【完結】刀使ノ巫女+α   作:tatararako

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71話を投稿させて頂きます。

悲鳴を聞くと痛みが和らぐ気がするから
――――かの有名な異常殺人鬼エリザベートの回答と言われている。


強化されたS装備のコンテナは、自衛隊のスタンド・オフ・ミサイル導入計画が元になっております。
  
  
  


軍隊の無い国

   

   

   

   

 

 

 

 

 

「………全く……至れり尽くせりだな………。」

 

薫は、此処に来るまでにトラックやら輸送機やらの乗り継ぎによる乗り継ぎのことを愚痴りながらも、奄美大島分屯基地所属の航空自衛隊の隊員の案内のもと、とある一室に入室するよう促される。そのため、室内に入ると西田含む、勝田、古河、鏑木の四名が既に室内に居た。

 

「……あれ、沙耶香ちゃん。元気だった?」

「うん……。」

 

古河の気さくな声に反応し、沙耶香は返答すると、薫はこの四人組のことを知らないので、彼等は何者かと沙耶香に尋ねていた。

 

「沙耶香、知り合いか?」

「箱根山の荒魂掃討作戦で協力してくれた自衛官の人達。」

「……正確に言えば、お互いが持っている技術の交換を以って防衛省と刀剣類管理局の交流を深めるということで長期出向に来た自衛官達だな。」

 

沙耶香の説明を姫和は補足するかのように西田達の出自を薫にも解るように話していた。

そんななか、一人の男が入室して来た。

 

「統合幕僚監部運用部運用第二課長の三木一等陸佐であります。早速で申し訳ありませんが、江仁屋離島にて現れた荒魂について説明させて頂きます。」

 

如何にもエリート然とした自衛隊幹部という出で立ちで、仏頂面という表情の固さから、薫は心の中で姫和を更に堅物にして、面白みがなくなったような人物という印象を抱いた。

なお、統合幕僚監部運用部運用第二課長という役職は、陸海空自衛隊を一元化し、一括して指揮する部隊運用をすることを目的とした防衛省の特別の機関である統合幕僚監部内に存在する運用部(陸海空自衛隊の運用、統合訓練等を担当する。)の中でも部隊運用・災害派遣を担当する部署の一つである運用第二課は謂わば、統合幕僚監部の要とも言うべき機能を発揮する部署であり、当然のことながらその課長ポストは要職といえる。(まあ、そもそも幕僚監部に行ける者は防衛省内でもエリートの様なものだが。)

 

「尚、今回の討伐メンバーはトーマス氏が雇った傭兵と優少年のみの編成で江仁屋離島に現れた荒魂を討伐するということになっております。薫、姫和、沙耶香の三名の特祭隊隊員と西田二佐等は今回の討伐において奄美大島分屯基地にて後方支援をお願いします。」

 

三木は、優とMARSOCのメンバー達のみの編制で、江仁屋離島に現れた荒魂を討伐すると説明していたが、三木の説明に納得がいかないのか、姫和が異議を唱えていた。

 

「正気ですか?今回の討伐対象は強力な荒魂だと私は聞いています。そんな相手に刀使としての経験が少ない優と荒魂相手に有効な装備を持てない傭兵達では殺されに行くようなものです。……なら、今回の件は私達刀使が主体となって行うべきであると進言します。」

 

姫和はそう言って、優から離れないようにしていた。……いや、離れたくなかった。

 

「………却下だ。この作戦に刀使の参加は認められていない。それに、荒魂化した水陸機動団の隊員等は銃といった武器を所持しており、極めて危険であること、戻って来た他の隊員も荒魂化する恐れもあることから、今回は刀使の作戦の参加を認められていない。」

 

三木は荒魂化した水陸機動団の隊員等が銃を持っていること、水陸機動団の他の隊員等も荒魂化するかもしれないという懸念から、今回の江仁屋離島にて現れた荒魂、いや荒魂化した水陸機動団の隊員を討伐する作戦に刀使の参加は認められていないと話す三木。

 

