【完結】刀使ノ巫女+α   作:tatararako

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110話を投稿させて頂きます。

親ガチャと子供ガチャという言葉が出てくるくらい何だから、最早生まれてくる子供も産んだ親も物扱いされて、最終的には人的資材か兵器扱いされる世の中になるんやろなぁ………。


ガチャガチャと忙しい世の中になったなぁ。
本当に苦しんでいる人はそんなこと言うやろか?
   
   


災厄の産声

    

    

    

和樹は蝶型の荒魂を出すべく、取り出したナイフで自身の左腕を傷付けようとするが、優が迅移で一瞬の内に自身の懐に飛び込んで来たことに驚き、ナイフで自身の腕を傷付けるのが一拍遅れてしまう。

 

驚いてしまった理由は、刀使の妹を持つ和樹は、刀使は御刀を媒介にして迅移といった様々な特殊能力を発揮するということを知っており、手に御刀を持っていないにも関わらず迅移を発動したことに驚いてしまったからである。

 

無論、優が御刀を手に持たずに迅移を使うことができた理由は、腰に短刀の御刀を差してあるからであり、その御刀を腰に差しているままか手に持っていれば迅移や八幡力といった刀使の力を使うことはでき、"刀使は御刀を媒介にして超人的な能力が発揮できるものであるから、手に持たなければならない。"という先入観を持っている者には非常に有効な手であった。

 

「ぐおっ!?」

 

そして優は、和樹の金的を右腕で殴り、悶絶してるところを更に追撃しようとするが、和樹はナイフを必死に振り回して、優を近づけない様にしていた。だが、優は龍眼でナイフの軌道を読み取ると、荒魂化している左腕を和樹が振り回すナイフの刃の部分に当てると、難なく弾き飛ばすのであった。

 

「なっ!?」

 

負傷することも省みず、左腕でナイフを弾き飛ばすというやり方に仰天する和樹を尻目に、優はナイフを振り回すことで伸びきった和樹の右腕を掴むと、容赦なく右腕の肘をあらぬ方向へ曲げ、折るのであった。

 

「――――っ!!?」

 

和樹は余りの激痛に悶絶してしまう。そして、優はその和樹の右腕を掴んだまま、八幡力による筋力増加と一本背負いの要領で遠くへ投げ飛ばすのであった。

そのため和樹は空中を舞い、浮遊感を感じるが、それが終わると背中から地面に叩き付けられるような感触を受け、肺の中にあった酸素を全て吐き出してしまったことでようやく和樹は投げ飛ばされたのだと気付いた。

 

……これが、八幡力や迅移を使える者と使えない者の差なのかと絶望感を感じながら。

 

しかし、和樹はめげる事無く自身の腕を切ろうとするものの、唯一自身の腕を傷付けることができる手段であったナイフが弾き飛ばされたこと、投げ飛ばされたことでナイフを落とした場所から遠くへ移動させられたため、和樹はナイフで自身の腕に傷を付けて、血を媒介にした蝶型の荒魂を召喚することが不可能に近い状況に陥ってしまった事を今悟るのであった。

 

そのうえ、利き腕である右腕があらぬ方向に曲がっていることで右手でナイフを掴める状態ではなく、残った左手を使うしかなかった。

 

それだけでなく、優は和樹の最大にして唯一の攻撃手段が自身の腕に傷を付けて、その傷口から蝶型の荒魂を召喚することであることは前の戦闘で分かっていたため、御刀で斬ったり、銃で風穴を開けるよりも八幡力等を使って手足を骨折させ(とはいえ、骨が飛び出る程の複雑骨折は避けなければならないため、加減はしないといけないが……。)、抵抗力を奪っていってから、始末しようとしていた。

 

蝶型の荒魂が出せない和樹は、近くに武器になる物は無いかと必死に探し、たまたま近くにあった木の棒を左手で藁にもすがる思いで拾うと、そのまま優に殴りかかる。

 

しかし、龍眼で容易く軌道を見切られたうえ、頼みの綱である木の棒が優の左腕に掴まると、八幡力の力で容易に優の元へと引き寄せられてしまう。

 

