【完結】刀使ノ巫女+α   作:tatararako

53 / 167
50話を投稿させて頂きます。
いや、今回は大分遅れて申し訳ないです……。
遅れた理由、今この装備どうなってるんだろうとか調べてたら、防衛省防衛装備庁公式チャンネルにハマってしまったり、防衛省の政策評価書とかに狂気乱舞して読み漁っていました。


出向中の自衛官達の役割。
西田二等陸佐……指揮通信担当の統括、並びに他の部隊の通信報告。
沼田一等陸尉……情報収集と分析、並びに戦況報告。
鏑木一等陸尉……医療とS装備刀使のオペレーター。
古河三等陸尉……通信士とS装備刀使のオペレーター。
勝田二等陸尉……車輌の護衛。
 
 


箱根山戦2

箱根山山中特別祭祀機動隊仮野営地――――。

基幹連隊指揮統制システム搭載の中型トラック内。

「航空自衛隊から提供された情報と米軍所属から提供された情報を照らし合わせましたが、荒魂の数と規模は作戦前から変わりないようです。再度逆探をかけましたが、やはり荒魂からのレーダー波は確認されません。」

そこには、情報収集と分析、並びに戦況報告を担当する沼田一等陸尉から、航空自衛隊のF-35Aから送られた情報に間違いが無く、そのF-35Aから送られた情報と米軍所属のグローバルホークから送られた情報を照らし合わせた結果から荒魂の数と規模は作戦前から変わりが無いことと、荒魂から妨害電波やレーダー波がないことからネットワーク等を扱う電子戦の概念が荒魂側に無いことと、妨害電波やレーダー波を発することができる新種の荒魂が居ないことを寿々花に報告していた。

「S装備刀使5名のフィジカルチェック。S1からS5、心拍数、血圧、全て正常、異常無し。」

「同じく、S装備刀使5名、S6からS10、同じく異常無し。」

同じく、鏑木一等陸尉がS1からS5(尚、S1は舞衣、S2は沙耶香、S3は可奈美。)の心身のバイタリティとS装備のバッテリー残量の担当をし、古河三等陸尉がS6からS10の心身のバイタリティとバッテリー残量の担当をしていた。その二名の報告から、S1からS5、そしてS6からS10までの新型S装備の刀使達全員の心身に異常が無いことを意味し、新型S装備刀使全員が荒魂討伐作戦の任務を遂行することについて何も問題が無いことを寿々花に伝えていた。

尚、今回古河と鏑木がS装備の刀使のオペレーターを務めることになったのは、女性同士であれば話しやすいという理由である。

「最新気象情報によりますと、現地に低気圧が接近するとの予報がされています。最も明日の正午までは快晴、天候の急変は無いとのことです。」

今現在の天候は快晴であり、天候が明日の正午まで変化が無いということは援護する機体として陸自の無人ヘリコプター機FFRSと回転翼航空機AH-64D及びOH-1改といった航空機が使えることを意味し、偵察活動、人員輸送、航空支援が可能であることを示していた。

「……真希さん、通信感度は良好ですか?作戦予定通りにヘリコプターの支援は可能です。応答を。」

寿々花は一連の報告を聞き、早速真希にもそれが伝わっているかどうかを尋ねると共に、前線への通信は確保出来ているかどうかを尋ねていた。

『ああ、問題無く聞こえているよ、寿々花。感度は良好だ。』

その真希の応答を聞いたと同時に寿々花は、現在の状況を整理していた。

予測通り、荒魂はレーダー波と妨害電波を発していないことから、第5の戦場と言われているサイバー戦争という概念はまだ荒魂には無いということ。新型S装備を着用している刀使の心身の状態は現在異常が見られないということ。前線への通信は確保されていることが真希との通信で確認済み。天候は不順ではないのでヘリといった航空機が使えるため、航空支援とヘリボンによる戦線への増援が可能。陸自の特科部隊も展開が終了し、砲撃による火力支援が可能であること。

