艦これ仕掛人   作:ピカリーノ1234

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 pixiv版では其の五に相当するお話ですが、ハーメルン版では諸事情で其の参になりました。


歳末大仕掛

 朝夕めっきり冷え込む霜月(11月)の半ば……

 その日、おひろめの日進は一人で人々が行き交う商店街を歩いていた。

 日進の視線の先には、一人の男が歩いていた。

 その男はどこか整然とした佇まいで、どことなく“世の中に達観している”ような顔をしていた。

 なぜ日進がこの男をつけているのかというと、言わずもがな“仕事”である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 一昨日、音羽屋に一人の男が訪ねてきた。

男の名は浦安で就職支援事業を行なっている“山田屋久兵衛”という男である。

 この久兵衛という男は、表向きこそ就職支援事業という慈善事業を行なってはいるが、その正体は半右衛門と同じ仕掛人の“蔓”である。

 その久兵衛が、血相を変えて音羽屋に入ると、直様半右衛門との面会を所望し、中庭の茶室に案内した。

 

「久兵衛さん。今日は一体如何なる用で?」

 

「いや、実はな半右衛門さん。これはお前さんにしか頼めぬ依頼なのだよ」

 

「というと?」

 

「実は…」

 

 久兵衛は横に置いていた鞄を開いて、札束を半右衛門の手前に置いた。

 

「一月前、ある起こりからの依頼で急ぎの仕掛を請け負ったのだが、これがなんとも難しくてな。今までに手前の仕掛人を2人差し向けたが……返り討ちにあってしまってね……」

 

「起こりは焦っているのかね?」

 

「かなりね……仕損じたことを伝えたら物凄く怒っていたよ。しかし、相手は相当な手慣れでね、他の仕掛人にも頼んだんだが、下見の段階で依頼を断る奴らが続出してしまってもうてんてこ舞いだよ」

 

「なるほど……で、困り果てて私に頼みこんできた、ということか」

 

「まあ、そんなところだ。蔓が蔓に頼むのは癪だが、もうお前さんしか頼れる奴はいないんだ。頼む!仕掛料は弾むから引き受けてはくれないか?」

 

「…………」

 

 半右衛門は腕を組んで思案していた。それも当然だろう。

 本来、蔓が起こりとして他の蔓に仕掛を依頼することはまず有り得ないし、あってはならぬことだ。

 仮にそのようなことが起きた場合、多くは

 

「なにか、訳ありの仕事」

 

 ということになる。

 しかし…事が急ぎで、しかも仕損じているとなれば、仕掛人に対する信用問題に成りかねなかった。

 半右衛門は、置かれた札束を手に取ると、懐にしまった。

 

「ところで久兵衛さん」

 

「ん?」

 

「的は、()られても仕方がねえ奴だろうね?」

 

「無論だ、私が保証する。しかし半右衛門さん。起こりは急いでいるから、なるべく早く、な」

 

 

 

 

 

 

 

 _そして、今に至る。

 日進は半右衛門の依頼を受けて的の動向を探り終えると、その帰りで第13鎮守府を訪ねていた。

 提督である輝梅安(ひかりばいあん)は書類の整理を行っていた。

 

「提督業を疎かにしては何かと上に言われるからね。いやなに、提督業と軍医を掛け持ちしているとこういう苦労しかないよ。ふふ……」

 

「梅安さん。酒を買ってきたよ」

 

「おう、そりゃすまねぇな。じきに終わるから、そこで待っていてくれ」

 

「じゃ、お言葉に甘えて…」

 

 日進はそのまま執務室のテーブルに座ると、梅安は書類整理をササッと済ませて厨房に入った。

 

「悪いね梅安さん。夕餉(ゆうげ)の支度を任せちゃって」

 

「気にすんな日進。好きでやってることだしな。今日は大根を煮ながら食おう。冬が近づくとこれが躰にいいんだ」

 

「へぇ、そりゃいいこと聞いたよ」

 

「日進、今日は何処に行ってたんだい?」

 

「ん?ちょっちね…」

 

「日進…“仕事”か?」

 

「あっしの顔にそう書いてあったかい?」

 

「少なくとも俺はそう読んだよ。蔓は、まぁ言わずもがな元締だろうがね」

 

「へっ…流石は梅安さんだ。浦安の山田屋久兵衛が起こりでね」

 

 日進は隠さずに言った。なにせ梅安と日進は長い付き合いである。そのため日進は

 

(梅安さんなら、なにを話したっていい)

 

 と、思い極まっている日進であった。

 

「山田屋というと、あの辺の仕掛人の蔓を行っている元締じゃねえか。蔓が蔓に“仕事”を頼むたぁ、穏やかじゃないね」

 

