いんふぃにっと・亀仙流   作:サイデリア

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 ISの二次創作なのに全然ISで戦ってませんねえ。
 それ以前に最近は『インフェニット・ロックマン』とか『闘え! セシリアマスク!!』になりつつあって、ドラゴンボールすら関係ないし。

 そんな危機感を抱く20話目です。


第20話 Dr.ワイリー、驚異の技術力!

「箒ちゃん、せっちゃんは大丈夫なんか? めっちゃ血ぃ出とるけど!?」

 

 ラウラは鈴の胸に抱かれるセシリアマスクの顔を覗き見るが、鉄仮面のせいで顔色すら窺い知れない。試しに仮面を剥がそうとしても、溶接でもされたように顔の皮に密着していて外せそうになかった。

 

「鈴ちゃん、なんや傷口に手ぇ当ててるだけのようにしか見えんけど、医者に看せる方がええんとちゃうか?」

「落ち着くんだ、ラウラ。心配するな、あれは霊波動を用いた、れっきとした治療だ。目を凝らせば鈴の手が光って視えるだろう?」

「えぇ~……!?」

 

 箒はそう言うのだが、ラウラにはちっとも光っているようには見えない。シャルルの波紋と違い、霊波動の光とは物理的な光源ではないため、例えば幽霊が視認出来るタイプの人間にしか理解できないのだ。

 なお、各言う箒も本当に視えているのか怪しく、一夏や千冬が「光っている」と言うので何だかそんな気がしているだけだった。

 

 やがて、鈴はセシリアマスクの患部から手を離し、大きく息を吐いた。

 顔色が優れず、暗く沈んだ表情に、鈴とラウラの胸を不安がよぎる。

 

「鈴、セシリアマスクは!?」

 

 鈴は項垂れたまま首を振った。

 

「背面から心臓を撃ち抜かれてる。いくら霊気による治療でも、本人の生命力が尽きていたらどうしようもない……」

「そんな!! それじゃあセシリアマスクは……」

「なのに、治療したら普通に治った。何なの、こいつ。本当に人間?」

 

 確かに、注意して観察するとセシリアマスクは穏やかな寝息を立てていた。

 

「……さ、さすが超人セシリアマスクやな……」

「あ、ああ。超人は条件さえ揃えば死んでも生き返れるって話だし」

「腑に落ちない……いいえ、助かって嬉しいのは本当よ? そこは誤解しないで」

「誰に言い訳してんのや、鈴ちゃん。ま、ええわ。そんじゃま、心配事が無くなったところでぇ~──」

 

 ラウラと箒はすっと立ち上がり、揃って直上を睨んだ。

 一夏達が戦っているのとは別に、二体のドクロボットがこちらに向かってくる。

 

「ウチらもお客さんの相手したろやないか」

「鈴、悪いがこいつらは私とラウラで貰う。君はセシリアマスクを安全なところへ」

「しゃーないか」

「デュフフ……──君ったら、もう……zzz」

 

 セシリアマスクの幸せそうな寝言に顔をしかめながら、鈴は彼女を抱えてその場から跳び去った。

 

 ラウラはドスを、箒は両刃の剣を構え、地面に降り立ったドクロボット二体とそれぞれ対峙する。

 

「う~ん……箒ちゃん、どっちと殺り合いたい?」

「見た目は大差ないが……そうだな」

 

 箒は二体を見比べ、日本刀のようなブレードを構える一体に向き合った。

 

「こっちだ」

「チャンバラかいな。ほなら、ウチはそっちの二丁拳銃で」

 

 ラウラが前に立つと、短銃型のバイオネットを両手に装備したドクロボットもラウラに一歩近付いた。

 日本刀装備も箒に向かって歩いてくる。

 

「ヤル気満々やないけ~。ほな行くで、お人形チャン!」

「行くぞ!」

 

 ラウラと箒は、同時にドクロボット達に襲い掛かった。

 

 

 

 イエローデビルが沈黙を守る中、日本刀装備のドクロボットが一夏と千冬へそれぞれ襲い掛かる。

 ドクロボットはいずれも日本刀装備だが、流派(モード)が違う。

 千冬を狙ったドクロボットは、水平に保つ刃を猛突進と同時に突き放った。

 

「この技……牙突か!」

 

 千冬はドクロボットの強烈な一突きを、刀を盾にかろうじて防いだ。しかしISの補助なしの慣れない空中戦故に踏ん張りが効かず、数十メートルも水平に弾き飛ばされた。

 

