【完結】刀使ノ巫女+α   作:tatararako

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90話を投稿させて頂きます。

各分隊の役割。

アルファ―……各分隊の指揮通信

ブラボー……敵アジトへの襲撃

チャーリー……ブラボーの支援と周辺警戒

デルタ……各分隊の撤退支援

という役回りである。だが、アルファ、ブラボー、チャーリーは8名編成であるが、デルタは車を使ってブラボーとチャーリーの撤退を支援する関係上、5名のみである。

なお、この書類は本作戦の性質上、秘匿事項とされることに留意されたし。
   
   


残響のテロル

   

     

とある在日米軍基地にて、作戦の解説をするトーマス、作戦参加者である優と隊員達。薫と姫和、そして二人が気になって来た沙耶香が居た。

 

「今回の作戦は、とある情報提供者からもらった東京8区で起きた暴動の容疑者の確保だ。」

 

トーマスは、関東8区にて起こった暴動の容疑者の確保という誘拐作戦を作戦参加者達に伝えていた。

しかし、トーマスの言うとある情報提供者とは日本の水資源を購入し、それが荒魂の影響によって値下がりすることを恐れた中国の一部共産党員であることは作戦参加者には伏せていた。

だが、自分の懐を暖めるために自国の工作員を売る売国奴であるのが情報提供者であることに、トーマスは対岸の火事とは思えない何とも言えない複雑な気分を抱くのであった。

 

「こいつがその容疑者だ。それに、こいつは群馬で起きた自衛隊の相馬原駐屯地で少女を使った自爆テロにも関与していることを頭に叩き込んでおけ。こいつを捕らえれば、東京8区で起きた暴動の背後関係を洗い出すことができ、第二の自爆テロと暴動を防ぐことができる。」

 

トーマスの説明と同時に暴動の容疑者の姿が収められている写真がスクリーンに映されていた。その顔写真から、イスラム系の中年ぐらいの年齢の男性であると伺えられる。

加えて、トーマスはこのイスラム系の男は群馬で起きた赤ずきんの少女による自爆テロに関与していることを述べ、この男を捕えることができれば、更なる自爆テロを防止することができ、暴動の協力者、潜入ルートといった情報をこの男から得ることができれば暴動を根絶でき、二度とこの国で暴動と自爆テロを起こせなくすることができると説明していた。

 

「そして、奴等のアジトは此処だ。」

 

その次の写真がスクリーンに映されていたが、それは何処にでもある二階建ての安アパートであった。

テロリストのアジトが何処にでもあるような民間の安アパートであることに驚きを隠せない薫であったが、直ぐに考えを改め、作戦上の問題点に気付きすぐに質問することにした。

 

「おい、爺さん。民間の安アパートにそのまま突っ込むのか?近隣住民が不安がるし、誤射する恐れが有る以上銃は使えないぞ?それに、此処が戦場になると言えばそいつらが逃げちまうし、優一人だけでやるとその男が逃げられてしまうんじゃないか?どうすんだ?」

 

薫はトーマスに民間の安アパートから、銃を使わずに、騒ぎを起こすこともなくどのようにして暴動の容疑者を捕えるのか尋ねていた。

 

「……ああ、だからこそ、刀剣類管理局が必要なんだよ。」

 

薫の質問にトーマスはそう答えていた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この区域は、特別災害予想区域に指定されました!市民の皆様には我々の指示に従い、速やかなる行動をお願い致します!」

 

夜の街中にて、特別祭祀機動隊仕様の軽装甲機動車の上部ハッチ上からメガホンで避難を勧告するSTT(特別機動隊)隊員が動き回っていた。

それを聞いた暴動の容疑者は、特別祭祀機動隊の勧告を聞かずに身を潜めることを決めていた。

 

理由は、次の暴動の扇動場所、人員、使用する武器、刀使を更に数名負傷させて政治的混乱を誘引させる等が記されている計画書や、密輸でどうにかして得た(北京に居る公安部長が裏で糸を引いていることは知らないが。)武器をこの安アパートに隠しているため、盗られないようにするためであった。

近くに荒魂らしきものが見えたから隠れることにしたと言えば、厳罰に処されることもないだろうと高を括って、仲間達に電気を消すように指示をしていた。

 

 

 

 

 

 