引き寄せると同時に優は、右足をダンッと爆発音がしたかのように感じる程の力強い足踏みをすると、それと同時に荒魂化によって強化された左腕の渾身の正拳突きを和樹に向けて放つのであった。

八幡力によって常人以上の力で引き寄せられたことで、向かって来る相手の体幹に対するカウンターとして作用し、優の渾身の正拳突きの力を後ろや別の方向へ逃すこともできないまま、その八幡力や荒魂化によって強化された腕の力を十二分に受けることになる。その結果、和樹の左胸の肋骨が何本か折れる感触を味わい、その激痛から木の棒を手許から離してしまう。

 

そうして、またも地面に叩き伏せられる感覚を背中から伝わったあと、和樹は再び空を仰ぎ見ることとなる。

 

「ぐうっ、……がはっ!ごほっ!!」

 

和樹は背中が地面に叩き付けられたため、咳き込んでしまい、肺に強烈な痛みを感じながらも、その痛みを堪えながら、どうにか立ち上がろうとしていた。

 

優は和樹が立ち上がろうとしていたところを狙って、渾身の正拳突きを当てた部分、右胸を狙った飛び蹴りを放つのであった。

 

しかし、和樹はイジメを受けていた経験から、とっさに上体を丸めたことが功を奏し、どうにか和樹は更に負傷せずに済んだのである。

幸運な事に、とっさに身体を丸めたことで相手の力を上手く分散させることができてしまったのだ。……だが、優は隙が多く、大技でもある飛び蹴りが防御されることは龍眼で分かっていたことなのだが、次の攻撃を成功させるために敢えて飛び蹴りを選んでいたということを和樹は気付かなかった。

 

そのうえ優が、先程の飛び蹴りと同じ挙動をしたことから、和樹は結芽が"自分の力を誇示したがる娘"だったという記憶が残っていたこと、諸事情により正体を隠すために変装をしている優のことをニッカリ青江を持っているところから結芽だと思い込んでいることもあって、結芽がムキになって同じ攻撃をしようとしていると和樹は勝手に思い込んでしまったのである。

 

(……そういう所がガキなんだよ。)

 

そのため、和樹は現世にはもう居ない結芽のことをガキだと心の中で蔑むと、優が飛び上がると同時に和樹は同じ防御方法で飛び蹴りを防ごうとした。

しかし、今回の攻撃は右胸を狙った飛び蹴りではなかった。

 

(低いっ!!?)

 

確かに、先程と同じ飛ぶ動作はした。

 

だが、先程よりも低い跳躍であり、和樹の右胸ではなく左膝関節を狙った飛び蹴りであったのだ。

先程の右胸を狙った飛び蹴りは上手く防御できたことによる慢心から生ずる先入観を持たせるためのブラフであり、次に放つ左膝関節への飛び蹴りを成功させ、和樹の脚力を失わせるのが目的であった。

 

「ゔあっ!!?!」

 

飛び蹴りがブラフであることを見抜けなかった和樹は、荒魂の力と八幡力によって強化された優の左膝関節を狙った飛び蹴りをまともに食らうことになり、和樹の左膝もあらぬ方向に曲がり、左足は動きにくくなり、歩行が困難となってしまう。

 

そのため和樹は、右腕と左足があらぬ方向に曲がり、右胸の肋骨も折れるという歩くのにも呼吸をするのにも一苦労という状態となってしまったうえ、唯一の攻撃手段であったナイフも失ってしまったため、頼りにしていた蝶の荒魂を召喚することも封じられているに等しい状況にまで陥ってしまった。

 

優は短刀の御刀を腰に隠すように所持していたことによって、御刀を媒介して隠世から超常的な力を引き出すことで使用できる八幡力と迅移といった刀使の技が使用でき、それだけでなく大荒魂のタギツヒメと融合したことで得た龍眼という未来視のような特殊能力が使えるうえ、身体能力は荒魂の力によって強化され、その強化された身体能力も八幡力によって更に強化可能であり、半ば荒魂と化しているため、荒魂化している部分は御刀以外の攻撃は有効打とならなかった。

 

だが、一方の和樹は、御刀を所持していないために八幡力や迅移といった刀使の技が使えず、身体がノロに上手く定着できなかったために常に起こる激痛で常時危篤、内臓の殆どが機能不全を起こしているため飲料か点滴でしか栄養補給ができない身体になってしまっていた。

その結果、荒魂を受け入れる以前よりも瘦せ衰えていった肉体と、生身の部分が多く御刀以外の物理攻撃も通じるため、和樹が不利であるのは明白であり、勝負はその差によって決まった様なものであったように和樹は感じたのである。

 

(……くそっ。……くそクソクソクソォーーーー!!!!)