「千冬姉──くっ!!」

 

 姉の援護に行こうとしたが、一夏はすぐに思い直してもう一体のドクロボットを迎撃に出た。

 

『龍昇閃』

 

 急降下したドクロボットが次の瞬間、刃の背を拳でかち上げながら切り上げてきた。

 

「ぐうっ!?」

 

 反撃どころか防ぐことすらままならず、防御した右前腕が骨の半ばまで切り裂かれた。あとほんの僅かにでも後退が遅れていれば、腕もろとも胴体を両断されていた。

 

「飛天……御剣流……」

 

 筋肉で強引に止血しながら、一夏は次の攻撃に備えて身構えた。全身の毛穴が開ききっており、背中を冷たい汗が伝う。

 

(ブラックオックスの時と同じだ。高度な格闘戦術がインプットされた無人IS……とんでもないな!!)

 

 ドクロボットが再度、一夏へ突撃してくる。

 

『九頭龍閃』

 

 突進撃から繰り出される、人体九ヶ所への超神速ほぼ同時攻撃。剣術の基本である唐竹、袈裟斬り、右薙、右斬上、 逆風、左斬上、左薙、逆袈裟、刺突の全てを一息に叩き込むことで、相手に防御も回避も許さない。

 

 ならば、と一夏は最初の一発目を急所を外しながら生身で受け止め、刀を掴んで受け止めた。

 

「うぐううううっ!!」

 

 肩から鎖骨に刃がザックリ断ち斬られ、当たり前だがメチャクチャ痛い。しかもパワーで相手が上回っているので、せっかく掴んだ刃がジリジリと容赦なく体に食い込んで来るのだ。

 

「だりゃあああっ!!」

 

 痛みを雄叫びでかき消し、一夏はドクロボットの手首を力の限り蹴り上げた。

 絶対防御と同程度のシールドを粉砕するが、装甲とフレームには傷一つ付けられない。辛うじて押し返しただけだ。

 その刃に掛かる力が微かに減退した隙に、一夏は握っていた刀身を捻り壊した。

 

「ど、どうだぁーっ!!」

 

 新たに刀を出される前に、今度こそ一夏は反撃に出る。無防備を晒したドクロの顔面に左ストレートを打ち込んだ。

 ところが、素手になったドクロボットは一夏のパンチを受け止めて殴り返してくる。

 それをガードして、一夏はもう一発ブン殴った。そのままパンチの打ち合いが始まる。

 しかし、先制で肩と前腕を割られた一夏は動きに精彩さが欠け、思うように攻撃が捌けずに押し込まれていった。

 

(こいつ、一撃一撃が恐ろしく重い! 狙いも正確で、何より速い!!)

 

 一夏の攻撃もカウンターヒットを数発決めているのだが、ドクロ面相手ではダメージの蓄積が計りずらいのも精神的に辛いところだ。

 勝機があるとすれば、もう一度腕を掴んで動きを止め、内部構造に直接衝撃を与えるのが最も効果的な戦法だろう。

 

(それが出来ればの話だけどな!)

 

 ガードを弾かれて胴体に直撃を喰らい、ふらついたところをショルダータックルで追撃された。踏ん張ろうにもISの推進力と加速性能に不馴れな舞空術では対抗しきれず、一夏は猛スピードで吹っ飛ばされた。

 そして、同時に牙突を喰らってぶっ飛んだ千冬と空中で衝突する。

 

「ぐっ……ち、千冬姉……!」

 

 千冬もすでにあちこち斬られ、血塗れだ。手にしたIS用のブレードも刃こぼれが酷い有り様だった。

 

「はあ、はあ、一夏か……っ!? こいつらの強さは何なんだ!? デュノアのヤツ、不意打ちとはいえよく一体倒せたな!」

「波紋があったからだろうな。弱点を突ければ無敵ではないってことだろう」

「突ければ、な。ええい、生きて帰れたら是が非でも波紋を教えてもらうぞ、デュノア!!」

 

 傷付いた体に一層の闘志を奮い立たせ、千冬は牙突のドクロボットへ再度立ち向かっていく。

 一夏もまた、御剣流のドクロボットへ向かい合うが……そこで違和感に気付く。

 佇んでいたイエローデビルの姿が消えているのだ。

 

(まさかっ!!)

