青い雑音   作:菊川 数時

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主人公は基本名前は■■■■となります。
それと、彼は『旅の期間』で紅い鳥やイナミちゃんやリヴァイアサン、とにかくketerクラスとかと渡り合ってます。


要注意団体:メカクシ団 ①

8月14日

 

 クソッタレの下品な色をした青い空の下、久しぶりの太陽の光だが、時期が悪い。夏の都会なんてヒートアイランド現象のせいで一層に熱くなって、まるでコンクリートが鉄板の様でその上を歩く俺たちはまるでバーベキューの食材。

 

「畜生、こんなに暑いのは地球温暖化のせいだ。絶対政治家になって車の交通量絶対制限してやる。」

 

 暑さのせいで彼はトチ狂ったことを言ってるが、本気で言っているのがたちが悪い。

 

 さて、彼は何をしているのだと言うとデパートを目指して歩行中。装備はバックパックの中に入れ、田舎の少年がしてそうなTシャツと迷彩柄の長ズボンという何というかコミカルな格好である。

 

 だから、ちっと恥ずかしい。普通に道を歩くだけで他人の視線がチラチラと来るものだから、だったら服を求めてデパートを求めて歩く。

 

 ふと横断歩道の差し掛かったところ、何かの違和感を感じる。周りを見渡すがあくびをしている猫と赤のままの信号機とクソッタレの青い空があるだけだ。………………。待て、今おかしくなかったか?なんで先まで人がたくさんいたのに、車がたくさん通っていたのにいつの間に、『この場には俺しかいなくなったの?』

 

 

「SCPか!?」

 

 バックパックの中からハンドガンを取り出し辺りを警戒する。旅の経験が勘が脳内に大音量でアラームを鳴らす。

 

 汗が落ちる。暑さと緊張、音が一切しない孤独の空間。空間系SCPか?しかしどういった意図と目的があって、俺を閉じ込めてる?

疑問が頭をなんども行き交う。

 

 しかし、どうやら原因は真正面から現れたようだ。俺がいる横断歩道の向こう側、そこにソイツは立っていた。黒い、黒い少女。そして特徴的なのはその紅い瞳。

 

「動くなッ!?」

 

 あれが原因、それは馬鹿でもわかる。そうじゃないとしても何かしらこの現象に関わっていることは明白だ。

 

 ふと目が合う。

 

 瞬間、その少女はオレの懐に入っていた。

 

「ッ!?!???」

 

『………《再起動》か………。』

 

 

 オレの反応は遅くしかし少女の脳天に狙いを定め、銃の引き金を引き……………。

 

 

 

 

 

 

 

 が、それは陽炎のようにオレを通り抜けていった。いつの間にか人々と車の喧騒が元に戻っていた。銃はすぐにバックパックに仕舞った。

 

「………………なぜ、知ってる?」

 

 黒い少女が言った《再起動》というの言葉、少なくともオレの事情を知っている。奇妙と少しの危機感を覚えた、が。

 

「オレは"財団"じゃねぇし、もうSCPになんかに関わりたくない」

 

 きっとあの少女は何かしらの未収容のSCPかナンカなのだろう。でもオレにはもう関係ない、バケモンにも異常体験も飽き飽きしている。

 

 さぁ、早く家に帰りたい。今はそんな気持ちだけが彼を動かしている。空にはクソッタレの青い空が太陽の光を引き立てていて、さらに不快な気持ちになった。

 

 

 

 

 

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

 なぁ、オレは常に厄介事に巻き込まれなくてはならないのか?

 

 自問自答、それをトイレの個室で一人繰り返す。きっと彼の運のステータスマイナスを振り切っているのだと思う。

 

「どんな、確率なんだよ。偶然入ったデパートがテロリストに占拠されるなんて、きっとなにかしらのSCPのせいに違いない。うん、絶対だ。」

 

 それ以前に運転技術自体がSCPになっていることもあるので、多分彼の運もその類なのだろう。

 

 そんな文句をブツクサ言う傍らで彼は自身の装備を整えていた。

 

 財団特製防弾防刃チョッキ、ハンドガンは常にトリガーを外していく、隠密殺傷するためのコンバットナイフ、視界を奪うための催涙弾。

 

 とりあえずこんな感じ、いつものようにブーツの靴紐を結び直す。バックパックから最新鋭の双眼鏡を取り出し、温度感知モードをオンにしてそれを覗く。

 

「……………敵さんは七人、人質は中央に集められているのかな。シャッター前に二人、人質の見張りは一人、二人。あとは辺りの警戒に三人。…………なんだ素人か。」

 

 

 

 すこし安堵した。思っていたよりマトモな状況のようだ、いやマトモではないが『普通のテロリスト』なら彼にはなんの問題ない事だった。

 

 

「鴨がどうやら一匹来てくれたようだし」

 

 一人トイレに入ってきた。ソイツはまず最初に個室の下を確認した、それから左から一つずつ個室の扉を開けていく。

 

 あぁ、そんなんだからどうということでもないんだよ。トイレなんて絶対誰かが隠れてるに決まってる、デパートなんだからなおさらだ。それにもし扉を開けるタイミングで中にあるやつが思いっきり扉を開けてたらどうなる?

