【完結】刀使ノ巫女+α   作:tatararako

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32話を投稿させていただきます。
前回の話の優視点です。
またも二期のタギツヒメ(日高里菜)が出てきます。
そして、優が自分自身の存在意義を得た話でもあります。


Save you save me 2

「……今なんと?」

スレイドを捕らえて、一人だけ辛うじて生きていた子供を保護した雪那は、政府関係者並びに警察官僚の指示に食って掛からんばかりの顔で聞き返していた。

「…スレイド博士の罪状を全て公表することはできない。彼の行ってきたノロと人体の融合は米国政府も関与していることが公にされてしまえば、日米関係に大きな亀裂が走る。それは即ち、国防と貿易関係、そのうえDARPAの技術協力を得られなくなればS装備の開発が停滞する可能性が多いに有る。よって、我が国はスレイド博士を略取・誘拐罪とノロの不正持ち出しのみに限定する。……異論はあるかね?」

雪那は納得出来なかった。新たな犠牲者も出ていて、苦労して見つけて捕らえたにも関わらず、日米関係が大事なのでスレイドの凶行を無かったことにしろと言われたからである。

「……つまり、彼を見逃すと?」

搾り出すかのように言う雪那。

「幸い、ノロの実験に協力してくれた者達は、故郷にもまともな戸籍がない者達ばかり、隠蔽は可能だ。」

実験に使った被検体の全ては、少年兵や僅かな金銭で売られる子供達ばかりだったから幸いと言って、無かったことにしようとする警察官僚。

「それにだ、君等がそんなことを言う権利はないと思うが?それに局長もこの判断を受け入れている。」

紫の名を出され、これ以上の発言は控えてしまう雪那。

「それにだ、江麻学長もこの件について、既にノロと人体の融合をさせられた被害者が居ることを公表しないで欲しいということを言われてな。……その被害者の人生が潰れないようにだろうな。」

警察官僚が、隠蔽しなければ被害者の子供の人生が無茶苦茶になると告げ、雪那にも賛同するように迫っていた。

「……。」

汚いやり方だと、今更そんなことを言うのかとも思った。

しかし、雪那は被害に遭った子供の人生を奪う真似はしたくなかったのか、結局は政府関係者と警察官僚が指示した隠蔽に加担するしか無かった。

「そう言えば雪那君、被害に遭われた子供の名を聞くかね?」

警察官僚は意地悪く、雪那にそれを尋ねる。

「……必要ありません!!私にどうしろと言うんです?……悪党を処刑できなかった悪党がその子の名を知ったら、隠蔽した江麻学長を利用するかも知れませんよ?……それに、貴方方の家族や友人があのマッドの犠牲者になったら同じことが言えるのですか?」

結局は何も救えなかったと思った雪那は何かが壊れた感触と共に、狂った笑顔を警察官僚に向けて言っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

衛藤 優は暗い空間にポツンと居た。

暫し、何故此処に居るのか考えていたら、外で遊んでいたときに刀使に斬られた後のことが思い出せなかったため断念する。

そして、可奈美がいないことと知っている人が誰一人いないことに寂しかったが、優は自分を呼ぶ声が聞こえ、誰かいるかも知れないと思い、そちらを向く。

「……えっ、えっとな、我は、我は……。」

「……?」

もじもじとしきりに何か言いたげなタギツヒメがそこにいた。

だが、このときの優はタギツヒメと初めて会ったため、何と言えばいいのか分からず、首を傾げるしかなかった。

「何恥ずかしがってんの?タギツヒメ。」

だが、優より少し年上の知らない外国人の女子がタギツヒメを長年連れ添った友達のように呼んでいた。

「うっ、うるさいわ!……わ、我は何から喋れば良いのか分からんからこうなっているだけだ!」

「なっ?やっぱり無理だったろ?」

今度は肌が浅黒く優より少し年上の外国人の男の子が、その外国の女子と話していた。

「ええい!うっさいわ!!」

しかし、タギツヒメは外国人の男の子の言い方に怒ったのか、殴り倒していた。

「またケンカしてる。アハハ。」

すると今度は優よりも身長が少し低く、肌が焼けているのが特徴の知らない女児がタギツヒメと外国の男子のケンカを見て笑っていた。そんなやりとりを見た優は寂しさが吹き飛んだのか、クスリと笑ってしまった。

