【完結】刀使ノ巫女+α   作:tatararako

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79話を投稿させて頂きます。

女の子と男の子が酷い目に遭ってるのは大好物。(外道)
   
  


独裁者の忘れもの

   

   

我はそんなこんなで多くの人と語り合い、多くの人と記念撮影をしていた。

意外と言えば、意外だったのだが、こんなにも多くの者が我のことを忌避感も抱かずに近寄って来て、記念写真を願われたりしたことに驚いた。

しかし、良きことばかりでもなかった………。

 

「何のつもりだ?……江ノ島で起きたことから20年も経って、やっと落ち着きが見え始めたってのに、荒魂の真似事とはね?悪ふざけのつもりか?」

 

難癖を付ける者も居たのだ。

 

「みんなもみんなだ。……こんなふうに俺達を小馬鹿にしたことを許すなんて、はっきり言って、この国のためにならない。」

 

そうして、何も反論してこない我を見て、無視されていると思ったのか、その恰幅の良い男はヒートアップしていた。

 

「俺に“荒魂討伐”できる権限があれば、叩き直してやれるのに………!だから刀使の中には荒魂に似せたパーカーを着ていたり、荒魂の角とか付けてるふざけた奴が出てくるんだ。管理局が無能だから、こんな奴がのさばって!俺の家族は死んだんだ!」

 

ヒートアップした恰幅の良い男は、刀使と刀剣類管理局を批判し始めていた。

理由は、荒魂災害が発生した当時、付近に住んでいた弟の家族が荒魂に襲われて死んでしまったとかなんとかで、荒魂の恰好をしている我のことを“不謹慎”であると非難していたのだ。

……とはいえ、刀使と刀剣類管理局を非難したのは不味いことだと、その恰幅の良い男は気付いていなかったようだ。何故なら、周りの人が恰幅の良い男を蔑むかのような目で見ていたのだ。

しかし、こんな男と関わりたくないので、刀使と刀剣類管理局を非難した男に何か言おうとした美弥を抑えながら、そこを離れて行った。

 

 

 

しかし、美弥の怒りを収めるため、最近流行りのタピオカなる物を飲むことにした。憎悪というものは嫌悪よりも長続きするものだから、こうして落ち着ける場所に移動したのだ。

 

「あーーーーーっ!もう、腹立つ!!」

「そう怒るな。腹を立てながら物を食べると美味しく無くなるぞ?」

「でもっ!……イラつかないの?タキリヒメ。」

「我はお前ほど単純にできておらん。」

「そーですか。」

 

美弥は膨れっ面をしながら、そっぽを向いていた。

これは時間が掛かるなと思いながら、我はタピオカを啜るが、

 

「……んぶっ?ヴゲェッホ、ゲッホゲホォ。何だこの飲み物?中に何か入っておるぞ?」

「えっ?……ああ、スターチボールを喉に詰まらせたのか、大丈夫?」

「何?……そんな異物混入がされておるのか?」

「異物混入って……プッ。」

 

タピオカに咽た我を見て、笑っておった……。

まあ、これで美弥が落ち着いたと喜ぶべきだろうとは思うが、折檻しようと我は心に決めた。

故に、我と美弥二人で街を一望できる場所へ移動していた。

 

「ウム、絶景だな。」

「家に帰りたい綾小路に帰りたい市ヶ谷に戻りたい。」

 

レインボーブリッジの主塔の上で眺めていた。とはいえ、こんな高い場所でも我は海の向こう側が見えなかったことに、改めて我はこの現世の広さに感服していたのだ。だが、その風情が分からぬ美弥は風の勢いの強さごときに怯え、何かと騒いでおった。

 

「おい、煩いぞ美弥。我の従者なら品性をだな。」

「できるかぁっ!早く降ろせバカァッ!!」

「……正しく、絶景だな。」

「無視するな"あ"ぁ"ぁ"あ"ぁ"あ"!!!」

 

美弥の絶叫が邪魔でこの風景を独り占めできなかったのが心残りだが、コーヒーカップを横に置き、このうるさい美弥と共にこの場から降りることにした。

 

「ゴミを捨てていくなぁぁぁぁ――――!!」

 

