【完結】刀使ノ巫女+α   作:tatararako

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101話を投稿させて頂きます。

ルールル、ルルルルールル、ルールル、ルルルルールル♪(例のBGM)

タキリヒメさんがゲストを迎える徹子の部屋みたいな番組が存在したら、ちょっと見てみたい気がする。

あっ、あと時系列的にアニメ本編の18話ぐらいです。
   
  


タキリヒメの部屋

    

    

  

朱音率いる刀剣類管理局は、所在の分からないイチキシマヒメと隠世に隠れ潜む大荒魂の本体に対抗する手段、それに国民への支持を多く集めたタキリヒメ派の助力を得ることによって刀剣類管理局の社会への信頼の復権を狙ったため、タキリヒメ派との"共闘"関係を結ぶべくタキリヒメとの会談を求めるのであった。

一方のタキリヒメ派も刀使といった特祭隊内部の支持を得るべく、その会談の求めに応じるのであった。

 

こうして、市ヶ谷に居るタキリヒメとの謁見を許可された刀剣類管理局こと、可奈美達一行は――――、

 

「今一度お願いに上がりました。御力をお貸し願えませんか?我らの共闘が叶えば、それすなわち人と荒魂の共存というあなたの願いに近付くための第一歩となりましょう!」

 

先ず、朱音とその護衛として付き従っている姫和と可奈美の三名がタキリヒメとの謁見を許されていた。

そして、タキリヒメには美弥とタキリヒメ派の議員が傍に控えていた。

 

「そうは言うが、我は国民にノロの分祀体制を辞めさせ、荒魂を離島に配備する方向へと転換すると約束しておる以上、我としては朱音の言うやり方には異を唱えなければならん。それに、共闘を願い出るのであれば歩調を合わせねばなるまい。とすれば、刀剣類管理局の方針について協議する際は我々も一枚噛ませて欲しいというこちらの申し出は不可思議なことではあるまい?」

 

朱音はタキリヒメに共闘を願い出ているのだが、タキリヒメ側としては共闘をするのであれば、タキリヒメが要求するノロの分祀体制から荒魂を離島に配備する方針へと変更するようにという要求と、歩調を合わせるために一定数のタキリヒメ派の人間を刀剣類管理局の方針について協議する場にも参加させるという条件を呑めば、共闘すると朱音にタキリヒメに話していた。

 

無論、これには理由が二つあり、その理由の一つは、タキリヒメの交渉によって刀剣類管理局の方針を変えたという実績を得ることで今後の刀剣類管理局以外の組織と各部署へのパイプ作りの話題としても利用することで、今後の刀剣類管理局との協議の場で発言力を高めるというものであった。

そして、もう一つは、刀剣類管理局の方針について協議する場に参加することで堂々と刀剣類管理局内部に入り込み、それを足掛かりに着々と刀剣類管理局内部にも味方を作るといった内部工作をし易いようにするためでもあった。

 

そういった理由もあり、タキリヒメは刀剣類管理局と共闘するには"ノロの分祀体制から荒魂を離島に配備する方針へと変更"と"一定数のタキリヒメ派の人間も刀剣類管理局の方針について協議する場に参加させる"ことが必須であると述べていたのである。

 

「……い、いえ。私共としましても人と荒魂の共存は願ってもないことであります。ただ、タキリヒメの御力を得るべく、こうして共闘を願い出たまでの所存。何卒、平にご考慮頂ければと。」

 

朱音は、頭を下げてでも、タキリヒメとの刀剣類管理局が望む共闘を願い出ていた。しかし、タキリヒメの要求を受け入れられない理由が朱音側にも有ったのだ。

それは、舞草の保守派が荒魂であるタキリヒメとの共闘に否定的であるという内部の事情があり、もしタキリヒメの要求を一つでも受け入れれば、その保守派達が元折神家親衛隊の二人を復職させた件で関係に亀裂が走っていたこともあり、朱音に反目する可能性が高かったのである。

そのため、刀剣類管理局が割れることを望まない朱音はタキリヒメの要求を一つも呑むことができなかったのである。

 

