とある冒険者のキセキ  「元題名 とある「えこ民」の物語」   作:想いの力のその先へ

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一章 集う仲間たち
入学、そしてはじめまして!


 夢から覚める、何か重要なものを見ていたような気がするのだけど、何も思い出せない。

 でも本来夢ってそういうものだよね、と思い寝床から起き上がり昨日貰った衣服に着替えると、取りあえずは洗面台へと向かう、先ずは顔を洗わないと……

 そうして向かった洗面台で顔を洗い、頭の中から眠気を追い払うとふと気になったので近くにある窓から外を見る。

 外は少し明るくなりはじめているがまだまだ暗い、夜明け前と言ったところだろうか。

 そこで後ろから急に声を掛けられる、振り返るとそこにはアミスさんがいた。

 

「あらリオちゃん、おはよう。 起きるの早いのね。 昨日はよく眠れたかしら?」

「アミスさん、おはようございます。 はい、よく眠れました。 ありがとうございます」

 

 そう伝えると私は深々と頭を下げる。

 その私の態度に、アミスさんは何処か困った顔をして私に話しかけてくる。

 

「リオちゃん? 此処で一緒に暮らしていくんだから、そんな他人行儀にしなくていいのよ? 此処はもう、貴女の家でもあるんだから」

「あ、はい、それもそうですね」

 

 そう私が返答するとアミス先生は、どこか可笑しそうに笑いながらさらに私に話しかける。

 

「敬語もいらないのよ、リオちゃん? 私達は一緒に暮らす家族なんですから」

「……家族、それならアミスさん!」

「なぁに? リオちゃん」

「アミスさんの事『お母さん』って呼んでもいいですか!」

 

 そう私が言うと、アミスさんは少し顔を引き攣らせた後に真顔になり、私の両肩をがっしりと掴むと小さな、されど力強い言葉で返してきた。

 

「流石にまだ結婚もしてないし、リオちゃんの歳の子供を産む年齢でもないから、お姉さんって呼んで、ね?」

「……はぃ」

 

 …………凄く、怖かった。

 

 

 

 

 その後二人で朝食の準備をしながら、とりとめのない雑談をしていた。

 曰く、さっきはごめんなさい。 でも女性にあまり歳に関係することを言っては駄目よ?

 曰く、私は一人っ子だったから偶然とはいえリオちゃんのような妹が出来て嬉しい。

 曰く、リオちゃんには今日から学校で一緒に勉強してもらうわね。

 ……最後のは雑談ではなく、重要なことではないでしょうかお姉ちゃん、それよりも昨日の今日で学校って通えるものなの?

 そうアミスお姉ちゃんに質問すると、役所に届け出るのは即日でも大丈夫、という事であった。

 因みにお姉ちゃんの他に武器、鍛冶関係の先生と服飾関係の先生もいるらしいがその人たちには、出勤した時に説明するとの事だった、先生達……

 そして先生達に紹介した後に、役所に行っても十分に授業には間に合うという事だった。

 そんなことを話しているうちに朝食の準備も終わり、昨日と同じく二人で食卓を囲っての食事。

 流石に昨日の今日でまた暴走する訳にはいかないと奮起し、終始和やかな朝食に出来ていた、お姉ちゃんは常に気合が入っている私を見て、頭の上に疑問符が浮かんでいる状態だったけど……

 後日、この日の食事の事をお姉ちゃんが私に質問して、大笑いすることになるのはまた別の話……

 

 

 そして朝食終了後学校へ、とは言っても学校自体はこの飛行庭で基本的に青空教室、雨の日は室内、で行っているので家から出ればそこは学校でした、という事になるそうな。

 そしてお姉ちゃんは飛行庭の操舵輪の所へ行き、庭を動かす。

 今からこの庭を学校としての所定の位置に移動させるらしい、そう言えば昨日家に入った時点では空に浮いていたはずだけど、今見ると結構地面が近い場所に停泊している。

 何でも昨日私を部屋に案内した後に、飛行庭をこの場所に移動させたらしい。

 夜に嵐が来て飛行庭が浮いていた場合、墜落からの二次災害が発生する可能性が高まる為、住人は最低でも寝る前に庭を登録時に各自の所定場所を提示され、其処に停泊することを義務付けされているそうだ。

