【完結】刀使ノ巫女+α   作:tatararako

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80話を投稿させて頂きます。

熱狂する大衆のみが操縦可能である。
   
   


我が教え子、タキリヒメ

   

   

「断る。」

「えっ?」

 

可奈美の誘いをタキリヒメは迷わずに断るのであった。

 

「当たり前であろう?臣下でもない者と稽古してどうする?ついでに言うておくと美弥に稽古を付けたのは我が御刀を抜かずにすめば良いと考えてのことだぞ。大将の剣というのはな、敵の攻撃をかわせれば良い、軽々しく敵と斬り合う物ではないと我は考えておるからな。」

 

政治家や支配者になることを望む今のタキリヒメは、大将の剣というものは自分の身を守れる程度の技量があれば充分であり、剣術というものは雑兵が一番上手く扱えれば良いという認識でしかない。そのため、美弥を鍛えていたのは自分の従者であるからであり、自らが剣を振るって戦わなくても良い様に稽古をしているのであって、剣術に対しても特に思い入れが有る訳ではない。

 

「故に、お前が我が幕閣に加わるというのであれば、好きなだけ立ち合いはしてやろう。」

 

そう言ってタキリヒメは、可奈美に臣下となるようにと言って勧誘していた。

 

「何で?私なんか………。」

「何故?そのように卑下することは無い。我が認める程の優れた力量を有する刀使を我が幕閣に加えたいだけだ。……それに、我が龍眼を以ってしても、我は可奈美には勝てないという結果が出ておる。」

 

タキリヒメに今の可奈美は自分よりも遥かに強いと言われ、可奈美は反論する。

 

「そんなの戦って見なければ分からないじゃないですかっ!!?」

 

珍しく取り乱す可奈美。

自分がもう既に大荒魂以上の実力を有しているということを認めたくなかった。認めてしまえば、もう先が無いような気がしたからだ。

 

「いいや、分かる。だから言える。我が陣営に加わり、共に見果てぬ夢を見ようと!我とお主と十条 姫和。我ら三人が手を携えれば、どのような敵が目の前に現れても打ち負けることは無いと確信しておる。故に我が臣下にならぬかと尋ねている。……悪い話しではなかろう?」

「…………。」

 

可奈美は押し黙ってしまう。

確かに、ここは剣術好きな少女であれば、“皆が想像する可奈美”であれば、頷くべきなのであろう。

だが、可奈美はこのタキリヒメが信じられなかった……。

どこか、本心を隠しているような感じがして、違和感しか感じられないうえ、信じられなかったのだ。

 

「それに、折神 朱音。我が臣下となれば荒魂を中心とした防衛部隊が創設され、刀使の負担を減らすことができるぞ?」

 

朱音には、刀使の負担を減らせると迫っていた。

……確かに、刀使の負担は年々増加しており、それは朱音も気に病んでいた。舞草を創設し、大荒魂の企みを封じたと言えば聞こえは良いが、結果は関東中にノロをバラ撒き、世の中を混乱させただけである。そのうえ、元親衛隊であるという理由で真希と寿々花の両名を刀使として復帰させることを舞草の保守派が抗議してきたのである。……最早、刀使の充足率は低下しており、経歴がどうこうという状況ではないのに、と朱音は心の中で愚痴っていたことを思い出し、タキリヒメの話しを聞き入ってしまっていた。

 

「そして、十条 姫和。荒魂たる我が世間に認めてもらえれば喜ぶ者が居るのではないか?」

 

姫和には、暗に優が迫害されずにすむと迫っていた。

自分を認めて、相手にしてくれる優を化け物のように言う周りの者達。私を愛してくれていて、愛している優を化け物のように言って、裏切った岩倉 早苗。

それらを思い出した姫和は、呆けた顔をしながら、タキリヒメの話しを黙って聞き入ってしまっていた。

 

「最早、この国には猶予は無いのではないか?なら、どちらを選ぶべきかはわかるはずだ。」

 

そのうえ、先程のタキリヒメから聞いたこの国の現状を思い出していた朱音と姫和に臣下となるようにと言って、タキリヒメは迫っていた。………しかし、

 

