【完結】刀使ノ巫女+α   作:tatararako

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64話を投稿させて頂きます。

一万文字以上も書いてしまったため、分割することにしました。



認めさせる。1

可奈美が眠る病室前――――。

ただ静かに、何かを待つかのように、舞衣とエレンがそこに居た。

 

「……舞衣。」

 

孝則に舞衣は呼ばれるものの、孝則の方へ顔を向けることなく、ただ一点、可奈美が居る病室の扉を見つめていた。

そして、

 

「…………ごめんなさい、お父さん。私のために研究所を支援することを決めて、会社の人を説得するために駆けずり回って、私のために色々してくれて一杯感謝しています。……けれど、」

 

舞衣は、自分なりに孝則へ精一杯の感謝の意を籠めた言葉を言い表していた。しかし、

 

「……けれど、今の私には掛け替えのない親友が居て、それと同じくらい私のことを大切に思っている人が居ることに気付かない世間知らずの子供です。」

 

舞衣は絞り出すかのように、自分を語る。ただの世間知らずの子供だと。

 

「そんな、世間知らずの子供のワガママを一つ聞いてくれますか?」

「……ああ、良いぞ。」

 

舞衣にワガママを一つ聞いてくれるかどうか尋ねられた孝則は、病室で昏睡している可奈美に関わりがあることなのだろうと推察し、聞こうとする。

 

「だから、私は……私は、可奈美ちゃんに勝負を挑んで、負けたらお父さんの言う通りに刀使を辞めます。」

 

何故?と、孝則は問い掛けようともせず、訊こうともしなかった。

 

「……私は、覚悟とか大それたことを言いました。けど、本当はお父さんの言うとおり、私は覚悟を軽々しく使っていただけなのかもしれません。私は可奈美ちゃんのように剣術が凄くないし、エレンちゃんのように将来の目標も無かった。」

 

今までの自分は何かと他人と比べ、卑下していた。だけど、今は違うと言える。

 

『……だから、もう私のことを強い刀使とか、立派な刀使さんだとか言わないで?……腹立つから。』

上記の可奈美の言葉で舞衣は気付いたからだ。可奈美も自身と同様にコンプレックスを抱いていたのだと、可奈美も舞衣と同じく思い悩んでいるのだと気付いたから、なら、もう答えは決まっている。

 

「可奈美ちゃんは凄いとか、可奈美ちゃんに憧れているとか、そんなことばかりしか言わなかったし、思わなかった。そんなんだから、私は可奈美ちゃんに辛いことばかり押し付けてばかりいて、それなのに私は可奈美ちゃんの親友面をしていた。だから、私は可奈美ちゃんに……可奈美ちゃんに憧れるのを辞めます。」

 

だから、舞衣は決意する。可奈美の背負っている物を自分も背負えるほどの人物となるために、自分も同じ立ち位置に昇るためにやるべきこと。

 

「……私は可奈美ちゃんに認めてもらう。……違う、可奈美ちゃんにせめてもう一人だけで抱え込む必要はないということを分かって欲しい。」

 

可奈美(親友)の背負っている物を自分も背負えるほどの人物となるために、可奈美への憧れを捨てることを決めた。

 

「だから、今の可奈美ちゃんに無様に負けるくらいなら、重荷になるくらいなら、辞めた方が可奈美ちゃんのためになる。」

 

可奈美と同じ立ち位置に昇りたいなら、可奈美から勝利を得たいのなら、そして助けたいのなら、自分の全てを賭ける。いや、賭けられる。親友の一人を助けるためなら、何でも、命だって張ってやれると思ったから。

 

「だから、お父さん。行くね?」

「……ああ。」

 

舞衣の御刀を持つ理由、決意、信念、覚悟……。いや、目にしたもの、手にしたものが全てだと答えていた。

孝則はそれらを静かに聞き、舞衣が可奈美の居る病室へと向かうことを許し、扉を開けて入るまで舞衣の後ろ姿を見守っていた。

 

「ありがとうございマス。」

 

エレンが舞衣のお願いを聞いてくれた孝則に感謝する。

 