 尚、この義務は人、取り分け冒険者が多く集まるアクロポリスのみで、他の国家の場合は基本的に宿泊施設に飛行庭発着場が併設され、その場所に停泊させるのが一般的との事だった。

 これも、基本的に冒険者はアクロポリスに本拠を置くことが多く、その為の処置との事だった。

 その説明の後に、改めて飛行庭を操作し空中に浮かび上がる。

 そしてゆっくりと、しかし確実に飛行庭は移動を開始した、移動先はアクロポリス内の黒い教会の建物、その名も『黒の聖堂』の前という事だった。

 黒の聖堂前に着くと、その近くには既に一台の飛行庭が存在していた。

 お姉ちゃんの話によると、その飛行庭は鍛冶屋の少女、とは言っても武具だけではなくアクセサリーなどの小物類も扱っている、の店舗兼自宅なんだそうな。

 店主の少女も、見た目こそ年若いがその腕前は熟練顔負けの腕前であり、尚且つ依頼されれば小物類などの製作も出来、現在大人気のアイドル歌手たちのスポンサーを務めるなど、多岐に渡って活動しているとの事だった。

 そして、店主の少女とデスさんと共通の知り合いがその工房、と言うよりも少女が関わっている企業、名前を『U&Hカンパニー』に所属しており、その縁でお姉ちゃんはその人、アルティさんと知り合いになって学校としても、時々工房や企業に社会科見学をお願いしたりしてるという事だった。

 

「ほえぇ~、そんな凄い人がお隣にいるって凄いねぇ……」

「凄い子なのは確かだけど、アルティちゃん自体は優しくていい子だからそんなに緊張しなくても大丈夫よ。 でも……」

「でも?」

「ええ、アルティちゃんなんだけど、時々一人でどうしてこうなったんだろって頭を抱えてることがあって、それがちょっと心配なのよね」

 

 そう言ってお姉ちゃんは頬に手を当てながら考え込んでいた。

 そのアルティさん、やっぱり工房の店主さんとしての気苦労とかもあるのかな……?

 

 

 

 

 そうやって二人で悩んでいると、ふと人の気配がすると気付き後ろを振り返る。 すると其処には青色を基調とした和風な作業服を着た男性と、淡い緑色の厚手の服を纏い同じ色の帽子を被った男性が昇ってきていた。

 その二人に気付いたお姉ちゃんが彼らに声を掛ける。

 

「あら、サルト先生にシュミード先生、おはようございます」

『おはようございます』

 

 この人達がお姉ちゃんが雇っている先生達なんだ、そう私が思い二人を眺めていると青色の服を着た先生、先程お姉ちゃんにシュミードと呼ばれていた人が私を見てお姉ちゃんに声を掛ける。

 

「お嬢様がお目覚めになられたのでございますね、それはよろしゅうございました」

 

 そしてシュミードさんは私の方を向いて話しかけてくる。

 

「初めまして、自分はシュミードと申します。 この学校では主に武具強化などの鍛冶部門をお教えしております、そして此方が弟の」

「僕はサルト、主に武具融合などの裁縫や、後は料理とかの事を教えてるよ! で、ええっと……」

 

 もう一人の男性、サルトさんが自己紹介をしてきてくれる、そう言えば私も自己紹介をしないと……

 

「初めまして! リオって言います、よろしくお願いします!」

「リオちゃんだね、よろしく」

 

 そう言ってサルトさんは私の頭を、良い子良い子といった感じで撫でてくる。

 ……ちょっと恥ずかしい。

 

「それでアミス先生、リオさんが此処におられるという事はやはり?」

「えぇ、本人の希望があったので学校に入ってもらおうと思って」

「やはりそうでございましたか、となると今から役所の方へ?」

「はい、だからその間、リオちゃんの事宜しくお願いしますね?」

「承知いたしました」

 

 そう私が恥ずかしがっている間に、シュミード先生とお姉ちゃんで話が進んでたみたいだった。 いつの間に……

 と言うかサルト先生いつまで頭撫でてるんですか!

