【完結】刀使ノ巫女+α   作:tatararako

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37話を投稿させて頂きます。
真希さん役に立たねぇーーーー!!とか、言わないでやって下さい。出した理由はあります!!


落ちていく決意

刀剣類管理局の窓の無い個室(逃亡防止と心理的圧迫感を与え、自供しやすくさせるという目的もある。)にて、親衛隊第一席の真希と同じく第二席の寿々花が幽閉されていた。理由は人気がある獅童 真希と此花 寿々花が不正(ソフィア達が仕組んだことだが。)を行ったことが広まれば、誰が味方で誰が敵かで味方同士で疑い、刀剣類管理局内部が混乱してしまうという事態に発展することを恐れてのこともそうだが、折神家親衛隊の中でも有名な二人が背任していたことが公になれば、折神家も政治的なダメージを受けてしまうことになるため、それを避けるために真希と寿々花の両名は朱音が捕まり、事態が終息するまで背任を公表されることなく刀剣類管理局内にある個室で軟禁されていた。

「……またあの現象か?」

視界がぼやけたかのような現象を見た真希はまず危機感を抱いていた。

「紫様はもう、いえ何時からかは分かりかねますが、本当に荒魂かも知れませんわね……。」

寿々花も真希と同じく危機感を抱いていた。紫は既に居らず、荒魂となっており、力を増したためこのような現象が起きたのだろうと推測していた。

「だとしたら、ここで大人しくしていたら不味いな。」

「あのような現象を二度も起こしておきながら私達に何もしないということは、……荒魂は誰かと交戦中と見て良いでしょう。」

「ああ、先程の六つぐらい起きた地震の様な揺れから、舞草……朱音様達が何かで突入したのだろうから、ここで待つ訳にはいかないな……。」

真希と寿々花は仮に紫の姿をした荒魂が勝利すればどうなるかを推測していた。恐らくだが、生かしておく理由がないので殺しに来るのは間違いないのだが、脱出しようにも頑丈な扉が一つしかなく、御刀が無ければただの女子高生ぐらいの力しか出せないので、壊すこともできなかった。

(警備の人間が居ない今が最大のチャンス、だがどうやって抜け出す?)

真希と寿々花の逃亡防止のために居る警備の人間が賊の対処を優先したせいなのか、もしくは新たな荒魂の事件に対処したのかまでは定かではないが、扉の向こうに人の気配が無いことから居ないと分かっていたのだが、真希と寿々花はこの窓が一つも無く殺風景な部屋から脱出する方法が何一つ浮かばず、そのうえ巡り巡ったチャンスが目の前に有ることもあって、時間だけが過ぎていくことに焦りを感じていた。だが――――、

 

「キエエエエエッ!!」

 

誰かが猿叫を上げたことから、真希と寿々花は急いで頑丈な扉から離れると、頑丈な扉はいとも簡単に歪な形となって、破壊されてしまった。……そして、猿叫を上げた人物がこの部屋の中に入って来ており、姿を見ると、