 

だが、和樹はそれが悔しかった。

 

御刀のお陰で、八幡力や迅移といった恩恵を得る刀使。……一方の自分は、御刀の恩恵すら、実の両親からの愛情すらも得られない日々。

国家公務員という安定した地位と職場を得ている刀使。……一方の自分は、ブラックな職場で疲弊し、そして使い潰され、捨てられて行く日々。

政府の意向により、福利厚生等がばっちりである刀使。……一方の自分は、政府の意向により重税を課せられ、再就職先すら、満足な金すら得られない充実した日々を得ることも、送ることもできない日々。 

 

和樹は、日々感じる自らの現状と刀使との圧倒的な差が悔しかった。人生の勝ち組とも呼べる存在との差が激しいことに鬱屈とした日々を過ごしていた。

 

歪んでいるとしか思えない人間達が勝ち組の様に振る舞い、そして自分達を蔑む言動と行動をするそんな人達と比べられる日々が辛く、苦しく、惨めに感じていた。……そして何よりも悔しかったのだ。

 

「うっ、うおあああぁぁーーーーっ!!!」

 

だからこそ和樹は、折れた左足の痛みを気にすることなく立ち上がった。そして、唯一残った左の拳を頼りにして、優に襲い掛かろうとしていた。

 

……勝ちたかった。

 

うだつの上がらない日々を送る自分を見て、兄である自分を見下す刀使の妹。

俺が収めている税金で創られたであろう煌びやかな、そして嫌に白く清潔な制服に身を包む刀使。

昔から結月学長に恋心を抱いていたのに、結月学長からその才覚を愛され、そして親からも期待されるという恵まれた環境に居る燕 結芽。

 

しかし、最終的には恵まれた環境に居る結芽に打ち勝つという和樹の願いは叶うことなく、結芽ではない優の体術によって左腕も決められ、左肩も脱臼させられるのであった。

そのため、和樹は右腕の肘と左膝関節、それに右胸の肋骨が折れ、左肩も脱臼させられるという、行動不能に近い状態にさせられた和樹は、優に結束バンドで手足を拘束させられるのであった。

 

……勝ちたかった。……勝ち組に勝ちたかった!

 

刀使に勝ったことで自分の価値を証明したかった。

この世は出生や才能が全てではないと証明したかった。

自分の方が、刀使よりも、天才とか才能とか選ばれた人間とかよりも価値があると証明したかった。

才能の無い自分が、天才とか言われて有頂天になっている子供の鼻っ柱をへし折りたかった。

 

「くそ………クソ、くそくそくそくそぉっ!!」

 

そんなことばかり考えていたせいなのか、和樹はスマホのSNSである言葉が流行っていることを思い出してしまっていた。

 

親ガチャ、環境ガチャ、職場ガチャ、、子供ガチャ、国ガチャ……人生ガチャ。

 

親ガチャ環境ガチャ職場ガチャ子供ガチャ国ガチャ友達ガチャ上司ガチャ時代ガチャ遺伝子ガチャ才能ガチャ就職ガチャ教師ガチャ体質ガチャ人生ガチャ親ガチャ環境ガチャ職場ガチャ国ガチャ友達ガチャ上司ガチャ時代ガチャ遺伝子ガチャ才能ガチャ就職ガチャ教師ガチャ体質ガチャ人生ガチャ

 

それを見かける度に和樹の頭の中は一気に騒がしくなっていた。

………ガチャガチャと。

 

ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ

 