その一方で、特別災害予想区域に指定された区域にて、一軒の古びた賃貸集合住宅、いや二階建ての安アパートの前に民間車が静かに停まっていた。

 

『アルファから各員へ、建物の周辺をUAVで確認したが、物見は居ない。そのまま、ブラボーとチャーリーは作戦通りに進めろ。』

「了解アルファ、ブラボーとチャーリーは全員降車する。」

 

その車内には、闇夜の中で蠢いている者達が居た。

その者達が目指す場所は、暴動を計画し、決行したは良いものの自衛隊の治安出動によって頓挫してしまった暴徒達の隠れアジト。いや、正確には外国人労働者とその家族であると偽って、大量に入り込んだ古びた二階建ての安アパートなのだが、彼らとのトラブルを恐れた元住民は既に退去しており、最早、この古びた安アパートは彼らの様な者達に占拠されたようなものであった。そんな経緯があり、彼らの様な暴徒、いやテロリストにとっては隠れアジトとして最高であった。

そんな古びた賃貸集合住宅の近くに車を停め、トーマスの号令と共に動いたブラボーとチャーリーの分隊は車のドアを開け、外に出た。彼等の装備は私服の黒ずくめの上にタクティカルベストとバラクラバというテロリストの様な出で立ちであり、まるで闇夜に紛れるかのように這い出て来ていた。そのうえ、その中には一際背丈が小さい、子供の様な者も黒ずくめのフードにタクティカルベスト、それに色付きのゴーグルにフードを被って顔を隠しながら、車の中から這い出て来ていて、それは顔を隠しているため分からないが優であった。

黒ずくめの者達もトーマス、MARSOCのメンバーと特戦群の隊員といった自衛隊員と米軍関係者によって構成されているため、古びた賃貸集合住宅でなく米国か自衛隊の訓練場であり、まともな制服を着用していたら、日米合同演習に見えるであろうが、残念ながら今回の任務は、仲間割れによる同士討ちに見せかけた残敵掃討と彼等の情報収集であり、血生臭さが漂うことになるのは間違いなかった。

 

しかし、所属も人種もバラバラである優と自衛隊員、トーマスとMARSOCのメンバー達(アフリカ系のアメリカ人も居る。)に共通していることと言えば、夜戦を想定してナイトビジョンゴーグルを装備しているということぐらいである。

 

『ブラボー2-1、チャーリーは建物の周辺を確保する。』

「了解、ブラボーは壁を越えて内部に入る。」

 

チャーリー分隊は建物周辺を警戒するため、安アパートのブロック塀の外側に待機。ブラボー分隊は正面からだと気付かれる可能性が高いため、ブラボーはブロック塀の壁を越えて侵入しようとしていた。

ちなみに、トーマスは優とMARSOCのメンバーで構成されたブラボー分隊を率いることとなり、コールサインもブラボー2-1である。

そして、チャーリー分隊は特戦群の人間が指揮をすることとなり、コールサインもチャーリー2-1であった。

 

『ブラボーチームは建物内を制圧し、目標の確保。チャーリーチームは建物の周辺を警戒、目標の逃亡を阻止せよ。』

 

アルファ分隊から、指示を受けたブラボー分隊は敵の掃討を、チャーリー分隊は建物の周辺を警戒し、標的の逃亡を阻止すべく動き出していた。

 

「了解。俺とブラボー2-3から2-5は一階の掃討、ブラボー2-2は2-6から2-8を率いて二階の掃討を頼む。」

 

ブラボー分隊を指揮するトーマスは事前の作戦計画通りに分隊を4名に分けていた。

 

トーマスと他三名が一階の掃討を行い、ブラボー2-2と呼ばれたMARSOCのメンバーの中でも軍歴の長い者をリーダーとし、ブラボー2-8と呼ばれている優で構成されたチームで二階の掃討を行うことが決められていた。

 

そのため、二階を担当するブラボー2-2が率いるチームは身体の小さい優が先頭に立って動いていた。

理由は、優意外の者が先頭に立つと身体が大きすぎて援護できないと他ならぬ優が答えたからである。

そして、ブラボー2-2のチームは201号室の前に着くと、先ずは突入前に部屋の中に何名敵が居るのかを探るため、スネークカメラで部屋の内部を覗いていた。すると、関東8区の暴動が失敗に終わったことで、敵は口論しているようであった。

