とある冒険者のキセキ 「元題名 とある「えこ民」の物語」 作:想いの力のその先へ
とある「えこ民」の物語 一話
北稼働橋に移動中気になって周りを見渡してみると、色々な景色が見えてくる。
ゲームにおけるアップタウンは先に述べた2つの聖堂やギルド元宮の他は、裁縫おばさんの家など数件しかない状態であったが、現実として見てみるとかつての設定に在ったように、豪邸とまではいかないが高級住宅が建てられていたり、遠くには一般住宅街も確認できる。
また公園では元気なドミニオン、エミル、タイタニアの子供たちが遊んでいるのも見ることが出来た。
アランが言っていたように、確かに治安はかなりいい様だ。
「あちこち見ているけど、アップタウンは初めてかい?」
アランが此方に顔を向けてそう問いかけてくる。
特に物珍しく感じている訳ではなさそうでどことなく、あぁ君もかと言った感じが見て取れる。
実際アクロポリスシティはエミル界における一大都市であり、観光や旗揚げするための訪れる所謂
と、言うかさっきの私の行動はまんまお上りさんのそれである。
「以前にも来たことはあると思うんですが、けど何か色々変わっているような気がして……」
「そうなんだ。 確かに以前の戦いで少なからず被害が出て、其処の再開発とかも行われてるからね」
嘘は言っていない。
確かに以前というか、毎日のように訪れていたのだから。
ゲーム内のアップタウンという注釈はつくが。
特にアップタウンや各稼働橋と言った場所は、プレイヤーが販売露店や買い取り露店を出して賑わっている事もあり、結果アクロポリスはプレイヤーにとっても一大拠点と化していた。
しかし少なからず被害が出て、か。
恐らく以前の戦いというのは、ハスターが各地を引っ掻き回した件の事だろう。
このハスターというモンスターというか人物は、かつての資源戦争時には裏で暗躍し、またプレイヤーとも幾度となく交戦することになる。
まぁ初期の頃には既にいたのでプレイヤーの強さのインフレに付いていける訳もなく、一時期はハムスターなどと言われて馬鹿にされていたが。
後のストーリーリファインからの新規ストーリー実装でラスボスに返り咲いた経歴を持ち、更にはストーリーの核心部分に食い込み、人の部分とモンスターの部分が分離した後は、人の部分がパートナーの一人としてプレイヤーと共に行動し、モンスターの方の暴走を収めた後には改めて和解、次元クジラの中に取り込まれた人たちを開放するために、またクジラが悪さをしないように見守りながら研究するために共に新天地へと旅立っていった。
とまぁ、最終的には主人公より主人公してたキャラクターである。
「あ、見えてきた。 あの門を過ぎた場所に駐屯地があるんだよ」
考え事をしている間に結構進んでいたようだ。
目の前には結構な大きさの門が見えてきた。
ゲームでは門の前にワープポータルが置いてあり、其処に移動することで行き来していたが、現実になった今ではそんなものある筈がなく、門を混成騎士団の兵士が警備をしているようだ。
そしてその兵士が此方に気付く。
「よう、アランどうしたんだ? お前さん今日警邏だろ。 それにその隣にいる子は?」
「ええ、その警邏中に見つけまして。 どうにもちょっとおかしな状況に巻き込まれてるらしくて、駐屯所で話を聞こうかと」
「なるほどなぁ、そういえば今日はノール隊長がもう戻られてる筈だからよく解らない事態だっていうんなら、隊長にもお願いしてみたらどうだ」
ノール隊長、もしかしなくてもお助けノールの事だろう。
ECOで実装されているパートナーの一人でその姿は一言で言えば小さい男の子が好きな人にとってはクリーンヒットな外見だ。
ただ、その外見に惑わされてはいけないだろう。
その彼は北軍における上位者の一人なのだから、そして魔導王国ノーザンを母体とする北軍らしく魔法による攻撃、援護が得意なキャラだ。
まぁ騎士団演習で北軍が優秀軍である時しか迎えることが出来す、プレイヤーも北軍所属でなければ装備できない、更には後に実装されたパートナーたちの方が明らかに強いのでその使いづらさも含めて敢えて戦闘でお世話になることは少ないであろうが。
だが現実的になったこの世界では何かが変わっている可能性もある、一応注意はしておくべきだろう。
門を潜り北稼働橋に出る。
そして少し進むと、橋の手前に左右に分かれた建物が見えるこれが混成騎士団の駐屯所だ。
そして北軍の駐屯所に到着し一室に通される。
小さい机と対面するように椅子が置いてある、観葉植物のようなものも置いてあり簡易的な応接間のようだ。
「とりあえずそこに座っておいて」
そう言ってアランはこの場から立ち去っていく。