〇〇ガチャを見かけたり聴こえただけで四方八方から、ガチャガチャと騒いでいるように感じた。

そして、今の環境やネグレストの親と自分のことを蔑む刀使の妹といった家族との関係、就職した先がブラック企業だったがために履歴にケチが付き、再就職に悩み苦しんでいる和樹はそれが特に煩わしかった。

 

まるで、自分が全てのガチャ引きに失敗した人生の落伍者という烙印を皆が皆、嗤いながら、そして他人事の様に決めつけているかのように感じられ、その言葉が目に入る度に息が詰まるかの様な思いを抱き続けていた。

 

そして、和樹は今の世の中をこう評したのである。

……この世は息苦しいだけだと。

 

だから和樹は、この現世の今を生きている和樹は、心の奥底ではこの閉塞的で息苦しい世の中を壊してでも変えて、自分が生き辛くない社会へと変貌して欲しかった。

 

自分は無価値ではないと証明することで、生き辛い社会を変えたかった。

 

だからこそ、天才と持て囃されている結芽を倒したかった。

 

こうして、刀使を救いたいと思っていた青年は、荒魂の影響か、それとも他の要因による物なのかは不明であるが、不思議な事に刀使に対して、憎悪の念を強くしていったのであった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――優が和樹を拘束している同時刻。

可奈美達は件の"人型の荒魂"と対峙していたが、姫和はその"人型の荒魂"がイチキシマヒメでないことに何となくではあるものの違うと気付いてしまった。

 

「……カナミン、ヒヨヒヨ。私達が隙を作りマス!!」

「つーわけだ、頼んだぞ。」

 

しかし、先程まで赤子の荒魂と荒魂化した人間を相手にし、討伐したせいかそのストレスによって心と思考が乱れてしまった事により、この"人型の荒魂"がイチキシマヒメではないことに気付かない薫とエレンの両名は、大荒魂に対して特に有効打となる御刀の千鳥と小烏丸を持つ可奈美と姫和のために隙を作るべく斬り込んで行った。

 

猿叫を叫びながら"人型の荒魂"に第五段階の八幡力の力を乗せて、刃長だけでも216.7cmもの巨大な御刀祢々切丸で斬り掛かるが、人型の荒魂は手にした御刀で易々と受け止めるのであった。

 

「んなっ!?」

「薫!後はワタシに任せてくだサイ!!」

 

受け止めたことに薫は驚くものの、薫の第五段階の八幡力を乗せた斬撃を止めたということは同等の力、敵も第五段階の八幡力を使っているということであるうえ、八幡力と金剛身は同時に扱えないのだ。ならば、薫の攻撃を受け止めている状態であり、金剛身といった防御の技も使えない隙だらけの状態であるとエレンは判断すると、"人型の荒魂"に斬り掛かるのであった。

 

「カクゴっ!!」

 

エレンは覚悟と言って、薫の剣を受け止め、隙だらけとなっている"人型の荒魂"に斬り掛かると、エレンの胸中はこれで決まると思っていた。

だが、"人型の荒魂"は薫と斬り結ぶのを辞めると、第五段階の金剛身を使ってエレンの剣を弾くのであった。

 

「Why!!?」

 

これには、エレンも驚く他無かった。

 

通常、八幡力と金剛身は段階を上げることで強力となり、第三段階の金剛身なら銃弾を受けても無傷でいられるほどの耐久力を発揮し、八幡力は自動車並みのパワーを使える。しかし、それを超える第四段階の八幡力と金剛身を使える刀使は数えるぐらいしか居ない。そのため、金剛身と八幡力の両方を第五段階まで引き上げることの出来る刀使は、唯一可能性が有りそうな紫を除けば、刀剣類管理局に在籍する刀使の中には居ない筈である。

だが、この"人型の荒魂"は、そんな第五段階の八幡力と金剛身の両方を難なく使ってきたのである。

エレンと薫はそこまで考えると、ある可能性が思い浮かんだ。……それは、ある一年前のこと、沖縄にて試験していたS装備。珠鋼を搭載したことによって、第五段階の八幡力と金剛身を両方使え、稼働時間も無制限という珠鋼搭載型のS装備。

 

その珠鋼搭載型のS装備をこの"人型の荒魂"が身に纏っているのではないかと感づいたのだ。

 

