いんふぃにっと・亀仙流   作:サイデリア

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最近、この世界はスパロボ時空で、
本筋と一切関係の無い一地方の小競り合いがIS学園で起きている、
という設定にしました。

この世界での亡国企業ってどうなってんすかね?


第23話 乾坤一擲

「ガッ……く、クソッタレが……ッ!!」

 

 イエローデビルの巨大な足は疲弊したラウラを踏みつけ、さらに液体金属がラウラの体を侵食、半身を飲み込んでしまっていた。

 

「その子を離せぇ!!」

 

 そこへツインビームトライデントを振りかぶった鈴が、瞬時加速(イグニッションブースト)とともに斬りかかった。

 切っ先はイエローデビルの丸い胴体、その正中線を捉えるが、刃は液体金属の体をすり抜けてしまい手応えがなかった。

 

「なら、こいつならどうだ!」

 

 箒も試しの剣を手に、形なきものを斬る海鳴斬を仕掛けるも、裂けたそばから元通りになってしまう。

 ならば! と次は見えないものを斬る空裂斬で相手のコアを狙い打つ。が、アンデッドでも魔法生物でもない純粋な機械であるイエローデビルには効果がなかった。

 

「くっそ、こいつ!! 服の下にまで入り込みよって、ヤラしいわ!」

「ちょっと、ラウラ! しゃべる余裕があるなら何か反撃しなさいよ!」

「そない言われても、ガチガチに固められて──あ、あかん!?」

 

 そうこうするうち、ラウラを足の裏から体内へ完全に取り込んでしまった。

 イエローデビルは胴体に赤い眼球を出現させ、鈴と箒を静かに見据えた。

 

「鈴、私達も取り込むつもりのようだぞ」

「対人用の捕獲機能ってところかしら。厄介な」

 

 物理的な打撃にも気による衝撃にも強いイエローデビルに、これまで目立った外傷はない。機械なのだから痛がる素振りを見せなくても不思議でないが、斬っても突いてもすぐに元に戻ってしまうのはいかがなものか。

 唯一、攻撃が効きそうなのが赤い眼球部分だが、基本的に体内に隠れている上に不用意に近付けばビームで迎撃されてしまうのであった。

 

 イエローデビルの体に切れ込みが現れ、ブロック状に分裂していく。

 分裂したイエローデビルは並みのISの戦闘速度を遥かに上回る速度で鈴と箒、それそれに体を射出した。

 

 一度回避しても、今度は後方からさらに速度を上げて突っ込んでくるイエローデビルに、二人は反撃の糸口すら掴めない。

 

「すっトロそうな外見のクセに!」

 

 鈴は指先に霊気を高めつつ、鈴はひたすら回避に専念し、反撃の機会をうかがう。

 一方の箒は果敢にもブロックに正面から飛び込み、手応えはないけど当たるを幸いとばかりにやったらめったら斬りまくっていた。

 

「何してんの、あんた!?」

「どこかにコアがあるはずだ! 見つけ出してたたっ斬る!」

 

 あまりの蛮行に鈴も戸惑い、制止するのが一手遅れてしまった。

 

「そこだぁぁぁっ!!」

 

 一際大きなブロックを一刀の元に斬り伏せた箒……だったが、エネルギーの刃は塊の中腹辺りでガッチリと止まってしまう。

 確かな手応えにコアを見つけたと思ったが、切れ込みを内側から掻き分けて這い出してきたものを見て、さすがの箒も青ざめた。

 

 それは、顔を土気色にしながらも血走った瞳に燃えるような闘志を灯し、試しの剣の刃をへし折らんばかりに握りしめて押し返す、シャルル・ツェペリであった。

 

「し、シャルロット!?」

「殺す気か!! 頭が割れるところだったじゃないか!!」

「す、すまない!」

「シェリーちゃん、お話はええから先出てってもらえる? 後ろつかえとるんや」

 

 シャルルの背後には、同じく取り込まれたラウラがいた。

 異変に気づいたらしいイエローデビルは、分裂させていた体をシャルルたちのパーツへと集結させ始めた。

 

「あー、もう!! 箒、あんたは二人を引っ張り出して!」

 

 鈴は霊丸のチャージを続けつつ、箒の元まで一足で飛び込んだ。

 集まってくるブロックを片っ端から弾き飛ばし、その間に箒がシャルルの腕を掴んで力任せに引っ張った。

 

「あだだだだだっ!? ストップ、篠ノ之さん!! 腕から変な音したぁ!?」

「我慢しろ! くそっ、引っかかって取れない!」

「だったらなおのこと引っ張るなぁぁぁあだだだだって、篠ノ之さん、後ろぉ!」

「えっ!?」

 

