ほのぼのバトスピ伝   作:ヴァーチャル

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第3話 紫の闇

「えぇー!?あの大会って、優勝したの由希じゃねぇの!?」

「うん。私は3位だったんだよ~」

 

由希はにっこりと笑い、斬にスリーピースして見せる。

 

「古ぃ……。いや、そんなことはどうでもいい。じゃああの戦魂は?」

「3位決定戦だったんだよ~」

「じゃあ、お前に匹敵するのが2人もいたのか!?」

 

愕然とした様子で、斬は叫ぶ。

しかし由希には、この斬の反応の意味が分からなかった。

 

「……どうしたの?」

「だって、だってよぉ……」

 

斬は体を反らせ、マトリックス体勢で天井を仰ぐ。

 

「それって、とっても素敵やぁぁん!!バトスピって……奥が深いのね!!」

「そう!!強いやつが沢山いる。そんなやつらと戦うのが、最高にファンタスティックなんだよなぁ!!」

「ノリノリだね、バシン店長」

 

鴉と由希は柔らかい笑みで、盛り上がるバシンと斬を見守る。そんな和やかな雰囲気の中、店の外から凄まじいスピードで、その人物はやって来た。

 

「うぅぅぅうるぅっ、だぁぁぁぁ!!」

 

絶叫と共に、ひとりの少女が飛び蹴りのポーズで店に入ってきた。騒然とする店内の様子をよそに、ボーイッシュなレザージャケットをはためかせ、少女は優雅に髪を掻き分ける。

 

「……ふん。相変わらずボロい店だな」

「はは……。言わないでくれよ紫牙。今日も元気だなァ……」

「フッフーン!!私様はいつでも元気!!さぁ白咲由希、今日こそ私様の生け贄になるがいい~!!」

 

腰を落とし、どすこい、と紫色の髪の少女は、その可憐さに似合わぬ体勢をとる。口紅を薄く塗った唇から、由希への叫びが放たれる。

 

「私様が……そのすかした面を食べてやる!!さぁ、この店のNo3の座をかけて戦魂……」

「あ、ごめん紫牙ちゃん。私、No3じゃなくなったんだ~」

「……ほぇ?」

 

すっとんきょうな声。呆気にとられている紫牙に、由希はこれまでの経緯を話す。突然現れた初心者に自分が負けてしまったことを。

 

「……」

 

話が終わるまで、紫牙は一言も言葉を発しなかった。その胸中にどんな感情が渦巻いているのか、それは誰にも分からない。

話が終わり、紫牙は無表情のまま口を開く。

 

「……戦魂だ」

「うん?」

「私様と戦魂しろ……聖天斬ぁぁぁっん!!私が勝ったら、由希にNo3の座を返してもらうっ!!」

 

ビシッと音が聞こえてきそうな程の鋭さで、紫牙は斬を指差す。そして腰に巻き付けたホルダーから、骸骨のマークがついた紫のデッキケースを取り出す。

 

「さぁ、受けるか!?」

「受けるのはいいけど、なんでだ?」

「え?なんでって、なんだ!?」

「俺に勝ったら、お前がNo3になる。これが自然な流れじゃないの?」

「え、あ、いやそれは……」

 

紫牙はあわてふためき、手で顔を覆う。しかし隠せていない部分から、顔が赤くなっていることは簡単に分かる。彼女は指の隙間から由希をチラチラ見る。

 

「……どうしたの紫牙ちゃん?」

「あ、あぅ……。そ、そんな可愛い顔で私を見るなぁ!!」

 

紫牙は由希から顔をそむけ、斬へ顔を向ける。

 

「わ、私は由希を倒したいんだ!!お前なんかを倒しても意味は無い!!お前は、由希を食べちゃう前の前菜だ!!」

「……前菜ねぇ。言うじゃねぇか」

 

斬はデッキを取り出す。二人は同時に叫び、戦魂の世界へと羽ばたく。あの呼び声と共に。

 

「「ゲートオープン、界放!!!!」」

 

紫牙と斬は消える。残されたバシンたちは、店のモニターの前に集まる。

 