「くそ、あん時のかよ。……エレン!ねね!行くぞ!!」

 

しかし、珠鋼搭載型のS装備は確かに、装着者に八幡力と金剛身の力を第五段階まで引き上げてくれるが、八幡力と金剛身は同時に扱えないのは知っていたうえ、一年前以上前の沖縄での出来事で珠鋼搭載型のS装備を着用した者との戦闘経験が有る薫とエレンはそれを活かして、経験の無い可奈美と姫和の二人のために隙を作ろうとする。

 

そのため、薫は祢々切丸を投げ、それをねねがキャッチし、薫に投げ返すと同時にエレンが薫を自身の御刀である越前康継の上に乗せると、砲弾の様に投げ飛ばし、投げ飛ばされた薫はねねが投げ返した祢々切丸を再度掴むと、縦方向に回りながらその遠心力を活かして斬るという複雑なやり方ではあるが、エレンとねねの三人掛で倒そうとしていた。

しかし、"人型の荒魂"は迅移も使わずに一気にエレンと薫との距離を詰めるのであった。

 

「「!!?」」

 

その余りにも速い動きに、実際は迅移を使ったのではないのかと疑ったものの、迅移を使ったようには見えなかったため、恐らくはこの"人型の荒魂"の動きが純粋に速いだけなのかもしれない。

 

しかし、本当に純粋に動きが速いからなのか?という疑問は残るが……。

 

だが、現実に"人型の荒魂"は迅移と見間違える程の速度でこちらに接近してきているのである。

そんな動きが出来るとは思わなかったエレンは、薫と人型の荒魂の間に割って入り、どうにか人型の荒魂の攻撃を金剛身で防ぐものの、人型の荒魂は八幡力の力を使っているらしく、簡単にエレンを弾き飛ばして、薫との一対一の状況へ持って行こうとするが、可奈美と姫和の両名が援護に向かったため、人型の荒魂は後ろに飛び下がって体勢を立て直すのであった。そのため、可奈美達は薫の危機を脱したかに見えた。

しかし――――、

 

「……衛藤 可奈美、十条 姫和の両名を確認。……捕獲を試みます。」

 

"人型の荒魂"が不意打ち気味に喋り始めたため、可奈美達は驚くものの、その声に聞き覚えがあったため、可奈美はついその名を呼んでしまった。

 

「…………皐月……さん?」

 

そうして、可奈美達はようやく気付くのであった。

そうして、目の前に居る"人型の荒魂"は"皐月 夜見"であることに気付き、それと同時に、目の前に居る"荒魂"は"人"であることに気付くのであった。

 

そして、夜見は突然、自身が持つ御刀で腹を突き刺すと同時に、自傷によって出来た腹の傷の穴を広げるかのように横に動かすのであった。

可奈美達は夜見のその突然の行動に、ウッと声を上げるが、次の瞬間にはそれよりもおぞましいものが目の前で行われ、可奈美達にとって災厄が現れるのであった。

 

その災厄とは、夜見が開けた腹の穴の中から“赤子の荒魂”が産声を上げて、這い出て来た事であった。

 

 

 

 

古来、人に仇なす異形の存在『荒魂』の討伐を使命とする彼女たちを人々は『刀使』と呼ぶ。

 

そのため、避難が遅れている人を守るために、赤子の姿と声に酷似した生命を模しただけの異形な存在『荒魂』と人の姿をしていても腹から荒魂を産み出す異形な存在となった『荒魂』を討伐しなければならなかった。

    

    

    




   
   
     
和樹は「公務員って、高給取りで一番安定した職業でしょっ!??!?」とか大真面目に言っちゃうルサンチマンみたいな子だけど、二次キャラなので容赦なく酷い目に遭わせられるからそういった部分がお気に入りです。


組み合わせで
きみのかんがえたさいきょうとじをつくろう

髙橋龍也氏のツイッターより。


次回、神の啓示を受けた迷える子羊のtatararako、組み合わせで神の恩恵とご寵愛を最も受けた夜見さんが大活躍するという予定。
そして、原作スタッフから怒られないか不安という心境。

  
   
    

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