だが、美弥に我がコーヒーカップを処分せずに降りようとしたことを咎めてきおったのだ。

こやつめ、根性が有るのか無いのか分からん奴だと思いながらも、我はコーヒーカップとへっぴり腰で立ち上がれない美弥を持ちながら、降りて行った。

だが、その後もゲームセンターのUFOキャッチャーやカートで遊んでいたりしても、渋谷で美弥の服を選んでいたりしても、色んな場所で外国人も日本人も関係無く我を見るなり、笑顔で一緒に記念撮影することをせがんできたり、大変であった。………そのうえ、

 

『自分で荒魂って名乗る人が居た!!』

『荒魂が歩いてる!ヤバイ!!♪((o(^∇^)o))♪』

『自称荒魂のタキリヒメと自撮り!!ヾ(⌒▽⌒)ゞ』

『すごいメイクで感激!!!』

『映画でも撮っているのかな?(゚Д゚ノ)ノ』

『声からして、若い人かしら?』

 

といった感想をSNSで我のことを拡散したり、Youtuberなる者から何をしているのか質問攻めされたりして大変だったが、それによって政府は我等が何処に居るか判明されてな。

政府の役人が我等を連れ戻しに来て、そのまま連行されてしまった。

 

そんなことがあって、この部屋の扉と此処に繋がる通路は厳重になったのだ。

とはいえ、これで外のことを調べてくださいと言われ、インテルネッツが使える環境になったのは喜ばしいことであった。

……あっ、インテルネッツはインターネットのことだ。すまんな、そう言ってしまう癖が有るのだ。許せ。

 

「おい美弥。この箱と平べったい物は何だ?」

「……パソコン本体とモニターね。それで調べたいことが分かるようになるんだけど。」

「何!?なら、直ぐに使えるようにしてくれ!」

「分かった、分かった。繋げて立ち上げられるようにするから少し待って。」

 

そうして美弥がパソコンなる物を立ち上げてくれたことで、その薄い画面に文字が浮かび上がり、動き始めたことは感動を覚えた。

 

「?……どうやって動かすのだ?」

「このマウスを使って動かすと、この矢印を動かすことができる。それでこのインターネットをダブルクリック。」

「だ………ダブルクリック?」

「ダブルクリックはマウスのボタンを2回押すって意味。」

 

何故か、今日に至っては美弥が頼りになると思えてしまった。

え?それはいつも頼りないうえ、シャキッとしてくれんかなぁ、とは思っておるが?……だから、そういじけるな。

 

「……で、ここで検索サイトで調べたいことをキーボード……もとい、この文字盤のボタンを押して書いて、検索するというボタンを押せば、調べたいことの情報がいっぱい出てくるってこと。何調べたい?」

「無論、これだ。」

「……せかいせいはって、ひとらーって、変換できないんだ?」

「はっ?そんなこと言ってなかったではないか?」

「ブフッ……いや、知らないなら、知らないって言いなよ?」

「悪いか?」

「ああ、もう不機嫌にならないでよ。」

 

そうして漢字変換の仕方を覚えた我は、知りたい情報をインテルネッツで調べられることができた。

我がインテルネッツという物に触れられたのは非常に喜ばしいことだと思えた。ヒトラー、ポル・ポト、スターリンといったこの世界の忌むべき歴史とチトー、エルネスト・ゲバラ、サッチャー、キング牧師という輝かしい歴史を調べられたこと、それに我の活動が意味有る物だと実感できたからな。

その証拠に、我の恰好をした異色ギャルが増えているという記事を目にしたのだから、我々荒魂に対する忌避感が薄まっている証拠であると分かって来たのだ。ともすれば、我が人権と国籍を得ることで国政に打って出るという選択肢は有ると確信したのだ。

その後、我はEメールアドレス等々を作り、アカウント名をも作っていた。

 

「アカウント名の名前は何にするの?あ〜〜、でも本名はナシね。」

「それは何故だ?」

「いや、何ていうかな。本名でやったらタキリヒメのことがバレるから辞めといた方が良いって話しなんだけど。」

「ふうむ。ならば、我以外にもアカウント名を使っている者は本名以外でしているのか?」

「まあ、そういう人も居るけど。」

 