 

「くそ、作戦は失敗に終わった。」

「いや、まだだ、まだ失敗じゃないっ!」

「そうだ。私達より先に天国へ向かった兄弟達はまだ失敗していないと言うはず!!」

 

アラビア語を理解し話せるブラボー2-6は恐らく会話から、黒人運動の中に中東のテロリストも紛れ込んでおり、群馬山中での報復を計画している者が今から突入する201号室に居ることを知り、その計画を止めなくてはと思い、俄然やる気を出していた。

ブラボー2-2はブラボー2-6に命じてスネークカメラから、男二人、女一人が居ることを確認すると、ブラボー2-2が率いるブラボーチームの隊員達はAK-47を握り締め、優はストックを廃したAKS-74Uを持ちながら、突入の合図を待っていた。

なお、今回の任務でAK-47やAKS-74Uといった突撃銃を持つ理由は、テロリスト同士の仲間割れを偽装するために持って来たのである。

 

「……イスラームを――――」

 

男の「信じよ。」という言葉が終わる前にブラボー2-2のチームは優を先頭に突入し、発砲音が爆ぜる音と共に男二人を即座に射殺していた。

 

「クソッ!!」

 

一人だけ残った女は仲間が二人失ったにも関わらず、闘志を萎えさせることなくテーブルの上に置いてあったマカロフという拳銃を手に持つとこちらに向ける前にブラボー2-6はその女を銃で無力化にしていた。

しかし、敵が三名だけとは限らないので201号室のバスルームや和室といった各部屋、ベッドの下や押入れの中といった隠れられるような場所に敵が残っていないかどうか調べていた。そして、

 

『おい、銃声がしたぞ!!』

『敵だっ!銃を早く持て!!』

『お前はショットガンを持ってバスルームに居ろ!!』

 

この安アパートは防音がしっかりしていないのだろう。

その証拠に隣の部屋の会話が丸聞こえであり、どういうふうに攻撃するか丸分かりであった。

 

『ルームクリア。』

『クリア。』

『ブラボー2-1、101号室を確保。102号室へと向かう。』

「ブラボー2-1、こっちも一つの部屋を確保した。ブラボー2-2も202号室へ向かいます。」

『了解した。ブラボー分隊は次の部屋へ向かえ。』

 

小さい声で話すブラボー分隊の各隊員から、通信機越しにブラボー分隊が最初の101号室と201号室を確保したということの報告を受けたアルファ分隊に述べながら、トーマスは102号室へ、優が居るチームは202号室へ向かおうとしていた。

しかし――――、

 

 

『ブラボー2-2待て、204号室がドアを開けて共用廊下で201号室に居る君達を待ち伏せているぞ。』

 

銃声に気付いた204号室のテロリストがドアを開け、201号室に標準を定め、待ち伏せていることをUAVで建物周辺を監視しているアルファ分隊に言われたブラボー2-2は外に出るのを待つことをハンドサインで自分の指揮下にある隊員達に伝えていた。

このマンションは手前の201号室、202号室と共用廊下の奥へと進む度に部屋のナンバーの数が増える構図となっており、最奥の部屋である204号室のドアの前で待ち構える敵を速やかに排除することは難しかった。

 

『チャーリー、頼む。』

『了解。』

 

そのため、201号室で足止めされているブラボー2-2のチームのためにアルファ分隊は、ブロック塀の外側に待機していたチャーリー分隊に、204号室のドアを開けてブラボー2-2のチームを待ち構えているテロリストを射殺するよう命じていた。

 

『こちらチャーリー、外の脅威を排除した。そのまま202号室に向かっても問題無い。』

『ブラボー2-2、チャーリーが外も見張ってくれている。そのまま、202号室へ向かえ。』

 

アルファ分隊からの指示を受けたブラボー2-2は、チャーリー分隊の支援を受けつつ、202号室前へ集結。優はブラボー2-2に先に行くことをハンドサインで伝えると、ブラボー2-2はフーリガンツールを取り出し、映画のように爆破することもなくドアをこじ開ける音だけを出して、優を先に202号室に突入させていた。

 

「うあああああ!!」

 

202号室の玄関先には、拳銃を持つ男が待ち構えていたが、優は一つも戸惑うことなく射殺。ブラボー2-2からブラボー2-7の三名の隊員が後から入って来ると、優は202号室の奥へと突入していった。