「ふぅむ。我としては譲歩したいが、……どう思う?」

 

タキリヒメはそう言って、タキリヒメ派の議員に目配せをすると、

 

「ありえませんね。こちらの要求を一つも受け入れず、一方的にそちら側の要求のみを受け入れろというのは、流石に共闘をする気があるのか疑わしいとしか思えません。それで共闘と仰るのには無理があります。隷属しろと言っているようなものです。タキリヒメ様、この話は受けるべきではないと私は具申致します。」

 

タキリヒメ派の議員は、朱音の言い分をバッサリと切り捨てるだけでなく、痛烈に批判し、拒否すべきであるとタキリヒメに朱音の目の前で上申するのであった。それを聞いたタキリヒメは、

 

「……ということだ。此奴は口が悪いが、我の要求を一つも呑めないのであれば、共闘は難しいとしか言いようがない。」

 

タキリヒメ派の議員のことを此奴と言って指を指しながら、朱音の要求を、刀剣類管理局との共闘を拒否するのであった。

無論、タキリヒメはこちらの要求を受け入れない朱音の要求を聞く気は無く、拒否する気であったが、人間であるタキリヒメ派の議員がそれを言った方が良いと判断し、目配せをして朱音の要求を拒否するように仕向け、タキリヒメとはまだ話し合う余地があるかのように見せかけていた。そうすることで、朱音側から会談するように仕向けていたのである。

 

それを理解していたからこそタキリヒメ派の議員は、朱音の目の前でわざと批判していたのである。

 

(……ここまでです朱音様。今確信しました。こいつも所詮はタギツヒメと同じ荒魂。共に在るなど叶わないのです。)

 

朱音とタキリヒメの話を聞いていた姫和は心の中でそう呟くものの、それを口に出すことはなかった……。

いや、出せなかった。

 

 

何故なら、それを言ってしまったら、優と一緒に居る理由が無くなってしまうからである。

 

 

そして、思い出すのは潜水艦ノーチラス号での出来事の後、薫に呼び止められたことを思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

『――――ヒヨヨン、ちょっと話がある。……何であんな事したんだ。』

 

薫は、姫和が拳銃の引き金を引いたことについて咎めようとしていた。

 

『……必要だったから、必要だったから私は引き金を引いたんだ。……弾は出なかったけどな。』

 

薫の追及に姫和は自嘲気味にそう答えるだけであった。

 

『……そうじゃねえよ。引き金を引いたらどうなるかぐらい分からない訳ないだろ!?』

 

だが、薫は姫和の答え方に納得がいかないのか、弾が出たらどうなるかと言って追及していた。

 

『……それの何が悪い?弾が出たら人を殺めることぐらい分かっている。』

『なら、何で引き金を引いたんだ!?』

『必要だからだっ!!』

 

尚も続く薫の追及に、姫和は必要なことだと大きな声で言って、掴み掛かることで薫の追及を遮っていた。

 

『……薫、最近思うんだ。あの子は、優は私のことを必要としてないんじゃないかって。もし、そうだとしたら私は、私は何のために刀使であらねばならない?何のために戦えば良いんだ!?』

 

そして、激流のように流れ込んでくる感情と共に紡がれた次の姫和の言葉は"自分はどうあるべきなのか?"という問いであった。

 

『私は、私は最初使命を果たすためにここまで来たのに、何もできなくて、何もやれなくて、死んだ母親の願いすらゴミのように捨てた!……だから、母さんは私のことを軽蔑している。』

 

姫和は母親である篝が自分のことを軽蔑しているとそう思いこんだと告げていた。

いや、そう思い込むことで、自身が納得できる半ば荒魂と化した優を救うことの正当性を得ようとしていた。

 

『けど、それで良いんだ。……母が私のことを必要としてくれなくても、あの子が私を必要としてくれる!どんなことがあっても私の全てを肯定してくれる!!』

 

しかし、姫和は母の本懐と優を救うという二つのどちらを優先すべきかで考えていたときに気付いてしまった。

 

優を救えば、自分を肯定してくれる存在が近くに居て、孤独に苛まれることもなく、充たされる日々を送れるだろう。

だが、反対に母の本懐であるタギツヒメを討伐することを優先したらどうなるだろうか?

