【完結】刀使ノ巫女+α   作:tatararako

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86話を投稿させて頂きます。

刀使の人数が少ない?
なら、

表向きは自由意志による参加、中身はほぼそれ一択しかないという方法もあるよね?

とか思ってしまった自分。


最初に書いてある孤児が刀使になれた理由とか、世界各国が刀使という存在を黙認する理由とか、刀使が過酷な訓練を行っていない理由とかは全てtatararakoの勝手な考察ばかりです。
というより、今回の話は勝手な考察ばっかです。
   
   


綺麗な言葉に刺さる心

   

   

  

『各地で起こっているアメリカでの国人差別に対する抗議活動は世界各地と日本にも広がっており、その抗議活動とそれに反対するデモ隊とがぶつかり、最悪の事態へと発展する恐れがあるとして、本日未明、政府は抗議活動が起こっている現地にて荒魂事件が発生する恐れが充分に有るとして、強行採決した特措法に基づき特祭隊の限定配備をすることが決定致しました。なお、この政府の決定に連立を組んだ一部政党と野党、国民の反発は激しいものとなることは予想され――――』

 

一方、テレビに映るニュース発表に対して刀使達が物議を醸していた。

 

「ねえ、これってさ、私達紛争地帯に行かされるみたいなものなのかな?」

「怖いよね。そんなん嫌だよね~。」

「私、純粋に剣術が好きで此処に入ったのに………。」

 

といった感想の述べ、人と戦うようなことをするために刀使になったのではないと話していた。

一般的に想像される使命に燃えるうら若き刀使達の会話であった。

彼女達は、剣術道場の娘で親の経営する道場の名声を得るために在籍していたり、親や祖父母が刀使であったので刀使に憧れる者だったり、刀使に助けてもらったからという理由で試験を受けて突破した者が多い傾向にあり、概して彼女等は誇り高く、使命といった物を大事にするのだが、その誇り高さ故に融通が効かないという部分もあるため、彼女達のように、政府の決定に異議を唱えたりする程、賛否両論であった。

しかし、そういった者達は両親が存命といった比較的恵まれた環境下にあるため、子供の事を心の底から心配した親から刀使を辞めるように説得され、そのまま退校するということが多く、今はこういった刀使の使命に燃え、且つ実力が高い子は希少になりつつある。

 

「何か最近噂になってない?あたし達が戦争に行かされるとか、協力させられるみたいな話。」

「あ~、そういやそうだね。……でもさ、別にどうでもよくね?上がそう決めたんなら、従うしかないんだし。」

「だよね。」

 

しかし、その一方で金銭的に恵まれていない環境下に産まれ、賃金を得るために刀使となったこの娘達は、仕方がないと言って諦めていた。

彼女等は、運良く御刀に選ばれ、試験にも刀使として社会に貢献したい等と偽って刀使となっているが、大元の理由は金銭的な理由で入隊している。

そのうえ、その娘達の中には、酷い場合は親がギャンブル中毒者であった者も居り、経済的に余裕の無い家庭に産まれたので、その境遇から脱するために大学まで勉学をし、一般の会社や他の公務員に就職するため、刀使として働いている子も居たりするので、退校する者は親からの強い要望が無い限り、退校はしないので最初の娘達よりも在籍数が多い。

……しかし、彼女等は刀使の役目をただの仕事であると考える傾向が強いため、命令には従うが命令以上の活躍をすることは少ない傾向にある。

 

「……何か騒いでるよね。」

「何か、さっきのニュース観て、どうなるか気になるんだって。良いよね、あいつらは迎えに来る親とか居るんだし。」

「……どうでも良いよ。いつも通り荒魂が出てきたらぶっ潰すだけなんだし、そんなに変わらないでしょ。……それに私達には、他に行く当てなんて無いんだし。」

 

そして、他の二組とは違う雰囲気で、先程のニュースをどうでも良いかのように答える刀使達が居た。

彼女等は、親による暴力か何らかの理由で親と引き離されたり、もしくは捨てられたり、荒魂事件に巻き込まれたために親と死別したりといった様々な理由で孤児となった経緯の有る子達である。

 