……摩訶不思議な話しだ。親から連綿と受け継ぐことができる人間が自らその受け継いで貰った名を捨て、偽名を名乗るなど、命のバトンを渡せない我等にとっては不思議でしかなかった。我等はタギツヒメなどというこの国の神の名を勝手に名乗って、勝手にアイデンティティを確立していたのだからな。

 

「……では、ヒトラーで。」

「それ好きだね。……でもよくヒトラーとか知っているね。」

「紫に取り憑いていたとき、書物を読む時間が有ったからな、有名な人物であることは覚えていた。」

「何かとんでもないことをサラッと聞いたような。………あ、でももう違う人が登録しているみたい。」

「………人気なのだな、ヒトラー。」

「そうだね。私、映画の嘘字幕動画とか観たことあるから、そうなのかな?」

 

何とも言えない不思議な気持ちとなったが、我のアカウント名の名前はTAKIRIで決まった。

………美弥には、メールアドレスやアカウント名で助けられたが、我のことを小馬鹿にすることが多かったので、当然、後でお返ししようと決意をしていた。

 

「ところで美弥よ、お前はどれぐらい強いのだ?」

 

そのため、我は今の美弥の実力を聞いてみた。

 

「うっ!………それを聞く?」

「もしや、ヘッポコなのか?」

「…………あーーーそうですよ!衛藤さんとか、親衛隊の人達と比べればヘッポコですよ!?……私は。」

「何をそんなに拗ねる?自分と他人を比較しても、己の自尊心を傷付けるだけだ?」

 

美弥が急に拗ねだしたので、我は宥めようとした。

 

「だって、私は御刀に選ばれて、少し浮かれて綾小路に入学したんだけど、私なんかより凄い人達がいっぱい居て、特別任務部隊に配属されてもダメダメだったし、何で刀使になったんだろ?って思うようになってきて………。」

「…………。」

「そんで、私なんかが刀使になってよかったのかな?って思うようになって「うるさいっ!!」てっ、え?」

 

だが、急に弱気なことばかり言い始めたことにイラついてしまい、仕返し等どうでもよいと思えるほどに、ある決意をする。

 

「黙れっ!!そんな弱気なことを言いおって、今から鍛え直してやる!!」

「いや、えっ?ちょっ……」

「命は弱いことを許してくれん!それに、平和は剣によってのみ守られ、自己をあらゆる武器で守ろうとしない行いは、事実上自己を放棄しているのと同様だ!!それを胸に刻み付ける訓練を施してやる。」

 

こうして我は美弥を一人前にしてやると決めた。我の従者がこんな気弱なことを吐くことなど、ゆるせんからな!

そうして、我は始めた。映画で観た訓練法を実践した。

 

「このクズどもっ!トロトロ走るな!!全くなんたるザマだっ!! 貴様らは最低の蛆虫だっ! ダニだっ! この宇宙でもっとも劣った生き物だっ!!」

「ゼェ……クズどもって……ハァ……私一人……ゼェ…ハァ……。」

「いいか、クソ虫どもっ! 俺の楽しみは貴様らが苦しむ顔を見ることだ!ジジイの【検閲より削除しました】みたいにヒイヒイ言いおって、みっともないと思わんのか?この【検閲より削除しました】め!?【検閲より削除しました】たいなら、この場で【検閲より削除しました】ってみろ! 【検閲より削除しました】持ちの【検閲より削除しました】どもっ!」

 

先ずは何週も走らせ、心身を鍛えさせた。

無論、無理なことはさせていないという証明のため、我も一緒に走るが。

 

「俺は貴様らを憎み、軽蔑している。俺の仕事は貴様らの中からフ【自主規制】野郎を見つけ出し切り捨てる事だ!!勝利の足を引っ張る【自主規制】野郎は容赦せんから覚悟しておけっ!!!」

「ゼェハァ……ゼェハァ……。(し……死ぬ。というか、私、野郎じゃないんだけど。)」

「わざと負けて目立ちたいかっ!痛い振りをして同情を引きたいかっ!この負け犬根性のゴミ溜め野郎共がっ!!パパの【自主規制】シーツの染みになって、ママの【自主規制】に残ったのがお前らだっ!!」