 

 

そう、タギツヒメを倒しても、何も還って来ないということに姫和は気付いてしまったのだ。

 

 

『だけど、だけど気付いたんだ。どれほど思っても、私の事なんかこれっぽっちも思ってくれていないことに気付いたんだ。タギツヒメの方が好意を抱いてることぐらい……。』

 

それ故に、姫和はタギツヒメのことをどれほど妬ましくても斬れなかったのだ。

優に嫌われたくなかったから。また、あの孤独の中に戻りたくなかったから。

 

『でも、それで良い。……いつかは振り向いてくれるはずだから。私の方が必要だって解ってくれるはずだから……。だから、どんな形でも良いから私を必要としてくれるだけで良いんだ。』

 

まるで呪詛の様に何度も呟く姫和。

どんなことをしても、優はこちらに振り向いてくれることはないかもしれない。だが、姫和は自身のことをどう思ってくれても良いとも言っていた。

 

都合良い女として利用してくれても良い、それでも変わらない思いを注ぎ続けるから、

それで使い捨てのボロ雑巾のように捨てられても恨まない、貴方のことを愛し続けているから、

 

『だから!私は銃の引き金ぐらい引ける!!必要なら私の全てを捧げる!!』

 

必要なら人殺しをすることも、自分の全てを捧げ、使わせることも厭わない。

そう宣言する姫和に薫は、

 

『……おっ、お前………。』

 

恐怖を抱くのであった。

 

その一件以降、姫和は一人で簡単に優の居る所へと向かうことができなくなったのであった。

何故そうなったのかは、その数日後に通信機越しで出来た優との会話で分かった。

 

『……え、えと、その、僕も姫和おねーちゃんに会いたかったよ。……けど、薫おねーちゃんとかにも言われて………。』

 

不意に口に出たであろう優の言葉で、薫が簡単に会えないように告げ口したのであろうことが姫和には充分に伝わったのである。

 

『あんまり、姫和おねーちゃんの邪魔しない方が良いって言われたから、……だから、もう会わない方が良いのかなって……。』

 

優にそう言われた姫和は、怒りで血が滲み出てくるのではないかと思うほど、手を強く握り締めて、心の中でこう叫んでいた。

 

(……私が、私が誰に会うかは自分で決める!決めるのは薫じゃない!!母さんでもない!!!)

 

そう思うだけで、姫和は薫に言いようのない怒りを感じるのであった。そのうえ、"薫おねーちゃんとかにも"ということは薫以外にも告げ口をした者が居たということであり、あの場には薫と沙耶香、それにトーマスしか知らないのだから、薫と沙耶香、もしくはトーマスが告げ口したのだろうということが容易に推測でき、彼女等とトーマスが敵であるかのように姫和は感じた。

 

『……ああ、私は構わない。だから、また一緒に居れるようにしよう。』

 

薫と沙耶香、もしくはトーマスがあらぬことを告げ口をし、邪魔をしてきたのだろうと思うだけで、姫和は怒りが込み上げてくるが努めて冷静に、優には怒りをぶつけないように通信機越しではあるが、返答をしていた。

 

『本当!?……ありがとう。姫和おねーちゃんにまた会えるのは嬉しいから、待ってるね。』

 

姫和の強い言葉に感動したのか、目を潤ませながら弱弱しい笑顔でそう答える優を見て、いつかそこから救い出せるようにしようと姫和は心に決めるのであった。

 

しかし、姫和は沙耶香と薫を敵視するようになったことで、関係がギクシャクしてしまったことを悔い、更に孤立を深め、強い孤独感に苛まれ遂には優にも疎まれてしまったらと考えるだけでそれを酷く恐れるようになったのであった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

潜水艦ノーチラス号での一件の後、刀剣類管理局本部にある優の軟禁部屋へと訪れた薫は、優に説明していた。

 

「――――まあ、そういう訳だ。姫和は少し任務が多くなるから少し会えなくなるけど、少し辛抱してくれ。」

 

