【完結】刀使ノ巫女+α   作:tatararako

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107話を投稿させて頂きます。


『刀使ノ巫女』二次創作で小説を書いて下さる方も多いので、この辺どうなってるの? 的な設定を少し。フリードマンやエレンの両親など一部の研究者の仮説も含まれます。

髙橋龍也氏のツイートより。


もしかしたら原作者様自身が覗きに来てる可能性があるから、エタることなく、みんな頑張るんやで。
    
   
  


心を持たない者

     

    

    

綾小路武芸学舎内――――。

 

「……スレイド博士、どうです?」

 

ソフィアは変革派の人間が次々と不審死やデモ隊の報復という形で殺害されていることに危機感を抱き、私用の携帯でスレイド博士にあることを聞いていた。

 

『ああ、ああ、完成できたよ!!私が考える新しいノロと人体の融合……いや、新たなる関係性だ!!きっと神も喜ばれるに違いない!!違いない!!どんな顔をしてくれるか楽しみだよ!!』

 

それは、ソフィアにとって新たな駒を手に入れたということを告げる福音でもあった。

このまま、打てる手段が無ければ、こちらがイチキシマヒメを隠匿していることがバラされてしまい、荒魂の討伐を主張する変革派との関係がこじれてしまう恐れがあったからである。

 

「そうですか。では、動かしてもらいますか?」

『ああ!そうとも!この神の理想を具現化した使徒たる彼女がこの世に体現すれば、皆はその御姿と福音に頭を垂れることであろう。』

「ええ、愉しみにしております。スレイド博士。」

『こちらこそ、ありがとう。神の御加護を!』

 

とりあえずは、動かすのに問題なさそうだと理解したソフィアはそれだけ告げると携帯を切り、穂積にあることを宣言するのであった。

……綾小路武芸学舎内にスペクトラムファインダーを所持していた刀剣類管理局の調査員と警察官が入り込んだということは綾小路武芸学舎内にイチキシマヒメが居ないことに気付かれた可能性が高く、そうなればイチキシマヒメの居る場所を嗅ぎ付けられるのも時間の問題である。

 

「……聞いての通りだ。我々は行動を開始する。」

「ついに、ですね?」

 

それ故に、ソフィア達は行動を起こすしかなかった。

穂積はその宣言を聞き、覚悟を決めたかのように表情を引き締め、次の指示を待っていた。

 

「ああ、彼女が我々の進む道を拓いてくれる。」

「分かりました。各地に潜伏している同志に招集を掛けます。」

「それでいい。ここから後へは戻れない。進むのみだ。分かっているな?」

 

ソフィアの念入りに、穂積はただ黙って敬礼をするのみであった。

 

 

 

 

 

ソフィア達が内密に行動を起こしているとき、優はテレビ電話の通話越しではあるが姫和と会話していた。

 

「――――へえ、そうなんだ。」

『ああ、この頃荒魂討伐が多くてな。だが、沢山倒せたぞ!』

 

その内容は、姫和が荒魂討伐で活躍したことを話すことで、次の優の返答を待っている様だった。

それを確認した優は、今の姫和が欲しがっている言葉を述べる。

 

「そうなんだ。偉いね。さっすが、僕の“おねーちゃん”は凄腕の刀使だもんね!」

『そ、そうだろ。……私は凄いだろ。なんせ、私は優よりも"おねーちゃん"だからな。だから私を頼って良いぞ!』

 

ただ褒める。

単調なさしすせそである褒め言葉の定型文を思わせる流石姫和おねーさんであったのだが、姫和はたったそれだけの事でも満足気な表情を浮かべ、優は名前の通り優しい子で自分が欲しい言葉を言ってくれる。優にもっと褒めて貰える様にしたいというある種の病的な思いを抱きながら、もっと頼って欲しいと姫和は優に言うのであった。

 

ただ優に褒めてもらうというだけで、姫和は自分の中に在る承認欲求が充たされていくのを感じていた。

……当初の目的であった母の仇を討つ。刀使の使命を果たすといった当初の目的は、何時しかそれらでは得られないであろう他者から感謝されるという快楽を認識するだけで姫和は当初の目的を放棄し、優に必要だと思われることで承認欲求が充たされるのを目的とするようになっていた。

