拝啓ドッペルゲンガー 作:油口
気ままに更新するので、暇潰しに見て行ってください!
私の名前は紫悠 亜美(しゆう あみ)。みんなからは容姿端麗、秀外恵中(しゅうがいけいちゅう)と言われていた。
だけど、私にはどうでもいいことだった。
(つまんない…)
一人、夕日の光が照らされている教室で、そんなことを考えていた。
いつからそんなことを思うようになっただろう。毎日毎日、同じことの繰り返し…。
街に遊びに行きたくても、家が厳しいから出かけられない。そのせいで、友達付き合いができず、友達がいない。
いつしか私の世界は色あせていた…。
「もう一人自分がいたらなぁ〜…」
そしたら、その自分に任せて、思う存分街で遊べる。
そんな夢のようなことを一人小さく呟いた。
ーもし、その夢のような願いが叶うとしたら?ー
「!?」
突如、誰かの声がした。透き通った声なのに、どこか不気味な声が…。
ーもし、もう一人の自分がいたら?ー
「だ…だれ!?」
「これはこれは、名前も名乗らず失礼いたしました」
一瞬、自分の影が伸びたかと思うと、影の中から黒い靄(もや)のようなものが出てきた。
その靄(もや)は、徐々に人型になっていき、姿が見えてきた。
しかし、その姿は…
「どうもこんにちは、君の分身です」
胸に手を当て、軽くお辞儀をしている…
私がいた…。
「は…?私の分身って…な…何の冗談よ…」
私は目をこすり、目の前で起こってることが夢でないことを再確認する。
「冗談も何も、貴女は“もう一人自分がいたら”と願いましたよね?」
私の分身が目を細め、問いださすように聞いてきた。
「そりゃあ願ったけど…」
冗談のつもりだった。ふと考えただけだったのに…
「そんな真摯な願いが私を呼びました」
分身は微笑んでいた。なぜかそれが、私に恐怖を覚えさせた。
「まぁ過程などはさほど問題ではありません。私は結果だけあればよろしいのです。これより大切なことがあるのですから…」
「大切なこと…?」
大切なこと?と聞き返したが、私は何となく察しはついていた。
「はい、私は先ほどの貴女の願いを叶えに来ました」
「願いって…“もう一人自分がいたら”ってやつ?」
「私はその願いを叶えるためにここに来ました。」
また胸に手を当て、微笑みながら“代行者”(メサイヤ)は言った…。
「本当に私の代わりになってくれるの…?」
得体の知れない恐怖はある…が、自由になれるチャンスが目の前にある。このチャンスを逃したら、多分一生自由になんてなれない…
「ええ、もちろん!なんでもやりますよ!私は貴女の分身なんですから!」
こうして、私と”代行者“の奇妙な日々が始まった…。