「ですが、先程の編制では荒魂討伐の経験の有る刀使が居ません。あらゆる事態を想定し、荒魂討伐の経験の有る刀使は参加させるべきです。」

「もういい、三木一佐殿。……江仁屋離島に現れた荒魂の詳細を少しは話すべきではないか?そうすりゃ、どういう状況かは少しぐらい解るだろう。」

 

姫和と三木の言い争いに割って入る形で、今回の荒魂がどんなのかを教えるべきだと言うトーマス。

その一方で、勝田はトーマスが日本語を流暢に話すことに驚いていたうえ、今回の作戦に指名されることがなかったので、どういった人物なのか知る由もなかった。

 

「……分かりました。今回、江仁屋離島にて現れた荒魂は陸上自衛隊水陸機動団所属の隊員10名が荒魂化したものであるため、我々では対処できないと判断。刀剣類管理局に正式に依頼しました。ですが、水陸機動団所属の隊員の中に特祭隊隊員となった娘が居ることも考慮し、刀使の参加を見送りたいというのも、我々防衛省の考えの一つです。」

 

三木は、水陸機動団の隊員の中に特祭隊隊員になっている娘が居るということを伝え、荒魂化した水陸機動団の隊員を刀使が殺めることによって、その特祭隊隊員との間に不和が生じるのを避けたかったからという理由で今回の江仁屋離島の荒魂討伐作戦に刀使を参加させたくなかったと話す三木。しかし――――、

 

「……おい、何だ?つまり俺の部下だったら、その自衛隊員を殺して、その()と個人的な問題が発生しても何も問題無いってことか?」

 

優であれば、特祭隊隊員になっている娘が居る自衛隊員を殺して、その特祭隊隊員との間に不和が生じても、何も問題無いかのように宣う三木の発言に薫は眉間にしわを寄せながら返答を詰め寄る。

 

「……ええ、それで貴女方が殺しをしなくて済みます。」

「それも言われなくて済むってことか……。」

 

荒魂化した自衛隊員とはいえ、元が自衛隊員であることには変わりないので自衛官殺しの汚名を自衛隊員と自衛官、それと刀使達に被ることなく済ませるための措置として、半ば荒魂と化した優が荒魂化した自衛隊員達を始末するのが適任であると三木は返答していた。

事実、三木よりも上位の権限を持つ者達が、今後優が国防上及び政治的に邪魔になった際、優とタギツヒメ討伐部隊を編制する時に志願者に困らないようにするための措置でもあった。

 

「……S装備のコンテナでなくても、LCACやヘリといった輸送手段が有ると思うのですが。それは使用できないのでしょうか?」

 

薫と三木の口論が熾烈を増す前に、西田は空挺降下やS装備のコンテナ以外の侵入方法で多数の自衛隊員や刀使達を江仁屋離島へ送り、討伐することで誰が討伐したのかを有耶無耶にすることができるのではないかと思い、LCAC(LCAC-1級エア・クッション型揚陸艇のこと。)やヘリといった輸送手段を三木に提案していた。

 

「……荒魂化した水陸機動団の隊員等は対空、対戦車装備を所持しており、荒魂化した人間が記憶を残し、言葉を話す個体が希にいることを考慮すれば、不用意に近付いたLCACは海の藻屑となり、ヘリも撃墜される可能性が高い。それ故に、今作戦においてはヘリやLCACの使用が制限され、S装備のコンテナと輸送機による空挺降下で目標の居る江仁屋離島に入るのが最適であると判断した。」

「……どのような装備を持っているのでしょうか?」

「………各隊員によって違うが、89式小銃と5.56mm機関銃、対人狙撃銃に84mm無反動砲等を所持し、そのうえ隊員全員の身体能力は荒魂の力と高機動型パワードスーツのお陰で向上。並みの人間や刀使にとっては極めて危険な存在であると言え、被害を最小に抑えるべく優少年が適任であると判断された。」

 

西田は、何かを察したのか三木に更なる質問を続ける。

 