「あの、タキリヒメ!!……すいませんが、今すぐには決められません。なので、もう少し時間を下さい。」

 

可奈美の一声でハッとなった朱音と姫和はタキリヒメの話に乗るところであったと後悔していた。

 

「……ふむ、まあ構わん。我は何時までも待っておる。お主らにはそれだけの価値が有ると踏んでおるからな。」

 

だが、タキリヒメは可奈美の話しに乗り、時を待つことにした。

このまま、押して迫っても、引くだけであるとタキリヒメが判断したからである。それに、朱音と姫和の反応を見れば、この両名だけでも勝算は有ると理解しただけでも会って話したという行為は無駄ではなかったとタキリヒメは思い、可奈美の意見を受け入れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タキリヒメとの会談が終わり、タキリヒメが居る部屋から退室した朱音と可奈美達。

 

「朱音様!」

「大丈夫です。」

 

だが、朱音が倒れそうになり、驚いた可奈美が支えるが、朱音は大丈夫と言って、どうにか立とうとしていた。

 

(………姉様は一人でこんなものを抑え込んでいたのですね。)

 

危うく、迫ってくるタキリヒメの話しを聞き入ってしまい、臣下になると答えるところだったと朱音は畏れ、身震いしていた。

あのタキリヒメの相手の心の中に侵食するかの様に入り込んでくる話術。

ならば、二十年も身体を大荒魂に侵食され続けた状態で、あの話術を繰り広げるタキリヒメを相手に姉の紫は今まで二十年も一人で耐えてきたのだろうかと思うと、ゾッとする思いを抱くしかなかった。

 

(………とすれば、衛藤さんも気掛かりでならないのかもしれません。)

 

そして、朱音は可奈美の方をチラッと横目で伺いながら、タキリヒメと同等、いや最早それ以上の力を有するであろうタギツヒメを身に宿す優のことを気にしているかもしれないと気に掛け、ついタギツヒメのことを思い出していた。

そう最初の出会いは先ず、優の身体を借りてのことであるが、

 

『ふん、発言を許すぞ。それなりの対価はあるだろうな?…………えーっと、その、紫の妹。』

 

………という趣旨を胸を張って答えるタギツヒメ。

 

『ふっ、ふん、誰に向かって言っている?我は神ぞ、聞く内容もよく吟味して話せ。つまらん話は許さんぞ。』

 

とか言いながら、何も言わなかったら急にソワソワしだし、朱音をチラチラ見ては、話し掛けて欲しそうにするタギツヒメ。

 

『お前が言うな!エターナル胸ペッタン!!』

『エターナルゥゥッ……!そういうお前はヒメヒメ・ザ・ナイペッタンじゃないかっ!!』

 

そんなこんなで姫和と"胸の大きさ"で口喧嘩をするタギツヒメ。

 

『なあなあなあなあ、カッコイイ告白ってどうすれば良いのじゃ!?……あっ!いや参考にする訳ではないぞ?友人に相談されてな!!』

 

その数か月後のことだが、姫和と可奈美は知らないが、タギツヒメの恋の相談を受け持った朱音。……そして最近になって分かったことだが、タギツヒメは信用している相手以外はこんな口調になることが分かって来たのである。

 

『……そ、そそそそそそそんなこと言えるかっ!!ボケェ!!!』

 

朱音の考えた答えに、顔を真っ赤にしてキレるタギツヒメ。

だが、朱音は優に照れ隠しだから怒らないであげてと言われていたことを思い出していた。……ならば、子供が言っていると思えば朱音はタギツヒメにどれだけ悪態を吐かれようとも逆に微笑ましく思えてきたのである。

 

『うわあぁぁぁぁぁん!!失敗したぁっ!!どうぢよう、どうぢよう……。』

『はいはい、落ち着きましょうね。タギツヒメ……。』

 

タギツヒメは友人に相談されたという設定を忘れ、告白に失敗したと言って朱音に慰めてもらっていた。

 

『ずずーーーー。ウッ、ゲホゲホ!!』

『慌てて食べると喉を詰まらせますよ。貴女の身体ではないのですから、自分を大事にしてくださいタギツヒメ。』

『……ありがとう。』

 

