INFINITE・ROGUE   作:鉄の字

8 / 21
いつの間にかランキングにも載ってるし、お気に入り二百件突破して一人テンションが上がっています!
多くの人に見て頂きありがとうございます!
まだ作品は始まったばかりですが、これからもよろしくお願いします!

幻徳「ふむ、次、三百件突破したらおジャ魔女〇イツを踊るか」

よ ろ し く お 願 い し ま す !!


八話:セカンドと言う幼馴染

 

 

 

「「「「織斑一夏君!クラス代表おめでとう!!!」」」」

 

「Happy Birthday」

 

「ヒムヒム、それ違う〜」

 

一年一組により貸し切りとなった食堂の中を、クラッカーが鳴り響き、幻徳はドでかいケーキ(自作)を掲げる。

三十数名による小さなパーティーだが皆は元気よく盛り上がっていた。

 

そして、その中心いる主役であろう男は空を仰ぎ一言呟いた。

 

「どうしてこうなった?」

 

「何を言ってる?全勝したセシリアがクラスのレベルアップの為に辞退してお前をクラス代表にしたんだろ」

 

「幻徳、そこは何も言わないのが約束だぞ………」

 

「そうなのか?それよりもケーキ食うか?」

 

「…………食べる」

 

先程、テンプレを破壊した幻徳が説明した通り、リーグ戦の結果、勝ち数が多いセシリアがクラス代表になる筈だったがセシリアがそれを辞退した。

理由はクラスのレベルアップの為、と言っていたが真相はどうなのやら。

 

元より多数が一夏を推薦していた為に反対する者は無く、トントン拍子で見事一夏がクラス代表となった。

そして、まるでFXで金を溶かした顔になっていく一夏は何とも面白い。

 

そして、それから数日。

食堂の貸出やら準備やらで少し遅い織斑一夏、クラス代表就任パーティーを行っていた。

 

「お、普通に美味いな、ケーキ」

 

「おばあちゃんが言っていた。どんな調味料にも食材にも勝るものがある。それは料理を作る人の愛情だ」

 

「あれ?お前、おばあちゃんいたか?」

 

「いや、何となく。と言うか俺、記憶が無い」

 

「本当にあっさり言うな、お前………」

 

「寧ろ、これぐらいの扱いが丁度いい」

 

幻徳は記憶喪失という事で変に気を遣われたくはない。

こういう時は自虐ネタとして扱い、『あ、これくらいは大丈夫なんだ』という程度の線引きを作った方がいいのだ。

 

「織斑君〜、こっち来て〜!」

 

「これ美味しいよ!これ食べて!」

 

「ちょちょちょ!?ケーキ食った後にカツってミスマッチ過ぎだろ!?」

 

いつの間にか女子に囲まれ、あれよあれよと連れていかれてしまった。

 

ポツン、と一人残された幻徳は心無しか寂しそうに無言で席を立ち上がる。

 

すると、端の方でチャームポイントであるポニーテールが怒気で宙に浮き上がり、最早角となっている一人の修羅──箒がいた。

何となく放っておいたら後に厄介になると判断した幻徳は箒の隣に座った。

 

「篠ノ之さんは混ざらないのか?後、ケーキ食うか?」

 

「フン、あんな軟弱者と一緒にいたらこっちの身も弱くなるだけだ。ケーキは折角だから頂こう」

 

そっぽ向きながらケーキを食べる箒だが、その視線はチラチラと一夏の方へと向いていた。

 

「素直に一夏に構って欲しいと言えばいいんじゃないのか?」

 

そんな箒を眺めていた幻徳は何気なくそう言うと、箒の顔は急に真っ赤になりあわあわと慌て出す。

それはもう分かりやすいほどに。

 

「な、なななななな何を言っているんだ、貴様!?」

 

「その反応で初めて会った人間でも分かるぞ。一夏に好意を抱いているんだろ?」

 