「では、もう少しお尋ねしてもよろしいでしょうか?本当に偶発的な要因によって荒魂化したのですか?」

「……西田二佐、何が訊きたいのかね?」

「では、江仁屋離島で陸海空の三自衛隊による統合運用力の強化と島嶼部の奪還の強化を主目的とした訓練が行われる前に隊員等の体調管理等を調べられていて、近年は人が荒魂化する事例が減っているというのに、その訓練中にたまたま水陸機動団の隊員10名が一斉に荒魂化したということなのでしょうか?それと、薫隊員等を此処へ呼び寄せる際、ヘリや輸送機を使ったそうですが……偶発的な事故が起こっているにも関わらず、よく用意できましたね?事前に用意していたようにしか思えないのですが。本当に偶発的に起こったのですか?」

「……報告によれば、偶発的に10名の優秀な隊員が荒魂化したと聞き及んでいる。荒魂化した原因は不明だが、今も調査中だ。それとも、人為的に起こったことだと疑っているのか?」

 

三木の返答と歯切れの悪さ、それと目線を外したことに西田は気付いたが、こう答えるしかなかった。

 

「……選択肢は無い。ということですか………。」

「ええ、それ故に私よりも上の権限が彼を群馬に送ることに賛成したのです。」

 

なお、奄美大島分屯基地にあるS装備のコンテナはUAVと衛星、各種兵器とのデータリンクを可能にし、情報共有によってGPSと画像情報といった各種情報が得られるという状況であれば、S装備のコンテナは命中精度と射程の延伸がどれほど上昇するのかを実験するための物でもあるうえ、離島にて荒魂が出現した際の輸送手段としての改良点を探るための物でもある。その実験成果によっては、S装備コンテナの性能と搭乗員の安全性の向上、及び自衛隊のスタンド・オフ・ミサイルの早期の導入による敵基地攻撃能力の獲得の糧となるため、コンテナの推進力等が強化されてはいるが、流石に折神家が管理しているS装備は入手できなかったうえ、その掛かるGと着弾の衝撃は常人と刀使が耐えられるものではなかった。

故に、半ば荒魂と化している優であれば耐えられるという前提で有人飛行の実験としても載せようとしていた。

 

つまり、優は何処へ向かおうと、莫大な力を持つ大荒魂を身に宿した利用できる“物”として扱われるのであった…………。

それが、全ての答えだった――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕闇の中、奄美大島分屯基地はS装備のコンテナを射出するべく慌ただしく動いていた。

奄美大島分屯基地に有るS装備のコンテナは優が入り江仁屋離島へ向かい、着弾の音で目標の水陸機動団の自衛隊員達を誘導したあと、MARSOCのメンバー達は空挺降下し、江仁屋離島に侵入。

ということとなったため、優はS装備のコンテナの前でHK416CとP938といった武器のメンテナンスをしながら待っていた……。

そんなふうに、優はS装備のコンテナの前で待っていたら、薫達が近付いて来た。

 

「おい、……もし嫌なら、今からでも遅くはねえ。拒否しても良いんだぜ?そんときゃ、真庭本部長と取り合ってでも辞めさせてもらうことからよ。」

 

薫は、優が江仁屋離島へ向かうという決定に納得はしていないのか、嫌なら拒否しても良いと言って、優と代わろうとしていた。

これで、無理と言ってくれたら、命令拒否でもなく、精神的な理由で作戦から外せると思って薫は聞いたのだ。だが、

 

「……別に良いよ。やらなきゃいけないことなんでしょ?」

 

優はそう言って、薫の申し出を断っていた。

理由は、姫和に接吻されてから、妙に気が立って頭痛がするのだ。……そして、このイライラする感情から抜け出す方法を優は知っていた。

 

それは、他人が苦痛でもがいている姿を見れば、何故か頭痛の痛みと辛さが和らぐということ。つまり、優は荒魂化した人間を過激派のテロリスト達と同様に傷付けて苦しませることで自身の頭痛を和らげようとしたため、今回の荒魂討伐作戦にどうしても参加したかった。

 

「……そんなことねえ、そんなことねえよ!嫌なら、嫌なら俺が代わりに行ってやる!!」

 

薫は、優の本心を知らずにそう言って、代わろうとしていた。

 

何もできないかもしれない。けど、立ち止まるのももっと嫌だったから……。

 