薫はそう言って、話す相手が9歳児であることを考慮し、"少し我慢"ではなく、"少し辛抱"してほしいと分かりやすく、且つ柔らかい言い方で姫和はしばらくの間は優には会えなくなるという事を伝えていた。

これ以上、精神が危うい姫和が優に近付くことがないようにするためであった。

 

小烏丸の帯刀権を剥奪し、刀使であることを辞めさせるのも一つの手として提案したのだが、タギツヒメといった大荒魂に有効打となる力を持つ小烏丸の適合者である姫和を手許に置きたかった政府上層部の意向。それと、帯刀権を剥奪された姫和がどのような行動を取るか分からないので、そのような措置を取りたくなかったというのが最大の理由でもあった。

 

……そういった理由もあり、姫和は優との接触に対して制限が課されることとなった。

 

「……うん。大丈夫だよ。それくらいなら寂しくないよ。」

 

だが、優はそれにめげることはなく、弱弱しい笑顔で答えていた。

その健気な姿を見た薫は、姫和が忙しいから余り会えないという嘘を吐いたことも相まって、いたたまれない気持ちを抱き、優にこれ以上の不安を抱かせないために、ある物を渡すのであった。

 

「……これ、内緒だぜ?姫和と通話できるようになっているから、寂しくなったら俺でも、沙耶香でも、……誰でも連絡ができるようになっているから、何時でもかければ良いからよ。」

 

そのある物とは通信機であった。

内緒というところから、薫は上層部に黙って持って来たのであろうことが伺える。

 

「うん!ありがとう!!」

 

それを聞いた優は笑顔で応えるのであった。

 

「……んじゃ、俺は戻るわ。何かあったら連絡くれ。」

 

……江仁屋離島で半ば荒魂と化した自衛隊員を全員討伐したり、先程まで民間の安アパートに隠れ潜んでいたテロリストを全て殺した幼子とは思えないほどの笑顔を見せてくれたところから、何かしら多少の無理はしているのかもしれないと薫は思ってしまった。

これほど聞き分けが良く、言う事を聞いてくれる優を見ていると、可奈美が可愛がるのも納得できると思うと薫は安心したのか、後は優に任せても良いだろうと判断し、何かあれば渡した通信機で連絡してほしいと言って持ち場へと戻るのであった。

 

「うん、分かった。お仕事頑張ってね~~~。」

 

薫は優の声援を背に受けながら、手をひらひらとさせて、

 

「……おう。」

 

と短く応えるのであった。そうして、薫は優の居る部屋から退室した。

 

「…………。」

 

薫を見送った後、優は物思いに耽っていた。

……唇に触れ、姫和とのキスを思い出して、

 

 

気分が悪くなった。

 

 

姫和とのキスで感じることは、路地裏で花を売っていた少女ミカの記憶の中にある花を金で買う汚い大人に黒い欲望をぶつけられる場面を思い出し、その汚い大人は優の意志に関係無く荒魂となったミカの記憶を通して見ることができ、黒ずんでいて姿形がハッキリとしない化け物のように見えていた。そのとき、ミカが味わった苦痛と恐怖といった感情が優の精神を侵略し、支配していき、その"汚い大人"という化け物と姫和が重なって見えたのである。

そう思うだけで、ミカの苦痛の記憶と姫和とのことを思い出すだけで、トイレへと駆け込み、便器に向かって腹の中にあった朝食だったか昼食だったかの残骸と優は向き合うこととなった。

 

ストレスによって戻したのだが、優にはそれが分からなかった。……そもそもからして、9歳の児童でしかない優に男女間の関係など理解しろというのが無理な話なのである。

 

優が結芽の天然理心流を受け継いだのと同じような要領で、路地裏にて花を売っていた少女ミカの記憶の中にある黒い欲望をぶつける大人の暴力と、性病に罹ってしまった同じ仲間の少女が殺処分されたことの悲しみと恐怖、生ごみと一緒に捨てられていても見て見ぬふりをしかできず、それに耐え続けるしかなかく、水と共に赤子が流れてしまったが、生きるためにそれが必要であるという現実を知ったミカの苦痛と絶望といった感情を追体験し、ミカの痛みを知ってしまったがために、あのような黒い欲望をぶつける事ができるのは"汚い大人"しか居ないと思うようになった。