その後、紫の影響か、カップ焼きそばが好物だと聞いた朱音はタギツヒメに振舞うものの、慌てて食べたせいか咽るタギツヒメに慌てることなく水を差し出して助ける朱音。それを見て、ありがとうと言うタギツヒメを見て、癒される朱音。

 

『のうのうのうのう、可奈美お義姉さまとどうやったら仲良くできるかのう!?紫の妹!』

『私は朱音と言いますよ。タギツヒメ。』

 

その次の日も、また優の身体を借りたタギツヒメは可奈美をどうやったら攻略できるかという話しを未だに名前を覚えず"紫の妹"と呼んで朱音に尋ねるタギツヒメ。

 

それらタギツヒメの行動を思い出した朱音は、相手の心に侵食してくるタキリヒメとまるで子供のように右往左往するタギツヒメを無意識に比べ、タギツヒメの方が微笑ましいなと思ってしまう。

 

「……ええ、大丈夫です。」

「あっ、はい。」

 

朱音は、タギツヒメとの思い出のお陰で癒された気持ちとなり、朗らかな笑みと共に可奈美にそう答えていた。

その朱音の朗らかな笑みを見ると、可奈美は何とも言えない気持ちとなって見るしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タキリヒメは、朱音と可奈美達との会談を思い出しながら、一人ほくそ笑んでいた。

何故なら、人を管理し、導く存在になるにはどうすれば良いのか、この世界と人類から学んだからである。

 

スターリン、ヒトラーから人心の掌握の仕方。サッチャーとキング牧師からは言語が喋れれば、性別や人種はこの世には関係が無いこと。チェ・ゲバラからは同盟国アメリカが日本に原爆を落としたにも関わらず、そのアメリカに今も守られ、牙を失いかけているということ。そして、ポル・ポトからは自分達よりも大勢の人間を殺したにも関わらず、指導者の地位に居続け、同じ人から"アジア的優しさ"に満ち溢れていると言われていたということ。

それらを総合的に考えたタキリヒメは穢れの存在と言われる自分がこの世界の支配者となっても何も問題が無いことであると理解したのだ。

 

(……今日は朱音と姫和だけでもと思っておったが、結局はこの二名を得ることができんかった。)

 

“沈黙”という武器を使って話しを聞かせるよう仕向けると同時に、今の政治を批判。そのうえ、ヒトラーやスターリン、ポル・ポトといった虐殺を行った指導者を例に出したのも、認知度が高く、人間側にも二十年前の大災厄以上の犠牲を出した者が居ると思わせることで自身が政治家や国のトップになる正当性を確保するためにヒトラーといった過去の人間を利用したに過ぎなかった。なお、このヒトラー等を利用する手法を思い付いたのは、テレビやメディアでよく見かける『○○はヒトラーのようだ!』という手法から学び得たものである。

そんなロジックとその者が不安に抱いている事柄、例えば、刀使の充足率の問題と優に関する問題等を使って、朱音と姫和を不安にさせ、その不安材料を払拭するような提案をすることで、精神的に無防備にさせ、注意力が散漫となったところでこの両名を説得。そうして、こちら側につかせれば、可奈美もこちらにつくだろうと思い、先に朱音か姫和を攻略しようとしていたが、結局は一人も得られなかったことにタキリヒメは残念に思っていた。

 

(誰かに多くのストレスや心配を与えられ、次の瞬間にそれらをふいに取り除いてやる言葉を掛け、精神的に不安定にさせると同時に注意力を散漫にさせ、無防備になった相手を説得する。……不安・安堵法は素晴らしい方法だ。ファシストといった者達が使うのも理解できる。)

 

しかし、タキリヒメは可奈美達を臣下にすることを諦めていなかった。

 

(……今回はあの千鳥によって防がれたが、まだ猶予は有る。)

 

可奈美の立ち合いを断った理由は、臣下以外の者としたくないのと、自分の心の中を悟らせぬようにしたかったからである。

事前に、姫和と朱音の二人と同じく、可奈美のことを調べていて正解だったとタキリヒメは思っていた。

 