今のところ、作戦計画通りである。……そう判断した寿々花は、各小隊に最終ブリーフィングを行なう。

「……分かりました。では、第一小隊から第四小隊へ最終確認。第一小隊と第二小隊は先行し箱根山周辺の荒魂を討伐。討伐方法は荒魂がこちらに気付いていない場合によりますが、大型の荒魂の場合は第二小隊所属のSTT隊員によるサプレッサー付きの短機関銃、MP5SD6で荒魂の注意をSTT隊員に向けさせ、その隙に新型S装備を纏った刀使が側面、或いは背後を強襲して斬って祓う。弱い荒魂が相手だった場合は、いつも通りに斬って祓って下さい。そして第一、第二小隊の支援を担当する第三小隊は第二小隊の新型S装備のバッテリーを運んでもらい、各ブロックの荒魂が居た区域を一つ一つ制圧。それと、もしもの話ですが、荒魂が早期にこちらの存在に気付いてしまい、多数の荒魂がこちらに向かって来た場合は第一小隊が囮となって戦線を維持し、続く第二小隊が荒魂の陣形の隙を突いて陣形を乱れさせ、陣形の穴を突き壊滅的打撃を与えてください。第一、第二小隊の支援を担当する第三小隊は第一小隊の支援と陣形の穴を塞いで貰います。もし、作戦の続行が困難であると判断した場合は陸上自衛隊の99式自走155mmりゅう弾砲とAH-64DとAH-1Sの編成による火力支援によって撤退支援を行なってくれる手筈となっていますので、撤退は許可されております。故に、無理に殲滅する必要ありません。」

最終ブリーフィングを終えた寿々花は各小隊に作戦成功を祈る旨を伝えていた。

「…以上です。では、現刻より荒魂掃討作戦を開始。作戦通りに完遂することを祈ります。」

作戦開始を真希に告げる。

『了解、今から特別災害予想区域に入る。』

箱根山の特別災害予想区域、つまり荒魂掃討作戦の作戦区域に入ることを真希は各小隊に伝えていたそんな中――――。

「第一小隊並びに第二小隊に通達、敵の荒魂が一体、こちらに急速に向かっています。荒魂のタイプは刀剣類管理局のデータベースによるとムカデ型、会敵予想時間は約20秒。」

他の部隊への通信を担当する西田二等陸佐から、ムカデ型の荒魂が真希達に急速に接近していることを襲撃を担当する第一部隊及び第二部隊に報告していた。

尚、女性でもない西田二等陸佐が他の部隊への通信を担当しているのは99式自走155mmりゅう弾砲と野戦特科射撃指揮装置を使用する特科部隊、並びにAH-64DとOH-1改そしてAH-1Sを擁するヘリ部隊との通信を行なう際、出向している自衛官の中で階級の高い西田二等陸佐に任せるのが適任であると判断されたからである。

『……一体のみか、丁度良い。』

数名で対処するムカデ型が急接近しているにも関わらず、真希はいつも通りに、冷静な態度を崩さずに応えていた。ここで、あの荒魂を自分が倒せば他の刀使達の士気はぐんと上がるだろうと頭の中で計算しつつ、運が良いなと真希は思いながら、他の刀使達よりも前へ出ていた。

『真希さん、あと数秒でこちらに『分かっている。アレは僕の獲物だから、手を出すな。』…はい。』

真希とその配下に居る刀使の会話から、どうやら真希が単独であのムカデ型を相手にするようである。

そんな会話が聞こえた数秒後、今にも火花が散りそうな程の刀剣と何かの硬い物質が打ち合う金属音が複数回聞こえてきたため、恐らくだが、真希とムカデ型の荒魂の戦闘が発生してしまったのであろう。しかし、唐突にそんな事態になったにも関わらず、西田達は努めて冷静に、慌てず、新型S装備のTVカメラを通じて、真希とムカデ型の荒魂の戦闘状況を見ていた。

そこには、S装備も装着していない真希が、数名で対処するほど強力なムカデ型の荒魂を相手に単独で圧倒していた場面が映っていた。

(……なんと。)

これには西田も、いや恐らく中型トラック内に居る者達の全員が、新型S装備に内蔵されているTVカメラを通じて写っている真希とムカデ型の荒魂の戦闘を注視していた。皆、西田と同じで、流石は大会二連覇を成し遂げたことで折神家親衛隊第一席に就任した経歴を持つ獅童 真希であり、刀使の中でも屈指の実力者であることを再認識すると、真希と荒魂との戦闘を固唾を呑んで見ていたのである。