「いっけー二人ともォォォッ!!正面突破だぜ!!」

「ふふっ、面白くなってきちゃった~」

「楽しそうだねお姉ちゃん……」

 

 

 

 

紫牙と斬は戦魂フィールドに立っていた。辺り一帯に立ち込める紫色の霧。二人の足元には骸骨のマークを付けたキャンドルがあり、その真紅の炎で二人の視界を照らしている。

落ち着きを取り戻した様子の紫牙は、楽しげに笑う。

 

「ふっ、私様好みの場所だ」

「だろうな。てか前回といい、俺の好みは全く反映されないのね」

「神も私様の勝利を願ってるってことだな!!

私様の先攻、『ボーン・トプス』を召喚。召喚時効果により1枚ドロー。お前の番だぞ」

 

「俺のターン。俺はネクサス、『英雄皇の神剣』を配置。さらにバーストセットォォッ!!ターン終了だ」

 

紫牙の場には、大きな牙を持った牛のような生物が現れる。紫の特徴のひとつである、手札補充を増強するカードだ。対して斬の場には、緑のオーラを放つ神の剣が突き刺さる。このネクサスがある限り、1ターンに1度だけ、斬はバーストをセットした時に1枚ドローできる。斬はカードを引き、ターンを終える。

 

「……ふっ。私様のターン!!『ボーン・トプス』おかわり!!さらにネクサス、『旅団の摩天楼』を配置ッ!!」

 

2体目のボーン・トプスと、紫のネクサスが出現する。ボーン・トプスの召喚時により紫牙は1枚ドローし、旅団の摩天楼の配置時効果でも1枚ドローする。手札を整え、彼女は愉快げに笑う。

 

「クックック~。さぁ、どうしてくれようか~」

「……来るか……!!」

「よしっ。私様はターンエンド!!」

「なんだと!?」

 

紫牙 状況

 

[手札]6

[リザーブ]0

[場]ボーン・トプスLV1×2(コア1)旅団の摩天楼LV1(0)

 

「紫牙さんは、いつも通りの戦術みたいだね」

「そうだなッ!ただ手札を増やして攻めるだけじゃない。相手を翻弄しながら、決定的な攻撃を叩き込むッ!!

紫牙はツエーからな~。こいつは面白くなってきた……ッ!!」

「斬さんが私の時みたいに対応しきれるか……。お手並み拝見、だね」

 

斬は戸惑いながらもカードを引く。斬が伏せていたバーストは、彼のライフが減少した時に発動するもの。しかし紫牙が攻撃しなかったことにより、今は沈黙している。

 

「……ま、いつかは発動できんだろ。俺は『カグツチドラグーン』を召喚。あと、『ゴラドン』召喚。そしてカグツチでアタックだ!!」

「……うん?」

 

BP3000の赤の竜が現れ、うすい紫の霧の中、渇いた大地を疾走する。

 

「カグツチドラグーンのアタック時により、1枚ドローするぜ」

「ライフで受けるっ!!」

 

紫牙のライフが砕ける。ライフは残り4。紫牙は無表情のまま胸をさする。

 

「……斬さんミスったね」

 

鴉は呟き、バシンは渋い顔でうなずく。

 

「あぁ。ゴラドンはコスト0。あいつを先に出してれば、カグツチの召喚コストは軽くなってた」

「……響くかなぁ」

「さぁ、どうかな」

 

紫牙は目を上げ、斬を見る。

 

「全然こたえないなぁ。こんな攻撃ばっかで、ホントに由希に勝ったの?」

「……ぬぬ。お、俺はターンエンドだ!!」

 

斬 状況

 

[手札]5

[リザーブ]2

[場]カグツチドラグーンLV1(1)

ゴラドンLV1(1)

英雄皇の神剣LV1(0)

 

「私様のターン。黒き残光、天空に浮かびし亡者の魂に届き、禍々しき裁きの死神となる!!『死神剣聖ダークネス・メア』、LV2で今、地獄に絶望の刃を下せ!!」

「イタタタタ!!」

「正面突破してやがるなぁ……」

「いつ考えてるんだろう……」

「さすが紫牙ちゃん。……可愛い」

 