(それに時間は我の味方だ。)

 

事実、この国は多くの病根を抱えている。

それらを解決するにはタキリヒメしか居ないと思っている政治家達を既に数人仲間に引き入れているため、政治工作も容易である。彼等を使って支持者を集め、自身が人権と国籍を得るのは時間の問題でもあるとタキリヒメは考えていた。

 

(初めこそは、一人でどうすべきか迷ったが………。)

 

本体に置いて行かれ、現世でもあるこの世界で一人彷徨っていて、どうすべきか迷っていたが、この国の政府に保護してもらったことで状況は変わった。

そして、この世界の人類全体を支配しようと決めたのは、愚にも付かないクズみたいな物しか流さないテレビを見て、このまま愚にも付かない世界を支配しても意味が無いと理解したためである。そのためには、先ず自らの理想郷を創るため、起つことを決めた。

 

 

――――俺に“荒魂討伐”できる権限があれば、叩き直してやれるのに………!だから刀使の中には荒魂に似せたパーカーを着ていたり、荒魂の角とか付けてるふざけた奴が出てくるんだ。管理局が無能だから、こんな奴がのさばって!俺の家族は死んだんだ!

 

 

そして、多くの人と話したことで政治不信と様々な対立を理解したからこそ、タキリヒメは理想郷を創る第一歩のための指針を定められた。

それら政治不信と対立を払拭するべく、国民と国家が一体となった強固な国を創り、タキリヒメ自身がその国の全てを支配する指導者になると。

 

(全てに意味が有るのだ!我が、いや私が本体に見捨てられ、この現世に残らされ、人を支配したいと思うのも!全てに意味が有る!……状況は私に微笑んでいるのだ。だからこそ、人を支配することを原動力とする私を神は、この世界という名の庭園を私に赴かせたのだ。……この国では、それを国造りと言うらしいな?)

 

インターネットで知ることができたのは、この世界の歴史だけではない。

移民お断りの横断幕を広げる欧州の現地住民。難民用施設の前で暴動が発生するEU各国。EUの旗を燃やす者達といった同じ人が"人種"という根深い対立を起こすことになる事件も知ることができた。

 

『スウェーデンに来たのなら、スウェーデンの生活様式に合わせるべきだ。』

『外国人の渡航が制限される見込みです。』

『欧州が、人口比率によってイスラム国家に変わるかもしれないのです。』

 

この国だけでなく、独裁者が生まれたドイツで、デモや暴動が起きている欧州で、そして世界中で"人間同士"がいがみ合うことに集中し、荒魂に対する忌避感を忘れていくことになるであろうこの状況は、世界を支配し、全てを己の手のひらの上で管理したいタキリヒメにとっては非常に好都合であった。

それら移民と難民問題を提起するだけで、人同士が争い合い、それを眺めながら時を待つだけで、人とは違う荒魂にとって非常に好都合となる状況に推移するこの状況は、タキリヒメにとって、

 

(神という存在が居たとして、この好機が訪れたのは、それは私がこの国を、この世界を支配せよと御告げになられていることに他ならない!)

 

好ましいことでしかなかった…………。

 

人類平等、博愛主義、平和主義。

今世紀になっても人が人に縛り、打ち破れない主義。

ならば、それらを逆手に取って、自分に人権と国籍を付与することができれば、それだけで人や刀使は簡単に自分を傷付けることは容易にできないということと同じであるとタキリヒメは考えていた。

故に、タキリヒメは人権と国籍を得ようとしていた。

 

(それに、優という少年も私のために役に立ってくれている。……その者が居るだけで、私は身の潔白を証明することができるのだ。)

 

唯一、慌てたことといえばタキリヒメを支持する政治家が、優の中に居るタギツヒメをタキリヒメに取り込ませるという提案をしたことである。

そんな話をすれば、タキリヒメを敵視する人間達はタキリヒメが世界を支配しようと目論んでいると嫌疑を掛けてくるからである。むしろ、優のこれまでの行いを考慮すれば、彼に忌避感を抱く者が日に日に増えていくのは目に見えている。

だから、優はそのままにして、優を己に対する切り札としてタキリヒメを不安視する者達に持たせた方がこちらに対する心のガードが緩くなり、不安視する者は減るのである。故に優を生かす必要がタキリヒメには有ったのである。

そうして、不安視する者が減れば、敵視する者は異常者として扱われるだろうと推測していた。

 

 

――――我々が国民だ!!我々が真の国民だ!!