 

それ故に、優は姫和のことをミカの記憶にある恐怖と苦しみを与え続ける"汚い大人"という化け物と同じように見え、そう感じたのである。

 

(……でもまだ、耐えられる。)

 

だが、優はそれが理由で穢れていると思わないようにした。

理由は、それを理由に穢れているとしてしまえば優の中に居るミカが、路地裏で僅かな金銭で生きるために花を売り続けた少女が、汚い大人達ばかり相手にさせられ、玩具にされ、嬲られ続けていた少女ミカのことを穢れた女扱いしているようで何となく嫌だったから、穢れていると思わないようにした。

 

(……だって、いつ見てもミカさんもジョニーくんもヒメちゃんも結芽おねーちゃんもニキータちゃんも……みんなみんな穢れてない。綺麗だと思う。)

 

優にとっては、タギツヒメは子供達が暮らせる楽園ネバーランドへと連れて行ってくれるティンカーベルであり、ミカもジョニーもニキータも結芽もネバーランドを彩る大切な存在であり、タギツヒメと同じくらい必要な存在であった。

だから、彼等にどんな過去やどんな事があろうとも否定はしないし、穢れているとも思わなかった。

 

――――いや、彼等とは代えようのない唯一の"絆"があるため、彼等を否定しなかった。

 

「……さあ、帰ろう。……みんなお家に帰ろう。」

 

優は呪文のように呟くと、心が安らいでいった。

………そうだ、みんな還って行くのだ。それと同じように皆やっている事なのだ。

 

可奈美ですら持っていないネバーランドを守れるのなら、

 

(騙したり犯したり奪ったり殺したりするのは許されることなんだ。罪じゃない。赦されない事じゃない。生きるために必要なことなんだ。)

 

優はそう思うだけで、心が軽くなっていくように感じた。

姫和が自分のことを欲望のはけ口にしたとして、それぐらいで自分のために戦ってくれるのならそれで良い。

 

黒い欲望をぶつける“汚い大人”は、ネバーランドに必要無いのだ。

もしも、この感情と自分の聖域を穢すものや汚い大人が現れれば、

 

(……計画的に排除しないと。じゃないとミカさんが此処に来ても苦しいだけだもんね。)

 

だから之は、これは悪い事ではない。

ネバーランドを、自分の聖域を濁らせないためなのだ。

 

子供達だけのネバーランド。この聖域は美しいから、汚い大人になることなく、ずっと子供のままで居られるから、侵略してくる汚い大人は排除しなければならない。汚い大人は暴力ばかり振るうからキライ。汚い大人は黒い欲望ばかりだからキライ。

 

「でも、あの人には感謝しないとな。」

 

優は姫和のことを“あの人”と他人のように呼んで、感謝しなければならないと思った。

あの人は色んなことを教えてくれた。

 

「刀使さんの中には、“汚い大人”のような人も居るんだね。」

 

あの人はよく分からないけど、僕のために何でもしてくれるようだ。

 

「……だったら、どんなことをしても良いか。」

 

そう理解した優は嗤いながら、そう答えていた。

何故なら、ピーターパンは大人になるのを嫌がり、大人を毛嫌いし、場合によっては命すら奪おうとする者なのだから。

  

   

    




  
   
今話で優ちゃんの思想の一端が暴かれました。
あと、優ちゃんは9歳児ですので、

フィリア(philia)>>>>(越えられない壁)>>>>エロース(eros)

という思考回路となっております。
“愛”って言葉は、意味の範囲が広くって、人と時間によって様々な色に変わる言葉ですよね。


白衣の天使姿の夜見さんを見てたら、何故かノロのアンプルを刺しにきそうと思ってしまい。死の天使か慈悲の天使とかを連想してしまいました。




あと、子供に性暴力を加えちゃダメですよ?
   
   
   

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