 

……姫和には弟や妹と呼べる存在が居なかった。そのためなのかは不明だが、姫和は優みたいな名前の通りに優しい弟が欲しいと思っているうえ、可奈美に了解を得ずに勝手に姫和と優が姉弟の関係である事や愛し合う関係であればどうなっていたのかを妄想したことすらあった。

 

だが、その優しい子がSTT隊員と荒魂化したとはいえ自衛隊員の命を何人も奪っている事に気に掛けることもなく……いや、不都合なことに目を逸らしながら、優は優しい子であると改変して思うという歪な関係を築いていることに気付こうとすらしなかった。

 

「うんうん。可奈ねーちゃんもお友達になれて嬉しいって言っていたよ。……あっ、これは“おねーちゃん”と僕の二人だけのナイショにしてね?じゃないと、僕が怒られるから……。」

『もっ、もちろんだ!ナイショにする!』

 

そのため、姫和は自身の呼び方が“姫和おねーちゃん”からただの“おねーちゃん”呼びに変わっていることにも気付かないほど視野狭窄に陥っていた。そのため、優の言う『可奈ねーちゃんもお友達になれて嬉しいって言っていたよ。』というのが虚偽であり、可奈美に話さないかどうかで自分の言う通りに動くかどうかをチェックすると同時に、二人だけの話であると強調することで、優は姫和に自分との間に特別な関係が築けたと思わせ、更に依存させようと目論んでいたことに今の姫和は気付く事もなかった。

 

「うんうん。ナイショにしてくれてありがとう。やっぱり、おねーちゃんは最高のおねーちゃんだよ!」

 

優はそう言いながら、可奈美の代わりになってくれるだろうか?と心の内で考えていた。

 

……最近の可奈美が自分を恐れて会わないようにしていることに気付いていた優は、可奈美の代わりになれそうな人物を探していた。

その代わりになれそうなのが、何かと自分を気に掛けてくれる姫和。それと、人が良さそうであり、可奈美を憧れの対象にしているところから近寄り易い内里 歩が可奈美の代わりとして使えそうだなとは思っていた。

 

しかし、そんなことを考えている優の奥深くに潜む、歪んだ精神に姫和と歩の両者は今も気付かないままであった。

 

姫和は、そんなことを優に思われているとは気付くこともなく、ただ欲しい言葉を言ってくれる優に、その関係に溺れていく最中、不意に折神家支給の携帯端末が鳴り響いていることに気付いた。

 

『あっ、済まない。ちょっと待ってくれ。』

 

姫和はそう言って、優から「いいよー。」という返事を待ってから携帯端末を見ると、緊急出動の命令を記した内容が記載されているメールが届いていた。

その内容を確認した姫和は、

 

『……済まない優。緊急の出動命令が出た。また、話せるか?』

 

優の機嫌が損なわないようにと思いながら、申し訳なさそうに言っていた。

……しかし、姫和のその内心は、この緊急と言われている出動命令はどうせチンケな荒魂が暴れた程度のどうでもいい事件なんだろうと勝手に決めつけているうえ、そんなチンケな荒魂程度に怯え惑う奴等の事なんかどうでもいいと思っていた。

そんな荒魂を何かと化け物扱いしながら、自分達刀使に対しても罵詈雑言を浴びせる自分勝手な奴等何かよりも、優と会うことで、自分が最も欲している言葉を貰える時間の方が何倍も価値ある物であると考えていた。そして、この時間は誰にも穢されたくなかったとも考えていた。

 

「うん、大丈夫だよ。お仕事頑張って、荒魂いっぱい倒してきてね~。……僕はおねーちゃんが頑張っている姿が大好きだよ!」

 

朗らかな笑顔で優にそう言われた姫和は胸を張りながら答えていた。

 

『あっ……ああ、任せろ!!』

 

そして姫和は、優が自分のことを認めてくれるといった欲しい言葉を述べてくれたことに感謝しつつ、姫和は脳が蕩けて無くなりそうなぐらいの"快楽"と自分が必要な存在であると自信が抱けるような"安心感"を感じていた。