警邏中という話だったし、引き継ぎやらがあるのだろうから、大人しく座って待つことにする。
暫く待つとドアがノックされ声を掛けられる、この声はアランの声だ。
「お待たせ、入るね」
「はい、わかりました」
そう言って人が入ってくる、アランだけではなくてもう一人。
「やぁ、初めまして。 僕はノールよろしくね」
先程話題に上がったノールその人だった。
「さっきアランから面白い話を聞いてね、それで僕も御一緒させて貰おうと思ったんだ」
面白い話とは間違いなく私についての事なのだろう。
ただ、面白いという割には此方を油断なく見つめているこちらを警戒しているのが見て取れる、まぁ明らかに不審人物なのだからしょうがないが。
そして二人が対面に着席してアランが話しかけてくる。
「それじゃあ、改めて話を聞きたいんだけど、その前に呼び方がわからないと面倒だから
便宜上の名前でも決めちゃおっか。 僕は気軽にアランって呼んでいいよ」
何と言うか一瞬空気が弛緩した気がする。
ノールの方からもまたこいつはと言った感じが出ている、此方は話しやすくなるのでありがたいのは確かなのだが。
「ええと、それじゃあ私の事はナナシでお願いしますアラン。 ノールさんについてはどうお呼びすれば?」
「僕の事はノールでいいよ。 その代わり僕もナナシと呼び捨てにさせてもらうね」
「わかりましたノール」
そうして改めて質問が始まる、まずはアランから質問があり。
「それでナナシは気付いたらあそこで寝てたんだよね? 何かおかしいと感じることはなかった?」
「まずあそこで寝ていること自体がおかしいというのは置いておいても、私は特に気付くことはなかったですね」
「隊長、魔法で寝ている人を移動させるなんて事は出来るんですかね?」
「……出来る事は出来るとは思うけど気付かれずとなると、緻密な魔力操作が必要になるだろうし色々な意味で現実的ではないだろうね。 仮にしていたとしたらその人物をこちらにスカウトしたいくらいだ。 やってることは完全なる才能の無駄遣いだけど」
出来る可能性があるのか。
ECOというゲームにおける魔法はやはりというか戦闘特化であったが、現実的になった事で小説なんかで出てくる生活魔法なんてものが出来ているのかもしれない。
続いてノールから質問が飛んでくる。
「それでナナシは名前は覚えてないそうだけど、何か覚えている事はあるかな? どんな些細なことでもいいんだけど」
「それなんですがここに来る途中に色々考えていたんですがどうにも私自身に関する記憶を、ほぼ何も覚えていない感じで……」
「ナナシ、それは本当かい?」
「ええ、本当ですアラン。 とは言っても口だけでは信憑性はないでしょうけど」
「いや、信じるよ。 確かに最初あった時から何かおかしくはあったからね。 それに自分の姿を見て驚く人間なんてのもそうそういないだろうし」
「へぇ、それは本当か? アラン、その時の話を詳しく聞かせて貰える?」
正直あの醜態を話されるのは恥ずかしいが、アランという三者から話される事で不信感が拭えるのだから我慢すべきだ、それとその間に考えも纏めておこう。
まず私は地球という惑星の日本という国に住んでいた日本国民だ。
これは間違いなく覚えている、だが同時にこの事に関しては教えないほうがいいだろう。
何しろこの世界にも地球という惑星は存在
過去形である、かつての次元クジラによって既に滅ぼされているが、このエミル界に現在一人だけ生き残りがいる。
名をカグヤ、神魔という精神生命体でクジラに滅ぼされる前までは月面に設置されていた広域ナビゲーションの端末ガイドの人造人間だったそうだ。
そして彼女はゲームにおいては2016年の一年間を通して行われる通称「通年イベント」タイニー・かんぱにー~憑依研究編~で登場するキャラでその姿はSFチックな服を纏い、独立浮遊しているエネルギーユニットを背負う黒髪の美少女として描かれている。
性格は真面目で理知的、ここだけ考えるならば別に問題ないと思うのだが最大の問題として、彼女のいた地球が現代よりもさらに科学力が上でSF定番の服従回路のようなものが搭載されていた場合で、尚且つ彼女が私を地球人と認識してしまう可能性である。
美少女を言いなりにさせるという絵面自体がまずアウトであるし、更には彼女以外の神魔たちは総じて神話に語られる神や悪魔でそれに準じた権能も持ち合わせている。
そんな人相手にそのことを行使すること自体それこそ、満面の笑みで
無論考え過ぎの可能性もあるが、用心するに越したことはないだろう。
次に先程来る前に考えた自身の事、これに関しては本当に思い出せない。
どうしてかもとんと見当がつかない記憶喪失という奴だろうか?