「……益子 薫か?」

「何用で?」

所々に服が汚れている薫だった。

そのことに驚く真希と寿々花、舞草の一人である薫が隠れ里を襲撃した仇を取るために来たのかと思い、冷や汗が出ていた。これも、紫が仕組んだことではなかろうかと……。

「……なあ、ワリィ助けてくれねぇ?」

しかし、意外な言葉にキョトンとする真希と寿々花。

「奇遇だね、僕達も助けて欲しかったんだが。」

そのため、真希は罠である可能性も考慮し、薫の真意を探ろうとしていた。

「……ワリィが、冗談言っている場合じゃねぇんだ。……大荒魂が復活しようと……してるんだ。」

薫の言葉に、真希と寿々花は驚愕するが、一旦冷静になると紫に取り憑いているのは、その大荒魂ではないかと推測してしまった。

「その大荒魂とは何ですの?」

寿々花は少しでも情報を得るべく、薫を問い詰めるかのように聞き出していた。

「……20年前の大荒魂だよ。相模湾で……起きた奴がまだ……折神 紫に取り憑いてやがった。」

薫は夜見に与えられたダメージが尾を引いているのか、息も絶え絶えになりながらも真希と寿々花に話していた。

「つまり、紫様はその大荒魂に操られているという訳なのか?」

薫の話を聞いた真希は、紫は20年前の大荒魂に操られているだけなのかどうか、問い質していた。

「ああ、多分な……。」

薫は、真希の質問の内容に肯定の返答をしていた。

「証拠は有るんですの?」

しかし、寿々花は山中の戦いにて、散々にしてやられたこともあって、薫の話に懐疑的であり、こちらを嵌める何かの罠かも知れないと思い込んでいた。

「……証拠は無ぇよ。」

「なら、貴女の話をどうして信じられると思いまして?貴女方は、夜見さんと真希さんをあんな目に遭わせた貴女方の言うことにっ!!」

「嘘付くなら、もっとましな話をするよ。……それにな、お前達に言われたくねぇよ。……エレンをぶん殴ったりしたことも、マイケルとシェパードとロークや里の皆もお前達のせいでなっ!…………やり返してぇよっ!!」

寿々花の言い分に、薫も熱く反論する。そのため、寿々花は思わず閉口してしまう。

「……けどな、それよりもやらなきゃいけないことが有るんだよ。……だからよぉ、今のボロボロな俺が、可奈美達のところへ行っても、ロクな戦力にならん。……だから、お前達に頭下げてでも、……いや、この国は20年間も奴に騙されせっせとノロを集めていた。……責任取らせようと思ってな、親衛隊。」

そして、薫は既に写シも張れない自分が行くよりも、自分よりも強く、こちらの味方になりそう(紫、もとい大荒魂の命で、捕まっていることからのおおよその推測でしかないが。)な真希か寿々花を今も大荒魂と戦っているであろう可奈美達の元へと、自分の代わりに向かわせようとしていた。

「……すみませんが、私達も御刀を没収されておりまして、行っても戦力になりませんわ。」

だが、今の真希と寿々花は、反逆者の烙印を押され、御刀を没収されて此処に居り、自分達の御刀が何処に有るのか不明のため、ただの女子高生と変わりない者が行っても戦力にならないと寿々花は言うが、

「……いや、寿々花。御刀なら有る。」

「へっ?」

突然真希が、自分達の御刀が没収されて何処に有るのか分からないのに、妙なことを口走ったために、思わずすっとんきょうな声を上げてしまう寿々花。

「こいつの御刀を借りる。お前はそれでも構わんだろう?」

「……ちっ、しゃあねえ。」

真希はそう言うと、薫の祢々切丸を掴んでいた。それを見た薫は自身の愛刀を真希に託すことにした。

「えっ?ちょっ、ちょっと真希さん!?幾らなんでもそれは無謀と言うものですわよっ!?他人の御刀を使えば、神力を引き出す効率が悪くなりますし、いくら真希さんでも扱い慣れていない御刀で大荒魂を倒すのは無理ですわ!?」

しかし、寿々花は真希が大荒魂の元へ向かうことに反対していた。理由は、神力を引き出す効率が悪くなるうえ、吼丸と祢々切丸では刀身の長さから全く違うため、間合いの取り方も何もかも違う他人の御刀で、20年前の大荒魂に向かうのは、流石の寿々花でも真希の身を案じ、反対していた。

「寿々花、勝算が無ければこんな提案をする訳がない。……それに、この複雑な迷路から脱出する最初で最後の機会(チャンス)なら、勝負をしたい。……益子 薫だったか?何でも良い、奴の弱点や特徴は何か知っていないか?」

「……そうだな、あいつは……龍眼っていう未来が見える能力(ちから)を持っている。……けど、弱点は視る範囲を広げて脳を処理落ちさせること、……だから、一対多の状況に持ち込めば勝ち目は有る……!」

薫は真希に、紫の中に居るタギツヒメの能力を教え、少しでも真希に情報を与えていた。

(……そうか、だから御前試合のとき、紫様は十条 姫和の突きを躱せたのか!)