「あれ、元気でた?あっ、私はミカ。んで、あの自称神がタギツヒメ。そしてタギツヒメに張り倒されたのがジョニー。あとそれに笑っているのがニキータ。」

知らない外国の女子、もといミカが優に周りの人間のことを自己紹介をしていた。

最初にタギツヒメと呼んでいた知らない外国の女子の名前はミカ。

タギツヒメに張り倒された男子がジョニー。

そして、タギツヒメとジョニーのケンカを見て笑っていた女児がニキータ。

優は早速みんなの名前を覚えれたことと、友達ができたことが少し嬉しかった。

優はあとで、ここから出たら可奈美に紹介しようと思っていた。

「おい、ミカそんな紹介ねぇだろ。……アレ?お前日本人?」

ジョニーが優にそう尋ねると、優は「うん。」と答えた。

「……おっかしいなぁ、日系人はジジイの実験に付き合わされることはないと思っていたんだけどなぁ。」

優は気になることを言われ、ジョニーにどういう意味なのか尋ねていた。

「えっ?あのジジイに何かの人体実験にされたんじゃないの?」

ジョニーは優をまじまじと見つめながら、訊いていた。

「ええと、気付いたらここに居たから……よく分かんない。」

優も刀使に斬られた後、ここに居たので、何と答えればいいのか分からなかった。

「……て言うか、その子がこっちに来るってタギツヒメが言ってたじゃない。」

ミカは呆れながら、ジョニーにそう説明していた。

「……ああそうだったな。俺はジョニー、昔四十人の部下が居て、何人も撃ち殺した本物の男だっ!すげぇだろ!?」

ジョニーは南アフリカの出身で、少年兵達のリーダーだったらしく、銃の扱いと人を殺すことに長けていたことを優に自慢する。

「けど、父親みたいに信じていたボスに裏切られて、グアンタナモに送られたあとは何故か日本に送られて、あのジジイの実験に付き合わされて、化け物扱いされて死んじまった。」

そして、ジョニーは自らの過去を優に教えていた。

父親のように信じていた所属していた組織の長に裏切られ、辿り着いたところがスレイド博士によるノロと人体の融合実験の被検体扱いされ、最終的に荒魂化、タギツヒメと融合することになった記憶が優の中に流れていく。

「でもまあ、タギツヒメとニキータ、ミカみたいな奴等に会えたなら、そんな人生でも良かったさ。」

だが、ジョニーは大人達に良いように使われた人生でも、タギツヒメ達に会えたことを心から喜んでいることを優は分かってしまった。

「……そしてジョニーは単細胞。いっつもそんな話ばっかするんだから。」

ミカは暗い話をするジョニーを嗜めていた。

「うっせぇ、……お前は路地裏で花を売ってた話しろよ?」

「……サイッテー!」

己の過去を茶化されたジョニーに、ミカはジョニーを思いっきりビンタして張り倒し、更に不遜な事を言ったジョニーはタギツヒメとニキータからも追い討ちを貰っていた。

「ちょっ!待って待って!!謝るからっ!!」

ジョニーは必死で謝罪の言葉を言うが、

「今までで一番最低だったぞっ!!」

そんなことでタギツヒメが許すハズも無く、

「バーカ!バーカ!!」

更に年下のニキータまで侮られるハメに遭い、ジョニーは袋叩きにされていた。

優も路地裏で花を売るという意味が分からなかったが、ミカにとって辛すぎる過去であることは分かってしまった。

「でもさ、優ちゃんも大変だったね。大丈夫?」

そして、ミカの両親が貧困から脱するために僅かな金銭を得るとミカを捨て、向かった先の大人達から“玩具”にされていた記憶が、そのときの感情が優の中に流れていった。

「でも、失ったものは多いけど、手に入れたものもあるよ。」

その後は客から病気をうつされ、生ゴミと一緒に捨てられるところを、スレイドがミカを買い、病気を持った子供もノロを注入して治療することができる被検体として実験場まで連れて行き、ノロを注入させられる。

そして、結果は荒魂となり、タギツヒメと融合することになる。

「でも、私なんかよりニキータの方が酷い目に遭っているんだけどね。」

それと同時に、優の中にニキータの過去が流れていった。

ニキータは赤子のときから乞食マフィアに誘拐されたあと、手足を切断され歩くことも手を使うことも困難となり、目を抉られ失明し暗い世界しか見れない、そんな同情される稼ぎのいい物乞いに仕立て上げられ、最終的にはジョニーとミカと同じくノロを注入させられ、荒魂にされた、人生を不意にさせられた子供だと知ってしまった。そして優は、みんな辛いことが遭ったのに、自分はどうすることもできないことに歯痒さを感じていた。

