残酷だった未来に希望を。 作:生麦生米生卵
まずは我らがアスナ様のお名前を明日菜と表記していたことについてです。正しくは明日奈様でした…。感想欄にてご指摘くださり誠にありがとうございます…!以降このようなことないよう努めますので今後ともよろしくお願い致します!
そして…サブタイトルが…考えるのが…...(っД・`i)アゥアゥ...
キリト達がユイと奇跡に近い再開を果たし、私は家族水入らずの所にいるのもなぁ。と思い外に出る。
「今のうちに飲み物でも買ってこようかな。二人もお茶でいいかな。」
私は放課後になり部活動に勤しむ生徒や帰っていく生徒を廊下の窓から見つめながら、学校内にある自動販売機に向かう。
そして飲み物を買い終え、教室に戻ろうとすると携帯が鳴る。それは電話を示すのだが懐かしい人からの電話に笑みが浮かぶ。
「どうかしたの?」
『あ、ねぇ碧!今行ける?少し相談したいことがあるんだけど…。』
電話の主は私の友人で妹みたいな子だった。そしてまた、彼女もまた天才だった。
「相談?研究チームがいるんじゃないの?」
『それで行き詰まったから電話してるのよ!』
「なるほど。それで?内容は?」
『あ、うん、前にメールで送ったやつなんだけど、あの後いろいろ調べたら、更に情報も出てきて今大変なのよ。それでデータがひっくり返って…。』
「………ならばあなたが先頭を切って民衆を動かく何かを成し遂げるのはどうですか?」
『…私が自ら動かす何か…?』
「えぇ。集合知性は現状不可能ならば自ら作るのが一番だと思いますよ。」
『なるほどね…うん、ありがとう。考え方を変えてみるわ。』
「頑張ってくださいね。応援してますよ。それじゃ。」
『あ、ねぇ。次いつ帰ってくるの?結局あれから色々あって全然会えてないし…。』
「こっちの研究に踏ん切りがついたらそっちに遊びに行く予定だよ。その時は観光案内してね?」
『うん!任せて!それじゃあまたね!碧!』
「うん、またね。虹色ちゃん。」
誰もいない廊下での秘密の電話を終わらせる。そしてその道中でポツリと小さくつぶやく。
「虹色ちゃん。確かに君は天才だよ。でも行き過ぎた理想は君を、君自身の思いを殺してしまいかねないんだよ……。」
小さく呟いたそんな言葉は誰にも聞こえるものがないまま溶けていく。そのまま誰もいない廊下を歩きキリト達のもとに戻る。まだ泣いてたらどうしよう。なんてことを考えてた。
「ほんと感動の再開で嬉しいのはわかるんだけど流石に泣きすぎじゃないかなぁ?」
「ユイちゃんとまたお話できるって思うと涙が自然と込み上げて来て…。」
「やっぱり早まったかなぁ…。」
『でも、ユイは碧さんにとても感謝してます!』
「喜んでくれたら何よりだよ。頑張ってたかいがあるってものだよ。」
「でもいったいどうやってユイを蘇らせたんだ?碧が言ってただろう?SAOは消滅したって。」
『確かにSAOは消滅しました。それは事実です。ですがデータは電子空間を彷徨うんです。』
「それじゃあまさか…。」
「うん。【ユイ】という[データ]を消滅した電子空間から全てかき集めた。それだけだよ。」
「それって…SAOの膨大なデータからユイだけを探し出したってことか!?」
『言うだけなら簡単ですが、途方に暮れる作業な上に電子空間を彷徨うデータはあまり長く持たずに消滅します。時間もほぼなかったはずです。』
「残された時間は私が確認したときで4日間だったよ。それから万を超えるデータから【ユイ】という一つのデータを探すという技術をキリトに教えるには無情にも時間が足りなかった。だから私がテレビ取材が終わってからの3日間を利用して、SAOと共に電子空間に散らばったデータをすべて収集させたってわけ。」
キリトたちが唖然としてるのを見ながら私は更に言葉を繋ぐ。というかここからが本番。
「でも、あくまで私が手伝うのはここまでだよキリト。ここからは君が娘にリアルを、世界を見せてあげて?その為の技術は君が望むならいくらでも教えるよ。」
「…あぁ!」
「私に手伝えることならいくらでも言ってね!キリトくん!なんでもするから!」
『パパ私もお手伝いします!』
私の目に映る彼は決意を新たにし、娘に世界を見せようとこれからきっと奮起するんだろう。だから私はそんな彼の為にできることをしよう。私も気合を引き締め直した所でチャイムが鳴り響く。
「頑張ろうとするのはいいけど残念ながら最終下校時間だね。また今度。かな。」
その言葉に納得したふたりと帰り支度を始める。
「ユイさん、とりあえず今は私の端末でお留守番をお願いしてもいいかい?」
『はい!任されました!』
ユイさんには私の端末でお留守番してもらっている。携帯を通せばスピーカーから会話ができるためこの方法を採用している。私は明日菜に携帯を渡す。
『これで帰りながらお話ができますね!』
「まだ不安定なとこ多いからラグが起こる可能性も高いけどね。」
「それでもユイちゃんとお話ししながら帰れるって凄いことだよ!」
明日奈は嬉しそうに私の携帯を抱える。
昇降口から外に出ながら楽しそうに会話を弾ませてる明日菜の後ろで私は日傘を刺しながら歩く。その横でキリトが難しそうにしている。
「何をそんなに難しそうにするの?」
「結局俺は何もできてないな。って思ってな。」
「そうかな?」
「結局ユイだって碧が蘇らせたんだ。俺は何もできてないよ。」
「キリトはたまにつまらないことを話すよね。」
「なっ⁉俺は真剣に…」
「だからつまらないんだよ。本来SAOにはメンタルキュアを目的として彼女という[プログラム]を導入したの。そこに自我というプログラムは入れてないんだよ。それなのに彼女は自我を持った。感情を持った。意思を持った。そして愛情を知った。それはキリトと明日奈二人が作り出したものだよ。それがあるから彼女は今あそこにいて、何も変わらない姿でいるんだよ。」
「…。」
「つまりこれは君たちが作り出した功績で私はそれを形にしただけだよ。確かに私ならすぐにでも彼女にリアルを見せることは可能かもしれないよ?でもキリトと私どっちが世界見せてあげるほうが彼女は喜ぶと思う?」
「そう…だな。そうだよな。ここからは俺がなんとかするんだよな。確かにつまらない話だったな。」
「そういうこと。そんなことより二人が呼んでるよ?」
「キリトくーん!碧くーん!早く早く!おいてっちゃうよー!」
『パパ!碧さん!こっちですよ!』
「今行くー!」
「私には彼女が羨ましいですよ。」
「何か言ったか?」
「いや?さ、早く行こうか。」
これが彼らに起こった最初の奇跡。
「ねぇキリト、クレープ食べたいなー。」
「えぇ…。」
「あ、私も食べたい!ユイちゃんに見せてあげたいし。」
「まぁたまにはいいか…。」
「もうすっかり親バカじゃん…。」