 

 一瞬、怯む。隙きを与えることになるんだ。

 

 だから、オレは拳銃を構えた。ちょうど右足の膝に当たるように、そしてソイツはオレのいる一番最後の個室の前に来た。

 

 ちょうど、扉の取っ手に手を掛けたところだったのだろう。そのタイミングで引き金を引いた。

 

 

ーーーバンッ!!

 

 

 「ぐわぁッ!!?!!???」

 

 無様な悲鳴が銃声と合わさった、きっとこの音はこのフロアに響き渡っただろう。証拠としてソイツが持っていた無線機から仲間からの音声が溢れていた。

 

 オレは手早くソイツの銃を遠くに蹴飛ばす。次に足の健を削ぎ落とす、次に旅で使っていた五寸釘を個室の壁に強く打ち付ける。もちろん猿轡を忘れず。

 

「ッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!?!?!?!?」

 

 

 ソイツは痛みを上手く声を出せず、苦痛の限りを体で表現するが、深くまで突き刺さっている五寸釘がある以上もうどうにもならなかった。

 

「さて、次『仕掛け』だな」

 

 

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

 それは突然のことだった、イキナリ銃声が聞こえたんだ。それは俺達が占拠していたフロア全体に聞こえたんだ、どうやら辺りの周辺を行っていた奴の一人が向かったトイレが発生源の様だ。

 

 ちょうどボスが警察に要求する時だった、ボスがチッと舌を打ち無線機で巡回中のソイツに通信を入れる。

 

『ぐわぁッ!!?!!???』

 

 聞こえたのはソイツの悲鳴、ボスがソイツに何度も応答に答えるように求める、呼びかける。でも返ってくるのはナイフが何かを切る音だったり、何かを壁に打ち付ける音だけだった。

 

 異常事態、そう判断したボスは他の巡回中の二人をトイレに向かわせた。常に無線機をオンにした状態で、どんな状況か知るために。

 

『ボス、トイレの個室から物音が。トントンって』

 

 少し小さい音だが確かに無線機ごしから『トントン』という物音がした。ボスは手下の一人に他の個室を確認させるように言い、もう一人には奥の個室を確認させた。

 

『ウッ!?おい、大丈夫か?お前!!』

 

 奥の個室にはソイツが居たらしい。

 

『今助けやるからな、一体誰にやられたんだ?猿轡も外してやる。ボスッ、コイツ壁に手が五寸釘で打ち付けられてます!』

 

『今すぐに逃げろッ!!アイツはお前が扉を開けたときに手榴弾のピンが外れる仕掛けをした、お前は開けちまったから仕掛けがッ!?』

 

 

ーーードカーンッッッッッ!!!!!!

 

 

 爆音、そして衝撃。思わず身を屈めてしまう、人質も耳を塞いでこの状況に唖然としていた。

 

 ボスは焦っていた、こんなの計画の内に入っていた予想とは違う。そんな事をブツクサと少しの間フリーズしていたが、すぐに正気を取り戻し見張りである俺とシャッターの二人と交代して、俺がトイレを見に行くことになった。

 

 いつも以上に緊張が奔る。シリアで傭兵していたときよりもだ。手に持つマシンガンが震えている、でも全ては金のため。俺はトイレに向かった。

 

 トイレは火の海と化していた。まるでオーブンの中、この状態では三人は木っ端微塵になっているだろう。

 

 しかし、一体どこどいつがこんな事をしやがった。いや、冷静に考えるにこれをやった奴は確実にこちらを殺りに来ている、明確な殺意を感じる。

 

 一人を餌に二人を殺す。そして次は………………。 

 

 そこまで考えたら馬鹿な俺でもすぐにトイレを背に辺りをマシンガンで乱射した。ソイツは確実にトイレの周辺の物陰にいるという、確信を持ちながら。

 

 半分くらいの銃弾を撃ったところで撃つのを止めた。しかし、油断はしない。もしかするとまだ生きてる可能性もあるからだ、銃弾を防ぐものを結構多いそれにこのフロアは大量の電化製品が陳列されている。冷蔵庫や洗濯機とにかく盾の役割ができる物がいっぱいあるこの場所では油断できない。

 

 1歩後ろにさがる。ふとさっきした無線の内容が脳裏を奔った。

 

『トイレの個室から音が《トントン》って音が』

 

「まさかっ!?」

 

 気づいた時にはもう遅く、火の中から黒い布を被った男が現れ、

 

 

 銀の一閃が奔った。

 

視点が倒れる。オレの体見える。なんで、おれの頭はここにあるのに。

 

 

 

 

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

 仕掛けは大成功、しかし我ながら爆発にワザと巻き込まれるなんて。ほんと無事なのは財団様々だな。

 