 

 千冬の方へ視線だけ送るも、やはりイエローデビルはいない。だが、その疑問を解消する間もなくドクロボットが襲ってきた。

 

 

 

 空中で激戦が繰り広げられている最中、砲撃で地面に叩き落とされていたシャルルが意識を取り戻していた。

 

「うぅ……不甲斐ないな、気絶していたなんて……」

 

 すぐに空を見上げたシャルルは、追い詰められる織斑姉弟を見て顔をしかめた。

 

「あの二人を……化け物かよ」

 

 正直このまま逃げ出したいところだが、戦闘を放棄して逃げたりなんかした日にはセシリアマスクから養豚場の豚を見るような目で蔑まれるかもしれない。

 

(そこまではいかないかもだけど、彼女に幻滅されるのは嫌だな。……あぁ~、恋ってメンドクサイ!)

 

 頬をパシパシ叩いて気合いを入れ直したシャルルは、ISを展開しようとした刹那、真上から巨大な質量に襲撃された。

 

「うおあっ!?」

 

 あやうく煎餅にされるところを、抜群の飛び込み前転で回避した。

 何事かと身構えたシャルルの前で、黄色い巨人がゆっくりと立ち上がった。イエローデビルである。

 イエローデビルの胴体で煌々と輝く赤い瞳が、シャルルをギロリと見下ろしてくる。

 

「……こいつもISなのかな、本当に……」

 

 イエローデビルは大きく腕を振りかぶり、シャルルに平手を振り下ろした。

 見るからにとんでもないパワーの相手なので受け止めようなど考えもせず、シャルルは全力で後方へ跳ぶ。

 だがイエローデビルの余りあるパワーは風圧だけでシャルルを吹き飛ばし、辺りの家屋を倒壊させた。

 

「うわあああああっ!?」

 

 バランスを崩したシャルルに、イエローデビルが単眼からエネルギー弾を撃ち込む。直撃を受けた全身を、高圧電流でも流されたような衝撃が襲った。

 

「ぐへっ!? ……んの、ナメんな!」

 

 波紋の防御でダメージを最小限に抑えたシャルルはすぐに立ち直り、イエローデビルに反撃するべく地を蹴った。

 もう一発振り下ろされた掌をかわし、前腕に飛び乗って胴体まで駆け抜ける。

 

山吹色の波紋疾走(サンライトイエローオーバードライブ)!!」

 

 イエローデビルは防御する素振りも見せずに、単眼を閉じた胴体で真正面からシャルルの技を受け止めた。

 

「……あれっ!?」

 

 殴った手応えに違和感を覚える。波紋がイエローデビルの内部まで伝わらず、表面を伝わって地面に拡散してしまうのだ。

 

「こいつの体、何だ!? 粘土みたいに気持ち悪い!」

 

 装甲の表面を波立たせながら、イエローデビルの巨碗がシャルルを無造作に払い除けた。

 

「ちぃぃっ! ヅダ!!」

 

 距離を取るべくISを展開し、シャルルは急速上昇した。それをイエローデビルが単眼を閉じたままで見上げている。

 

「生っちょろい動きしてやがる! ここまで来られるものなら来てみやがれ、ウスノロめ!!」

 

 その時だった。シャルルの挑発に応えるかのように、イエローデビルの体に無数の切れ込みが走った。

 そして、何事かと戸惑うシャルルを目掛け、イエローデビルは無数のブロックに別れて高速で飛散した。

 

「はいぃぃぃーっ!?」

 

 大質量の散弾銃がごとく、黄色いブロックが瞬く間にシャルルを取り囲む。そのまま元の一塊に戻り、シャルルの体をISもろとも圧し潰しに掛かった。

 加えて、ヅダのシールドエネルギーまでもが急速に消耗させられ、装甲を食い破り、液状になったイエローデビルが生身のシャルルまで直接締め上げてくる。

 

「がっ……そ、そういうこと、か!! こいつの体は液体金属なんだ……だ、だから波紋が拡散して……ち、チクショウ……!!」

 

 シャルルをISごと完全に体内へ取り込むと、イエローデビルは体を人型へ戻し、ゆっくりと移動を開始した。

 見開かれた単眼の先には、学園でドクロボットと戦う箒とラウラがいた。




 VTシステムっぽい要素かつ、ロックマンの強いボスとなったらドクロボットでしょう。コピーロボットだとちょっとニュアンス違うし。
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