その情報により、真希は薫の言っていることが真実であると確信したと同時に、今まで何故そのことに疑問に思わなかったのかと後悔していた。

「……でしたら、貴女が行くなら私も……。」

「…いや、寿々花は此処に残って益子 薫を頼む。御刀は一本しかない。……今ここで逃げたら、結芽に大荒魂相手に尻込みしたと言われるだろうし、……それに、益子 薫を疑えば、紫様のことを調べてくれた寿々花も疑うことになるからな。だから、昔のように行こう。僕は前衛(ポイントマン)で君は後衛(バックアップ)だ。」

真希は、例え何があろうとも、ボロボロになってまでこの事を伝えた薫と今まで支えてくれた寿々花を信じることを決意し、あとは20年前の大荒魂の元へと向かうまでだと決めていた。

「……ですが、貴女を失うことになれば、親衛隊を指揮するのは誰なのです!?なら、私が行くべきです!!」

しかし、寿々花は一歩も引かず、真希の代わりになる者は居ないと言って、真希を守るためか、真希を失いたくないためなのか、自身が鉄砲玉になると言い始めた。

「寿々花、聞いてくれ。この御刀は見たところ2m以上はあるから、実質“打ち”か“振り下ろし”、可奈美達のところへ向かうという点から集団戦であることから、ある程度の“薙ぎ払う”くらいしかできないだろう。それらを踏まえて考えると、寿々花の鞍馬流の『巻き落とし』や『変化』は刀の微細な操作が必要だから、選択肢が少なく、間合いも何もかも違う他人の御刀でそれをやるのはまず無理だ。だが、僕の新道無念流は“力の斎藤”と言われるほど単純な力技が多くてね。だから、この御刀と相性がどちらが良いかと言われれば、単純な力技が多い僕だろう。」

真希は、大太刀の利点を生かせるのは自分であると言って、寿々花を納得させようとしていた。

「……ですが。」

「寿々花、僕達は刀使だ。国民から荒魂を守るのも使命だと言ってくれたろ?なら、君の推測も、考えも全て信じるさ……。だから、今益子 薫を信じれないなら、僕を信じて欲しい。」

真希はそう言うと、真剣な表情で真っ直ぐに寿々花を見つめて、そう答えていた。

「……そうですわね、分かりました。恐らくですが、その大荒魂は最大の力を発揮するためにノロの貯蔵庫か祭殿で待ち構えると思われますわ。……それと、間違っても刺し違えてもっていうのは辞めて下さいませ。私は、何時までもお待ちしておりますので。」

寿々花は真希に背を向けて、俯いているのか顔を見せないようにタギツヒメが居るであろう場所を真希に伝えていた。

「……ありがとう、行ってくるよ。」

真希は、薫から受け取った祢々切丸を担ぎながら、寿々花の言葉を背に受け退室し、ノロの貯蔵庫へと走って行った。

 

 

――――例え、この身に何が降りかかろうが、何が起ころうとも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそ……!」

紫が禍々しい姿となって、数分経つが可奈美達は未だに有効打を与えられないまま、時間だけが過ぎていくことに姫和は苛立ちを感じていた。

S装備の打ち込みを片手で防ぐことからある程度の予想はできていたが、その力は凄まじく、S装備が無ければ今頃気を失っていたことは容易に想像が付く程であった。加えて、不規則にしなる鞭のように動く四本の腕(内一本の腕は御刀を持っていないが、殴打してきていた。)を見切ることが難しく、尚且つ“龍眼”による未来視が不意討ちや奇襲を容易く躱してしまうことによって、打てる手段が無くなりつつあったことでS装備の稼動時間が過ぎようとしていた。

そうこうしている内に、衝撃の風が吹く程の振り下ろしに、床が耐えられなくなったのか崩れてしまい、下のノロの貯蔵庫へと下ろされてしまう。

「可奈美ちゃん、一度退いてっ!!沙耶香ちゃん、後ろ!!」

舞衣は陣頭指揮を取りつつ、守備手が居ないにも関わらず明眼と透覚を使って敵を探りながら、敵の猛攻をどうにか躱し続けていた。

(……無念無想はダメ。行動が単純になるから、先が読める相手には相性が悪い。)

沙耶香は“無念無想”を使うことを放棄した。理由は行動が単純化してしまうため、先を読むことができる相手にはすこぶる相性が悪いと判断したからであった。

(……写シを張るのは、あと一回ってところかな?)

可奈美は姫和を庇った際、突かれながらも紫こと大荒魂を投げ飛ばしたことにより、かなりの精神力を損耗していた。

(……っ!)