「……いいよ。だって、薫おねーちゃんが斬っちゃったら、ねねちゃん悲しむんじゃない?」

 

だが、薫のその言葉に何も感じなかった優は、若干面倒くさいなと思いながら、ねねを使って返答することで煙に巻こうとしていた。

 

「それは……お前も一緒だろ、それにお前はまだ未来がある。だから……。」

 

だが、薫は自身でも陳腐な言葉だと思っていた。……思っていたが、通じると信じて、必死に説得しようとする。

 

「……本当に薫おねーちゃんの言う“未来”があるの?」

 

しかし、優にそう返されると、言葉を詰まらせる薫。そして、

 

「それに、辛くないよ。ヒメちゃんや、みんなが居るから………。」

 

タギツヒメが、優の中に居る者達がいつも傍に居てくれると答えていた。その返答に、薫はタギツヒメと自分達が居るから戦えると言っているように聞こえ、何も言えなかった……。

実際は、優の中に居るタギツヒメや結芽といった優の中に居る者達のことなのだが、薫はそれに気付くことはなかった…………。

 

「じゃあ、行って来るね。」

 

そう言って、優はS装備のコンテナへ向かって行き、それを見送る薫。

薫はそれを見届けると、踵を返し、奄美大島分屯基地へ戻って行った。

 

「薫、もういい。」

 

それを見た姫和は薫を止めようとする。

しかし、薫は止まらなかった。

 

「……よくねえよ。俺は見届けなきゃならねえ、……優は俺の部下だからな。」

 

優一人だけ置いていくことなど、できなかったから。

 

「薫。……どう考えても私達は最初から利用されただけ、それだけじゃなく、優を便利な殺し屋ぐらいにしか思ってない。……こんな、こんな酷い作戦なんか私達で潰してやろうっ!!」

「私も協力する!!」

 

それを聞いた沙耶香と姫和は、薫にこんな作戦なんかおじゃんにしようと持ち掛ける。

任務に忠実な沙耶香ですらも、こんな非道なことなど認めることができなかったからだ。

 

「……俺は、俺は益子 薫で、刀使で、この隊を率いる隊長だ。考えて斬るのが信条だ。……なら、決まってるじゃねえか。」

 

だが、薫は小声で呟くと、自身の決意を沙耶香に語る。

 

「沙耶香、俺はお前に考えて斬れと言ったが続きがあってな。……それはな、考えて、信じて、それが駄目だった時は誰よりも先にそいつの牙を受け、剣を向ける。それが益子なりのケジメだ。だから俺はこの任務を続けなきゃならねえ。俺は自分の部下がやったことを見届ける。誰よりもその責を受け止める必要がある。……だからこっからは……俺が行く。」

 

薫は断固として、優がやることを見届け、そして最後は隊長として責を受けると言っていた。

その薫の行動に、沙耶香と姫和は何一つ止める術を持っていなかった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「S装備コンテナ、到達目標地点江仁屋離島のポイントBに設定。」

「最新気象情報を入力、角度調整合わせ。」

「最終ブリーフィング。S装備のコンテナを射出し、着弾した音で目標を誘導後、先行している部隊はC-1にて空挺降下、西田二佐の情報支援を受けられる。また、S1は薫隊員等から情報支援を受けられることを留意せよ。」

 

奄美大島分屯基地の管制室から、三木一佐はS装備コンテナ射出前に優と話していた薫達を見ながら、三木はぼそりと呟いてしまった。

 

「……あの荒魂を子供扱いか………。それはそれで、辛い事だろうに。」

 

三木は、薫達を物憂げな目で見つめていた。ロバが旅に出て、馬になるということはないのと同様に、兵器として強化された優を子供扱いしたからといって子供になる訳ではないのだ。……むしろ、人を殺すことに特化した兵器をただの男の子として扱うのは彼にとってその扱いをされることは酷なことに変わりはないのだ。ならいっそのこと、彼を兵器として扱う方が幸福ではなかろうかと考えてしまう三木。