「あぁあぁああ!!もう二度と言わないからっ!!もう終わりにしよう!?ねぇっ!!」

「トロトロ走るな、このオ【自主規制】がっ!泣き言言うなら、この場で首切って【自主規制】を流し込むぞっ!!」

 

流石に18時間近くも走らせると、泣きながらそういうことを言ってきおった。しかし、それで性根が直るとは到底思えんので、素振りをすることにした。

無論、無理なことはさせていないという証明のため、我も一緒だ。

 

「て"がぢびれ"る"!う"お"ぇえ"え"!!う"え"……け"ほ"ぉ!!!」

「笑うことも泣くこともゆるさんっ!!貴様らは人間ではない。殺戮のためのマシーンだ!!殺せなければ存在する価値は無い!隠れて【放送禁止用語】かいているのがお似合いの【放送禁止用語】野郎に過ぎん!!」

「ア"ァ"ァ"ア"ァ"ア"ア"ア"ア"ァ"ア"ァ"ア"!!!!(訳:お前!絶対意味分からないで言ってるだろぉっ!!!!)」

「それで殺せるか!気合を入れろっ!!!」

「ウ"ォ"エ"ェ"エ"ッ!!」

「迫力なし、練習しとけ!!」

 

たかだか、30000回素振りしただけだが、意味は有った。あのときの美弥の顔は良かった。顔真っ青なのが気に食わんが、久方ぶりに本当の必死の顔が見れて良かったうえ、弱音を吐かなくなった。……無論、もどした美弥にはちゃんと清掃するよう命じており、綺麗にさせておるぞ。

何?……可奈美よ、美弥は鞍馬流を遣うのだぞ?猿叫を使う薬丸自顕流の稽古などするか。ほれ見ろ、美弥も引いて顔を青くしつつ、震えておるぞ。

何?それは我のせいだと言うのか?……妙なことを言うな?お前達。

この訓練のお陰で写シは一回のところ二回は張れるようになったのだぞ?それに、刀使は平和は剣によってのみ守られ、自己をあらゆる武器で守ろうとすることを御刀で証明しているではないか?何が可笑しいのだ?

 

とはいえ、美弥はあのとき、

 

「この日をもって、貴様らはウジ虫を卒業する。本日から貴様らは海兵隊員だ!!」

「そういうのはちゃんと意味を理解してからやれ――――!!!」

 

と言って、我を殴ったのだ。何が良くなかったのだろうか………?

その後は通販サイトで世界地図を買った。

 

「……タキリヒメ、何でそんなの買ったの?」

「それは、無論。我が居る所はどれほど大きいのか気になるであろう?」

 

そう、レインボーブリッジから眺めた風景を観たあと、我はこの国がどれほど広いのか気になったのだ。だが、

 

「……美弥よ。我が居る場所は何処だ?」

「ああはいはい。ココ、日本っていう場所に私達は居るの。」

「ほう………小さい島国と聞いておったが、これほどまでに小さいのか。」

 

我は落胆した。

どれほどこの小さな島国で神などと息巻いていようが、この世界からしてみればちっぽけな声の一つに過ぎないのだと今更ながら……やっと、初めて気付いたのだからな。

 

「この広い世界にとってみれば、獣も虫も、人間も、荒魂でさえちっぽけな存在であるということか………。」

 

そう思うと、俄然我はこの広い世界のことを知りたいと強く願い、この広い世界を支配するのに見合うような者になりたいと強く思うようになった。

羽虫や獣、それと人間と同様にちっぽけな存在である荒魂がこの広大な世界を支配するのは、なんとも言えない痛快さと自分がただ畏れる存在ではないとこの世界に対して証明していると思えば、張り合いが有るからな。そう考えるだけで、何よりも胸が躍り、高揚し、愉しくなってくるのだ。我はタギツヒメよりも上位の存在タキリヒメ。古事記に習い、三女神の長女の名を勝手に使っているのだからな!!