「そう、そこで元締に下調べをね…」

 

「相手は?」

 

「脱走兵らしいんだが、これが中々の手慣れでね…山田屋の話だと、この仕掛を受けた仕掛人二人が返り討ちにあったって話だ」

 

「なるほど……それで泣き付いてきたのか」

 

「山田屋曰く、起こりはかなり急いでいるらしくてね、年内に仕掛けてほしいとさ」

 

「ほほう…」

 

「7月頃までは、第89鎮守府の嶋田英夫中将の部下だったってことは、山田屋が漏らしてくれてね」

 

「ふむ…山田屋久兵衛は、恐らくその鎮守府に出入りしているのかもしれねぇな」

 

「ま、そんなとこだろうね」

 

「どこに住んでるんだい?」

 

「深川の門前仲町にある寺院墓地の隣にある一軒家に住んでいるんだけど、どうも薄気味悪い場所でね…」

 

「あの辺は昔、死刑囚の刑務所が近くにあったからね……」

 

「なるほど。どうりで、ね……」

 

 日進は声をのんだ。

 日が暮れてから、テーブルのコンロへ土鍋をかけて、ここに出汁(だし)をはった。(ざる)千六本(せろっぽう)に刻んだ大根を山盛りにし、別の笊には浅蜊(あさり)の剥き身が入っていた。

 鍋の出汁が煮えてくると、梅安は大根の千六本を手掴みで入れ、浅蜊も入れた。刻んだ大根はすぐに煮えあがり、それを浅蜊とともに引きあげて小皿へとると、七味蕃椒(しちみとうがらし)を振って二人は、汁と一緒にふうふういいながら口へ運んだ。

 

「お、こりゃうまいねぇ~」

 

「冬が近づくと、これがいいんだ」

 

 酒は、茶碗で呑む。

 

「時に日進」

 

「ん?」

 

「こんどの“仕事”は、どういう…」

 

「蔓は言うまでもねぇですけど鬼の元締ですから詳しくは聞きませんでしたけど、どこか“世捨て人”じみた風貌でね……あの様子だから、上司はもとより、色んな人に迷惑をかけてきたんじゃないのかねぇ」

 

「なるほどね……」

 

「いやしかし、今日は良く呑んだ」

 

「そろそろ〆にするか?」

 

「そうだねぇ…」

 

「今日は宿舎の空き部屋を使ってもいいぜ」

 

「すまないねぇ、何から何まで」

 

「ふふ、いつも“仕事”で世話になってるからな…」

 

 それから二人は、炊きたての飯へ大根と浅蜊の汁をたっぷりとかけて、さらさらと掻き込むようにして食べた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌朝、日進が帰ってすぐ、梅安は提督業を本日の秘書艦である鳥海に任せると、鎮守府内にある診療所で艦娘たちの治療に勤しんでいた。

 鎮守府内では梅安の鍼の効能はたいしたものであるため、時には他の鎮守府から鍼の治療を受けに来る者もいる。

 梅安は忙しなく働き、午後二時を過ぎた頃に遅い昼食を済ませた。その後後片付けを済ませ、執務室へ戻ると……

 

「司令官、鎮守府正門前で民間人の方が司令官に面会を所望しております」

 

「面会?相手の人相は?」

 

「男性です。見た目はお坊さんなのですが、とても若々しくて…」

 

「ふむ……よし、ここへ通してくれ」

 

「わかりました」

 

 それから数分後、執務室に一人の青年が入室してきた。その風体から、梅安は一目で恐らくどこかの寺の小僧と見た。

 

「さて、何か御用ですかな?」

 

「はい。実は、先生の腕を耳にしたものでござりますから、是非とも往診を願いたいと和尚から申されておりまして……」

 

「往診ですか……場所は、どちらに?」

 

「深川の、永福寺という……」

 

「患者は、ここには来られないのかい?」

 

「身動きがとれませんので……」

 

「容体は?」

 

「どこもかしくも……あの、なんともうされますか……」

 

 小僧の目が「あまり、聞かないでくださいませ」と梅安に訴えかけていた。

 どうやら、訳ありらしい。

 

「わかりました。そういうことでしたらお伺いしましょう」

 

「ありがとうございます」

 

「いやいや、私も医者の端くれだからね」

 

 すぐに、梅安は支度をすると、残りの提督業務を矢矧に任せて外へ出た。

 港区にある第13鎮守府から深川の永福寺まで、梅安は小僧の案内で道を進んでいた。

 その道中、梅安はふと立ち止まり、振り向いた。

 

(まだ、後をつけている……)

 

 第13鎮守府の敷地を出てから、梅安はこの尾行者に感づいていた。どうも人を尾行()けることになれていないらしく、とうてい梅安のするどい五感を晦ますことは出来なかった。