自己責任と言われればそれまでだが、姫和は今まで一人で背負って戦おうとしていたので、誰にも理解されることなく、誰にも感謝されることもなかった。それ故に、誰かが共感してくれるという行為だけでそれに酔いしれてしまっていた。

 

一人で辛かった。

誰かに認められたかった。

誰かに愛されたかった。

 

そんな感情が一気に濁流のように入り乱れながら、姫和は自分が欲したものが其処に在ったと強く実感していた。

――――しかし、

 

「……でも、歩おねーちゃんやヒメちゃんとケンカしてる人。僕は大嫌いだし、怒っているんだけど?」

 

優は姫和に釘を刺すことを忘れなかった。

 

如何にも人が良さそうで、こちらの思惑通りに動かすことができ、尚且つ姫和が使えなくなった時のために、次に利用できそうな歩。

そして、自らの存在を肯定するのに必要なタギツヒメ達。

 

優はタギツヒメと歩が必要であると認識しているため、再び孤独になるのを極度に恐れている姫和に対して最も効果的な脅迫を行うのであった。

 

『いや、………あっ、その……』

「どうしたの?何か僕、間違った事を言ってるかな?それなら謝るけど?……どう思うの、おねーちゃんは。」

 

目が一つも笑っていない笑顔で、姫和に圧を加えながら尋ねていた。

 

お前がそうするなら、気に入らない誰かを後ろ暗い方法で排除しても良いよな?と。

 

『そ……それは………。』

 

優にそう言われた姫和は戸惑う。

どう言って優を説得すべきか悩んだからである。

 

人に危害を加えてはいけないと言うべきなのだろうか?人を脅してはいけないと言うべきなのだろうか?人殺しは良くないと言うべきなのだろうか?他者を慈しむべきだと言うべきなのだろうか?人を陥れようとしてはいけないと言うべきなのだろうか?人は愛さなければいけないと言うべきなのだろうか?……いや、人に危害を加えてはいけないと言うべきだろうか?

 

始めは母の仇を討とうとした少女は、人に危害を加えようとしたり、人を脅したり、人殺しの業を背負おうとしたり、他者を慈しむことすらせず、他者を陥れようとし、人を愛するどころか使命のためと称して他者との関わりを拒絶していた少女はどう言えば良いか迷い、悩んでいた。

 

このままでは、タギツヒメに全てを奪われると。

 

それだけは、何としてでも阻止したかった。

愛していた両親も愛している幼子も自らを偽る理由も自身の存在意義も刀使としての存在理由も御刀を握る意味も荒魂を斬る意味も荒魂を殺す意味も命を奪う意味も全て全て全て全て全て全て全て全て全て…………無くなるのだ。失うのだ。空っぽになるのだと同じ意味の言葉を何度も浮かんでは消え、浮かんでは消えるという壊れた機械かのように狂ったような思考。他者から見れば同じ行為を何度も反復するという意味の無い狂った行為に見えるが、本人からすれば何度も同じ行為を繰り返すことで問題に真剣に取り組んでいると思う行為であり、しかし結局は二律背反とした行為であったのだが、今の姫和にそんな余裕など無かった。

 

『ご、ごめんなさ………き、嫌いにならないでく…な、なんでも言うこと聞くから………』

 

……しかし、どれほど考えても糸口すら見出だせず、何を言っても説得力に欠け、優という名の彼を振り向かせる程の力がある言葉を紡ぐことすらできないと理解できた少女は、幼い鳥と称された姫和という少女は未だ飛び立つ事なく『幸福』という偽り名を冠する籠の中で囀ることしかできなかった。

 

あれほど母のためにと行動したにも関わらず、何一つ出来なかったうえ、優を救うと約束したのに、それが出来るかどうか分からない状況に途轍もない劣等感を感じていた姫和は自分自身に自信を持てなくなっていた。

 