しかし、そんな彼も、水陸機動団の隊員等にノロのアンプルを注入することに対して否定的であったのだが、上層部の意向によって直前までその実験内容を知ることができず、力及ばず水陸機動団の優秀な隊員10名を失うこととなってしまったことと、それらの一部だけの事実を刀使達に説明しなければならないということに苦悩すると共に、怒りが込み上げてきたのか、自然と拳を強く握ってしまう。

 

「エンジン点火、衝撃に備えて下さい。」

 

管制官が優に対して、発射の衝撃に備えるよう指示したところで、ハッとなると三木は優が入っているS装備のコンテナを見つめる。

そして、S装備のコンテナは発射され、狼煙を上げるかのように飛び立って行った。三木は、この光景を局長代理となった朱音は『私達の希望』と言えるだろうか?と不謹慎なことを考えてしまう。

むしろ、優が江仁屋離島へ降り立ったら、あの江仁屋離島と奄美大島分屯基地には、正規の軍人扱いされないまま何十年という月日が流れた自衛隊員と休暇中であり今は正規の軍人とは言えないMARSOCのメンバー達、子供なのか大人なのか判別が付かないまま公務員としての立場を与えられた刀使達、そして子供とも荒魂とも言えず、そのうえ刀使ではないのに刀使のように扱われ荒魂討伐をされる優が居る。

その奇妙な状況に三木は何とも言えない気持ちとなる。

 

(……何とも不思議な光景だ。江仁屋離島は今や、立場が曖昧な境界線上に立っている者達が集う戦場となってしまったな。いや、これからの戦争はこういった立場が曖昧な者達が活躍することとなるのだろうか。……だとすれば、軍隊とは言えない我々も…………そういうことか?)

 

三木はそこまで考えると、思考の渦にはまり、深い思考の中へと入って行った。

 

(……所詮、俺達も島に向かって行った者達とあまり変わらないのだろう。……それと、江仁屋離島で起こる戦いは未来の戦争ということになるかもしれんが、決して彼らの活躍が表に出ることはないだろう。そして、俺達の立場も変わることになるだろうか?)

 

軍人と民間人の境界線が曖昧化し、その曖昧な境界線上に居る者が活躍する戦場が主流となってしまえば軍隊とも言えない自衛隊では、いずれ国内外から非合法な戦闘を主とする武装集団として認識されるのではと予想し、そうなれば軍隊として今も扱われずにいる自衛官と自衛隊員等は今後どうなるのか……。こういった戦場で活躍する非合法な集団として見られるだけではないだろうか?

……いや、もはや既存の“平和”と“戦争”の概念は崩れ去り、これからは有事であるか平時であるかの境界線が曖昧と化した新しい“平和”と“戦争”の在り方と新たな境界線を模索するであろうことは容易に想像が付く。そんな概念が一般化した世界で、そのような曖昧な境界線上に立つ武装集団を持つ国を他国が信用するであろうか?少なくとも私は信用しないだろうと三木は結論付けると、我々は今も戦後70年以上も続く、既存の曖昧な境界線上に居る部隊として存続するべきなのだろうか?いや、このまま70年も続く“戦争”と“平和”の考え方で良いのだろうか?

……最早、国同士の戦争は無くなり、静かに、そして静かな侵略とサイバー戦争といった誰の目にも映らないような“戦争”が始まりつつあるというのにこのままで果たして良いのだろうか。

…………いや、もう我々は武器や戦争を遠ざけることが平和になるという思想は放棄しなければならないのではないのだろうか?

 

江仁屋離島で戦っている戦士達と我々自衛隊が同様に見られる前に、決めなければならないことではないだろうか?と三木は思うのであった…………。

  






三木
階級は一等陸佐で、役職は統合幕僚監部運用部運用第二課長に就いている。(統合幕僚監部は、陸海空の三自衛隊の統合運用に関する幕僚機能を発揮する組織であり、その中でも運用部運用第二課は部隊の運用と災害派遣に責任を持つ部署である。)
江仁屋離島での訓練を評価・視察に来ていたので、奄美大島分屯基地に来れたのだが………。
見た目は薫曰く、姫和から堅物さを増して、面白みが無くなったような人物であるとのこと。



結構、街中に落っことしても大丈夫というぐらい精度が高いよね、S装備のコンテナ。
   
  
   

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