 シャルルの叫びに、箒は咄嗟に彼の手を放して地面を転がった。

 直後、背後に迫っていたブロックに浮いた赤い目玉から、プラズマ火球が射ち出される。

 ISもなくその場から動けないシャルルは無防備のまま高熱源体にさらされてしまった。

 

「あかん!? 引っ込むで、シェリーちゃん!」

「あわわわわわっ!!」

 

 二人は慌てて液体金属の奥へと引きこもり、かろうじて九死に一生を拾ったシャルルであるが、またもイエローデビルの体内に逆戻りである。

 

「そこぉ!」

 

 目玉を目掛けて鈴が霊丸を放つが僅かに遅く、目玉は液体金属の中に隠れてしまった。

 目玉を内包したブロックはシャルルのいるブロックと融合し、さらに周囲のブロックもかき集め、巨人の姿を再構成した。

 今度は分裂せず、地響きを立てながら鈴と箒へ向かってくる。

 

「ええい! どうしろってのよ、こんなの!!」

 

 毒づきながらも、鈴はトライデントを構え、イエローデビルに斬り掛かった。

 

 

「で、どないするん、シェリーちゃん」

 

 イエローデビルの体内、捕獲が目的だからか呼吸こそ可能だが圧迫感がすさまじく、身動きが取れない状況のラウラが、同じく自分の薄い胸に顔を押し付けたシャルルにため息とともに訊ねた。

 

「ど、どうするっていうか……まあ、手立てはあるんだけど」

 

 ラウラの肌の匂いと感触に理性が飛びそうになるのをグッと堪えながら、シャルルは波紋の呼吸を続けている。

 

「どしら、酸欠か? しっかりせい、寝たら死ぬで」

「違うから! う~ん……ねえ、ラウラ? 今ってIS出せる?」

「できん。このブヨブヨ、なんや量子からの実体化を邪魔しとるみたいや」

「やっぱな~」

 

 シャルルの含みのある憂い顔に、ラウラが眉を吊り上げた。

 

「なんやの?」

「ラウラ」

 

 突然に表情を引き締めたシャルルに真っ直ぐ見つめられたラウラは、急に頬が熱くなる感覚に襲われた。

 

(あ、あれ? なんやこの子、急にキリッとして……あ、あれ!? なんでウチ、こないドキドキしとるん?)

 

 シャルルをシャルロットと思っているラウラにとって、イタリア系美少年の本性を全面に押し出した真面目モードのシャルルは酷い不意討ちだった。

 細いけど人を殴りすぎてゴツゴツなラウラの手を、強くも弱くもない絶妙な力加減で握った。

 ラウラの毛の生えた心臓が、ドクドクと早鐘を打ち始める。

 

「先に謝っておくね。ごめん、ラウラ」

「えっ、ちょ待って!? どゆこと、シェリーちゃん!?」

「今からすごい無茶するんだ。それに巻き込むから」

「はい?」

 

 シャルルは目を瞑り、深く大きく息を吸い込んだ。

 まるで洞窟を風が吹き抜けていくような力強い呼吸に、ラウラも息を飲む。と同時に、彼女の野生の勘が最大級の警鐘と、その危険から逃れるすべが無い絶望を同時に察知した。

 

「本来の使い方とは違うけど!」

 

 その時、ラウラにはシャルルの体が黄金色に輝いたように見えた。

 黄金色に輝き、激しい熱と、全身を駆け巡る電流のような刺激に、ラウラは思わず声を荒げた。

 

「ちょちょちょっ、シェリーちゃんストップぅぅぅぅっ!!」

「もう無理。深仙脈疾走(ディーパスオーバードライブ)っ!!」

 

 シャルルの体がまるで真夏の太陽のような輝き、まさしく太陽そのものと呼んでもいいぐらいの熱さを放つ。

 

「あんぎゃあああああああああああああああああーっ!!」

 

 そして、密着状態のラウラにはドライヤーと混浴するよりも酷い電流地獄を味わわせ、

 

『グォオオオオオオオオオオオオーッ!!』

 

 イエローデビルに対しては、液体金属の防御を突き破ってコアに直接波紋を叩き込んだ。




亡国企業の現状について。

①アマルガムとか黒い幽霊とかブルーコスモス(ロゴス)に併合されている
②弱小組織として細々と活動している
③壊滅済み。現実は非情である

どうせ出てこないので答え合わせは不要です。
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