「……でもね、ニキータ言っていたの、目が見えて、手で触れられたり、歩けることが新鮮で毎日が楽しいって。……私も、ニキータも、ジョニーもそう。親に、金に、大人に踊らされて酷い目に遭ったけど、タギツヒメやジョニー、ニキータや優みたいな子に、……みんなに会えたならそう悪くない人生だと本気で思えるよ。」

自分達に同情していることに気付いたミカは笑顔で優にそう話していた。

「タギツヒメは自分のことを荒魂だとか言うけど、私達にはよく分からないから……。優は何か知ってる?」

二十年前の大災厄を引き起こした大荒魂。殺戮しか知らない少年兵。春を売ることになり生ゴミ扱いされる少女。金のために不具にさせられてしまった幼女。荒魂でもそんな子供達でも、平等に接することができていた。

荒魂と人間の共生が実現している小さな世界が其処にあった。

「う~~ん、可奈ねーちゃんは悪い奴って言うけど、……とてもそうには見えないよね?」

もじもじしていて、他のみんなと仲良く接するタギツヒメを見た優は、可奈美が言っていた世に現れ人々を脅かす怪異とは思えなかったのでそんな感想を抱く。

「……だよねぇ、大人達が勝手に決め付けただけじゃない?」

悪い大人しか知らないミカはそんな感想を述べると、タギツヒメと出会った頃を思い出し、優に話していた。

 

 

 

 

「人間風情が何用……おい何故纏わりつく?」

最初の頃のタギツヒメは、まだジョニー達に敵意を向けていたのだが、

「ねーねー、何でそんなに肌がキレイで白いの?何で瞳の色が輝いているの?」

「ええい、纏わりつくなぁ!!というか我が、荒魂が恐ろしくないのか!?」」

ニキータに纏わりつかれ、質問攻めされたタギツヒメは困惑し、自分が人間を襲う荒魂であると言って、ジョニー達を恐れさせようとする。

「……荒魂って何だ?」

「聞いたことないから知らない。」

ミカとジョニーは外国出身で、日本のことをよく知らなかった。そのため、荒魂と刀使、ノロのことすらも知らなかったため、こうしてミカ達は何事もなく普通に接して来た。

「…………いや、だからと言ってな、我をどうとも思わないのはおかしいと思うぞ。」

「何で?」

荒魂を恐れないことはおかしいとタギツヒメは言うものの、ニキータにキョトンとした顔で訊かれると言葉が詰まりそうになるが、タギツヒメはどうにか説明しようとする。

「……まず我は、荒魂は人間に対する恨みがあって人を襲うのだぞ?」

「俺が南アフリカで少年兵になった理由は、家族を殺した政府側の人間に復讐するためで、人殺しやら略奪やらをしまくったから、俺はお前とどう違うんだ?」

タギツヒメは荒魂は人間に対する復讐心から人を襲うと言うが、ジョニーは家族の復讐のために何人も人を殺してきたから同じであると答えた。

「……我は穢れておる。」

「私、相手をさせられた大人に汚れた女とか売女とか言われたことあるから私って荒魂?」

しかし、ジョニーの言い分をものともせず、タギツヒメは穢れがあるから人間にとっては有害であると言うと、ミカは相手をさせられた大人達から汚れた女といった罵声を浴びせられたことがあったので、自分は荒魂なのかと尋ねられてしまい、さすがのタギツヒメも困惑してしまう。

「…………それにホラ、肌も不気味に白いし、人間とは違うのだから人間ではなかろう!?コレで分かっただろう!!」

「ニキータは足と腕が片っ方が無かったり、両目が潰されていたわたしのことをみんな気持ち悪がっていたから、……わたし荒魂だ、やったー。」

だが、タギツヒメは諦めず、自分は人とは違うと必死になって言うが、ニキータが金のために不具にされた自分を周りの人達が不気味がっていたために自分は荒魂だと思い、友達と一緒なことが嬉しいニキータ。

「あっ、おいそんなズルは無しだ、無し!俺だって荒魂だろぉ!!なっ、タギツヒメ!!」

「そうよ、だったら私も荒魂でしょっ!!そうでしょタギツヒメ!!」

仲間外れが嫌なのか、どちらが荒魂かで言い争い、どちらが荒魂なのかとタギツヒメに尋ねてくるジョニーとミカ。

「……何故荒魂になりたがる?」

タギツヒメはそれが心底理解できなかった。

「そりゃあ、人間とは違うなんかスゲェのなんだろ?そんなスゲェのになりたいからだよ。」

対等に扱ってくれて、話してくれる。そのうえ、どちらが荒魂かで言い争うミカ達に、タギツヒメは何とも言えなかった。だからなのかは分からなかったが、タギツヒメはミカ達のことを荒魂呼ばわりせず、