そうして、真希は一撃一撃が鋭く重い攻撃で一瞬の隙を作り、その隙を見逃すことなく突いて、強力なムカデ型の荒魂を一刀のもとに切り伏せるとノロへと還していった。

『……すごい。』

『あれほどの荒魂を一刀のもとに……。』

そんな真希の活躍を見た他の刀使達は感嘆とし、称賛の声を上げていた。

『お見事です、真希隊長っ!』

『いや、このくらいなら大したことはない。』

そして、ムカデ型の荒魂を真希が討伐したところをSTT隊員は透かさず真希に賛辞の言葉を送っていた。

STT隊員が真希に賛辞の言葉を送った理由は、“本来ならば数名の刀使がチームを組んで討伐するほど強力なムカデ型の荒魂を前線指揮担当の真希が単独で倒した”ことを宣伝することが目的で、周りの刀使達にも聞こえるように賛辞の言葉を送っていた。

STT隊員の賛辞を送る声を聞き、状況を知った刀使達からしてみれば、先ず自軍指揮官が手本を見せるかのように、この荒魂掃討作戦の中でも最も手強いであろう荒魂を単独で討伐して見せたのである。そんなものを見てしまったり、聞いてしまった刀使達の士気は嫌でも上がるものであり、そうなってしまえば、真希への信頼は上がり上司と部下の関係は確固たるものとなり、荒魂掃討作戦の効率と遂行率、そして今後の部隊運営にも好い影響が出るというものであろうと、真希は後のことまで計算していた。

荒魂をたった一体討伐しただけのことで、古今東西の諸将が万年苦慮したことであろう兵の士気向上を簡単にしてのけたことに真希は内心過去の英傑達や教科書に載っている将兵達にどう思っているのか聞きたかったが、反面怖い位物事が上手く行っていると危惧しながら、こう宣言した。

『さあ、山狩りだ。』

真希は部下達がこの箱根山での荒魂掃討作戦は勝利という名誉が得られると確信させるべく、まるで、今からハイキングでも行くかのように山狩り宣言をし、更なる士気の向上を狙っていた。

その効果はあったのか、この人の下で戦えば、大丈夫であると確信した目をしながら、STT隊員達も周りの刀使達も皆、やる気に満ちた顔と目をしていた。

そのときの真希はこのときばかりは隊長の役割が余程愉快だったのか、作戦報告書の文面によく現れていたと朱音局長代理、中谷防衛大臣の両名は後年答えている。

しかし、その反面、先程のイレギュラーで真希は衛藤 優の中に居る強い荒魂の力に引かれてさっきのムカデ型の荒魂が急接近したのかも知れないと不安に感じたせいなのか、この荒魂掃討作戦には不安要素があり、作戦前にその事について危惧していたことをつい思い出してしまっていた。その危惧とは、荒魂パーカーを身に纏い、フードを被りながらスポーツマスク(尚、変声機が仕込まれている。)とグレー系のゴーグルを装着し、旧折神家親衛隊の制服を着用している者は、公には世界初の男性の刀使であると言われており(その際、他に男性の刀使が居ないかという適正検査を受けるという無意味な応募や美濃関や平城といった共学の刀使養成学校から御刀の適合者が居ないか検査をした、といった多くの騒動があったのではあるが、今は端折らせて頂く。)、白いウィッグを着けているとはいえ衛藤 優であると知っているのは可奈美達と朱音や甲斐といった限られた刀剣類管理局の職員と政府閣僚だけであり、それ以外の者に荒魂と融合している優がこの作戦に参加していることが世界各国にバレてしまえば、ノロで強化された子供は隠世の力を使いこなせることが知れ渡ることとなり、反政府勢力や紛争国といった勢力がノロの軍事利用をするため、ノロの力で強化された少年兵を積極的に導入することになる恐れがあり、それらを討伐することになった刀使達は精神的に壊れてしまうこととなり、刀使の更なる病気退職及び離職率の増加とノロで強化された子供が増加するのを防ぐため、そして優の命を少しでも長くするため、優を変装させ戦闘に参加させていた。そして公的には、世界初の男性の刀使として生体実験等にされるのを防ぐために刀剣類管理局の元で保護、正体を隠しているということになっている。そのため、荒魂の力で強化された優がこの作戦の戦闘に参加していることは隠さなければならなかった。

そしてもう一つは、AH-64DとOH-1改が一機ずつしかないため、仮に無人機とこの機体も墜落してしまえば、上空からの充分な偵察情報が得られなくなることを危惧していた。できれば、もう少しOH-1改とAH-64Dの作戦投入機数を増やして欲しかったが、陸自のAH-64DとOH-1の調達数は少数しか配備されていない(我が国のAH-64Dの現在の導入機数は本当に少ない。)ことを鑑みれば、致し方ないのだろうと真希は結論付けると同時に、今後の刀剣類管理局の方向性について考えていた。