 

『ブラボー2-6と2-7は、バスルームに向かえ。残りは室内の掃討。』

 

ブラボー2-2にそう命じられたブラボー2-6と2-7は、バスルームに隠れているであろう敵を掃討すべく向かい、ブラボー2-7がドアノブに手を掛けると、

 

「バスルームに敵!バスルームに敵だっ!!」

 

バスルームに隠れていた敵がヒステリー気味に叫びながら、バスルームのドアに向けてショットガンを何度も撃つが、既にそれを察知していたブラボー2-6とブラボー2-7がドアから離れていたため、銃弾をもらうことなくバスルーム内に隠れていた敵をブラボー2-7が敵のショットガンの弾切れが起きたときを狙ってバスルーム内に入り、隠れていた敵を射殺。バスルームを確保していた。

 

『バスルームクリア。』

 

通信機越しに聞こえるブラボー2-7のバスルーム内に居る敵を制圧したとの声が全チームに伝わったそのとき、隣の203号室からの銃弾が、バスルームの壁を貫通してブラボー2-7に襲い掛かってきた。

恐らく、バスルームに隠れていた敵が「バスルームに敵!!」と大きな声で叫んだのはそれが理由だったのだろう。最初、202号室内に居る味方に叫んでいたのだろうと思っていたが、本当の狙いは隣の203号室にも聞こえるように大きな声で言って、壁越しに射撃してもらうためだったのだろう。

 

『こちらブラボー2-6、ブラボー2-7が負傷した。』

 

壁越しに襲い掛かってきた銃弾によってブラボー2-7は負傷したため、ブラボー2-6が安全圏まで引きずりながら、全チームに報告していた。

 

『うう、クソ!弾が防弾ベストの隙間に入り込みやがった!ああ、クソ!!』

『新人相手のポーカー勝負でイカサマ使ったバチが当たったんだな。だが、傷口は浅いから、それぐらいの痛みで泣き喚くな兄弟。』

 

被弾したブラボー2-7をブラボー2-6が茶化しつつ、傷口は浅いと言って励ましていた。

 

「分かった、ブラボー2-6はブラボー2-7と共にそのまま撤退。ブラボー2-2はブラボー2-8の二名のみで残りの203号室と204号室へと向かいます。」

 

ブラボー2-2は、優と共に作戦を続行すると言って、ブラボー2-2は203号室の前へと向かい、先程と同じくフーリガンツールを使ってドアをこじ開けると、優が先に突入して行った。

 

「死ねっ!侵略者共!!」

 

203号室の玄関前で待ち構えていたのは、学生ぐらいの歳の少女であった。

そして、中東のテロリストグループの一員である少女はそう叫びながら、神の言葉を聴かない背信者であり、冒涜者でもある侵略者を撃とうとしていた。――――しかし、

 

(子供っ!?)

 

背格好からして、子供ではないかと思うような者が現れたことに、言いようのない不快感と戸惑いがテロリストの少女に襲いかかり、少女は撃つのを躊躇ってしまう。

 

しかし、それが彼女の死を決定付けていた。

 

テロリストの少女は9歳児の優を銃で殺すことに躊躇うが、優は一切気にすることなく引き金を引き、躊躇いもなくその少女を少女だった物へと変えていた。

 

「うあああああっ!!」

 

少女と一緒の部屋に居た男は、半狂乱になりながら手に持っている拳銃を乱射しながら優に近付こうとするが、ブラボー2-2に頭と胴体を正確に撃ち抜かれて、物言わぬ肉塊へと変えられてしまう。

そうして、ブラボー2-2は優と共に室内に敵が残っていないかを調べるが、その際に優が何か音の鳴る物を蹴飛ばしたことに気付き、ふと何を蹴飛ばしたのか気になって見てみると赤子をあやすガラガラだったことに気付いた。

 

ブラボー2-2は、そのガラガラを見ると、ふと冷静となり、203号室を見回すことができた。

 

今まで、戦闘の熱気と仲間がやられたことで頭に血が上っていたブラボー2-2は全く気が付かなかったが、部屋には赤ちゃん用ベッドとおもちゃ、それとベビーカーがあったことに、今更だが気付いてしまった。

そういえば、この部屋は男女一組のペアだったな。と妙なことを思い出し、使われる予定だったのか、それとも何時かは使うことになるだろうと購入したのかは不明だが、203号室に有ったベビーカーをじっとブラボー2-2は見つめていた。

 

 

――――それは、何を象徴しているのだろうか?