そして、姫和は、紫の後ろに優の幻影を見たときから、紫に一太刀を浴びせる覚悟ができなかった……。

もしも、紫を斬ってしまえば、次は優を斬らなければならないような気がしたため、斬ることを躊躇い、敵が目の前に居るのにも関わらず、未だに迷っていた……。

「!姫和ちゃん、少し後ろに退がって!!……あっ。」

姫和に、いつもの太刀筋の鋭さが無いように思えた舞衣は一旦後ろへと退がるように指示を飛ばすが、その隙を狙ったかのように大荒魂は舞衣に猛攻を加えようとしていた。避けられない、そう覚悟する舞衣だったが、

「うおおおおおおおおおおおお!!」

突然、真希が乱入してきたため、大荒魂は舞衣への攻撃を中断し、真希への対応を優先した。

「しっ、獅童さん!?」

真希が突如現れたことに驚いた舞衣は、思わず真希をさん付けで呼んでいた。

「話は後だ!益子 薫の代わりにはならんだろうが、少しくらいは役には立ってみせるさ!!」

真希は、薫の代わりとして戦列に加わることを可奈美達に伝え、その証拠として紫、いや大荒魂に薫から借りた祢々切丸の切っ先を向けていた。

「お前……裏切るのか!?」

姫和は真希がそのような行動を取るとは思えなかったので、真希に対し、このようなことを言ってしまった。

「ああ、相手が紫様じゃなければ問題無いだろうっ!!それに、益子 薫から20年前の大荒魂だと教えて貰った!!」

真希は姫和への返答として、薫から話を聞いたことを伝えると、大荒魂に打ち込みで斬り掛かる。

「そういう訳だ。この“力”はありがたく使わせてもらう!!」

真希はそう宣言すると、薫から借りた御刀で戦うというデメリットを荒魂の力でカバーしようとしていた。

「……何人来ようとも結果は変わらん。折神 紫を超える刀使はこの世に居ない。」

美奈都が生き返らない限りは、と大荒魂は心の中で呟いていた。

しかし、真希を加えた可奈美達五人でも、状況は改善されなかった。いや、先を視ることのできる能力(ちから)が全ての攻撃をいなされ、

「沙耶香ちゃん!……あっ!!」

大荒魂は御刀を持っていない腕で拳大の石を掴んで、舞衣に向けて投げ、当てると同時に御刀で斬って、写シを剥がして舞衣という司令塔から真っ先に倒し、連携を取り辛くさせる。

「舞衣っ!!……うっ。」

それと同時に、隙を見せた沙耶香を的確に突いて写シを剥がして倒すと、一対多の状況から脱していき。

「うぐっ、……くそっ!!」

そして、二人がやられたことにより、空いた腕を総動員して真希に猛攻を加え、写シを剥がすと、三人目を瞬く間に倒してしまった。

『バッテリー残量ゼロ。機能停止と共に、装甲を強制パージします。』

そのうえ、可奈美と姫和のS装備はバッテリーが無くなったというアナウンスが流れると、機能を失い、強制解除されてしまう。

(……こっちは二人、S装備も無くなったから、大荒魂の攻撃を何とか受け流さないと……。)

龍眼対策の数の差による暴力も、唯一の対抗手段のS装備も失い打つ手が失われつつあることを実感しつつある可奈美。

「我は、禍神。」

突然、大荒魂がそんなことを言ってきたため、少し呆けてしまう可奈美と姫和。

「脈々と受け継がれてきた折神家の務め。」

そして、大荒魂は語る。

 

大荒魂は、生存の道を模索していたこと――――。

 

紫は、美奈都と篝の命を救うために、大荒魂と同化したこと――――。

 

紫と同化した大荒魂は隠世の浅瀬に潜み、傷を癒していたこと――――。

 

「しかし、紫は二人の生還を選んだ。」

可奈美と姫和の母達を人質に紫と同化したことを告白していた。それと同時に大荒魂が動き出し、身構える可奈美と姫和。しかし――――、

「やっと、来たか!!」

大荒魂がそう言うと、大きな破砕音と共に、大荒魂の頭上から天井が崩れ、大荒魂が後ろに退がって躱したことにより、可奈美達二人と大荒魂の間に大きな土埃が舞い、可奈美達二人と大荒魂の間合いが空く。

その瓦礫の土埃から、鉄の棒が現れ、紫に襲い掛かってきた。

「やっと、来たか……“器”が。」

そして、土埃から鉄の棒を持ち、ニッカリ青江を携えた優が現れ、

「……行こう、みんな。」

紫に憑依した大荒魂と対峙していた。




次回、オリ主VS紫様(大荒魂パワー)。

あと、美奈都さんは大荒魂戦では出さない方針です。
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