(……以前、僕と寿々花が箱根山で荒魂掃討作戦中に荒魂の伏兵によって本隊と分離、孤立させられたことが今後も起こることと常に自衛隊や米軍の支援があるとは限らない現状を考慮すれば、現在の特別祭祀機動隊の刀使の人員は減りつつある以上、特別祭祀機動隊にも作戦区域全体の情報を入手できる無人機の導入は必要になってくるだろう。……戦場の霧が無ければ前のように孤立することは無くなる、…かも知れないしな。)

今後も特別祭祀機動隊の刀使の人員が減りつつある昨今の現状を鑑みれば、以前折神家親衛隊を中心にした箱根山の荒魂掃討作戦中に起きた荒魂の伏兵による本隊との分離と孤立状態に陥ったことが再度起これば、以前のように夜見や結芽が救援に来て、一命を取り留めることが有るかどうか……。といったことを考えていた真希は、今後特別祭祀機動隊にも小型の無人機が必要になるかも知れないと予見しつつ、考えながら進んでいった。

 

 

 

 

だが、政府が市ヶ谷に居る“姫”に対抗する手段を得るために、この荒魂掃討作戦で討伐された荒魂のノロを優に投与させ、優の中に居る荒魂の力を増大させようとしていること、そして珠鋼と御刀との併用で能力がどれ程ブーストされるかどうか、荒魂と珠鋼を近付けることによって穢れが清められるかどうかを実証するために優が着ている親衛隊の制服の一部装飾には珠鋼が使用されているという実験動物の様な扱いを受けていることに真希も、可奈美達も知らないまま、気付く事も無かった――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ブロックI周辺も荒魂の殲滅完了しました。次はどこへ?」

第二小隊を率いる舞衣は、9番目の区域ブロックI周辺の荒魂を殲滅し、ブロックIが安全地帯となったことを鏑木一等陸尉へと報告していた。

『了解しました。これにより、箱根山周辺の荒魂の戦力は約65%まで減衰。ブロックIの制圧は第三小隊へと引き継ぎ、第二小隊は続けて舞衣さんから見て右方向のブロックJへ向かい、周辺の荒魂の殲滅と周囲の安全確保をお願いします。ブロックJ周辺の荒魂の種類、刀剣類管理局に保管されているデータベースから照合。大型のムカデ型一体、他の9体は脅威度の低い蟲型であることが確認されました。ブロックJ周辺に居る荒魂の位置と構成、地形のデータを送ります。』

鏑木一等陸尉の声を聞きながら、舞衣は新型S装備のバイザーに表示されている基幹連隊指揮統制システム搭載の中型トラックから送られたブロックJ周辺の荒魂の位置と規模、詳細な地形のデータを確認し、作戦を組み立てていく。

今回、第二小隊を舞衣が指揮することとなったのは、真希が指名したからであり、その理由は大荒魂相手に指揮手として立ち回れたこともそうだが、真希自身ももう16歳であることを鑑みて、何時刀使としての力を失うことになっても良いように、後進を育てるつもりで新型S装備と部隊指揮の慣熟訓練を兼ねた第二小隊の指揮という大役を舞衣に指名していた。

……決して、真希自身、機械オンチの所為で新型S装備が扱いきれなかったとか、ドローンの操作が上手く出来なかったとか、そんな理由ではない。

「確認しました。これより第二小隊はブロックJ周辺の荒魂を討伐します。」

舞衣は鏑木が荒魂の位置と構成を送ってくれた鏑木に感謝の意を込めた言葉を送ると共に、自らが指揮することとなった新型S装備を装着する10名の刀使達が所属する第二小隊と共にブロックJの周辺に屯している荒魂を殲滅すると言って、行動を開始しようとしていた。特に気を付けねばならないのは大型の荒魂一体のみで、他は大したことのない弱い荒魂であった。