 長身の男である。顔はマスクと深々と被ったハンチング帽のせいで見えない。ジャケットを羽織り、キチンとした身なりなのだが、おそらく刑事ではないのは間違いない。

 梅安が振り向くと、男は近くの塀に背を付けて佇んでいた。

 梅安は緊張した。

 これまで、仕掛人としてどれだけ多くの人をこの手にかけてきたか……

 それこそ、どこの誰に恨みをうけているのか……

 

(知れたものではない)

 

 のである。

 それは、梅安と同じ仕掛人である阿賀野や能代、矢矧も例外ではない。

 ふと気が付くと、先を歩く小僧の顔が微かながら狼狽えていた。

 ちらりと、小僧の視線が彼方の青年へ走ったのを、梅安は見逃さなかった。

 

(この小僧は、あの青年を知っているらしい……ということは、あの青年と永福寺には、なにか関わり合いがあると見てよい。すると、これから私が往診する病人というのも、あの青年と……)

 

 そうした思念が梅安の脳裏にうかんだのも、一瞬のことであった。

 

「さ、案内を……」

 

 小僧に声をかけ、梅安はさりげなく道を進んだ。

 ほどなくして、梅安は永福寺に到着した。

 病人は本堂内の裏側にある、暗い一間に寝かされていた。どうやら艦娘……しかも、大和である。その病間まで、小僧と和尚が付き添ってきた。

 暗い部屋ではあるが、暖房はよくきいており、仄かに薬湯の匂いがこもっていた。

 大和を診察した梅安は、あきれたように

 

「これは一体……どうしてこうなるまで放っておかれた」

 

 と、和尚にいった。

 和尚はうなずいてから、小僧と顔を見合わせたが、黙っている。

 

「これは、あまりにひどい」

 

 肌は、ぬけるように白いのだが、一口に言えば

 

(骨と皮ばかりに、痩せおとろいている)

 

 のである。

 膨らみを失った乳房のあたりに、点々と痣のようなものがうき、腹や腰などの各部に打撲傷(うちみ)をうけている。この寺で膏薬を塗ったり、薬湯などを飲ませたりしたらしいが、そんな素人療法ではどうにもなるまい。

 ならばなぜ、病院に入れなかったのか……

 そこには、どうやら深い訳があるらしい。

 内臓も、方々が痛んでおり、どうやら心身の苦痛が並大抵のものではなかったと見える。

 大和は、細い眉を寄せて、鼻筋をかすかにふるわせながらも、しっかりと両目を閉じて、梅安の問いかけに対し、頷いたり、わずかにかぶりを振るのみで、肌身の諸法を梅安の肉の厚い掌が押したり、擦ったりするたびに、血の気が引いた唇から嘆息をもらしたり、呻き声を発した。

 

「とりあえず……」

 

 いいさして梅安は、治療箱から器具を取り出して、治療に取り掛かった。

 治療にはかなりの時間を要し、梅安の額からは、じっとりと汗が光っていた。

 

「おお……」

 

 梅安の背後で、声が聞こえた。

 治療が終わったとき、病人の大和が安らかな寝息をたてているのを見たからであろう。

 振り向くと、いつの間にか小僧の姿がなく、和尚だけが座っていた。

 

「先生、かたじけのうございます」

 

 と、和尚が丁寧に礼を述べた。

 

「ところで、私のことを誰からお聞きになりましたか?」

 

 と、梅安。

 

「仙福寺の、和尚から……」

 

「ほほぉ……」

 

 仙福寺は、第13鎮守府からも近く、そこの老和尚は躰の具合が悪くなると、他の医者には見向きもせずに、梅安の治療を頼んでいた。

 

「仙福寺で聞いた先生の評判とそのお人柄なればと思い、こうして思い切って頼んだのです」

 

「思い切って……」

 

「左様です」

 

 梅安の不審を、和尚はいささかもたじろがずに受けとめたが、それ以上のことはなにも言わなかった。

 秘密の臭いはいよいよ濃厚になってきたが、もとより梅安にとって関知するものではない。痛みつくしたこの艦娘の治療を施すだけのことだ。

 だが、梅安は病間を出る際、和尚にこういった。

 

「この件は、決して他言いたしません」

 

 すると、深く頷いた和尚が両手を合わせて、梅安を拝む形になったのである。

 和尚と小僧に見送られて、梅安が門を出ようとしたとき、鐘楼の陰に、ちらりとハンチング帽がのぞいた。

 

(あの男、まだ俺を張り込んでいる)

 