斬、バシン、鴉、由希の様々な反応を無視し、紫牙はボーン・トプスをトラッシュ(捨て札)に置く。ダークネス・メアの召喚の不足コスト確保のため、消滅したのだ。

 

「私様は、ダークネス・メアの効果、[抜刀]発動!!」

「[抜刀]?」

「手札から、系統[剣刃]を持つブレイヴを1体、コストを払わずに出せる効果。これにより、紺碧の大地より浮上する!!その忠義の魂、地上に導き、その誇りを私様の眼前にて示せ!!『深淵の巨剣アビス・アポカリプス』よ、青き怒濤の彼方より出でよ!!」

 

海が割れ、紫の霧を突き破り、青い大剣がこの大地に浮上する。死神はその柄を掴み、自らの身に青の光を宿す。

 

「……イテぇ……!!」

「バーストをセットし、ダークネス・メアとアビスを合体(ブレイヴ)!!アタックステップ!!行け、ダークネス・メア!!輪廻閃闢……」

「ちょっ、タンマタンマ!!ブレイヴってなんやねん!?」

「はぁ!?」

 

紫牙は目を丸くし、直球で驚きを表現する。バシンの弱った笑い声が響き、斬はバシンの声の方を向く。

 

「悪りぃ悪りぃ、そういや教えてなかったな。っとブレイヴはあれだ、スピリットと合体して、そのスピリットを強化するカードだ」

「……強化?」

「そうッ!!合体すると2枚のカードは1体のスピリットとして扱われ、シンボルが増えたりBPが上がったり効果が発動したり、とにかくスゴいんだぜェェ!!何が起こるかはブレイヴによるけどなッ!!」

「それって……俺がスゲェヤバイってことじゃ……」

「アビスの効果。これがスピリットと合体している限り、相手は自らの場に存在する色のシンボル以外の色の、マジック及びバーストを発動できないっ!!」

「……ちょっと待ってね」

 

斬は紫牙に見えないように、自分が伏せていたバーストを見る。それは白のマジック、絶甲氷盾。強力だが、斬の場には赤のシンボルしか無い。したがってこのバーストは発動できない。

 

「……ガッデム」

「じゃあ気を取り直し、アタックステップ!!ダークネス・メアの攻撃、輪廻閃闢桜無嘔の舞!!アタック時効果により、トラッシュよりボーン・トプス復活!!」

 

紫牙はボーン・トプスの効果でドローする。ボーン・トプスに乗せるコアは、ダークネス・メアから1つ確保した。死神が霧を切り裂き駆ける。

 

「アビスと合体したことで、ダークネス・メアはダブルシンボルになっている。よってこれは2ダメージだっ!!」

「ぐぅっ……がっはァァッッ!?痛てええええ!!」

 

斬がブッ飛び、転がり回る。しかし紫牙の攻撃は終わらない。

 

「ボーン・トプスでアタック!!」

「がッ!?ちぃぃぃッ!!」

 

斬は再び吹っ飛び、地べたから起き上がりながら空を睨む。

 

「はァ……はァ……ッ!!」

「まだまだぁ!!ボーン・トプス、アタック!!」

「ガァァァッ!!っらくせェェェッ!!」

 

斬は顔面をぶん殴られ、再び地に這う。しかし瞳の光は消えない。光輝く。

 

「……ターンエンド」

 

紫牙 状況

 

[手札]6

[リザーブ]0

[場]ダークネス・メアLV2(2)

ボーン・トプスLV1×2(1)

旅団の摩天楼LV1(0)

「なら、今度は俺の番だ!!俺は、バーストをセット!」

「なに!?」

 

紫牙は驚いた。バーストは同時に複数枚セットすることはできず、すでに自分のバーストが存在している時に新しいバーストをセットすれば、元からあった方のバーストは破棄される。要するに損するのだ。

 

「ま、神剣の効果で斬さんはドローできるけどね~」

「……リスク覚悟で新しいバーストにかけるってことか!?でも私がバーストのトリガーを踏まなければ、そのバーストは機能しない!!」

「それはどうかな?行くぜ、俺は『爆炎の覇王ロード・ドラゴン・バゼル』を」

 