これ以上考えても徒労で終わる気がするし次に行くべきだ。
そしてある意味本命であるこの世界、というかMMORPG「エミル・クロニクル・オンライン」については、考えたらすぐにその関連が浮かぶようになっている。
確かにそれなりにやり込んではいたし課金等での強化も行ってはいたが、ここまで知識が
そこまで廃人勢ではなかったはずだが、まるで知識を直接植え付けたような。
まぁゲームとは違うだろうが、多少の道標とはなるだろうし有効活用するべきだ。
丁度二人の話も終わったようだが、ノールが呆れた顔をしている。
「ねぇ、アラン? 剣を抜かずともさ、その近くに噴水があったと思うんだけど?」
「……あ」
どうやら恥の上塗りがあった模様、なんてこった。
というか私も気付けよそんなこと穴があったら入りたい気分である。
きっと今の私は赤面しているのだろう。
ノールが気を利かせて咳ばらいをし、空気を変えようとしてくれている。
「ううん、それでナナシさっきまで静かだったけど何か思い出せたことはあったかな?」
「はい、その事なんですけどそれを話す前にまず確認なんですが、この部屋は防聴や監視については大丈夫でしょうか?」
その問いにアランが間抜けな声を出す。
「……はぇ?」
そしてノールが魔法を行使しているようだ。
「何とも穏やかじゃないね? 取りあえずこれで大丈夫だと思うけど一体どんな事を思い出したんだい? 場合によっては君を拘束しなくてはいけなくなるけど」
やはり、直接戦闘と関係ない魔法も存在すると確信を持てた、さて此処からは博打になるな。
「まずはこの混成騎士団北軍の母体になっているノーザンプロムナードにおられるヴェルデガルド女王陛下についてなんですが」
更に喋ろうとしてノールからストップがかかる。
「ちょっとまって、アラン」
「はい、隊長」
「今すぐ退室。 そして此処に人が来ないように人払いして」
「了解しました」
そして、アランが部屋から退室するとノールが呆れた声で。
「ナナシ、君ねぇ。 女王陛下について何を知ってるのか知らないけど下手したら極刑ものだよ? 陛下に関してはその殆どが秘中の秘になってるんだから」
「ええ、そうだろうとは思ってました。 ですがインパクトがあって尚且つノールと二人で内緒話をするとなると、これくらいのことは言わないとと思いまして」
その返答を聞きノールはさらに呆れた顔と声を出す。
「本当君ねぇ、いくら何でも無茶が過ぎるよ。 殺されると思わなかったの?」
そして気分を切り替えたのだろう、次は真面目な声で問いかけてくる。
「それでそうまでして内緒話をしたかったんだ、一体どんな事なんだい? 只の悪戯ならこちらとしても容赦できないけど」
「ええ、ではと言ってもその前にまた確認なのですが」
「またかい? 確認が多いねぇ」
「プロムナートにいる陛下は本人ではなくホログラムで間違いないですよね?」
「…………よく知っているね、それで間違いないよ」
「そして本人の
「貴様どこでそれを! ……待て、身体だって?
