選定の剣カリバーンを引き抜き、王としての研鑽の旅で彼と出会った。
獣の皮を体に巻き付けただけの簡素な服で多くの狼を従え少年には不釣り合いな剣槍を操っていた。
戦い方は粗削り。それでも狼たちとの巧みな連携で村を襲っていた蛮族を蹴散らしていた。
蛮族から村を守った報酬か何頭かの家畜を受け取って森の中へと消え、私はケイの制止の声を振り切りその背中を追った。
囲まれた……。
彼の姿を見失い森の中をさ迷っていると木々の陰から無数の狼たちが私を見ていた。
牙を剥き、喉を鳴らし、ジリジリと包囲を狭めてくる。
弱肉強食。
騎士として半人前な私は狼たちから見れば格好の餌。
なるべく傷付けたくはないけれど、このような場所でまだ死ぬわけにはいかない。
カリバーンを鞘から引き抜き構える。
僅かに怯んだ様子を見せたけれど、すぐさま包囲網を立て直し飛び掛かれるほどまで迫ってきた。
「待て」
突如聞こえた声に狼たちは威嚇しながらも後ずさっていく。そして私の正面、森の奥から探し続けた少年が見上げるほどの大狼を伴い姿を見せた。
そして確信した。
この瞬間、私は運命とであったのだと。
呆けていた私に遅れてきたマーリンとケイが合流した。
「客人だ。手を出すな」
彼の言葉に先程までの威嚇の色は消え、甘えるように彼に集まっていく。
「旅人がこの森に何用だ」
「私たちと一緒に来てもらえないでしょうか!」
「断る」
即断即答。刹那すら考えず断られてしまった。
「俺はこの森と共に生きている。森と生き、森と共に死ぬ。ここ以外で生きるなど考えられない」
『日も暮れる。寝床は用意するが、日が登り次第ここを去れ』
「彼は森の住人、この森と共に生きている。野生に生きる者に住み処を離れろだなんて、いくらなんでも性急過ぎないかい?」
「それは分かっていますが……」
「理由はあるんだろ?」
ケイの言葉にうまく言語化出来ない感覚を溢した。
「あの人の子と他人のような気がしない、か」
「その通りです。母上」
巨木に身を横たえた大狼の言葉に同意する。
捨て子だった俺を喰わずに息子として育て、戦う術を叩き込まれ、言葉を教わった。
近くの村に突き刺さっていた槍で、何処からかやって来る人間たちを凪ぎ払い、その報酬として人間たちが育てている動物たちを食糧として貰い受ける。
これも母から教わったことだ。
そして思い出すのは金の髪と碧の瞳を持つ女。
害意も敵意も感じない。だが、言い知れぬ感覚に襲われ遠ざけた。まるで水面に写った己を見ているかのような感覚。
後から姿を見せた二人の男。特に杖を持った方は油断できない。
「お前はどうしたい?」
「俺はーー」
「森を去りあの者たちと共に行くも良し、森に留まりあの者たちと別れるも良し、どちらを選んでもお前が私の愛し子であることは変わらない」
「俺はーー」
息抜きなのでクオリティーの低さには目を閉じてもらえれば……