「やっぱり、マイマイパパは素敵デスね。」

「……どうかな。刀使を続けられるかどうかは舞衣次第だ。」

「刀使を続けられるかどうかは、言っていまセンヨー?」

「……ハハハハ、そうだったな。」

 

孝則は舞衣が刀使として続けていくことを許した訳ではないから、素敵ではないとエレンに返すが、エレンに刀使を続けるかどうかは問うていないと言われた孝則は、刀使を辞めさせたかった自分が、いつの間にか舞衣が刀使を続けられるかどうかは舞衣次第であると答えている自分が可笑しかったのか、笑いながら肯定するしかなかった。

 

『全く驚かされますなぁ。子供というのはいつの間にか強く大きく成長してるのですから、……親が思ってる以上にね。』

『その時親はどうするべきなんでしょうな。』

 

舞衣の後ろ姿を見ながら、孝則は不意にフリードマンの言葉が過った。

 

(……どうすべき、か。)

 

フリードマンにそう言われた孝則は、何も答えられないでいた。

だが、今の孝則なら、こう答えるだろう。

 

 

きっと、御刀に選ばれた舞衣、刀使となった舞衣、可奈美といった友人に恵まれた舞衣……それらの出来事を通じて、目にしたもの、手にしたものを得た今の舞衣が、孝則が知っていた過去の舞衣を塗り足していって、孝則が知らない舞衣となり、孝則が思い描いていた下書きに突き立て、孝則も知らない可能性を描いていく舞衣の姿を手助けしよう。

 

 

孝則が唯一、頭で考えず、自らの心に従って導き出した答えであった。

 

「だから、後悔はするようなことはするな、……舞衣。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

可奈美は、今現在舞衣の申し出によって、美濃関学院の折神家御前試合代表選抜大会で使われていた場所にて、舞衣と勝負することになった。

そして、エレンがこの勝負の見届け人としており、フリードマンと孝則はこの試合を観戦することとなっていた。

 

勝負方法は、どちらか一人が『参った。』と言うか、気絶した方が負けとなるとのことであった。

 

多分、こんなルールとなったのは、舞衣は自分の力を示したいのだろうと可奈美は推察していた。

 

「…………舞衣ちゃん。この勝負に負けたら刀使を辞めるって本当?」

「そうだよ。……可奈美ちゃんに負けたら、私は刀使を辞める。」

「それで、舞衣ちゃんは私を動揺させようっていうの?」

 

可奈美は、舞衣に刀使を辞めると言ったのは、こちらを同情させる、もしくは動揺させるための“ブラフ”なのかと尋ねる。

ただし、可奈美はただ嫌味を言うために言っているのではなく、舞衣を挑発し、怒らせ、攻撃一辺倒に誘い込むためであった。これは、舞衣の剣術は毎回の攻撃のバリエーションが変わるという特徴を封じる目的と、舞衣の正眼を崩すには向こうから攻めてもらう必要があるからである。

 

「そんなつもりは無いよ。これが私なりの覚悟、けじめ、……未練を断ち切る。これが私の考える可奈美ちゃんへの必勝法の一つ。」

 

だが、舞衣はそんなつもりはないと、きっぱりと宣言する。

どうやら、安い挑発程度では動じないということなのだろうと可奈美は舞衣を観ていた。だが、舞衣の勝利を得んとする気迫の目を見て、こちらから仕掛けなくても攻めてくるだろうと可奈美は確信していた。

 

(……可奈美ちゃん。私はいつも貴女に憧れていた。)

 

そして、舞衣は可奈美がそのようなことを考えているとは露知らず、可奈美との思い出を思い出していた――――。

 

(……可奈美ちゃんは凄かった。剣術は高等部の先輩方にも勝つし、勝てる人なんて居ないんじゃないのかなって思うぐらい。)

 

中等部ながら、美濃関学院の代表になるほどの剣の腕を持つ可奈美の強さに惹かれた舞衣は、可奈美のことを明るい目標として、どこか遠い存在のように見ていた。そして、遠くから憧れているだけでいた。

 

(……だけど、今までのように憧れているだけじゃっ、そのままでいたら可奈美ちゃんに追い付けない。ただ苦しませているだけだ!!)