「ええ、私の知識が確かならば陛下の精神は別の場所におられます」
「何故そんなことを知っているのかなんて野暮なことは聞かないよ。 それで何が望みなんだい? そんなことを言うくらいなんだ、何かあるんだろう?」
取りあえず博打には勝てたようだ、こんな綱渡り何度もしたくないぞ。
「私の願いは二つ、まずこの北軍に入れて頂きたいのです」
「…………はぁ? いやそんな事、こういった事しなくても入れる事は出来るよ? 混成騎士団は常に人員募集してるし、今はあの子たちが消えてから万年人員不足だから、使える人間は一人でも多くほしい状況だから」
「あの子たちと言うと、やはりエミル君達と共同で次元クジラを追い払った子達でしょうか?」
「うん、そうだよ。 あの子たちは、特に強くてねぇ定期的な討伐任務とかもやってくれてて大助かりだったよ。 でも演習にだけは参加してくれる子の人数が少なかったね。 あれを見せると隊員の士気が上がるし訓練にも身が入ってよかったんだけどね」
「そうだったのですか」
「そうだったんだよ、でもう一つのお願いは? なるべく無茶なお願いじゃないとありがたいのだけど」
「その無茶なお願いになるでしょうね。 入団した後にある程度の自由行動権が欲しいのです」
「…………へぇ、それはまた無茶なお願いだね。でもなんでまたそんな事を?」
「この際だから腹を割って話しましょう。 私はさっき話題に出た子達の事をある程度知っているのです。 女王陛下に対する知識もそこから出ています」
その言葉にノールが思わず身を乗り出す、それだけショックだったのだろう。
「なんだって! いやしかし、確かにあの子たちが時々陛下について話題を出していたのは確かだ、僕も注意すべきかと思ったけど何故か本国から好きにさせてよいなんて指示が出てたし」
言葉に出した事で落ち着いたのか、乗り出した身を元に戻しそして深呼吸をした後に私に問いかける。
「わかった、認めよう。 だけどあの子たちの事を知っているのは本当なんだね?」
「はい、私の認識とノールの認識に違いがないのであればの話ですが。 なのでその子達のと言うかほぼ彼女らだと思うのですが、クジラの討伐に参加した子は略、神器と呼ばれる武器を使用していたと思うのですがどうでしょうか?」
「神器の事も知っているのか、あれも秘中の秘のはずなのだけどね、そうだよ」
「そしてさらに言うと、あの子達が行方知れずになるまで常に次元クジラの大型種が襲来し、それを撃破し続けたのでは?」
これはストーリークリア後に挑める『-high-level-決戦~つなぐ想い~』の事だ。
プレイヤーには「廃クジラ」「捕鯨」などと呼ばれ一部の人達に人気を博していた。
それを聞いたノールは最早お手上げとばかりに、手を上げている。
「本当にどこからそんな情報を仕込んでくるのやら、面白そうだなんて此処に来たことを後悔しているよ、まったく。 ああその通りだよ、あの時は本当に我々は生きた心地がしなかったよ。 あの子たちがいなかったらどうなっていたことやら、僕もその後の次元クジラについてはよく知らないから他の人に聞いてくれ」
それでまた自身を落ち着かせるためか、深呼吸を始める。
申し訳ないがこちらも訳の分からない事態に巻き込まれている以上、ご容赦してして頂くしかない。
「ナナシ、君があの子たちについて知っていることは良く分かった。 只その事については申し訳ないが他の騎士団と情報共有させてもらう。 どの騎士団も今は人員が一気に抜けた事で深刻でね、少しでも情報が欲しいんだ。 そして自由行動についてもお願いがあるんだ」
「なんでしょう?」
「恐らくこの情報を持って行った後の会議で、自由行動について皆から意見があると思う。 まぁ予想は付くと言うか僕も思っていることだけど、あの子たちが一体どこに消えたのか。 それを探してほしいんだ、実質僕たち四騎士団が後ろ盾になるという事だ。 悪い話ではないとは思うんだけどどうだろうか?」
いい話と言うか想定を超える最上と言って良い程の話だろう、元々北軍に入るのも後ろ盾が欲しかったからであるし、それが四騎士団に増える。
つまりは、エミル世界においてはほぼすべての場所に行けるようなったと言っていい。
歓迎するべき話ではあるのだが上手くいきすぎで逆に不安になる。
「すごくありがたい話なんですが勝手に約束して大丈夫なんですか? 流石に他の騎士団の方に聞いてからの方が……」
「ああ、大丈夫大丈夫。
…………一体どういう事だろうか? 此処には他の騎士団隊長はいないはずだが。
疑問が顔に出ていたのであろう、ノールが薄く笑って話し始める。
「やれやれ、やっと一矢報いたかな? 実はこの部屋には通信機が仕込んであってね。 さっき僕が身を乗り出したのを覚えているだろう? その時にこっそり起動させていたのさ」