 そう抗議の視線をサルト先生に向けると、先生はごめんごめんと笑いながら手を引っ込めた、恥ずかしかったな、もう……

 その後お姉ちゃんが役所に行く事になって、先生達とお留守番をすることに。 その時にも一騒動あった訳だけど……

 

「お姉ちゃん、行ってらっしゃい」

『お姉ちゃん?』

「……あ、えっと、そのぅ」

 

 そう私が言葉に詰まっている間、お姉ちゃんはくすくす笑って、ひとしきり笑った後に私を保護している事、そして家族として過ごす事、私がお姉ちゃん呼びしているという事を説明してくれた。

 何故すぐに説明してくれなかったのかを、お姉ちゃんに聞いてみると。

 

「慌ててるリオちゃんが可愛くってつい」

 

 という事を言われるのだった、こういう事で可愛いって言われても嬉しくない!

 

 

 

 そしてその後、お姉ちゃんが役所に出かけた後、待っている間に生徒のアルマの子達なのかな? が続々と登校してきた。

 登校してきた子は皆、先生達に挨拶しながら私を物珍しそうな感じで見てくる。

 中には直接私の事やお姉ちゃんがいない事を聞く子もいたけど、その子達にはお姉ちゃんが帰ってきてからのお楽しみと、答えを返していた。

 そして最期の方に登校してきた子達に見知った顔の人が混ざっていた。

 

「やぁ、リオよ。 ここに居るという事は決めたのだな?」

「デスさん! 決めたって事はもしかしてデスさんもお姉ちゃんから聞いてたの?」

「ふふ、お姉ちゃんか。 そういう事になったのだな」

「……あ」

「そう照れずとも好かろう、アミスも喜んでいるのであろう? なら恥ずかしがらずに呼んでやるといい。 そしてアミスからお主が起きて学校に通いたいと言ったら通わせるつもりとは聞いていたよ」

 

 やっぱりそういう事を話してはいたんだ。

 それと私と話してるデスさんを他の子達は誰だこいつ? みたいな視線で見てるのはなんでなんだろう?

 そんな事に疑問を持っている合間に、お姉ちゃんが帰ってきた。

 

「はい、皆おはよう。 デスちゃんに皆集まってるのは……、そういう事ね。 これからあの子の事は紹介するからみんな落ち着いてね」

『はーい、おはようございます』

 

 そう言って生徒の皆はそれぞれたぶん自分の定位置に移動していった。

 

「それじゃ、リオちゃんこっちに来て」

 

 そう呼ばれた私は、お姉ちゃんの横に移動した。

 前には生徒の皆が座っていて、全員私を興味津々に見ていた。 デスさんだけは私をニマニマと見てたけど。

 

「はい、それじゃ皆もしかしたらデスちゃんから聞いちゃってるかもしれないけど、今度から一緒に勉強することになるリオちゃんです。 さぁ、リオちゃんも挨拶お願いね」

「はい! 始めましてリオです、まだどんなことが出来るのかわからないけど一緒に勉強頑張ります、これからよろしくお願いします!」

「はい、という訳でみんな宜しくね」

 

 生徒たちは拍手でその言葉に答えてくれる、取り敢えずは歓迎されてるで良いんだよね?

 それじゃあこれから頑張って勉強して、冒険者になるぞ!

 すべては冒険者になって各地の美味しいものを食べる為に!

 ……なんか違うような気がする、そしてそのまま授業が始まるのだった。

 




因みに今作においてリオは外見年齢13歳程度、アミスは20代前半で設定しています。
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