 梅安はそれを意に反さず、何食わぬ顔で寺を後にして、道なりに歩きながら、左に曲がった。鎮守府へ帰るなら、右に曲がった方向にあるバス停に向かわねばならないはずだ。

 それを左へ曲がった。曲がったかと思うと、あたりに人影がないのを確認した輝梅安は風を巻いて走った。

 弾みをつけた梅安の躰が、とある家の塀の上に舞い上がったのである。

 松の大樹が、枝を塀の外まで広げており、梅安はその陰に身を寄せて、彼方を注視した。

 すると、後から梅安を尾行()けていた青年が現れると、梅安がバス停に向かったと思いこみ、急ぎ足で引き返した。

 それを見た梅安は、塀から飛び降りた。

 

(今度は、俺がつける番だ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 青年の尾行を軽々とやり過ごした輝梅安(ひかりばいあん)は、そのままその青年を尾行していた。

 もう、とっくに日は暮れている。

 尾行しやすくもあり、し難くもある。青年のジャケットが黒いこともあり、尚更であった。

 長身の青年は一度も振り向くことなく道を進んでいくと、なんと門前仲町の方向へ向かうではないか。

 

(まさか……)

 

 と、思ったけれども、昨夜、日進が探りをかけているという相手を

 

『深川の、門前仲町の寺院墓地の隣にある一軒家に住んでいる長身の青年』

 

 と、梅安に告げた言葉が、いやでも脳裏によぎっていた。

 

(まさか……)

 

 だが、どうやら日進が今、探りをかけている相手と同じらしい。

 深川・門前仲町の寺院墓地の隣にある一軒家の中へ、青年が入っていくのを、輝梅安は見届けたのである。

 それは、一軒家にしては妙に寂れた小屋のようなものであった。

 青年が小屋に入っても、灯りはつかなかった。

 梅安は街灯の中を、あくまで密やかに小屋へ近づいていった。

 

(こいつぁ、一体どういうことだ?俺はまだあの青年の殺しを頼まれてはいない。まだ探りの段階だ。それなのに、あの青年は何故、俺の後をつけたのだ?日進が己の様子を探っていることを知った青年が日進の後をつけるのなら、話はわかる。だが、どう考えてもあの青年は日進が探りをかけている相手に違いない。さて…どうしたものか……よし、兎も角も、奴の顔を見てやろう)

 

 しかし、見ようにも、まだ小屋に灯りがともらなかった。

 じりじりと、梅安は小屋に接近した。

 戸口は、一つしか見当たらない。

 夜の木枯しが鳴り響いた、その時だった。

 

「もし、そこのお人……」

 

 突然、小屋の中から青年が、外で屈んでいる梅安に声をかけてきたのだ。

 その声に、梅安は動きを止めた。

 

「貴方も大きな躰らしい。そこに屈みこんでいては膝が苦しいでしょう?」

 

「…………」

 

「心配をなさるな。今日、私が貴方を尾行したのは、貴方に危害を加えるつもりではなかった。どうか、無礼をお許し頂きたい」

 

 低く、整然としているが、梅安の耳に、青年の声はよく通った。

 

「今日、貴方が永福寺で治療してくださった艦娘のために、貴方がどのようなお人かこの目で確かめておきたかった。それだけのことです」

 

「それで?」

 

 と、はじめて梅安が問い返した。

 

「途中、貴方を見失ってしまった。貴方が鎮守府に入るまで見届けたかったのだが……」

 

「なぜだね?」

 

「貴方が永福寺で見たことを第三者に告げ口されると、困ると思って……」

 

「それで?」

 

「この家に帰る途中、誰かにつけられていると感じた。貴方だろうと思った」

 

「それで?」

 

「まぁ、入ってください。こうなれば隠しておいてもお互いのタメになりません。私の話を聞いてもらった方が、あの娘の治療をしていただくためにも、よいかも知れません」

 

「では、入りますよ」

 

「灯りはつけません。つけたくても、つけられない事情がありますので」

 

「構いませんよ。こう見えて目は効くもので」

 

 輝梅安は心を決め、ぬっと立ち上がると、小屋の中へ入っていった…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 同じ頃_

 港区・赤坂の料亭〔万七〕の奥座敷で、山田屋久兵衛が立派な風采の軍人と二人きりで密談をしていた。

 この軍人の護衛を務めている二人の部下は別室で待機していた。

 

「山田屋、彼奴の始末……どうなっておる?」

 

「はい。先だっては手前共の仕掛人二人が返り討ちに遭いましたが……まだ港区に、凄腕の仕掛人をてなづけている蔓がおります。その者たちに任せておけば、年内には片がつくかと……」

 

 と、山田屋久兵衛がかしこまった口調で言うと、軍人が頷き

 

「そうでなければ困る」

 