その言葉に私は驚きを隠せない、そんなものがあったのかと。
確かにこの世界は元々機械文明が隆盛していたしそういったものはあるだろう、だが使いこなせるとしても工業国家であるアイアンサウスが有する南軍と思っていた。
「ははッ混乱している顔をしているね、大方何故南軍ではなく僕たちと思っているんだろう? 流石にハスターやクジラたちの騒動が立て続きに起きて、それと並行するように住人がモンスターになるようなことも起きたんだ。 いくら僕たちの仲が悪いと言っても協力するようになるさ。 それに仲が悪いのは上層部の一部だけで現場クラスは元々協力していたしね。 そうでもないとそもそも騎士団演習なんて物、開催されないよ」
道理である、確かに仮想敵国である他国家に自国の騎士団の強さなど見せびらかす必要などない。見せることで牽制になる可能性もあるが、他の国家と連合を組まれて攻め落とされるのがオチだろう。
「今頃各騎士団毎に協議して叩き台を作ってる事だろうさ。それよりもさ、僕も君に聞きたい事があるんだけど君は冒険者としての職業は持っているのかい? 君自身が冒険できないと絵に描いた餅でしかないんだけど」
そういえば冒険者としての職業は持っていない、と言うかそもそもにおいて転職自体が可能なのか? 元ECOプレイヤーとして知識は持ってはいるが転職できなければまさしく画餅、まぁ起きた後にてんやわんやになって落ち着いたら今度はここに来て、ずっと話し合っているのだから分からないのは当然ではあるのだが。
「その様子では職は持っていないようだね、大丈夫だと思うが一応説明いるかい?」
私はその問いかけにお願いしますと返した、万が一ECOと差異があるのを警戒してだ。
その結果差異がないことは確認できた、あくまでも二次職までではあるが。
そもそも三次職クロニクルジョブについて知っているのであれば武神であるレネットちゃん、いや
取りあえず三次職については気にしても仕方がない、なれるかどうかは別として職業について考えるべきだ。
とは言ってもある程度の目星は既に付けている、まずは一つ目シャーマン系列だ。 シャーマンは地水火風の四属性魔法を使い分け相手を翻弄し撃破するテクニカルな職だ、ECOにおいては属性は場合によっては劣悪な装備品であってもそちらの方が火力が出るという属性ゲーだった。
その結果三次職のアストラリストは強職の一角に陣取っていた。
二つ目はウォーロック系列だ。
こちらは闇属性魔法一本で闘う職であるが元々闇属性自体四属性に僅かながら勝るという特性を持ち、また魔法職の中では高いHP補正、物理にも適性があるなどある意味至れり尽くせりと言えよう。
ただ弱点もあり、同じ闇属性には三次職にならない限りほぼ手を出せず、光属性に至っては逃げるかこちらも三次職になった後に特殊なスキルを使わないと対抗が出来ないなどの問題がある。
こう言うとシャーマンを選ぶと思うかもしれないが私はあえてウォーロックを選ぶ。
何故と思われるかもしれないが之にはとあるスキルが関係する。
二次職で習得できる『死霊召喚』だ、これでアンデットモンスターを呼び出し壁にすることで私自身が安全に行動することが出来る。
此処が現実になっている以上デスペナ以前に永眠なんて可能性も否定できない、危険は極力排除するべきだ。
そしてその事をノールに伝えると上機嫌になり。
「スペルユーザーを選ぶとは解ってるじゃないか、やはり君もあの子達と一緒でいい子のようだね」
と返してくる、やはり魔法王国の騎士という事でスペルユーザーが増えるのは嬉しいのだろう。
「さて、話し合いは大体終わりかな。 ではもういいだろう」
そう言ってノールは魔法を解除すると外にいるアランを呼び出す。
「それじゃあアラン後は頼むよナナシを黒の聖堂まで案内して来てね。 ああそうだ寝泊まりは暫くうちの宿舎を使ってくれ、会議の内容を君に伝えなきゃいけないからね」
そうしてノールは去っていく、その後安心したのかアランは深くため息をついていた。
「はぁ~、ナナシ頼むよ寿命が縮まるかと思った」
「ははは、すみません。 それじゃあ案内お願いしますねアラン」
「分かったよ黒の聖堂の後、宿舎だったね了解」
そう言って二人で黒の聖堂に向かった。
なお転職自体は出来たことを此処に書き記しておく。
「混成騎士団」
アクロポリスの四方を囲む国家群が
駐留させている騎士団の事
北軍=ノーザン
東軍=ファーイースト
南軍=アイアンサウス
西軍=モーグ
がそれぞれ運用している。
表向きは治安維持組織だが
実際は利害調整用の組織であり
同時にかつての資源戦争は当時の
アクロポリス、アクロニア王国の暴走が原因の為
その監視も担っている。