いんふぃにっと・亀仙流   作:サイデリア

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 ストーリーはドラゴンボール寄りになるかなぁ。


第1章 入学編
第一話 クロスオーバーでブーストされるのは主人公だけではない


 女性しか動かせない兵器の操縦者を育成する学校なのだから、IS学園には女子生徒しかいない。

 

 唯一の例外は、織斑一夏だけだ。

 

 そして、女子生徒の入学しか想定していないのだから男子の制服などない。原作では何故かあったが、この世界線には存在していない。

 なので一夏の服装は橙色の武道着だった。左胸と背中に『亀』の文字が入った、みなさんご存じのあの服だ。

 

 それもあって一夏は、新入生の中でもぶっちぎりで浮いていた。入学式で生徒会長からず~っと凝視されてしまうほどだ。

 それは1年1組の教室に移動しても同様だ。

 

「織斑一夏です。本当は武術の修行をするつもりでしたが、日本政府からどうしてもと頼まれたので入学しました。在学中の目標は、とりあえず生身でISよりも速く飛べるようになることを目指しています。以上、よろしくお願いします」

 

 自己紹介を終え、一夏は椅子から数ミリ腰を浮かした空気椅子状態で席に着く。副担任の山田教諭を始め、教室の誰一人としてツッコミが入らなかった。

 

(おかしいな。ここは『おいおい、お前生身で空飛べるのかよ』というツッコミに対して、舞空術を披露する流れじゃなかったのか?)

 

 気の操作で肉体を宙に浮かせる技・舞空術。本来は亀仙流の技ではないが、亀仙人は『ISの操縦に役立つだろう』と手解きをしてくれたのだ。もっとも一夏に出来るのは、せいぜい床から15センチ程度浮かび上がるだけだ。実戦にはとても対応しきれない。

 

(でも、それも修行次第だって武天老師様も仰っていた。何でも昔の達人は、舞空術で飛行機よりも速く移動したって話だし)

 

 また多少なりとも舞空術の訓練をしていたお陰で、入学試験で始めて乗ったIS打鉄で、対戦相手の教官に勝利することが出来た。

 なお、その教官とは副担任の山田教諭であった。妙な偶然もあるものだと、一夏はあちこち包帯まみれで松葉杖をついた山田教諭を見た。怪我の原因はだいたい一夏のパンチとキックだった。

 山田教諭は一夏にボコられたのが軽いトラウマになったようで、彼と目があった瞬間、真っ青な顔で視線を反らした。

 それを見た一夏も、隕石みたいな速度で地面に叩きつけたことを恨んでいるのだろう、と一方的に納得するのであった。

 

「すまない、会議が長引いた」

 

 全員の自己紹介が終わる頃、教室の前側のドアから長身の美人教師が入ってきた。

 その途端、教室がにわかに色めき立った。

 

 キャー千冬さまー、とかブリュンヒルデさまー、だとか。ISの世界大会モンド・グロッソV2チャンピオン織斑千冬の登場に、ミーハーな生徒が騒ぎだしたのだ。

 

 千冬は、はしゃぐ生徒を強烈な睨みで黙らせ、腰のベルトに差していた刀を鞘ごと引き抜いて足元を小尻で思いきり突いた。

 タイルが割れたが、千冬は気にした素振りもなく口を開いた。

 

「私がお前たちの担任、織斑千冬だ。私の仕事はお前たちを一人前のIS乗りにすることではない。卒業までにお前たちを即戦力として第一線に投入できるよう徹底的に鍛え上げることだ。そのためならばいくらでも辛きゅあた――当たるし、どんな些細な相談にだって乗ってやるつもりだ。だからお前たち、私に黙って着いてこい」

 

 一呼吸置いて、教室が先程よりも一層沸き立った。

 

「噛んだわ!」

「千冬さまが噛んだわ!」

「態度は凛々しいのに噛んでしまったわ!」

「可愛いぞ、千冬ねえ!」

 

 真っ赤になって俯いた千冬は、おもむろに刀をベルトに差し直し、強烈に踏み込んだ右足を軸に突然高速で一回転した。

 

「飛天御剣流、飛龍閃!」

 

 千冬が回転に合わせて鯉口を切ると、遠心力で刀が鞘から弾丸のような速度で射出された。

 

「危なっ!?」

 

 柄頭が額を直撃する寸前、一夏はギリギリのところで刀の柄を掴んで受け止めた。着弾まで1マイクロミリだった。

 

「学校では織斑先生だ!」

「それは悪かったけど、殺す気か!?」

「安心しろ。その刀は逆刃刀、刃が峰に付いているから人は斬れん」

「今の技には刃の位置関係ねえだろ!!」

 

 突然始まった姉弟漫才。

 

(飛天御剣流って、何!?)

