室には関われないと述べながら、卒業生が先生に活動資金の援助を打診した、というものだ。

 此れも今の仮説が正解であるなら十分にあり得る事だろう。

 私達プレイヤーにとっては只のチュートリアルキャラでしかないが、アバターたちにとっては間違いなくアミス先生は恩師だ。

 其処が危機的状況であるのなら援助してもおかしくないし、その時のプレイヤー達は資産をため込んでいる人だと、億以上の資金を持っている人もざらであったから、余裕もあったはずだ。

 最終的には実際に寄付する前に、アバターたちはどこかに消えてしまったようだが、それがなければ実際になされていた事だろう。

 つまりアバターたちプレイヤーが基本主導権を持っていたと言えるが、ログインしていない時や、サービス終了した後に実際に自分の意志で行動していた可能性が十分にあるという事だ。

 

 

 

 

 そんなことを考えながら、飛行庭を操作しているとアクロポリスまでいつの間にか到着していた。

 そこで2人と別れ、彼女たちになんでもカウンターに報告を任せ、私はファーイーストを母体に持つ混成騎士団東軍の駐屯地に向かった。

 そこで今までの駐屯地と同じ形の応接室に通されて、担当者が到着するまでお待ちくださいと案内される。

 暫くするとドアをノックされて、一人の女性が姿を現す。

 白系統のセーターに緑色の鎧、黄色のスカートを身に纏い栗色のロングヘアーをポニーテールにしている女の子だ。

 彼女はイータ、東軍の隊長で若輩ながらも努力家であり、その成長性が見込まれ任命された経緯を持つ。

 

「初めましてナナシさんですよね? 私はイータ、この軍の隊長に任命されています。 宜しくお願いしますね」

 

「宜しくお願いします、ナナシです。 此方こそ宜しくお願いします。 それと今回態々飛行帆を用立てていただいてありがとうございます」

 

「ああ、あれですか。 あれは元々混成騎士団に所属してた子達から貰ったもので、ナナシさんの今後の行動に必要になるかもしれないからと、議題に出てたのでそのままお渡しする形になったんですよ」

 

「そうだったんですか。 でもそのお陰でファーイーストから早く帰ることが出来て助かりました」

 

「ファーイーストに行ってらっしゃったんですか? それじゃあ、今回の面会もそれに関係する事なんですか?」

 

 と彼女は聞いてくる。

 察しが良くて助かると言ったところか、いずれファーイースト本国から連絡が来るかもしれないが、こういった緊急事態は速く認識しておいた方がいい。

 

「ええ、その通りです。 ファーイーストいった用事に関しては話す事は出来ませんが、その後にとある人からアンデッドの城で異変が起きているので、調査の協力を依頼されたのが始まりでした」

 

「アンデッドの城ですか? あそこは今は静かなものだと思っていましたが……」

 

「ですが実際に行ってみると、モンスター達が異常なほど警戒をしている状況だったのです」

 

「警戒ですか」

 

「はい、その警戒の正体も判明しました。 それが異常だった故に今回の面会を希望したのですが」

 

 そう私が言うと、彼女もとんでもない異常状態だったのだろうと思い、真剣な顔で続きを促した。

 

「何故かあの場所に、DEMが一体いたのです。 その後モンスターとDEMが交戦状態に入り、モンスター側が劣勢だったので彼らの援護に入り、最終的に共同でDEMを撃破しました」

 

「DEMですか…………? DEMぅ?! しかもモンスターとの共闘!? どうやって共闘したんですか!」

 

 ……まぁ、彼女の驚愕は正常な反応だろう。

 正直な話、この世界でアルマ・モンスター以外のモンスターとの共闘というのは聞いたことがない。

 

「共闘に関してはなんでもクエストカウンターの子達の事は知っているでしょう? 今回元アンデッドモンスターの子がいたから、その子に交渉をお願いしたんですよ」

 

「……なるほど、それならおかしくはないかもですね。 でもDEMを倒した後は襲われなかったんですか?」

 

「襲われるどころか、お見送りをされましたよ」

 

 そう私が言うと、彼女はぽかんとした顔をしながら一言、そうですかと言葉を零していた。

 暫くすると彼女も落ち着いたのか、少し深呼吸をした後また話を始めた。

 

「しかしDEMですか。 なぜあの場所にDEMが出現したんでしょうね?」

 

「流石に其処までは…… 私たちの能力ではさらにDEMが現れた場合、対処できない可能性が高かったのでそのままファーイーストに帰還して、今回依頼した方が報告で、私達が此方に急いで帰ってきた次第ですので。 だからこそ、今回ブースト飛行帆があって助かったのですが」

 

「偶然とはいえ、あの子達が助けてくれたという事ですね」

 

 まったくもってその通りだろう、飛行帆が無かったら帰還までもっと時間が掛かって、こうやって報告するものももっと遅れていただろう。

 もしかしたらその僅かの時間が明暗を分ける可能性も十分にある。

 

「本当にその通りですね。 あの子達には感謝しないと」

 

「では報告としては、アンデッドの城にDEMが出現。 一体は撃破したが、他に個体がいるか、また総数も不明という事ですね」

 

「はい、もしかしたら城内部に前線基地を構築している場合も考慮しないといけないかと」

 

 一応エミル界にもまだDEMは少数ながら存在している。

 その殆どがマイマイ遺跡、かつてのDEMの拠点である機動要塞マイマイの内部ではあるが、其処から三種族に気付かれずに出て、あそこに潜伏している可能性もあり得ない話ではない。

 

「そう考えると、緊急性が本当に高い案件ですね。 報告ありがとうございます。 会議の緊急招集して、できるだけ早くに調査隊を派遣しないとですね」

 

「それがいいと思います。 その間私は少しでも経験を積んで、強くなれるようにしておきます」

 

「わかりました、今日は本当にありがとうございました」

 

 そう言って今回は解散して、飛行庭の家や家具を揃える為に買い物をすることにした。

 

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