 

そんな大望を抱きながら、我はこの部屋で過ごしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「まあ、そういう訳でお主らを臣下にするために呼んだ訳だ。」

 

ここまでの経緯を語り終えたタキリヒメは満足そうであった。

 

「…………タキリヒメさん、支配者になりたいってどういうことですか?」

 

だが、可奈美はタキリヒメを睨みつつ、どういう意味か尋ねていた。

 

「……そうさな、その前に喉が渇いたな。何か飲み物を取り寄せるとしよう。」

 

タキリヒメはそう言うと、手をパンパンと叩いていた。すると、可奈美達が通った自動ドアが開き、先程可奈美達を案内していた防衛省の事務官の一人が入って来たのだ。

 

「お呼びでしょうか?」

「何か我とご客人にも飲み物を。」

「かしこまりました。」

 

防衛省の事務官はタキリヒメを相手に敬うかのように丁重に受け答えし、飲み物を持ってくるためか、タキリヒメの居る部屋から退室していった。

 

「て………手懐けてる。」

「うわぁ……。」

 

それを見た姫和と可奈美は信じられない物を見たかのような反応をしていた。

そうして、数秒もしない内に防衛省の事務官は飲み物を持って戻ってきて、タキリヒメと可奈美達に飲み物をテキパキと配っていた。

 

「あっ……すいません。」

「いえいえ、タキリヒメ様のご客人ですので。」

 

可奈美は飲み物を持って来てもらったことに感謝の意を述べると防衛省の事務官はそれが当然の接客マナーだと疑うことなく答えているようだった。

 

「助かった。もういいぞ。」

「はい。また何か御用が有ればお呼び下さい。」

 

タキリヒメに用は無いと言われるものの、事務官は嫌な顔を一つもせず、何か用が有れば呼んで欲しいと一言添えてから、退室していった。

 

「「「…………。」」」

 

その光景を一言も発せず眺めていた可奈美達は呆然とする他なかった。

 

「ところで可奈美よ、我に何か聞きたいことが有るのではないか?」

 

飲み物を飲みながら、可奈美に尋ねるタキリヒメの声にハッとした可奈美は疑問をぶつけていた。

 

「あっ、そうでした。支配者になりたいってどういうことですか?」

 

先程、言っていたタキリヒメの『人間と同様にちっぽけな存在である荒魂が広大な世界を支配する』というのはどういう意味か尋ねていた。

 

「……そうさな。我はこの世界では穢れが有る荒魂と定義され、滅ぼされる。しかし、それが絶対に正しいことだと誰が決めたっ!?だからこそ、我はその定義に抗うと決めた。………穢れと言われ続けてきた荒魂自身がこの世の不条理に抗い、荒魂と穢れと扱われる我が支配者となることで、荒魂にも政権と人権を与えるのだ。これほど痛快で愉快なことがあるか?世の中が変わったと思えるほどであろう?我がこの世界の、いや星々の果てまで支配すればどれほどの熱気と活気がこの国を支配すると思う?それだけで胸が躍る!高鳴る!!焦がれる!!!……我が支配者となるだけで、世の中は大きく変わり、我を信じた者達と共に大きく物事が動くのだ。それだけを夢見るだけで、成し得るだけで我のタキリヒメという名は不動の物になり、唯一無二の物となる!我々荒魂は確かに命の輪から外れた者達だ。親から子へDNA情報といった物は受け継がれない。だが、それ以外にも、後の世代に託す方法はある。ただ我が国を大きく揺り動かす。ただ我が国を繁栄させる。それだけでこのタキリヒメの名は永遠に遺るのだ。」

「…………。」

 

タキリヒメは可奈美に『人間と同様にちっぽけな存在である荒魂が広大な世界を支配する』というのはどういう意味か答えていた。

ただ、荒魂を穢れある者ではなく、この国に住まう者等と同様に扱わせると返答して……。

 

「だからこそ、我は臣下を求めている。我の下に降らぬか?」

 

タキリヒメはそう言って、可奈美を勧誘していた。

だが、可奈美はタキリヒメのことをどこか信用できないと思ったのか、タキリヒメにある提案をした。

 

「あの、タキリヒメさん、私と立ち会いをしませんか?」

 

相手の心を知るために、しかし、

 

「断る。」

「えっ?」

 

可奈美の誘いをタキリヒメは迷わずに断るのであった。

  

  




   
   
タキリヒメさんにハー○マン軍曹が乗り移った。
いや、大荒魂って他の影響受けやすいだろうなとか思っていたのでこんなふうになりました。

次回、正体現したね。
   
   

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