「…………何でもない、今のは忘れてくれ。」

と言って、自分が人間とは違う荒魂なのだと言っていたことを取り消そうとしていた。

「オイオイ、まさか自分は『我は神ぞ。』とか思っちゃっていたら、違ってたから恥ずかしいのか?キャーワタシ、タギツヒメは『我は神ぞ。』とか言っちゃって恥ずかしいわって。」

しかし、ジョニーはそれを見逃さず、茶化して来たのであった。

「…………うっさいっ!!」

そして、タギツヒメは茶化して来たジョニーを張り倒すのであった。

 

 

 

 

「まあ、そんなことがあってさ。」

ミカ達がタギツヒメと出会った頃の話を聞いた優は、

「……何でみんな荒魂になろうとしたの?」

とミカに尋ねていた。

「う~ん、……まあ、羨ましかったからかな?タギツヒメがさ、荒魂だから人間とは違うとか言ってたから、だったら荒魂って凄いことなのかなって思っちゃってさ、私達も荒魂になれば周りの人達にいいように扱われることも無くなるかもとか、タギツヒメと同じ荒魂になればタギツヒメも喜ぶかなと思ったから、私も荒魂になろうと思ってさ、タギツヒメに私達と荒魂はどう違うのか尋ねてみたら、……そんなに違ったとこはなかった。」

ミカ達は荒魂になろうとした理由を語る。最初はタギツヒメが荒魂は凄いみたいなことを言われ、その力が有れば今まで馬鹿にしてきた人達を見返せるかも知れないとタギツヒメを一人にすることはないと思い、自分達も荒魂になろうと思った。だから、荒魂と人間の違いをタギツヒメに訊いてみた。すると、そんなに違いがなかったことにミカ達は気づいてしまい、それ以来、荒魂になりたいと言わなくなっていた。

「……そうだね、荒魂だって友達になれる子が居てもおかしな話じゃないよね。……だったらさ、みんなでタギツヒメのことなんて呼ぼうか決めようよ?」

そして優も、タギツヒメとミカ達のことを荒魂だとは思えず、友達になりたかった。だからこそ、優はタギツヒメの呼び方をみんなで考えようとしていた。

「わたしも考えるー。」

「おお、良いなそれ。」

ニキータと復活したジョニーもそれに賛同する。

「……う~ん、だったらどんなのが良いかな?」

「じゃあさ、ヒメちゃんで良いと思う。」

ミカがどんな呼び方がいいのかみんなに尋ね、優がそれに答えていた。

「そっちの方がいいー。かわいいー。」

「私もそっちの方が呼びやすいから、それで良いよね?」

「…………う、うむ。」

ニキータとミカはそれに賛同し、タギツヒメは俯きながら答える。

「えぇ、こいつそんな可愛いか?」

「死ねぇ!!」

しかし、ジョニーだけはタギツヒメをヒメちゃん等というあだ名に相応しいとは思えないと言ってきたと同時に、またもタギツヒメに張り倒されてしまう。

「……ダメ?」

「ああ、いいよいいよ、タギツヒメもそっちの方がいいらしいし、ねっ、ヒメちゃん?」

「!……う、うむ。ありがとう。」

優はジョニーに反対されたため、ダメだったのかミカに尋ねると、ミカはその呼び方で決定したことを優とタギツヒメに伝える。それを聞いた優は嬉しそうに笑っていて、タギツヒメは優と真正面で話すのに照れ臭かったのか、俯きながら答えていた。

「……じゃあ、よろしくねヒメちゃん。」

優とタギツヒメ、ミカとジョニーとニキータは現世に生きていて、辛いことが沢山あったが、笑って話す日を迎えていた……。

 

 

 

 

 

 

 

その後、優とタギツヒメとミカ達は色んなことを喋って、色んな遠い国のことや文化を知って、おにごっこやままごとといった色んな遊びをして過ごしていた。そして――――、

「あれっ、可奈ねーちゃん?」

優は何処からか可奈美の声を聴き、其処へ向かおうとする。すると、優だけが一筋に光っている先に吸い寄せられ、次の瞬間、目の前には無機質な白い天井、白いベッド、白いカーテン、泣いている可奈美。

まず優は泣いている可奈美に、「おはよう。」と言って、可奈美を安心させるために自分の無事を伝えていた。そうすると、可奈美はあっという表情をして、優を強く抱き締めていた。

そして、優は気付いた。自分の中から、タギツヒメ、ニキータ、ミカ、ジョニーの声が聴こえたことから、自分の中にタギツヒメ達が入っていることに。

(……どうしよう、僕。)

友達のタギツヒメ達を見捨てて、自分だけが生き残ってしまったと強く後悔してしまった。

(……どうしたら、助けられるんだろう?)