「………っ!そ、そうだ、私は一夏に好意を抱いている。何だ!?悪いのか!」

 

「いや、寧ろ六年と言う長い時間、たった一人の男の事を想い続けたのは素晴らしい事だと思うぞ」

 

「あ、ありがとう………」

 

ヤケになり暴露する箒だったがまさか褒められるとは思わず礼を言ってしまう。

 

「だが、何時も一夏の隣にいるのは自分だと思うのはやめといた方がいい。アイツだって男だ。ひょんなことから彼女を作ってしまうかもしれない」

 

「な、何だと!?それはどういう事だ!?」

 

「現にアレを見てみろ。セシリアが一夏にアタックしている。周りの女の子も一夏に夢中だ。いつ、彼女を作ってもおかしくない状況だろ?」

 

「そ、そうだが、しかし…………その、急には………」

 

意固地な箒に内心溜息を吐く幻徳。

どうもこの少女は武士のようでありながら恋愛になると腰抜けになるらしい。

さっきまでの剣幕はどうしたのやら。

 

なら幻徳がとる方法はただ一つ、焚き付けるだけである。

 

「君が一夏に素直にならないのは勝手だ。けど、そうなった場合、誰が代わりに一夏の隣にいると思う?」

 

「…………」

 

「セシリアだ。セシリアは今回の試合で一夏に惚れてしまっている。だからお前が素直にならないのなら、自分から一夏の隣に行くだろう。けど、セシリアだと一夏の唐変木には勝てない。そうなればIS学園の生徒達はよってたかって一夏を責める(性的な意味で)。君が素直になるしかないんだよ」

 

まるでどこかの構文かのように淡々と話す幻徳。

その効果があったのかどうか、箒はまるで騙されたかのように瞳に炎が燃え盛っていた。

 

「よ、よし!いいだろう!潔く吶喊してやろうじゃないか!!」

 

(計画通り)

 

尚、ニヤリともしない無表情である。

そして、今夜も美味い飯が食えそうだ。

 

ふと、用意されていた飲み物が無くなりかけていたので購買まで買いに行く事にした。

氷室幻徳はクールに去る。

 

「一夏!私と手合わせしろ!」

 

「ほ、箒!?何でこんな所で剣道しないといけないんだよ!?つーか、竹刀振り回す痛ぇぇえええ!?!?」

 

そんな悲鳴を背中に受けながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜に染まったIS学園。

どこの国にも属しない独立した土地と日本を唯一繋がる電車の駅に一人の少女が降り立つ。

 

「ふふん、遂にやって来たわ!IS学園!!」

 

明るい茶髪をツインテールにし、猫のような瞳に活発な表情をした少女は小柄な体に似合わないボストンバッグを持ち直し、一枚の紙を取り出す。

 

「えっと、事務所に行けばいいんでしょ?うわ、無駄に広いわね、この学園………」

 

一瞬だけISで飛ぼうかと考える少女だったが外交問題に成りかねないので断念する。

 

だが、この学園には確実にアイツがいるのだ。

 

少女が思い浮かべるは一人の男。

 

(アイツ、元気かな………)

 

そんな風に幼馴染であり初恋の相手でもある男を思い出していて注意力が散漫になっていたのだろう、目の前に立っていた人物にぶつかってしまった。

 

「ぶえっ!?」

 

「ん?」

 

「いったぁ〜〜………誰よ!こんなところで突っ立っているデクの木は………ピィ!?」

 

打った鼻頭を擦りながらぶつかった人物に文句を言う少女は視線を上げると、物凄く顔が厳つい男──氷室幻徳と目が合った。

思わず変な奇声を上げる少女に対してジッと(客観的にはギロリ)と幻徳は顎に手をやると何かを考え始める。

 

「ふむ………」

 

そして、膝を曲げて少女と目線を合わせるとポケットから飴玉を幾つか取り出して少女に渡す。

 

「すまない。お兄さんは昔から顔が怖くてね。今日は遅いから早くお母さんの所に行きなさい。もし、迷ったらあそこを曲がった所にある職員室に行くといい」

 