 と言った。

 この軍人が第89鎮守府の司令官を務める嶋田英夫中将であった。

 この嶋田英夫は、輝梅安が着任している第13鎮守府が所在している第2地方の筆頭提督を務めており、いわば、第2地方の総司令官ともいうべき存在である。

 また、第2地方は帝都近海の守りを任された即応部隊としての側面を持ち、第2地方筆頭提督は、帝都近海を守る艦娘たちの指令塔なのだ。

 

「山田屋。その蔓の配下は、一体どのようなものか?」

 

「大丈夫でございます。なにせ、かなり腕が立つ仕掛人を従えていると聞きます」

 

「金ならいくらでもだしてやる。なれど、必ず“石川久太郎”を始末するのだ!」

 

 傲然として、嶋田英夫が

 

「貴様には、それだけのことをいたす恩義がある筈だ」

 

「はい……」

 

 役目柄、隠然たる実権を持つ嶋田英夫の口添えで、第2地方が雇用している非常勤職員を、いまは久兵衛が一手に引き受けていた。

 その収益は、非常に大きいものであった。

 

「俺の役目のことを、よく考えてみよ」

 

「はい、重々承知しております」

 

「それ故に迂闊な事もできぬ。みすみす久太郎を野放しにしているのも、そのためだ。きゃつめ、帝都を出るならまだしも、これみよがしに帝都に残っている!まことにもって憎い奴、憎い……憎い!」

 

 いいつつ、嶋田は小怪(こかい)面貌(めんぼう)に怒気を発しながら、手にした扇子の先を畳に叩きつけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、輝梅安(ひかりばいあん)は小屋に入り、青年=石川久太郎と酒を酌み交わしながら、彼の話を聞いていた。

 

「私は、小平のしがないサラリーマンの家に生まれだが、父が生粋の博奕(ばくち)狂いで、それ故に母は苦労して病死してしまい、父も喧嘩と借金の果てに、首を括ってしまった。いや、本当にひどいものだ。それから私は宝寿院の和尚に引き取られた。それが現在の永福寺の和尚でね。私が軍に入れたのは、その和尚が面倒を見てくれたおかげだ。その後嶋田英夫閣下に部門の腕を見込んで護衛を務めることとなり、いつも私をお傍に連れていった……が、嶋田閣下は途方もない好色でね。お忍びで街に出てわ、料亭の座敷女中にまで手を出す始末……つくづく、嫌になったよ。その時だった。閣下は参謀長の三沢清右衛門大佐の秘書艦である武蔵に凌辱の限りを尽くし、それを苦に武蔵は自殺したが……小心者の三沢参謀長はそれに目をつむった……それがいけなかった。次に嶋田は、武蔵の姉である大和に目をつけた。だが、大和は激しく抵抗し、嶋田の怒りを買ってしまった。殴る、蹴るなどの乱暴をされた上に、倉庫に監禁されたのだ……私は見るに見かねて、大和を助けだして永福寺の和尚に事情をお話しして匿ってもらったのだ」

 

「…………」

 

 石川の話を、梅安は黙って聞いていた。

 だが、これで事情はわかった。なぜ永福寺に匿われている大和があのような惨い姿だったのか……それが聞けただけでも、梅安にはよい収穫であった。

 石川は続けた。

 

「帝都を離れず、この小屋に留まっているのは、どこまでも嶋田英夫を戦うためなのだ。嶋田め、とても警務隊や特警隊には訴えられまい。そのようなことをすれば、私は堂々と奴の非行を申し立ててやるまでのことだ。刺客が来れば、切り捨てるまで!これまでに、ヤクザ者二人を返り討ちにし、先日も、春日型の艦娘が私を探っていた」

 

“春日型の艦娘”とは、恐らく日進のことだろうと、梅安はすぐに悟った。

 

「こうなった手前、もはや私も命がけ。嶋田がどのように出るか、手ぐすねひいて待ってやるまでだ」

 

「…………」

 

 梅安は、まだ黙っていた。だが、その心の内では、ある事を決めていた……

 既に、窓から日の灯りが差していた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌朝……

 輝梅安は石川久太郎が籠っている小屋を後にすると、その足で日進が構えている駄菓子屋に向かった。

 その道中、梅安は鎮守府に連絡を入れ、

 

「今日の昼までには帰る」

 

 と、伝えていた。

 梅安が日進の家に着いたのは、お昼前の10時過ぎであった。

 

「どうしたんですか梅安さん。こんな時に……」

 

「日進、お前が一昨日探りに行ったことを、あの長身の青年は知っていたよ」

 

「へ?そりゃ一体……」

 

「昨日、その青年と会った」

 

「な、なんだって……」

 

「ああ、しかし確かに世捨て人じみた風貌だ。しかし日進、人は見かけによらぬものだぜ」

 

「そ、そりゃまたなんで……」

 