 爆発抵抗シーツを脱ぎ、転がってある死体から弾薬、マシンガンを調達する。

 

「リサイクルだな、あれリユースだっけ?ま、いいかまだ終わってないし。」

 

 すぐにマシンガンの装填を行う。あと三人、一人はシャッター見張りで動けない、二人は人質の見張りだが二人いるからこちらに寄こすと思うけど。

 

「まあ、来ないよな。普通に考えて」

 

 双眼鏡を覗くと立っている2つの熱源は辺りをキョロキョロとした動きを見せていた。

どうやら、真ん中でオレを向かい撃つようだ。

 

 物陰に隠れながら人質がいる中央部に接近した。ボス格の男を確認するとオレは催涙弾のピンを引き抜き、ソイツらの方に転がした。それに気づいた時にはもう白い煙幕が爆発していた。

 

 視界がゼロの状態、絶好の機会。オレは物陰から勢いよく飛び出した、まず狙うのは人質の見張りコンバットナイフを首に突っ込む。

 

そして、ボス格が握っていた。爆弾のキー、それを握っていた右手を拳銃で吹き飛ばす。

 

「アギャァッッッッッ!!!??」

 

 醜い喘ぎ、のたうち回る隙きも与えずソイツを転ばし仰向けの状態にする。足でもちろん頭を踏みつけるのを忘れず。

 

 するとシャッター側の見張りの男が煙幕を外へと逃がそうガラス窓を開ける。馬鹿だなぁ、それじゃあ『どうぞ、私を撃ってください』っているもんじゃないか、フロア全体に充満する煙がその少しの隙間から逃げるように流れる。辺りが晴れる、だけどオレは中心に居てお前は窓の近く。先に煙が晴れるのはそっちだ。

 

「くたばれ」

 

 そいつの頭に標準を合わせ拳銃の引き金を引く、パンという空回りの音がした。ソイツは音もなく膝から崩れていった。ガラス窓に血の跡を残しながら。

 

 

「さて、じゃあ目的は?」

 

「なんなんだよッ!!お前はッ!?」

 

パン。

 

 ボス格の右の掌を撃ち抜く、悲鳴が湧く。そいつも痛みを声にする前に頭を踏みつける。

 

「で、目的は?」

 

「金だ!!十億、10億貰うつもりだったんだ!!!」

 

 10億とは頭が悪い単位だ。今どきの小学生だってもっと現実的な金額を要求すると思うが。

 

 ほとほとに呆れた。

 

「プランは?逃げ出す事も考えていたんだろ?」

 

「警察にヘリを要求して、追ってきたら爆弾を落とすと」

 

「ちなみに範囲はどれくらいだ」

 

「この街、丸ごと吹き飛ぶ威力だ」

 

 

 ふと、旅の記憶が蘇る。

海の上で見ていた日本からキノコ雲が上がる。きっと核が落とされたんだろうと、ただ唖然していた。幼い自分が居た。

 

『帰ることも出来なくなっちゃった』

 

 

 

 

 

 

「………………………、そうか。」

「頼む!出頭する、無所にも行く、人質も開放する。だからオレは助けてくれッ!!」

 

 その言葉を無視するように両手を重ねるように五寸釘を打ち付ける。「ぐわぁッッッッッ!!!?!!?!」という悲鳴が漏れた。

 

 人質も助けた。テロリスト共も掃除した。

それで万歳、大円団そのはずたった。

 

 ただ一つの違和感を除いて。

 

 

 

 物陰の一つを拳銃で撃ち込む。違和感はそこにある、旅の間で鍛えられた勘がそう囁いていた。

 

「出てきな、どうやって『存在感』を希薄なしているのか分からないがオレには意味がない。」

 

 警告は一回限り、数秒の期限を設けた。それでも出てこないのならマシンガンでその物陰に撃ち込む。その直前に、後ろからイキナリそこから誕生したようにに一人黒いパーカの男が襲い掛かってきた。

 

「(いつの間に!!?)」

 

 動揺はする。しかし、此方は場数が段違いにある。これくらいなら対応できる。

 

 すかさず肘打ち、回し蹴りで遠くに吹き飛ばす。

 

 だけど、それじゃ終わらなかった。

次は紫のパーカーの男が現れた。棒状の物を振り落とすように。

 

「(同じ手は通じねぇ!!)」

 

 棒状の物体を右手で防ぎ、取り上げる。そして、足を引っ掛けソイツを回して地面に叩きつける。抑えつけるためにソイツの体に密接に触れた。 

 

 だからな、きっとその判断は間違いだったんだ。投げ技とかもっとあった訳だ、それを選ばないで。そうしちまったのは、戦闘の緊張があったせいなのだろう。

 

 だから、『胸の柔らかいものに触れてしまったことはオレは悪くない』

 

「……………なんだよ、お前『女』か」

 

 

 




青い空は…………わかる人なら分かりますよね。

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