そして、そんな彼女等の様な孤児が刀使になれる経緯は少し複雑な事情があった。

それは、二十年前から遡るが、その当時は今よりも荒魂事件が多かったことと、相模湾岸大災厄で荒魂による被害が特に多かったことから、大量の孤児が現れ、児童養護施設だけでは対応できなかったことから(元々、経済的な理由で、社の数を減らそうとしていたぐらいに困窮していた政府の事情も相まって、養護施設の数を増やすことも出来なかったというのもあった。)、寮と教育機関が備わっている伍箇伝に児童養護施設としての機能を付与したことが事の始まりであった。

当初は“自立した心を養う”や“子供の機会を均等化”と“教育格差の是正”という一環で、医療や通信といった後方要員として活躍していた。

だが、現場で活躍する刀使達から、そういった後方要員を下に見る者が居たので、対抗心から後方要員としてだけではなく刀使としても活躍させてほしいという者が孤児の中から現れ、その現状を見た上層部が『差別に当たるのでは?』という鶴の一声から始まり、志願者の中から御刀との適正が高かった者を刀使として活躍させたことから、彼女等の様な孤児も刀使になれる様にしたのである。

 

荒魂との戦いの日々を過ごし、ただ生き残るために剣を振るうという環境下にある彼女達の結束は"孤児"であるということを唯一の繋がりとして、彼女達の絆や結束力は高いものではあるのだが、その反面、自分達とは違う者に対しては距離を取るという極めて排外的な傾向にあり、自分達が仲間と認めた者を傷付けたりした者やそれと同様な事をした荒魂は執拗に追い詰め、過剰に報復するという危険な性質も持ち合わせている。

しかし、刀使の使命を命令として、御刀も剣術も仕事道具として割り切って考える者が多いうえ、他に行く当ての無いことから退校する者は居らず、死をも恐れず良く戦うことから戦闘能力は高く、戦闘員として見れば理想的な存在でもあるのだが、精神面は非常に厄介であった。

 

刀剣類管理局内部でも、三者三様にこの法案に対して異議を唱える者が居れば、全く何も思わない者、ただ唯々諾々と従う者とで別れていた。

 

しかし、孤児といった恵まれない子供達を刀使として利用するのは流石に児童福祉法といった法に違反するのでは?といった内容の抗議が来たりしたが、

 

重要施設が荒魂に襲撃されれば、誰が対応するのか?

荒魂討伐が可能なのは、今の現状では刀使のみである。

孤児といった恵まれない子供達が刀使になるのは強制ではなく、自由意志に基づくものである。

 

といった反論が各所から出たため、やがてその抗議は下火になっていった。

 

そういった事もあり、彼女達の中には様々な経緯で刀使となった者が在籍していた。そして、彼女達の様な純粋に刀使になりたかった者や貧困に喘ぐ子供、親と別れることになった孤児でも刀使として活躍しているのだが、そんな彼女達を刀使として活躍していることに、世界各国が黙認しているのにも理由があった。

幾度も起きる荒魂事件に悩まされ、刀剣類管理局を公的機関として定めている政府としては、刀剣類管理局が児童をただ過酷な環境に追いやっている組織ではないと証明する手段として、刀剣類管理局に保護されている孤児や入局した貧困に喘ぐ子供達が寮生活や教育の権利と機会を無料で受けられていること、そして刀剣類管理局局員や他の公務員職へと就職できたり、特祭隊隊員時に得た収入を使って一般企業にも就職活動したりできる様にしているため、広範で自由意志による就業機会を得ているとアピールする事ができ、刀剣類管理局が児童搾取をする組織ではなく、人道的な組織であるとして宣伝している側面もあった。

また、米国も日本に在日米軍基地が有り、荒魂から身を守るために必要だと認識していること。そして、世界各国も日本に大使館や投資をしている所が有るうえ、荒魂事件によって円や為替といった市場が突然暴落することを防ぐことにより(例えば、荒魂が日本取引所グループといった市場経済の中心を担う様な場所を襲撃し、機能不全を起こす程の被害が出されてしまう事態となれば、世界は大荒魂が出現する大災厄よりも狂ったように大騒ぎである。)、世界経済の秩序を守ることが可能であることを考慮すれば、荒魂に対する対抗手段は必要であると世界各国が理解している以上、刀使はどうしても一定数は必要であるため、誰もが黙認していた。

 

しかし、総じて裏の理由は、大人も子供も神の見えざる手に導かれていたという事である。

人々が食事をできるのは、肉屋や酒屋やパン屋の主人が博愛心からではなく、自分の利益を追求するからであるのと同様に……。

 

