INFINITE・ROGUE   作:鉄の字

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たった二話にしてお気に入り登録45に飲んでいたドクペを吐き出した昨日の夜。
まだ仮面ライダーローグも何も出てないですが、読んでいただきありがとうございます!


三話:クラス代表と言う人柱

 

授業が終わり、一夏と箒は何やら話し合っている。

邪魔するわけにはいかないと幻徳は使っていた教科書を机の中に入れようとした時だった。

 

「………ん?」

 

「じぃ〜〜〜」

 

何か柔らかい雰囲気を通り越してのほほんとした少女が横からじっと幻徳を見詰めていた。

周りさえも和やかにしてしまいそうな彼女に幻徳は無視するわけにもいかずに話しかける事にした。

 

「俺に何か用か?」

 

「私、布仏本音〜!よろしくね、ヒムヒム〜」

 

少女──布仏本音は

聞き慣れない渾名に片眉を上げる。

 

「ヒムヒム?ヒムヒムとは俺の事か?」

 

「そうだよ〜。もしかして嫌だったかな〜?」

 

「いや、寧ろ気に入った。俺の名前は固いイメージがあるからな。成程、二回単語並べるだけでこうも柔らかくなるんだな」

 

「ヒムヒムは真面目そーだね〜」

 

「あぁ、ヒムヒム、よく言われる」

 

「ヒムヒム〜?」

 

「ヒムヒム」

 

「ヒムヒムヒムヒム〜」

 

「ヒム、ヒムヒムヒム」

 

((((あの二人、ヒムヒムで意思疎通してる………!))))

 

展開されるのほほん少女と強面男による謎空間に若干引いていたクラスメイト達だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ、授業の前に一つ決める事がある」

 

授業開始して早々、壇上に立った千冬はそう言う。

 

「再来週に行われるクラス対抗戦の代表を決めようと思う。まあ簡単に言えば、通常の学校におけるクラス委員に相当する役割だ。生徒の会議への出席や、今後の行事の幹部の様な役割もやってもらうから、それを理解して欲しい。自薦他薦は問わん。誰か立候補は居ないのか?」

 

千冬の言葉を皮切りに教室のあちこちから手が挙がる。

 

「はいっ!織斑君を推薦します!」

 

「私も織斑君がいいと思います!」

 

「お、俺っ!?」

 

まさか指名されるとは思っていなかったのだろう。

一夏は驚き、慌てて最前列の自席から後のクラスメイトを見る。

殆どの生徒達は青空になりそうなサムズアップをしていた。

 

「ふむ、では第一候補は織斑だが、他に無いか?」

 

このままだと一夏がクラス代表となってしまう。

絶望に打ちひしがれ、顔が真っ青になる一夏。

そこに一筋の光が天より差し込む。

 

「はいは〜い!私、ヒムヒムがいいです〜!」

 

その言葉に振り返ると垂れ下がったブカブカの袖の手を上げる本音がいた。

のほほんとしているが、それは一夏にとっての救世主だった。

 

「俺か?」

 

まさか自分が推薦されるとは思っていなかった幻徳は本音の方へ顔を向ける。

本音はいつも通りのほほんとしながら手を振っていた。

 

「これで織斑と氷室になった。これ以上何も無ければこの二人で投票を行うぞ」

 

バンッ、と机を叩いて立ち上がったのはさっき幻徳に勝手に話しかけてきて勝手に帰って行った少女だった。

 

「そのような選出は認められません!大体男がクラス代表だなんていい恥さらしですわ!このイギリスの代表候補生、セシリア・オルコットにそのような屈辱を一年間味わえとおっしゃるのですか!?」

 

金髪の少女──セシリア・オルコットは甲高い声を荒げながら一夏と幻徳に罵倒を浴びせる。

一夏は突然の言葉に顔を顰めたが、幻徳は歌舞伎の如く荒ぶる金髪を眺めていた。

 