「あの青年の名は……性は石川、名は久太郎といってね」

 

「ちょ、ちょっと待ってくれよ。そもそもどうして梅安さんがその青年と会っているんだよ?」

 

「そうしてぇ所だが、まず飯にしてくれないか?朝飯を食べずにタクシーを飛ばしたから、もうクタクタだよ」

 

「へ、へぇ。梅安さんがそういうなら……」

 

 いいながら、日進も緊張しているらしい。

 眼の色を変えて台所に立って行き、棚から大きめのカップ麺を取り出すと、沸かしたお湯を入れて3分待ってから、割り箸と共に運んできた。

 

「これでいいかい?」

 

「あぁ、構わねぇ」

 

 梅安はカップ麺を汁ごと一気に平らげた。

 

「茶を一杯貰えないか?」

 

「いいから早く話してくれないかい?」

 

「焦るなって……日進、耳を貸せ」

 

「えっ?へ、へぇ……」

 

 梅安は日進の耳元に口を近づけると、昨夜のことを耳打ちした。

 

「な、なんだって……そりゃ本当かい?」

 

 全てを聴き終えた日進は驚きはしたが、同時に怒りにあふれていた。

 

「あぁ、俺も最初は驚いたものさ。兎に角、この事を早く元締に知らせてくれないか?」

 

「わかったよ」

 

 梅安はそういうと、日進の家を後にした……

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから、数日後……

 山本半右衛門は、山田屋久兵衛の呼び出しを受けて、赤坂の万七に来ていた。

 

「どうだい半右衛門さん。ある程度、相手は探ったのかい?」

 

「ええ、子飼の密偵を使いましてね……」

 

「強者だろう?」

 

「正攻法では、なかなか難しいでしょうな」

 

「だからこそ、貴方に頼んだのだ。そっちの仕掛人がどのような手段を取ろうが、そっちは貴方に任せる。この稼業はそう決まっている」

 

「確かに、その通りですな……」

 

 薄く、半右衛門が笑顔を見せた。

 その笑顔に、久兵衛は頼もしげに見やって

 

「な、頼みますよ半右衛門さん。首尾よく始末できたら、新たに500万包んでもいいですよ。ん?」

 

「久兵衛さん。お互い、仕掛人の元締同士だ。こういった仕掛は、もう少し深い事情(わけ)を聞かねえと、手前の仕掛人は引き受けないだろうね。なにしろ相手はかなりの手慣れ……しかも仕掛人を2人返り討ちにしたほどだ。向こうも手ぐすね引いてこっちの出方を待ってるでしょうし……」

 

「“石川久太郎”」

 

 苛立たしげに、久兵衛がいった。

 

「あの男は石川久太郎といってね。三年前に嶋田中将が中央に掛け合って部下にしなすった。だが、石川はその恩義を忘れて参謀長の三沢清右衛門大佐の秘書艦・武蔵を姦通にした上に首を刎ねた。それに飽き足らず、その姉である大和を手篭めにした上にこれを拐かして、第89鎮守府を脱走した。そん時に、管轄していた憲兵を二人叩っ斬った。どうだい?これなら満足だろう?」

 

「なるほど。なら何故、警務隊や特警隊にその事を知らせないんで?奴さんの居場所はわかってるじゃあないか?」

 

 すると、山田屋久兵衛が

 

「私は、それだけしか知らない。生かしてはおけない奴だ、と思ったからこそ、嶋田中将から頼まれた。半右衛門さん。そういうことは、貴方もよくわかっているはずだ。貴方も、仕掛人の蔓なのだからね」

 

「久兵衛さん。別に私は断るつもりはありませんよ。ただ、こういう稼業故、よく事情を聞いた方が良いと思いましてね」

 

「それならそうと最初に言ってくれ。では、日を限ろうじゃないか」

 

「はい」

 

 少し考えてから、半右衛門が

 

「年内には、必ず……」

 

 と、答えた。

 

「久兵衛さん。このことは、私たち二人だけの……」

 

「もちろんだ。それがこの稼業の掟だ」

 

「恐れ入りました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃輝梅安(ひかりばいあん)は、永福寺本堂裏の病間で、大和の治療を行っていた。

 

「だいぶ顔色もよくなってきたね。今朝も、お粥を一椀食べたそうじゃないか」

 

「はい……梅安先生のおかげです」

 

 梅安は桶のお湯ですすいだ手を手拭いで拭き取ると、周囲に人気がいないことを確認し、大和の耳元へ口を寄せ、

 

「君は……第89鎮守府の大和だね」

 

 ささやいたものだ。

 大和は、ハッとした。

 

「心配はいりません。石川久太郎さんから聞きました」

 

「…………石川さまは?」

 

 間を置いてから、大和がいった。

 