 

そして、テレビに映っていたニュース発表は終わっていて、気付けばコマーシャルに変わっていた。

 

『運動が出来ない私は、子供の頃にヒーローに憧れていた。』

『だけど、運動ができなくても、思いが強ければヒーローになれるんだ。』

『子供の頃に憧れた、強いヒーローに!!』

『子供達の笑顔とこの街の平和を守る、強いヒーローに!!』

 

よくテレビで見かける子役が扮する刀使が任務に活躍するイメージ映像と何度も聴いたことがあるような耳障りの良い美辞麗句な言葉。それらが終わった後、この長いテレビコマーシャルは"夢を叶える力"といった幻想を抱かせる抽象的な言葉と"福利厚生が充実"といった彼らの損得感情を揺さぶる文章、更には"子供の主体性"といった搾取としての免罪符によって構成された交響曲は、宣伝広告として奏でられ、映像を映す箱から流されていくのであった。

そして、その文章や言葉が流れ終えたとき、新たな材料を投下するかの如く、子供の笑顔に応えて、手を振る子役の刀使。

 

『私はヒーローになるっ!!』

 

そんな青臭い言葉で締め括られると思われた次の瞬間。刀剣類管理局局員募集中との見出しがテレビの画面に映っていた。

 

そして、最後は……

 

〈 刀剣類管理局は児童福祉法等を遵守し、児童・青少年女子の健全育成活動にも従事しています。 〉

 

というテロップと共に、刀剣類管理局のテレビコマーシャルは締め括られていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――特措法が強行採決される数日前、防衛省市ヶ谷。

 

タキリヒメ派が、刀剣類管理局に課せられた荒魂関連ではない事件に特祭隊を介入させてはならないという条約を緩和させる特措法について話し合っていた。

 

「タキリヒメ様、例の特措法が通るようです。いかが致しましょう。」

 

タキリヒメ派に属す議員。分かり易く言うと、タキリヒメに味方する国会議員の一人で、タキリヒメに味方した理由は増税に次ぐ増税で疲弊した国を隠世技術でもう一度技術立国として甦らせると同時に経済大国として復活させたかったがためにタキリヒメの側に付いていた。

そんな彼は、親が有名な国会議員で、その地盤を受け継いだ二世議員である。彼は、その親から受け継いだ地盤を利用して、今回の特措法が強行採決されるという確かな情報を得ていた。

その情報を得た彼は、タキリヒメに知らせるべきだと判断したために市ヶ谷へ向かい、タキリヒメに知らせていた。

 

「……ふむ。妨害工作をする必要も無かろう。むしろ、援助しよう。」

 

タキリヒメは気にすることなくそう言って、一蹴していた。

 

「しかし、荒魂討伐を生業とする刀剣類管理局にこれ以上の権限を与えますと、こちらを攻撃してくる可能性があります。」

 

そう言って彼は、刀剣類管理局に対する敵意を隠すことなくタキリヒメに上申していた。

 

「いや、幾ら権限が上がったとはいえ、突然気が変わったかの様に我を攻撃することはあるまい。……我を討伐すれば、優とイチキシマヒメ、それに我という力の三つのバランスが崩れということの危うさぐらい彼奴等にも分かっておるはずだからな。」

 

タキリヒメは刀剣類管理局側が自分を殺せば、この複雑に絡んだ三つの力が崩壊し、後戻り出来ない状況へと推移することは刀剣類管理局側も望んでいないと彼に説明していた。

 

「もし、もしもだ。……我を討伐して何も講じなければ、我はただのノロの塊になるだけなのだ。もし、そのノロの塊から新たな荒魂が生まれたとしても、それは最早タキリヒメではない別の荒魂だ。その新たな荒魂と刀剣類管理局が新たな関係を直ぐ築けるのであれば別だが、それが可能かどうか不確かである以上は薮をつついて蛇を出すことはすまい。」

 

そして、タキリヒメはその理由も含めて彼に教えていた。

 

「……まあ、彼奴等がそういった理性的な考え方があれば、何もしてこないでしょうが。しかし、もう少し御身の身体を大事になさって下さい。」

 

しかし、彼は何時かタキリヒメがこの日本から居なくなってしまうことを恐れたがために、タキリヒメが居る市ヶ谷周辺の警備をもう少し厳重にすべきだと上申していた。

 