 

 教室にいたほぼ全員が同じ疑問を持ったが、誰一人として口にはしなかった。

 

 そして、飛天御剣流について既知であったポニーテールの巨乳少女は、両手で顔を覆って机に突っ伏していた。

 

 

 

 昼休みになった。

 ここまで休み時間になるたびにクラスメイトの質問攻めに遭っていた一夏だったが、今回は自分から席を立った。

 そして真っ直ぐに、教室を出ようとしていたポニーテールの少女の元へと向かい、彼の見立てでクラス一巨乳の彼女に声を掛けた。

 

「ちょっといいか?」

 

 ポニーテールの少女は振り向いて、驚きと感動が混ざったような表情で一夏を見つめた。

 しかし次の一言で、少女は膝からガックリ崩れ落ちた。

 

「間違ってたらごめん、もしかして束の妹?」

「そっちで覚えてるんかい!!」

 

 ポニーテールの少女は篠ノ之箒。一夏が亀仙人の元へ弟子入りする前まで、ご近所さんだった少女だ。小学校もクラスメイトで、よく一緒に遊んでいた。

 

「やっぱりそうだったか! 束から写真は見せてもらってたけど、直接会うのっていつ以来だ?」

「春の遠足で山に行った日以来だ! というかお前! 姉さんとは会っているのか!? しかも最近!!」

 

 膝だけでなく、両手まで床に着いてしまった箒。何を隠そう、箒は小学校の頃から一夏に恋をしていた。だが一夏が山中で遭難していたウミガメを海に連れていったのを見送ったきり、今日まで二人が顔を会わせることはなかった。

 突然一夏が小学校を転校したことを聞き、千冬に訊いても「スケベジジイに弟子入りした」と要領を得ない答えしか帰ってこず、結局手紙の一通も送れないまま時間だけが過ぎてしまった。

 

 だというのに、一夏は箒の姉の束とは普通に会っていたようだ。しかも、口ぶりからして相当親しいらしい。

 

「ねえねえ。おりむーとしののんはお知り合いなの?」

 

 箒が問い詰めるより先に、横から布仏本音が質問した。

 

 一夏は頬を掻きながらわずかに言い淀むが、

 

「まあ、恋人の妹?」

 

 そう言って、スマホを取り出すと束との仲睦まじい2ショット写真を本音に見せた。

 

「えーっ!?」

「織斑くんって彼女持ちーっ!?」

 

 本日一番、教室が沸いた瞬間だった。

 一夏は一瞬にしてスマホを掠め取られ、束との関係はクラスで機知のものとなった。

 

「てか、織斑くんの彼女さんすっごい美人」

「年上だ~。胸も大きい」

「でもどっかで見たことあるような……」

「あら、存じませんの? この方こそISの開発者、篠ノ之束博士ですわ。そうですわよね、織斑さん?」

 

 スマホを返しにきた、上品な金髪ロールのクラスメイトの姿に、一夏は絶句した。

 いや。一夏だけでなく、箒を除いたクラス一同の視線が金髪ロールに集まっていた。

 

「あの、みなさん? どうかなさいましたか? わたくしの顔に何か付いているのでしょうか?」

 

「いや、付いてるっていうか――」

 

 意を決して、一夏はそこに切り込んだ。

 

「なんで鉄仮面被ってんすか!?」

「我が家の正装だからですわ。というか、自己紹介の時に申しましたはずですが」

「……すみません、覚えてません」

 

 一夏が素直に謝ると、鉄仮面はあっさり許してもう一度名乗ってくれた。

 

「わたくしはセシリアマスク・オルコット。イギリスの英雄ロビンマスクの娘にして、英国IS界の国家代表候補生ですわ」

 

 鉄仮面の隙間から金髪ロールをのぞかせるセシリアマスク。堂々とした態度で、外見通り面の皮の厚い娘らしかった。

 

「ちなみに、このマスクは我が家のシンボルであり、人前で素顔を晒してはいけない鉄の掟がありますの。ご理解いただけますか?」

 

(どんな家だよ……)

 

 またもや箒以外の全員が心の中で同じツッコミを入れていた。

 

 なお、話の切っ掛けだったのにすっかり空気になっていた箒はといえば、ショックから立ち直るべく親友の凰鈴音に国際電話で慰めてもらっていた。




 イギリス出身でパッと思い付いたのがロビンマスクだった。だってゆかなvoiceで師匠キャラだからってギアスのC.C.じゃ面白味に欠けますし。いや、そもそもC.C.師匠じゃないけど。

 ちなみにこの話の篠ノ之家は離散していません。何故なら父親が千冬ねえの師匠だからです。ほら、あの池田シャア一ボイスの。

 ところでのほほんさんが箒を呼ぶときのあだ名って原作にありましたっけ? あったとしても本作では「しののん」で行きたいと思います。セシリアマスクよりは原作ブレイクしていないでしょうから。
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