「石川さまは元気でいる。安心しなさい」

 

「石川さまは……ご無事で……」

 

 すると、大和は目から涙を流しながら

 

「良かった……良かった……」

 

 と、安堵の笑みを見せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その晩……

 第13鎮守府に戻った梅安は、自室に置かれた書置きを拾うと、その足で音羽屋を訪ねた。

 書置きには、赤文字で

 

『四』

 

 と、書かれていた。

 音羽屋に着いた梅安は、そのまま茶室へ入った。

 茶室には、既に半右衛門が待ち構えていた。

 

「おお、梅安さん。来てくれると思いましたよ」

 

「元締。毎度のことながら、手の込んだ呼び出しをなさいますね」

 

「はは。これを考えるのも私の趣味でしてね」

 

「御冗談を……」

 

 半右衛門の笑顔に、梅安は少々苦笑するが、直様本題に入った。

 

「……で、話は?」

 

 半右衛門は、アタッシュケースの蓋を開くと、中身が梅安に見えるように置いてから、話を始めた。

 

「仕掛の的は……第89鎮守府司令官兼第2地方筆頭提督、嶋田英夫。仕掛料は、3000万。ここに置いてあるのは、前金の1500万です」

 

 半右衛門の言葉に、梅安は目を光らせた。仕掛の的に山田屋がいないということは……つまり、そういうことなのだろう。梅安は何食わぬ顔で口を開いた。

 

「ほほぉ、かなりの大玉ですね……で、依頼主は?」

 

「おおっと、“起こり”の事は聞かない約束でしたよ。仮にもこの“鬼の半右衛門”が引き受けた仕事です。仕掛ける相手は、“世のため人のためにはならねぇ奴”ってことだけは、間違いありません」

 

「ふむ……“急ぎ”ですかい?」

 

「できれば年内には、片をつけてほしいですな。遅ければ遅いほど、泣かされる人は増える。そういう奴ですよ」

 

「…………」

 

 梅安は少し間を置くと、アタッシュケースの蓋を閉じ、手元に置いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「引き受けましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌朝……

 梅安の執務室に、日進が訪ねてきた。

 

「昨日ね、松坂組の賭場で第89鎮守府の警護を担当している憲兵をつかまえて、酒を少し振る舞ったら、コロリと吐きましたよ」

 

「それで?」

 

「あの嶋田英夫って奴がとんでもない好色野郎ってのは、間違いなさそうですぜ」

 

「ほう……」

 

「それともう一つ良いことを聞きました。来月の1日は嶋田の親父さんの命日だそうで……嶋田の奴、その日は必ず芝公園の増元寺に参って供養するそうですよ」

 

「来月の1日…あと5日か……」

 

 梅安は猪口に入った酒をクイッと呑んだ。

 

「日進。今度ばかりは肝を据えてやらなきゃいけないな」

 

「ええ……あっしもこうなった以上、腹括りますよ」

 

「……しかし、危うかったねぇ……もし俺があの大和の治療を引き受けなかったら、後味の悪い仕事をしていたかもしれねぇな」

 

「ええ、全くですね……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、その12月1日が来た。

 嶋田英夫中将は、護衛の士官2人を引き連れて、芝公園にある増元寺に向かった。

 彼の亡き父、嶋田秀則の供養をするためである。

 嶋田英夫は、回忌でなくとも、先祖の祥月命日に提督業務が非番であれば、必ずこの増元寺に赴いて供養を行っていた。

 供養を終えた嶋田英夫は、厳しい寒気のためもあって尿意をもよおし、本堂の廻り廊下にある便所へ向かった。勝手知ったる菩提寺であったため、英夫は護衛を連れずに一人で廊下を歩き、便所に入った。

 

《推奨BGM:必殺!》

 

 嶋田英夫は用を足して出てくると、便所の戸口に、僧に変装した輝梅安がいた。

 

「これはこれは……」

 

 梅安はにこやかに笑いかけつつ、丁重に頭を下げた。

 

「うむ」

 

 嶋田英夫は、梅安を寺の小僧と思い込んだのか、敬礼で返すと、そのまま立ち去ろうとした。

 その刹那_

 

《ドシュッ!》

 

「あ……」

 

 梅安はすれ違いざまに、嶋田英夫の延髄に深々と殺し鍼を突き刺した。

 嶋田は、わずかに呻いて、棒立ちとなった。

 梅安は振り向きもせずに、廊下から消え去った。

 それから一時間後、英夫の変死に気づいた増元寺の僧や護衛の士官たちが大騒ぎをしている時、輝梅安は僧衣からいつもの軍服にもどり、何処かへと去っていった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃……