「ふっ、私……いや、我がそんな理性を失った刀使共の剣に討たれたときは我がこの国を治めるのに相応しくなかっただけのことだ。何一つ案ずる必要は無い。」

「しかしっ!!」

「我とて疑問に思うことはある。本当に我はこの国を治めるに相応しい器かどうか。……試せる絶好の機会ではないか?」

 

タキリヒメが自身の警備を厳重にしない理由。それは、自身が本当にこの世の支配者として相応しいかどうかを試すためであると答えていた。

そして、その剣が相手になったときは受けて立つとも答えていた。

 

「それにだ。我々が掲げるのはこの国を再び経済大国、いやそれ以上の黄金期をこの国に齎すことが我々の使命であったはずだ。……ならば、その使命を果たすには刀剣類管理局の権限を上昇させ、国民を荒魂と暴徒達の魔の手から守らねばならん。なら、我が身可愛さ故に法案潰しに躍起になっている無様な姿を他の者に見せる訳にはいかん。」

 

そのうえで、タキリヒメは自身に火の粉が降りかかる事になろうとも、国民を守るために特措法の制定の阻害をすべきでは無いと彼を説得していた。

しかし、タキリヒメとしては、己が絶対の君主となる世界の構築のためには、多くの国民という人種、もとい土台が必要であるということは理解していたため、訳の分からない暴徒やそれらを襲う荒魂がその土台を崩しに来たのが不愉快なうえ、その不遜なる者達を自らの手で汚すことなく、自分の臣下や土台となった者達の手で始末させ、その様子を眺めて悦に入りたかっただけである。

そのうえ、今回の刀剣類管理局に課せられた荒魂関連ではない事件に特祭隊を介入させてはならないという条約を緩和させる特措法が制定されれば、刀使が危険な場所へと向かわされることが増えることは間違いないので、更に負担が増え、やがては理想と現実のギャップに心が折れ、刀使の離職率は増えることになるのは必定である。

 

そこまで計算して、タキリヒメはこの特措法を通そうとしていたのである。

 

「……分かりました。タキリヒメ様の意志を尊重致します。」

「済まぬな。私の我侭に付き合ってもらう。」

 

タキリヒメに自分の我侭に付き合ってもらうと言われ、タキリヒメの心の中にある謀略に気付いていない若い議員は感動し、ただ静かに黙って頭を下げるのであった。

……その結果、

 

(……タキリヒメ様は素晴らしい御方だ!自らの身の危険よりも、国の安寧を優先なさるとは……!なのに、管理局はその様な方まで、荒魂扱いするというのかっ!?)

 

若き彼は、タキリヒメのことを更に敬愛し、同じタキリヒメ派の仲間にこのことを伝え、より一層タキリヒメを支え、この国を繁栄させようと心に決めるが、

 

(私が支配する予定の国を……訳の分からん奴が土足で踏み込んで来て、荒らされてたまるかっ!!)

 

一方、その敬愛するタキリヒメは、自分も侵略者であることを棚に上げ、暴徒と支配下にない荒魂を侵略者として定義付け、どのように処罰すべきかを考えていた。

それは、あたかも他人が築いた城を自分が壊したとしてもどうとも思わないが、自分が築き上げた砂の城は後生大事にし、他人にもそれを強要するというものでしかなかったため、単なる我侭でもあった……。

そのことに、誰も気付かぬままであったために、両者の間にはほんの小さな、誰にも気付かれていない奇妙な擦れ違いが発生していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

刀剣類管理局に課せられた荒魂関連ではない事件に特祭隊を介入させてはならないという条約を緩和させる特措法が強行採決された日の刀剣類管理局本部にて、朱音局長代理や紗南本部長といった幹部が集まり、後日行われる予定である衆院予算委員会でこの特措法について集中審議されることは目に見えていたので、その対策も含め、特措法制定後の刀剣類管理局の方針と体制についての討議が行われていた。

 

「今回、集まって頂きましたのは例の特措法が制定されることが確実視されましたので、今後の刀剣類管理局の方針、及び活動について討議するために集まってもらいました。……従って、討議の内容とは逸脱した発言等はご配慮の程をお願い致します。」

 

先ずは、定型通りの会議が始まる文言から始まった。

舞草の隠れ里で行われていた神楽舞の様に儀式めいてはいるが、この文言から始めないと、この会議が始まらないという摩訶不思議な力があったことも事実である。

 

