中間試験中なので後編はまた後日。
人を殺してみよう。勿論捕まりたくはないから自分では手を下さずに。方法はいくらでもあるけど僕は時分の能力を使ってみようと思う。
僕こと有川真那(よく女扱いされるが男だ。)の能力は操作。目が合った人間を操作できる。能力者界隈の中ではありふれた能力らしい。いつこの能力が使えるようになったか、恐らく中学の頃だろう。昔から人間観察が好きでこのあと彼はどう行動するか、なんてことを考えていた。昔はその予想はかなり外れていたが中学の頃から急激に当たるようになった。流石に怪しくて色々やってみたところ自分の能力に気付いた、という次第だ。
この能力を使えば人を自分で手を下さずに殺せる。他の人にはできない貴重な体験が出来るというものだ。
殺す相手は決まっている。大学の同級生だ。名前は逢えて出さない。口に出すのもはばかられるような人間だ。今回は便宜上被害者と呼ぼう。何があるのか自殺願望が強いもののあと一歩が踏み出せないようだ。僕はそいつが一歩踏み出すのを手伝うわけだ。
そして操作する相手も決まっている。高校を中退した羽田優なんてどうだろう。あいつは今何もせずに親のスネをかじっている。社会的地位もなく失うものがない人間。中学の頃に知り合い最初はそこそこ仲が良かったがそいつの傲慢さに呆れ高校も同じだったが話さなかった。気が付いたら羽田は飲酒、喫煙、シンナーの3コンボがバレて退学していた。彼なら罪悪感も無く行動に移せる。
1ヶ月前羽田と久しぶりに飲みに行った。お互いすれ違いがあったな、これからはたまに飲みに行こうという話だ。そんな事を言われても僕は彼の人間性が無理なのでそんな約束は即刻破棄だ。彼の隙を狙って(まぁ隙を狙う必要もなかったのだけれど)操作対象にした。
そして今日、彼は僕の操作で被害者を殺す。
彼は殺人鬼として世間からバッシングを受けるがそもそも社会的地位のない人間だ。失うものは無いだろう。被害者もそもそもは自殺願望のある人間、何もしなくてもそろそろ死んでいただろう。そして僕は罪悪感を感じずいつも通り暮らせ、普通の人間が体験できない特別な体験が出来る。誰も損をしない最高の計画だ。
被害者がどこにいるかは分かってる。彼は19時に近所のコンビニに行く。今は19時5分。羽田はいつも被害者が通る路地裏に待機させている。19時6分、被害者がコンビニから出る。どうせ現実を忘れるための酒だろう。19時7分、羽田のいる路地裏に入った。では、始めよう__
被害者は辛そうに歩いている。歩くことすら辛いのか、早く楽にしてあげたいものだ。
羽田に懐に隠してあったナイフを取り出すよう操作する。もたもたしていたら被害者を取り逃したり抵抗したりするかも知れない。落ち着きつつも素早く行動するよう心がける。
ナイフを取り出し呼吸を整える。これから人の命を奪う儀式を行うのだ。コンディションは大切だろう。
呼吸が整い次第素早く被害者の首元目掛けナイフを振る。首から赤い飛沫が出たらしい。死亡が確定したところまで見届けたところで操作を終了した。
自分が手を下した訳でもないのに人を殺したという気持ちが溢れだす。独占欲が満たされていくのだろうか。殺したということは僕は彼のことをどうとでも出来るということだ。それはつまり独占するということ。今溢れている気持ちを独占欲と位置つけたのはそういう理由だ。
さて、この2日後羽田は無事逮捕された。防犯カメラに彼の犯行がバッチリ写っていたしナイフにはベタベタ指紋がついていた。
彼にはその時間の記憶が無い、と主張したが無論起訴された。
その後の裁判でも記憶が無い、無実だと主張したが判決は防犯カメラ、ナイフの指紋を考えても被告人の犯行は確実で、また反省の色が全くないことを理由に無期懲役らしい。ここまで計画通りだと逆に驚くが計画通りに進んだならそれ以上でもそれ以下でもない。僕は満足だ。
僕はこれからもなんてことない人生を楽しむ。可もなく不可もない人生を__
後半はもしかしたら明日書くかも。
そんなわけでよろしくお願いします。