その瞬間、斬は感じた。紫牙と由希からの期待の眼差し。抗いの意思を形成する猶予も与えず、少女たちの眼は彼を圧迫する。そして彼は、恥ずかしさに顔を赤くしながら叫ぶ。

 

「……轟け、真紅の爆風!!弱きを拒まぬ英雄の灯が、天へ続く螺旋を駆ける!!『爆炎の覇王ロード・ドラゴン・バゼル』ここに見参ッ!!」

「あいつも結構だな」

「人のこと言えないね」

「うるせぇぇぇッ!!!見てろ、いや見せてやる!俺のバゼルの力を!カグツチをLV2にし、アタックステップ!行け、ロード・ドラゴン・バゼル!!アタックだぁぁ!!」

 

炎の突進。そして斬の眼は、勝機を見た。彼の場のバーストが弾け、宙へ高く舞う。

 

「バゼルが攻撃するとき、俺は……自分の場に伏せられた、発動条件が[相手のスピリットまたはブレイヴの召喚時効果」のバーストを発動できるッ!!」

「発動条件を無視して……バーストをっ!?」

「そうだ!!全てをぶっちぎり、発動するのは、これだァァ!!『爆烈十紋刃』ッ!!」

 

バゼルの剣に灼熱が宿り、十紋の刃が紫の闇に投げ入れられる。

 

「行けぇぇッ!!」

 

ボーン・トプスが裂かれ、更なる衝撃にアビス・アポカリプスが砕かれ、深海に沈んでいく。紫牙は振り返る。その目に、崩れていく結界、旅団の摩天楼が映る。

 

「これが爆烈十紋刃の力……っ!?」

「そう。相手のBP6000以下のスピリット1体とネクサス1つと、合体スピリットのブレイヴを破壊するッ!!」

「しかもまだ効果は残っている……」

「あぁバシンさん!!バゼル上からコストを払い、フラッシュ効果を発動!!トラッシュのこいつを手札に戻すぜ」

 

斬が誇らしげに提示したカードは、さっき破棄された白のマジックカードの絶甲氷盾。相手のバトルを終わらせるという、強力な防御カード。

 

「……っ、ライフで受ける!!」

 

紫牙のライフが砕け、ライフ残り3になった。

 

「ターンエンドだ」

「あれ?もう攻撃終わり?」

「絶甲氷盾も完全防御ってわけじゃねぇからな。ライフ残り1だし、慎重にもなるだろ」

 

斬 状況

 

[手札]5

[リザーブ]0

[場]ロード・ドラゴン・バゼルLV1(1)

カグツチドラグーンLV2(3)

ゴラドンLV1(1)

 

「……紫牙ちゃんのコアシュートを警戒して、ブロッカーのカグツチのコアを多くした、か」

「少しは戦術ってもんを覚えてきたかな。だけど……」

 

バシンは言葉を切り、紫牙の顔を見る。彼女の顔は喜びに満ちていた。

 

「私様のターン!!手札の『冥猫蛇アイニ』の効果。このカードを手札から捨てることで、このドローステップでドローする枚数を1枚増やす。よって2枚ドロー」

 

ドローカードを見て、紫牙は微笑む。獲物をとらえた獣の視線が今、斬を貫く。

 

「その程度の防御……私様の前では無力だ!!紫の恐怖、私様が教えてやる!!」

「なに~!?」

「私様はソウルホースを召喚。そしてここで、新たなブレイヴ!!『騎士王蛇ペンドラゴン』を召喚っ!!召喚時効果で、相手スピリット1体のコアを2つリザーブへ送る」

 

バゼルからコアが奪われ、コアが0になったため消滅する。そして紫牙はペンドラゴンの効果でドローする。

 