そんなときに、優だけは変わらず優しく接してくれたことに、その安らぎに依存してしまったことで、それが無ければ生きていけない心の状態下になってしまった姫和は、優に拒絶されるという恐怖を植え付けることで姫和の心の中にある逃げられる恐怖から捨てられる恐怖へと変えることで、自身のコントロール下に置くという手法を優は自身の中に居るミカから教わっていたため、それを姫和で実践していた。

 

「……そう、そうなんだ。」

 

そうして、姫和が自身のコントロール下に在るということを確認した優は、姫和に笑顔で応じ、こう述べるのであった。

 

「だったら、お仕事頑張ってね。」

 

早くノロを持って来いと思いながら優は、姫和に有無を言わせることもなく、まるで命じる様に言うのであった。

 

 

 

 

 

こうして、優は姫和とのテレビ電話が終わった後、自身の中に居るタギツヒメ達と話していた。

 

『やったねヒメちゃん!これで、強くなれるね!!』

 

躍る心のままに優は、姫和を利用することでタギツヒメを強化することができたと健やかな笑顔でタギツヒメに話していた。

 

『いや……えー、そうじゃな。しかしのう………。』

『?』

 

しかし、タギツヒメは歯切れが悪そうにしていたことに優は不思議でしかなかった。

 

『……我は姫和のことを確かに好かないとは言ったが、それはちょっとやり過ぎではないかのう?もう少し、こう、何と言うか……のう?』

 

優が先程姫和に対して行った脅迫とある種の洗脳染みた行動に対してタギツヒメは、姫和と同じ少年に好意を抱いているためか、その心情には一定の理解できる処もあり、その心情を踏み躙る行為は見ていられない気持ちとなったため、やんわりと先程の脅迫と洗脳染みた行動をした優を咎めようしていた。

 

『何で?』

 

しかし、当の優は不思議そうにタギツヒメに尋ねるのみであった。

何か悪い事したのだろうか?という感じで答えながら。

 

『いや、少し可哀想だとか思わんか?そう思わん?な?』

 

しかし、それでもタギツヒメは優をどうにか説得しようとするが、

 

『ねえ、ヒメちゃん?だったら、僕は利用しちゃえば良いと思ったんだよ。』

『うん?……うん!?』

 

優の姫和を利用すれば良いという発言に、流石のタギツヒメも動揺を隠せなかった。

他の者がこの一連のやりとりを見ることができれば、9歳の児童が人を利用することを提案し、その提案に人々を脅かす怪異と言われる荒魂よりも大きな力を持つ大荒魂タギツヒメが困惑するという異様な光景を観ることができたであろう。

 

『だって、あの人の目的に沿っているならそうするべきだと思うよ。それにあの人もそのつもりで此処まで来たんでしょ?』

『いや……う~ん。そ、そうなのかのう?』

 

だが、優の言い分にタギツヒメは反論することができなかった。理由は、

 

『やっぱり、信用できない?だったら、利用しちゃえば良いと思うよ。』

『え?』

『姫和ちゃんの目的に必要ならそうすべきだと思う。そもそも私もそのつもりで連れて来てくれたんでしょ?』

 

優が上記の可奈美と姫和の会話を真似したかの様に話したがために、可奈美と姫和を傷付けたくなかったタギツヒメは何も言えなかったのである。(尚、タギツヒメがそのことを知っている理由は、姫和が優に喋ったからである。)

それに、

 

『別に良いじゃん。何か最近のアイツ気持ち悪いし。』

『そーよ!何か妙に行動が私が知ってる気味の悪い大人と同じものを感じたし。』

『ニキータもちょっと、怖いなって思う……。』

 

優の中に居るジョニー、ミカに、ニキータも姫和のことを非難し、

 

『アー、ワタシモ同ジ意見ダナー。』

 

今まで剣術以外に興味を抱かなかった結芽もどう言えば良いか分からなかったうえ、ジョニー達に嫌われたくなかったので同調するしかなかった。それだけでなく、親衛隊の許へ帰れないと気付いている結芽は、このネバーランドを失いたくなかったというのが一番の理由でもあるが……。

 

『ね?何も間違っていないでしょう?』

『う、うーん。そうなのか?』

 

タギツヒメは優達の姫和を非難する声の多さに、それが当然なのだろうかと思い始めるのであった。

 

ジョニーという元少年兵と、路地裏で花を売っていたミカ、物乞いビジネスに従事させられていたニキータしか居ない世界であるためか、他者を使い潰すという非道な行為も正当化されていた。

 

……果たして彼等は、世に現れ人々を脅かす怪異なのか、それとも親を失ったロストボーイという名の孤児なのか、大人から学んだ芸を使うことでどうにか生き残れている者達なのか。

 

そして此処は、子供達の楽園であるネバーランドなのか?