「みんな聞いて、可奈美ちゃんと沙耶香ちゃんで大型の荒魂を討伐、他のみんなは大型を相手にせず、弱い蟲型の荒魂を相手にして。……可奈美ちゃん、沙耶香ちゃん大丈夫?」

舞衣は、可奈美と沙耶香にブロックJ内に居る一番強い荒魂を二人だけで相手にすることに問題は無いか尋ねる。

「大丈夫、舞衣ちゃん。このタイプの荒魂は沙耶香ちゃんと二人で倒したことあるから。」

「舞衣、問題ない。」

すると、可奈美と沙耶香の二人はS装備のバイザーに表示されているブロックJ周辺に居る荒魂を確認し、その荒魂を見た二人は前に戦ったことがある種類であることを思い出し、第二小隊を指揮する舞衣に特に問題は無いということを伝えていた。

「ゴメン、お願いね。……あと、機動隊の皆さんにもお願いしてもらいたいことがあるのですが。」

「はい、何でしょうか?」

舞衣はそう言って、特別機動隊(別名;STT)の隊員等を手招きで呼ぶと、特別機動隊の隊員達はそれがさも当然であるかのように応えていた。

「今までは機動隊の皆さんにMP5SD6で荒魂に当てて指定ポイントまで誘き寄せるようお願いしました。」

舞衣は第二小隊を指揮することが決まったとき、第二小隊に所属するSTT隊員が持つ武器がどのような物か真希に聞いて確認をし、MP5SD6がどのような武器か知っていたため、STT隊員にも解るように銃器の名前を言って説明していた。

「そして、今回はコレを使ってみようと思います。」

そして、舞衣はペットボトルの中に詰まっている物、ノロが詰まっていることをSTT隊員等に見せていた。

「……それを、どうするのですか?」

当然、何に使うのか解りかねず、舞衣に真意を訪ねるSTT隊員。

「最新の研究で荒魂はノロとの結合を求める性質があるようです。だから、コレを荒魂の近くに投げて、注意をこのノロに向けさせると同時に結合を求める荒魂の群れを一直線に向かわせ、隊列を乱します。その後はS装備刀使7名が蟲型の荒魂を重点的に襲撃し殲滅、大型の荒魂は最初にこのS装備刀使に注意を向けると思われますので、その隙にSTT隊員の皆さんが制圧射撃で大型の荒魂の動きを牽制しつつ、注意を新たにそちらに向けさせて下さい。その後はSTT隊員等に誘導させ、沙耶香隊員含む3名のS装備刀使が大型の荒魂を正面と背後または側面から襲撃し、討伐します。それで行こうと思いますが、何か質問はありますか?」

ノロとの結合を求める性質を持つ荒魂の近くにノロを置き、ブロックJに居る荒魂達を指定ポイントまで誘き寄せ、隊列を伸び切らせると、9体居る蟲型の荒魂を可奈美と沙耶香以外のS装備刀使7名で殲滅後、大型の荒魂は可奈美、沙耶香と他一名のS装備刀使がSTT隊員の制圧射撃後、大型の荒魂の背後や側面といった死角からの襲撃を以って弱らせ、討伐するという作戦を舞衣はSTT隊員等に説明していた。

「荒魂がそのノロに気付かなかった場合はどうしますか?」

「その場合は発砲をお願いして注意をペットボトルに向けさせます。……やはり、危険過ぎますか。」

STT隊員は目標の荒魂がそのノロに気付かなかった場合はどうするのか尋ねられた舞衣は、銃で誘導するということを提案するが、STT隊員がやりたくない場合は取り止めようとしていた。

「いいえ、それで刀使の皆さんのお役に立てるなら、我々は問題ありません。命令を。」

しかし、STT隊員等は直立不動で姿勢を正して返事をし、その命令を受諾する意志がSTT隊員等にあることが見てとれた。その厚意を見てとった舞衣は謝意の言葉をSTT隊員等に送っていた。

「……ありがとうございます。」

 

 

しかし、ぺットボトルの中に詰まっているノロは、その前のブロックIに居たノロに還した荒魂の一部を切り取って、ペットボトルに詰め込んだ物であることに、舞衣の凶行に誰も気付くことなく、次の行動はその作戦を行っていた。

 

 




各ブロックの位置は大荒魂討伐戦をイメージして頂ければ幸いです。
右上から左上へブロックA、B、C、D、Eと続いて、最終的に右下がP、Q、R、S、Tとなります。


しかし、昨今のニーズなのでしょうが、陸自の導入機数は本当に少ないんですよね……。
例;
戦車(10式戦車等。)約700輌→約300輌へと削減
火砲(MLRSとか。)約700門→約300門へと削減
……等々。
もうちょっと、増やしてくれないですかねぇ……財○○さん。
 
 

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。