 

だが、これからの舞衣は、ただ可奈美に憧れるだけの存在ではなく、可奈美の負担を一緒に背負える者となるためにこの勝負に勝ちたかった。それには、可奈美への憧れを捨て、自身の刀使の進退を賭けることによって、自身の心の揺れとなるであろう障害を無くし、己自身の心を無に近付けていった。これは、己自身の心を無に近付けることによって、他人の言行や行動に敏感に察知することができる可奈美に悟られないようにするための術として舞衣が考案した一つの策である。

 

(今度は、私が助ける番。私は、私のやり方で可奈美ちゃんに追い付くんだっ!!)

 

 

 

 

一方の可奈美も、舞衣との思い出を思い出していた――――。

 

一番上のお姉さんで、柳瀬グループの令嬢という裕福な家庭に育った娘だけど、努力家で、クッキーを美味しく作れる、家族思いの優しいお姉さんという自分の理想に近い存在だった。だからこそ、可奈美は立派なおねえちゃんとなるために舞衣に接近し、親友というポジションを得ることができた。

 

『凄いなぁ、可奈美ちゃんは……。』

 

だが、舞衣に、いつもいつも言われていたこと。

剣術の面では、いつも優れていて、勝っていたから言われていたこと。

 

『……良いなぁ、上の妹は結構わがままで私を困らせてばっかなんだよ?』

 

……しかし、舞衣の話を聞いている内に自分とは違って、舞衣は自分なんかではとても到達できないくらいにとても立派な、とても良いお姉さんであると分かってしまい。どうしても越えられないコンプレックスを抱くようになった。

何よりも“おねえちゃん”をちゃんとできてて悔しかった。妬ましかった。……ただ、単純に羨ましかった。

 

(……どうして、優ちゃんはああで、舞衣ちゃんの妹達は立派に育ったんだろうか?)

 

優が荒魂扱いされることを恐れて何も言えず、理解しようとしなかった自分。

対して、妹達のことをよく喋り、よく理解していることが分かる話から、妹達の面倒を良く見ている舞衣。

……それを考えるだけで、可奈美は舞衣に劣等感を抱いていた。そして、全てに劣っているかのように感じていた。

だから、どんなに剣術で舞衣に勝っていたとしても、どれほど勝ち越していったとしても、どれだけ舞衣に褒められても、可奈美の心は全く晴れなかった。それどころか、日増しに舞衣を妬ましく思う気持ちばかり強くなっていき、次第に舞衣が重く、そして疎ましく思うようになっていった。

 

だから自分はそれに耐えられなくなって、御前試合の際、姫和と一緒に逃げたのだろう。と可奈美は述懐していた。

……親友面の仮面を被りながら、その実、舞衣を疎ましく思っていたのだ。何という身勝手で、醜い女なのだろうと可奈美は内心自身のことをこう評していた。

 

(だけど、舞衣ちゃん。それでこの勝負に手を抜くことはしないよ。)

 

だが、それで負い目を感じて、手を抜くことはしないと可奈美は心の中で決意する。

 

(この勝負に勝てば、本当の意味で舞衣ちゃんに“勝つ”ことができると思うから……。)

 

今まで、剣術の試合で勝利を得ても、何とも言えない敗北感と挫折を感じていた。だが、この勝負に勝てば、舞衣に抱いていた劣等感といったものを自身の手で拭い去ることができるような気がしたから可奈美は勝利する気でいた。

 

『だから、約束。…私はお母さんみたいに人を守って、感謝される、“正義の味方”のような強い刀使になりたい。だから、私は優ちゃんのことも怖い物から守るし、今度は何があっても救ってみせるよ。』

 

そして、約束を守るため、舞衣に勝てば強い刀使になれるような、一歩近付けるような気がしたから、この勝負を受けた。

……それだけだった。

 

「……だから、倒すっ!!」

 

可奈美も、己の主張を通そうとし、

 

「……私は、助けるっ!!」

 

舞衣も、己の主張を通そうとしていた。

 