どうすることもできないことを悟り、暗い表情をする優。

それを見た可奈美は、優が怖い思いをしたから元気が無いのだと思ったため、ある誓いを言う。

「ねえ知ってる優ちゃん。お母さんが刀使は人を守って、感謝されて、剣術も学べる、最高だって言ってた。けど、私はこうも思うの、刀使は人を守って、感謝される、“正義の味方”なんだって。……だから、約束。…私はお母さんみたいに人を守って、感謝される、“正義の味方”のような強い刀使になりたい。だから、私は優ちゃんのことも怖い物から守るし、今度は何があっても“救って”みせるよ。」

その話を聞いた優は、昔のことを思い出していた。

『大丈夫だよ!優ちゃんのことは何でも知っているから!!』

可奈美は既に忘れているが、身体の弱い優を気遣い“姉”として振舞おうとして、嘗て言った言葉。それを優は(おねえちゃんは何でも知っている。)と思い、誓いの言葉をこう解釈していた。

(……そっか、可奈ねーちゃんは分かっているんだ、僕の中に助けなきゃいけない友達が居て、僕もヒメちゃんもミカさんもニキータちゃんもジョニーくんも救ってくれるんだ。)

優は昔から助けてくれた可奈美の言う事を無条件で信じていた。だからこそ、いつも可奈美の言う事を聞いていたし、いつも後ろに付いて来ていて、無条件で信じ続けていた。

「……そうなんだ。だったら僕もそんな大好きでカッコイイお姉ちゃんの助けになりたい。」

そして、優も可奈美と同様に誓いを立てる。大切な友達のタギツヒメとミカとニキータとジョニー達全員を救ってくれる、大好きでカッコイイお姉ちゃんの助けになるため、

(……だったら、身体が弱くて男だから刀使になれない僕にできることは、可奈ねーちゃんの邪魔をする奴は全員倒しちゃえば良いんだ。)

そう思い、胸に刻んでいた。自分にできることはこんなことしか出来ないから、

(……だから、大好きな可奈ねーちゃんを護ることができれば、可奈ねーちゃんが強い刀使になれれば、みんなを救ってくれて、可奈ねーちゃんが喜んでくれる。それなら、何人も倒しても何人潰しても悪いことじゃない。)

可奈美が強い刀使になれば、みんなを救ってくれる。その目的を果たせるのなら、例え、夥しい流血と元々人だった肉塊を作ったとしても、それは悪いことじゃないと、罪ではないと結論付けていた。だからこそ、

(……みんな、力を貸してくれるよね?)

そして、優は語りかけ、

 

タギツヒメから、龍眼を引き継いだために、刀使相手でも戦えた。

 

ニキータから、楽しむことを教えてもらったために、笑うことができた。

 

ミカから、いつも慰めの言葉を言い続けてくれたために、辛いことにも耐えられた。

 

ジョニーから、銃とナイフの使い方を教えてもらったために、邪魔をする者を排除できるようになった。

 

優はそうなれたことが嬉しかった。いつか、ただひたすら進んで行けば、可奈美が辛い事も悲しいこともきっと笑って話す日へと導いてくれる。全ては大好きでカッコイイお姉ちゃんの助けになる、優はそう固く信じ続けていく。それ故に、可奈美を疑うこと、可奈美の邪魔をする敵を排除すること、それらを行うのが自分自身の存在意義であると思い始める。例え、流血の道しか無くとも、それが優の覚悟であった。

だからこそ、優は荒魂であっても、刀使であっても、親衛隊であっても、STT隊員であっても、どこの誰であれ、邪魔をする者は排除する。例え、それで自分が死んだとしても、可奈美が強い刀使になって自分達を救ってくれるだけで充分だったから、可奈美が履行できる約束であるかも考えず、全く疑わず、優はただひたすら進んで行くのみであった…………。




タギツヒメちゃんに友達(黒い袋の子供達の生き残り。そして彼等も一生外へ出れない。)が居ました。
そしてアニメ本編19話を観て、タギツヒメが本当に欲しかったのは、臣下とか部下とかではなく、対等に接してくれる友達じゃないかと思ってしまいましたので、いつかこういったオリキャラを出してみたかったです。
多分、次回も折神家本邸に突入するまでの間、優が何を思って戦っていたのかとかの話になりそうです……。本編に早く戻して欲しいと思っている方、申し訳ないです。
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