 

――――それは、何を表しているのだろうか?

 

 

そんなことを考えていると、妙な胸騒ぎがしたブラボー2-2は此処は、戦場なのか、それとも次の命の誕生を夢見る一般家庭の家なのだろうかと思い、ぐるぐると頭の中が回るかのような感覚を抱きながら、悩み始めていた。

 

 

――――新しい命の誕生を望むような場所がテロリストの隠れ家なのか?

 

――――自分達は、間違って民間人の家宅に入り込んで虐殺を行ったのではないか?

 

――――此処は何処なのか?これは本当に現実なのか?御伽噺のような話の中に紛れ込んだのか?

 

 

テロリスト達が潜り込むために見せる夢幻なのか?それともそんな状況下でも温かな家庭を築くのを理想としていただけなのか?

ブラボー2-2はそんなことを何度も何度も反復するように、同じ問答を心の中で繰り返していた。

 

『ブラボー2-2、部屋を確保できたのか?』

 

だが、通信機越しのトーマスの声にハッとなり、作戦任務中であることを思い出したブラボー2-2は、すぐさま返答していた。

 

「こちらブラボー2-2、203号室は確保した。あとは204号室のみだ。」

『了解、こちらも104号室のみだ。』

 

――――そうだ。

――――立ち止まるべきではなかった。

 

ブラボー2-2は暴動で被害に遭った人達のことと、新たなテロ計画によって犠牲者を増やさないようにすべきであることを思い出すと、必ず首謀者の一味であるイスラム系の中年男性を確保すると共に事件を解決することを心に決め、204号室へと突入する。

 

(……誰もいない?)

 

しかし、204号室には誰も居ないことにブラボー2-2は不信感を抱いたが、一階の104号室では銃声が聞こえているところから、この部屋には先程の201号室で待ち伏せていた者だけしか居なかったのかもしれない。だが、それにブラボー2-2は何とも言えない違和感を感じていたのだが、優が急に押入れの襖を開けて、押入れ内に入り、天井を開けると、天井の中へと入って行った。

ブラボー2-2は優の唐突な行動に驚きつつも、こんなところに隠し部屋の入口のような物が有るとは思わなかったため、素直に驚いていた。

嘗ての仲間が言っていたことだが、子供の索敵能力は侮れないものがあると聞いていたが、どうやら、それを優が証明してくれたらしい。

 

「一人で行く。」

 

優は短く、そうブラボー2-2に言うと、一人で入って行った。

すると、天井から大きな物音と銃声がした後、少し静かになったため、不安になり、優に通信を行うブラボー2-2。

 

「ブラボー2-8、無事か!?」

 

通信が返ってこなかったところから、ブラボー2-2はこのときばかりは優が半ば荒魂化していることも忘れて、やられてしまったのではないかと不安になっていた。だが、入って行った押入れの中から、優が確保対象であったイスラム系の中年男性をひきずり出しながら現れたことで、ブラボー2-2は作戦が成功したと各隊員に報告していた。

 

「……こちらブラボー2-2、ブラボー2-8が対象を確保した。繰り返す対象を確保した。」

『了解ブラボー2-2、ブラボー2-1もそちらに合流する。』

『了解。ブラボー、チャーリー各員へ、車輌に乗ったデルタを迎えに寄こす。確保対象は必ず連れて帰れ。』

 

日本国内で人を拉致していることに気付かれないようにするため、確保対象であるイスラム系の男の口を塞ぎ、手足を縛るとカーペットに包めて車の中に押し込めていた。そうすることで家具を運んでいるかのように見せかけていた。

 

こうして、トーマス達は暴動の首謀者を捕らえることができ、撤退支援担当のデルタチームと共に、闇夜の中に溶け込むように撤収するのであった。

……そうして、安アパート内にて起きた銃撃は、中東のテロリスト同士の内部抗争が原因であると報道されるのであった。

      

       




     
     
民兵(みんぺい、英: militia ミリシア、ミリシャ、ミリティア)は、正規の軍人ではない民間人を軍事要員として編成した武装組織のこと。(Wikipediaより。)
   
   

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