全ては両者が互いに自らの主張を通して、前に進むためにこの勝負に勝つことを決意すると、試合場へと足を進める。

4ヶ月以上前の折神家御前試合の選抜大会なら、審判も居て、竹刀だったが、今は真剣でもある御刀を握っている。

だが、両者は審判が居ないにも関わらず、自身の判断で御刀を抜き、写シを張る。そうして舞衣は『正眼』に構えると、可奈美も技のバリエーションが多い舞衣を警戒して、対応力に優れる『無形の位』で構え、対応しようとしていた。

 

まず、舞衣の方から動く。

可奈美の面、小手、肩を狙った舞衣の気迫の声と共に振り下ろす袈裟斬りの連撃を可奈美は冷静に後ろに移動しつつ、捌きながら隙を見つけようとしていた。

そして、隙を見つけた可奈美は舞衣の袈裟斬りを御刀で受け止めながら、舞衣の御刀の柄の部分を掴んで、足を引っ掛けて無刀取りを仕掛けるが、舞衣は体当たりでぶちかまし、無刀取りを妨害したうえ、引っ掛けてきた足を利用して、可奈美のバランスを崩していた。

バランスを崩したということは受けづらいはず、舞衣はそう判断し、その一瞬の隙を見逃すことなく、上段からの袈裟斬りで可奈美の写シを斬ろうとする。しかし、可奈美は身体を捻り、下段から巻き上げるように舞衣の袈裟斬りを払い、御刀同士の打ち合う音が響くと同時に可奈美は直ぐ様、舞衣のガラ空きとなった腹目掛けて胴抜きを行おうとする。

しかし、舞衣もそれを読んでいたのか背中から倒れるように倒れ、どうにかギリギリ躱し、腹這いとなって可奈美の方に御刀を向け威嚇。可奈美は足を斬られるか腹を刺されることを警戒して不用意に近付くことはしなかった。

そのため舞衣は、その隙に立ち上がろうとするが、可奈美は舞衣が立ち上がろうとしていた隙を狙って斬り掛かって来たのだが、舞衣はそれを読んでいたのか、可奈美の御刀を受け太刀し、鍔迫り合いに持ち込んでいた。

しかし、可奈美の攻撃はそれで止まらず、舞衣の足を引っ掛けようとするが、舞衣も負けじと可奈美の足を引っ掛けようとするために他者が見ると足技が中心の戦いに移行しているのではないのかと思えてしまうほどの足を中心とした熱い戦いが起こっていた。だが、舞衣が下へ意識を集中している隙に可奈美は距離を空けるべく、舞衣の御刀を横へ払うと同時に体当たりで舞衣にぶつかり、距離を空けると舞衣の面を狙った上段からの振り下ろしで舞衣の写シを斬ろうとしたため、舞衣は斬られるのを阻止するため、可奈美の上段からの振り下ろしを払おうとした。

 

……だが、これこそが可奈美の罠であった。

 

可奈美は舞衣の払いの力を利用し、鞍馬流の巻き揚げを使って、舞衣の胴をガラ空きにすると、舞衣の腹に目掛けて突きを入れ、御刀千鳥を引っこ抜くためと追撃されないよう距離を開けるべく、舞衣を蹴飛ばすと舞衣の写シを一度剥がすことに成功する。

だが、舞衣は気絶することなく、再度写シをすぐに張り直して立ち上がると、御刀を正眼に構え直していた。

 

「……一応聞くけど、卑怯だとか言わないよね?」

 

可奈美は舞衣に、無刀取りと足払い、そして体当たりと足蹴りを入れたことを卑怯だと思っていないか尋ねていた。

理由は、可奈美は自分が14年間もの時間を費やし、研鑽した剣術と持てる技術の全てで舞衣の攻撃を全て完封し、揺るぎない結果と勝利を得ることにより、舞衣が刀使を辞める結果となったとしても、舞衣に悔いが残らないようにするべく全力でこの試合に立ち向かっていた。

 

「全然。それが卑怯なら、剣術だけで戦うことと言わなかったことと、体当たりもした私が悪いだけだから。」

 