 

 

そして、タキリヒメはインターネット上で視聴したことのある移民という人間と対立する"真の国民"の声が、自分に対する声援の様に聴こえていき、その声援のお陰で、政界からは与野党問わず入党依頼が舞い込むか自分で政党を創ることでそれを足がかりとして、やがては世界の全てが自分の手のひらの上で踊ることになることを夢見ながら、軟禁されている場所で大人しく待ち、自身が出馬することになるであろう選挙運動のことを考えていた。

 

(……正に、『政策実現の道具とするため、私は大衆を熱狂させるのだ。』であり、『私は「説得」によって、全てを作り出した。』だな。)

 

…………不法移民の排斥とグローバリズムの否定を訴え、リベラル派と保守派の対立を煽ると同時に人類を分断し、今の政治を金権主義者として批判。この絶望的な状況に在る国を力強く信用されている指導者の下で絶望的な状況を打破することができる変革を促し、国民の支持を得ると同時に国家と国民を一体にし、そのための指導者になるという全体主義的な主張を訴えることでタキリヒメの言う全体主義的な思想へと国民を誘導し、自由主義者を排斥する。

 

 

――――頭にくる事はやはり、やっぱり賃金の問題よ。旦那の稼ぎが悪いからパートで頑張っているけど、やっぱり子供のことを考えるとね………。

――――そうだ、好きな国に帰れ。日本生まれの奴もだ。

――――無い。全く無い。……正直に言うと、ここ最近は選挙にすら行っていない。

――――ああ、だがそれを言えんのだ。民衆扇動罪などを調べてみると分かる。――――ありがとう、後で調べてみるわ。

――――昔の十字架を今も背負わされているんだ。……過激って訳じゃないけど、それは違うと言える。

 

 

街頭インタビューで知ることができたこの国の国民の本音。

賃金、人種問題、不正選挙、国の法整備、過去の問題に対する不満、そんな暗い時代の中で起因する出生率の低下。

それらを聞き、そして他の影響を受けやすいタキリヒメだからこそ理解し、自分の一方的な支配と管理によって人間を導くことこそが真の共存という考え方を放棄し、選挙に勝って民意と自身の理想郷を叶えるべく全体主義的な主張と考え方になったのである。

そうすることで、国と国民を管理する国のトップの地位をタキリヒメが就任した後、隠世技術の恩恵でこの国を再び経済大国へと復活させ、国民の支持と信頼を得ることで自身が築き上げた理想郷の支配を盤石のものにし、いずれは支配下に有る荒魂の部隊と隠世技術によって得た経済力によって、世界を手にするという算段であった。

 

(……上手く行く。この国は平和主義なのだからな。自分の手を汚すことなく荒魂が自分達の代わりに戦ってくれていると思わせれば、人は戦う意志も削がれ、戦い方もすぐに忘れる。)

 

そうして、タキリヒメは朱音に言った刀使の負担を減らすという名目の下でタキリヒメの支配下にある荒魂を中心とした防衛組織を創設し、人間達の牙を抜き、戦う意志を削ぐことで、最終的には人類と荒魂の全てを飼い慣らすように管理・支配するというタキリヒメにとって、最も理想とする世界を創ろうとしていた。

 

熱狂する大衆は操縦可能であり、思考しないことは政府にとって幸いであるという“自分の考え”は真実であるなといったことを考えながら、タキリヒメは一人胸の内でほくそ笑んでいた。

………ヒトラーと同じことを考えていたことに気付かぬまま。

  

  




   
  
ここのタキリヒメの本性は、「人間への支配欲」から「現世の全てへの支配欲」を原動力としている姫です。
そのためには、どのような方法で効率的且つ合理的に達成できるかを考えた結果、ああいうことを朱音や姫和に話したというだけのお話しです。
  
  
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