どうやらこの男は少女を『IS学園関係者の子供で親を迎えに来たが迷子になってしまった』と解釈してしまったのだろう。

 

職員室の方向を指差し、何故かやり遂げた様な雰囲気を出して颯爽と去って行った。

 

「………って、私は子供じゃないわよぉぉぉぉおおお!!!!」

 

そんな少女のシャウトが暗い夜に響いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはよー!氷室君!織斑君!」

 

「あぁ、おはよう」

 

「おう、おはよう」

 

こうやってクラスメイトが幻徳に気軽に話しかけるのはセシリアと一夏、本音のおかげだろう。

クラスで何か話し合う時は積極的に幻徳を呼び、幻徳がどう言う人物かクラスの皆に知ってもらうようにしていた。

 

その後ろで幻徳は(ナン)華麗(カレー)なインドダンスを踊っていたが。

 

そのおかげか最初は顔のせいで怖がっていた生徒達だったが、『顔は怖いけどド天然な男子』と言う認識に変わっていった。

 

「騒がしそうだが、何かあったのか?」

 

「うん!それがね、二組で中国からの転校生が来るんだってさ!」

 

「この時期にか?」

 

「そう、中国の代表候補生なんだってさ」

 

「ほう、それは一夏にライバル出現、と言うやつか」

 

「何ともテンプレな展開だな。俺も何となく気になるけどさ」

 

代表候補生という事は専用機を持っているか、強い人かに限られる。

セシリアのようにプライド高い人だと、また相手するのに疲れるなぁ、と一夏は考えていた。

そして、箒とセシリアは一夏の気になる発言に眉を顰めていた。

 

「大丈夫だって!専用機持ってるクラス代表って一組と四組しかいないから、先のクラス対抗戦は余裕だよ!」

 

近々、クラス代表同士が戦う試合──クラス対抗戦があるらしく一夏はこの試合に出ないといけないのだ。

因みに優勝したクラスには学食のスイーツ食べ放題の権利が与えられる為に女子達は必死である。

 

「その情報、古いよ!」

 

きゃいきゃいと騒ぐ女子達の間を切り裂くように誰かの言葉が遮る。

全員が声がする方へ向けば教室の出入口に一人の女子がもたれ掛かるように立っていた。

 

全員が誰なのか首を傾げる中、一夏だけ反応が違った。

 

「鈴………鈴なのか!?」

 

「そうよ。中国代表候補生、凰鈴音。今日は宣戦布告に………っていつかの強面!?」

 

「幻徳、鈴と知り合いなのか?」

 

幻徳の方へと振り向き、確認すると、無言を保っていた幻徳は静かに少女──凰鈴音の近くへ歩み寄る。

そして、膝を折って目線を合わせた。

 

「ふむ、親が心配で学園まで来るのは分かるが、早く君の小学校に行きなさい。先生も心配しているぞ?」

 

「って、まだ私を子供、それも小学生かと思ってるの!?」

 

「幻徳、鈴は同い年だぞ。タメだ、タメ」

 

「………………………マジ?」

 

「アンタ、喧嘩売ってるのかしら………?」

 

ガチトーンで言う幻徳の言葉が気に障ったのか、青筋を浮かべる鈴音にセシリアは『き、既視感が………』と遠い目をしていた。

 

「おい」

 

「なによ!?」

 

その瞬間、鬼教官の出席簿が火を噴いた。

 

「もうすぐSHRの時間だ。戻れ」

 

「ち、千冬さん………」

 

「ここでは織斑先生だ。さっさと退け」

 

「す、すみません………い、一夏!後で来るから覚えときなさい!」

 

「聞こえなかったか、凰?」

 

「は、はいぃ!!」

 

捨て台詞と共に猛ダッシュして帰って行った鈴音。

セシリアは『自分を見てるようですわ………』と既視感に囚われていた。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。