だが、舞衣はどちらか一人が『参った。』と言うか、気絶した方が負けというルール(可奈美にとってみれば、舞衣の技のバリエーションの多さを活かすルールなのだろうと勝手に推察した結果でもあり、可奈美なりの舞衣への意趣返しでもあった。)ということを逆手に取り、可奈美が無刀取りや足を引っ掛けてくるという奇策を行ったことに対して、これは純粋な剣術の試合ではないのだから、ルールの適用内と返答していた。

それを聞いた可奈美は、なら、このまま勝負に勝っても、舞衣は文句を言わないだろうと判断し、勝負に集中し始める。

 

互いに互い、相手が次にどう出るかを考え、隙が何処か無いかを探り、純粋な剣術の試合には無い足の引っ掛け、体当たりも考慮しながら、どのようにして攻めるかを孝則やフリードマンからしてみれば一瞬だが、その一瞬の内に何十、何百もの戦術を舞衣と可奈美は組み立てていた。

 

……そのため、舞衣と可奈美の両者は正眼で構え、お互い間合いを取りながら、時間が過ぎていった結果。可奈美と舞衣の二人には額に汗が出て、滴り落ちていたことに気を留めることも無く、この勝負に集中し、気を張り続けていた。

それは、一瞬の隙がそのまま勝負の決め手となるというほどの意気込みと熱気がこの試合場を包んでいるかのようだと孝則とフリードマンが感じるほどに。

 

――――そこで、舞衣は動く。決意する。

このまま構えたまま動かずにいても、勝つこともできないし、いずれ集中も途切れると判断した舞衣は、両ひざを地に付け、居合の構えをして、後の先を得意とする可奈美を待ち構えるようにしていた。

 

「…………。」

 

それを見た可奈美は想定通りに運んだと思いつつも、落胆していた。

舞衣は写シを一度剥がしたことにより可奈美より精神疲労が大きいため、こちらから何か仕掛けずとも、向こうから来させるために正眼の構えでこちらから仕掛けなかった。

だが、舞衣は御前試合のときと同じ戦法で迎え撃とうとしていたことに可奈美は落胆しつつも、正眼から八相の構えに変えると可奈美は舞衣に近づき、片手で舞衣の御刀を止め、止めを刺そうとする――――、

 

(……これで!!)

 

だが、それは叶わなかった。

 

 

何故なら、舞衣は自らを認めてくれた御刀孫六兼元を抜くことをせず、投げ捨てたからだ。

 

 

(……えっ?)

 

しかし、たったそれだけだったが、可奈美はこの短期間で実力が飛躍的に上昇したこと、立ち会いを想定した剣術ばかり追求していたことで刀使が自ら御刀を手放すことを考慮していなかったこと、そして剣術が強く後の先を得意とする自分を相手にするなら、舞衣は必ず居合で攻めてくるという固定観念が可奈美の中で出来上がってしまっていたこと、そのうえ御刀を捨てたということは写シを張っていない状態であり、間違っても斬れないために可奈美は直前の行動を思い止まってしまい、虚を突かれ間が出来てしまったこと、そして可奈美自身の驚異的な目の良さが仇となり、孫六兼元を無意識に目で追ってしまった。

 

それだけだった。

 

たったそれだけで、可奈美は大きな隙を舞衣に与えてしまう。

そして――――、

 

気迫の声と共に舞衣は可奈美の顔面に頭突きを食らわせる。

 

可奈美は虚を突かれた攻撃に驚き、そのうえ突然の攻撃に可奈美は母が使っていた御刀千鳥を手許から落としてしまう。そのため可奈美と舞衣は、両者とも御刀を手許から失うこととなり、刀使であることを忘れ、拳を握り締めて、取っ組み合いの殴り合いという状態となり、

 

素手での第二ラウンドが始まろうとしていた。

 

   

   





個人的に刀使さん達が、戦闘中に何らかの理由でメインウェポンの御刀を落として紛失してしまったらヤバいのでサブウェポンは欲しいと思っていましたけど、解決法が見つからぬ…………。

二期かOVAが始まったら刀使さん達にサブウェポンを持たせて上げて下さい。お願いします刀使ノ巫女制作スタッフ様ぁっ!!


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