それとも狂った帽子屋しか居ないお茶会なのか?

 

 

 

 

 

 

 

緊急の出動命令を受けた姫和は、可奈美と薫、エレンと今回の荒魂事件に同行することとなった折神 紫、それと他の特別遊撃隊隊員達と共に新型S装備を身に纏い、鎌府女学院所属を示す青と白のツートンカラーとなっているAW139の機内にて折神家支給の携帯端末にあるテレビ通話機能から、別のヘリに居る紫が今回の荒魂討伐作戦の説明をしていた。

 

『今回の荒魂事件は緊急性を要するため手短に、且つ機内にて説明する。本日午後、警視庁に丹沢山周辺にて、登山客が荒魂の群れに襲われているという通報があり、刀剣類管理局に出動要請が下った。今回、緊急性を要したのは荒魂による被害が登山客の中から既に出ており、そのうえ"人型"で"S装備"を装着し、大量の荒魂を引き連れて市街へと向かっているからである。これ以上の荒魂による被害を抑えるため、件の荒魂の予測進路上のルートにて既に展開している部隊と合流し、件の荒魂を討伐せよとの事だ。』

 

……スペクトラムファインダーの機能を付けたドローンといった探知方法が現在の刀剣類管理局には有るのに、その荒魂の群れ相手に後手に回ったということだろうか?と姫和は訝しんだものの、既に民間人に犠牲者が出ているのであれば、緊急性を要する物かもしれないと頭を切り替えると、それらの疑問を自らの手で払拭していた。

しかし、姫和達は知らないことであるが、件の荒魂の進路を予測できたのは、刀剣類管理局本部に優が居るからである。

 

『件の荒魂は強い反応を出しているせいか、付近に居た荒魂も支配下に置き、荒魂の数は今も増加中とのことだ。そのため、既に展開している部隊だけではとても対応できる数ではないため、特別遊撃隊も出動することになった。……尚、獅童 真希、柳瀬 舞衣、糸見 沙耶香隊員等も別の荒魂討伐に出動していたが、それを終え、こちらへ急行中である。……以上だ。』

 

折神 紫が同行していることから、人型の荒魂はイチキシマヒメであり、そのイチキシマヒメが荒魂の群れを引き連れて、暴れているのだろうか?と姫和は推測するものの、気がかりな事があった。

 

それは、もしイチキシマヒメだった場合、何故S装備を身に纏っているのかという疑問であった。

 

S装備の装備者は身体能力及び防御力が飛躍的に向上するものだが、荒魂にも効果が有るのだろうか?それとも荒魂が装着することで何かしらの能力が向上するのだろうか?といったことを何度も考えてみたが分からなかったため、今回の討伐任務に集中するべく、これらの思考を放棄するのであった。

 

いつも通り、いつも通り荒魂を討伐すれば良いだけ。私が持っている小烏丸はタギツヒメといった大荒魂に致命傷を与えることができるのだ。

 

姫和は呪詛の様にそう心の中で唱えながら、骨の髄まで、いや精神の奥深く、魂まで浸透させていた。

 

……得る物など何も無い、先の見えない荒魂との戦いを何時まで続けなければならないのだろうか?という心の奥底で叫び続ける悲鳴を隠すように、姫和はそのような呪詛を唱え続けていた。

    

    

   




    
   
     
自分で書いててなんだけど、優がこんなやべー奴になるとは思わなかった。

次回、カグツチさんが強過ぎと批判の対象になっていたので、歩ちゃんでも一方的に勝てる荒魂を出そうと思います。
    
      
        
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