「先ずは、野党側は政権奪取をするために刀使と荒魂の軍事利用をするのかという質疑を受けると思われますが。」

「その質疑を受けたときは警察組織の一員であった頃の体制のままでは、暴動が発生した地点にて荒魂が出現したときに事態に柔軟に対応できないと説明しただけで良いのでは?」

「それだと刀剣類管理局に対して懐疑的である国民の反発は必至だ。国民の大半は刀使の軍事利用に繋がる事は嫌っているというのも事実ではあるので、果たしてそれで納得しうるものか……。」

「……そうは仰られるが、現に暴動付近に荒魂事件が発生した際、悠長に暴動が治まってから出動していては国民の不安が増しかねないのも事実だろう。我が刀剣類管理局は国民への信頼が失墜しているということを理解しているのか?」

「私としましては、素手の暴徒に御刀の加護を得た刀使が一方的に打ち倒すことになったり、暴動の最中を経験すればその刀使が心的外傷を患い暴力的になったり、無気力になることを恐れております。」

「……確かに、そうなった刀使等の今後の生活は荒んだ物となるのは確実でありますので、先ずは戦闘のストレスを抑圧し、特祭隊の秩序を維持する部隊が必要であると私は思いますな。」

「何を言う、そんな軟弱な精神で刀使が務まるか!!」

「それは、現場で精神的葛藤を抱える特祭隊への侮辱と見てよいか!!?」

「今は国民への信頼の回復が最優先であるのに、悠長な意見ばかり言っている場合かっ!?」

「そうだっ!そのように甘やかすから、今の特祭隊は弱兵ばかりとなり、このような事態を招いたのだ!!」

 

そうして、議場は些細な事が切っ掛けで大激論と大論争が起こったため、

 

「静粛に。……静粛にっ!!」

 

朱音が大声で事態の収集をすることとなるのであった。

 

「確かに、今は事態の収束へ向かわなければなりません。……ですが、刀剣類管理局特別祭祀機動隊に所属する刀使は立場上は国家公務員でもありますが、それ以前に学生の身分でもあります。それを考慮すれば、厳しい環境下に置くことは成長期である彼女達のその後の生活を困難にさせるものであり、且つ、国連労働機関(ILO)といった国際機関から何かしらの勧告が通達され、他国の介入を許してしまう事態に発展する可能性が有ることも考慮して頂きたい。」

 

朱音は、何処ぞの施設張りに訓練を過激にすれば、刀使の希望者が減るどころか国際組織から通達が来て、指導を受けることになり、その事実を以って他国の介入を許してしまう恐れがあるため、学生の身分である刀使等を過酷な訓練を施したことで、やがては特祭隊を軍隊の様にすることとなってしまう恐れのある発言と行動は控えるようにと念を押していた。

だが、刀使等を軍隊の様に鍛えることが出来ない理由はそういった事が理由(とはいえ、敵前逃亡したり、余りに弱すぎると同僚から嘲られたりするが……。)であったため、それ以上の訓練カリキュラムが組めないということも事実であった。

 

「……そして、これが重要なのですが警察庁にも、防衛省にも、荒魂討伐の指揮権と主導権が握られることが無いように気を付けて下さい。」

 

朱音はそう言うが、これは決して自分達の地位のために発言したことではなく、警察官や自衛隊員が刀使を命令する立場になると、それはそれで大人が子供を都合の良いように利用していると見られかねないので、子供の刀使がSTT隊員や自衛隊員達といった大人達と対等な立場にあるという方が何かと角が立たないと言いつつ、刀剣類管理局の幹部達に朱音は局長代理という立場上そう言って厳命していた。

子供達がこれ以上苦労しないようにという本心を隠して……。

    

    




   
   
核の平和利用。
非致死性兵器。
平等、博愛、平和を掲げる暴力集団。
多様性を掲げつつ、集団行動を取るデモ活動。


そういやつばくろーって、どの様な事情が遭ったにせよ、親に捨てられたことは間違いないから、孤児であるつばくろーがどうやって刀使になれたんだろう?とか考えていたら、こういう仕組みがあるのかなぁ。

……とか、想像していました。
刀剣類管理局のテレビコマーシャルの元ネタは警察の宣伝。
   
   

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