 山田屋久兵衛は、山本半右衛門に呼び出され、深川・門前仲町の寺院墓地に来ていた。石川久太郎の隠れ家がある場所である。

 この数刻前、久兵衛は半右衛門の遣いから

 

『今日、後金を頂きたいので、深川・門前仲町の寺院墓地に来て欲しい』

 

 と、言伝を頂いたのだ。

 久兵衛は、上機嫌になって会社の部下にタクシーを呼び出させると、後金をギッシリと詰め込んだ鞄を手に、単身で墓地に向かったのである。

 墓地の入り口には、半右衛門が出迎えていた。

 

「久兵衛さん、悪いですな。このような所に呼び出して」

 

「いやいや、かまいませんよ。それより、石川久太郎を仕掛けたのは本当ですか?」

 

「ええ。何とかね……」

 

「おお!流石は半右衛門さんだ!良い仕掛人を持っておいでですね!」

 

「それほどでも……」

 

「で、奴の死体は?」

 

 興奮する久兵衛に、半右衛門はある場所を指差した。

 

「あの古井戸に隠しておきました」

 

「おお!そうですか!では早速向かいましょう!」

 

 久兵衛ははやる気持ちを抑えながら、木の蓋で密閉された古井戸に向かった。

 半右衛門も、それについていった。

 

「ところで久兵衛さん。後金は確かに持ってきてますよね?」

 

「おお、そうでしたね。はい。約束の後金です」

 

 久兵衛は上機嫌に後金がギッシリと詰め込まれた鞄を半右衛門に見せた。

 半右衛門がその鞄を手に持った、その瞬間_

 

《推奨BGM:仕掛けて仕損じなし》

 

《ドスッ!》

 

「えっ…………」

 

 その瞬間、半右衛門は鞄で手元を隠したまま、懐に隠した匕首で山田屋久兵衛の腹部を突き刺した。

 久兵衛は何が起きたのか全く理解できなかったが、半右衛門は匕首で腹部を深く抉り込ませて、久兵衛の息の根を完全に止めた。

 半右衛門が鞄を持ったまま匕首を抜くと、久兵衛は三歩ほど後ずさってから、そのまま崩れ落ちた。

 すると、木の陰に隠れていた日進が現れた。

 

「後始末、頼みますよ」

 

「へい」

 

 日進はそういうと、久兵衛の亡骸を抱えて古井戸まで運ぶと、木の蓋を開けてその亡骸を放り投げた。

 半右衛門はその様子を見ながら、吐き捨てるようにいった。

 

「嘘つきめ!この後金は手前の仕掛料として頂くぜ!」

 

 血を拭った匕首を懐にしまうと、半右衛門は鞄を持って何処かへと去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この翌日、海軍省広報課は嶋田英夫中将が脳卒中で急死したことを発表した。

 それと同日、山田屋久兵衛の捜索願が警視庁に届いたが、未だ発見されていないという……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、それから月日は流れ……

 

《推奨BGM:安息<M56>(必殺仕掛人より)》

 

「ほほぉ~……俺が留守の間にそのようなことがあったとはね……」

 

「よく言いますよ……」

 

 大晦日。輝梅安は長谷川源蔵と共に品川にある蕎麦屋〔甚五郎〕で年越し蕎麦を食べていた。

 この時期、長谷川源蔵は444番鎮守府の近海で海賊行為を行っていた兇賊〔夜走りの空母水鬼一味〕の討伐の為、1ヶ月以上に渡り444番鎮守府方面へ遠征に出ていた。

 この兇賊を捕える為、長谷川源蔵は五大剣の一人である蒼﨑竜一郎の協力を得たのだが、それはまた次の機会に話すとしよう。

 兎も角も、長谷川源蔵は今回の一件に首を突っ込む余裕が無かったのである。

 源蔵がこの一件を聞いたのは、実は今日が始めてであった。

 

「……で、その石川大佐と大和の件。頼みますよ」

 

「おう、任せろ。三箇日が過ぎた頃に、永福寺に赴こうと思う」

 

「今頃は、あの二人も永福寺で晦日蕎麦をやっているでしょう」

 

「ああ。二人を狙う奴は、もういないのだからな……」

 

 梅安は、残りの汁を啜り、一息つきながら、

 

(今年も、死ななかったな……)

 

 と、シミジミに感じ取っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 原作:池波正太郎「仕掛人・藤枝梅安『梅安晦日蕎麦』」

 

 

 

 

 

 

 

 

艦これ仕掛人其の五「歳末大仕掛」

終劇

 




 今作エピローグで名称だけ登場した444番鎮守府と蒼﨑竜一郎は、pixivにて彼ら観光さんが連載している「艦これ渡し人」及び「不可思議な444番鎮守府」の主人公とその舞台となる鎮守府です。

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