「バーストが無くなった今、紫牙は警戒せずに召喚時効果を使える、ってわけだ」

「だ、だが!!俺にはまだカグツチとゴラドンがいる。こいつらのどっちかでブロックして絶甲氷盾を使えば、このターンは防げる。俺の勝機は消えてはいねぇッ!!」

「今は、な。だがそれを消すのが、私様の……切り札ぁ!!地上にはびこる愚者たちよ、見るがいい!!地獄の深淵より鳴動する戦慄の雄叫び、輪廻の理を砕き、今ここに悪魔の姿を成す!!『冥府三巨頭ザンデ・ミリオン』よ、紫の大地へ来たれ!!不足コストは、ソウルホースとボーン・トプスから確保」

 

大地が裂け、その狭間から、巨大な灰色の指が、手が、腕が這い上がる。紫の光が天から差し込み、それを仰ぎ、嬉々とした様子で、その悪魔は鳴き声のような音をたてながら現れた。耳をつんざく絶叫。悪夢が、斬にとっての悪夢が、今彼の前に誕生した。

 

 

「なんだ……この化け物は……!?」

「ペンドラゴンをザンデ・ミリオンにブレイヴ。さて、行こうか。ザンデ・ミリオンのアタック!!そしてペンドラゴンの合体アタック時効果により、ゴラドンのコアを1つ外す。よって消滅ッ!!」

 

悪魔の疾走。斬はカグツチドラグーンのカードに手をかけ、ブロックをこころみる。しかしできない。

 

「……あ!?」

「ザンデ・ミリオンの効果。相手は系統[無魔]の攻撃をブロックする時、自分のスピリットを1体破壊しなければ、ブロックできない。そしてザンデ・ミリオン自身も無魔」

「じゃあカグツチを破壊すれば……」

 

斬は、即座に気づき、結果を悟った。カグツチを破壊すれば、肝心のブロッカーが無くなる。つまりブロックできない。神速などがあれば話は違うかもしれないが、彼の手札にそんなものはできない。そして、彼が理解した結果が訪れた。

 

「……俺の負け、か」

 

最初に伏せたバーストが絶甲氷盾ではなく爆烈十紋刃だったら、バゼルかゴラドンにより多くのコアを乗せられていただろう。結果はもしかしたら変わっていたかもしれない。しかし彼の胸に後悔はなく、迫り来る攻撃の凄まじさと迫力に、これ以上ないほどの高揚感を感じていた。

 

「次は……負けねぇ」

「……次も私様が勝つ」

「ククッ……。俺は……ライフで受けるッ!!」

 

ザンデ・ミリオンの一撃が、斬の最後のライフを砕く。今、紫牙の勝利が決まった。

紫牙は拳を振り上げ、昨日徹夜で考えた決め台詞を叫ぶ。

 

「煌めけ、紫の闇!!勝利の鬨は、美しき勝利の奏で!!」

 

 

 

バトルフィールドから、紫牙と斬は店内に戻ってきた。

 

「紫っ牙ちゃーん!!」

「あっ……」

 

勝利の余韻に浸っている紫牙に、由希が勢いよく抱きつく。紫牙は頬を赤く染め、手足をバタバタさせる。

 

「ちょっ、ちょっと由希!?わ、私恥ずかしい……」

「ん~?私とくっつくの恥ずかしい?」

「え、あ、いや、そんなことは全然……。むしろ良い……かも」

「ふふっ。かっこよかったよ、紫~牙ちゃん」

 

二人の微笑ましいやり取りを一瞥し、斬は笑う。そして差し出されたバシンの手をとり、勢いよく立ち上がる。

 

「いや~惜しかったな」

「へへっ!!サンキュー、バシンさん。次はもっと頑張って、いつかあいつに勝ってやる!!」

「……おう!!」

 

バシンは笑い、拳を突き出す。斬も笑い、自分の拳をバシンのそれにぶつける。

 

「頑張れよ、少年!!」

「頑張るぜ俺ッ!!よし、鴉!!カードのこと教えてくれ!!」

「うん、もちろん!!」

 

 

 

 

楽しげにバトスピをするバシンたちを、店の外から見ている男がいた。真っ黒なスーツに身を包んだそのオトナは、自らの指にはめられた指輪を指で撫でる。指輪から放たれる光を目に映し、彼は呟く。

 

「……馬神トッパ……」

 

 




ペンドラゴンの効果でミスがあったので修正しました。(2014年3月17日)
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