(イギリス出身なのか………イギリス………英国面………パンジャンドラム………ジャック・チャーチル………アーチャー自走対戦車砲………トップ・ギア………)

 

尚、最後のトップ・ギアは今も幻徳はDVDを借りて見ている程、大好きな番組である。

 

「実力から行けば私がクラス代表になるのは必然。それを物珍しいという理由で極東の猿にされては困ります!大体、文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体、私にとっては耐え難い苦痛で──」

 

「イギリスだって大したお国自慢が無いだろ。世界一不味い料理で何年覇者だよ」

 

「なっ………貴方ッ!私の祖国を侮辱しますの!?」

 

「先に侮辱したのはそっちだろ!!」

 

売り言葉に買い言葉。

セシリアの発言にボソリと呟く一夏。

やがて焚き付けた火のようにヒートアップする口論へ。

 

これでは何時になっても終わらない。

 

幻徳は手を上に挙げ、勢いよく机へと振り下ろす。

 

先程、セシリアが机を叩いた音よりも轟く音に教室から声が消える。

 

「知っているか?机に手を叩きつけると稀にすり抜ける事があるらしい」

 

幻徳の低い声が静まり返った教室に不思議と染み渡る。

 

「つまり何が言いたいかと言うと──」

 

幻徳はそこで言葉を区切り、机を叩いた手を前に出した。

 

 

 

 

 

「──凄く手が痛い」

 

 

 

 

 

 

教室のクラスメイト全員が新喜劇のようにズッこけた。

 

「お前は何がしたいんだよ、幻徳!?」

 

「いや、静かになってもらう為に手を叩きつけたのはいいが、話のオチが思いつかなかった」

 

「素直か!?」

 

一夏のツッコミを無視し、幻徳は一夏とセシリア、両方の目を見る。

必然的に幻徳の落ち着いた瞳を見た二人は不思議と静かになっていった。

 

「では静かになった所で、二人とも、少しいいだろうか?」

 

『先ずはオルコットさん』と付け加える。

 

「自分のようなISに乗れるだけの男が言うのはおかしな話しだが、君はもう少し代表候補と言う立場を確認した方がいい。もし、いずれイギリスの代表となろうとしているのなら尚更だ。君の言葉が国の言葉になるのだからな」

 

「ッ………」

 

幻徳が言いたかったのは日本への侮辱とも取れる発言。

これが原因で日本とイギリスの関係が悪くなってしまっては責任を取るのはセシリアである。

 

それを理解したのかセシリアの顔が歪む。

 

「それに一夏。イギリスの料理が何故不味いのか知っているのか?イギリスの食事が不味いのは宗教による質素倹約、曇り空が多い、産業革命などが理由に挙げられる。歴史や土地という土台があるからこそ不味いと言う結果が残ったのだ。それを知らず因果関係の結果だけで、それも差別的発言を差別的発言で返すのは良くない」

 

「ヌグッ………!」

 

喧嘩両成敗。

二人を宥めた幻徳は千冬へと向き、頭を下げる。

 

「俺が言いたいのはそれだけだ。織斑先生、話を遮ってしまい、申し訳ございませんでした」

 

幻徳は千冬に謝罪した後、自分の席に座る。

 

元はと言えば自分達が起こした騒ぎなのに幻徳がそれをすべて請け負い、謝罪してしまった。

その事に負い目を感じたのか二人はバツ悪そうに幻徳と同じく『申し訳ございませんでした』と謝罪してから席についた。

 

それを見ていた千冬は一度大きく溜息を吐く。

 

「いや、いい。話を戻そう。現在、三人が候補に挙がっている。そこで織斑、オルコット、氷室でリーグ戦を行う。勝ち数が多い者がクラス代表となる。話の腰を折る程、血の気が多いんだ。これで決着をつけろ。織斑、オルコット、それに巻き込む形になったが氷室もいいな?」

 

その言葉に三人は様々なトーンで『はい』と返す。

それに頷いた千冬はパンッ、と柏手を打つ。

 

「それでは授業を始める」

 

 

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