ここは厄介払いの前線基地   作:イヌ魚

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 今回からしばらく日常回になる予定です。書きたいことをとりあえず詰め込んだのでいつもより長いです。


私のかわいい指揮官

「ふぅ……」

 

 扉を閉めると軽く溜め息をつく。面倒な要件が終わった安堵半分、やるせなさ半分ってところだ。オイゲンとヒッパーの交代期間も今日で終わり。ヒッパーを正式にウチの所属にしてもらうため第六十一鎮守府に来たわけだが、俺の報告を聞いた中佐殿は一言そうかと言っただけで終わった。俺にもヒッパーにもコメントしなかったのは正直意外を越えて多少腹が立った。まるでヒッパーがいなくても問題ないと言われたような気分になった。まあ、この規模の鎮守府ならそれも分かるが理解と納得は違うのだ。艦船少女は兵器である――正にそういうことなんだろう、一つ減ったところで戦力は減らないってか……

 

「やめだやめだ、そんなこと分かってたことだろう」

 

 アズールレーンの中で俺のように艦船少女の人格と意思を尊重する指揮官などそうそういない。ゼロとはいわないが、俺は出会ったことがない。まあ総本部にいるような高官共は当然といえば当然だが。

 

 それよりオイゲンを迎えに行くとするか。中佐殿の話だとそろそろ帰投する時間らしい。ドックへの行き方は――そこにいる子に聞くとするか。

 

「そこの君、ちょっといいかな?」

 

「? 綾波のこと、ですか?」

 

 綾波――重桜の駆逐艦だな。名前もだが、重桜特有のミミが生えている。これはセイレーン技術を取り入れた作用らしい。そう、重桜は元レッドアクシズだ。ちなみに鉄血も元レッドアクシズだったりする。鉄血では艤装にセイレーン技術を使っているため他の陣営と比べると生物に似た形状と独特の禍々しさを誇る。まあキュンネ達みたいに中々可愛げのある見た目の艤装もあるのだが――

 

「ドックにはどういけばいいのかな?」

 

「ドックですか? それなら……綾波が案内するのです」

 

 そういうと綾波はすたすたと歩き始めてしまった。場所が聞ければそれで良かったんだが、案内してくれるっていうならそれに甘えるとしようか――

 

 

「着いたのです」

 

 綾波に案内されやってきたドックはかなり大きく、控えめにいってウチの何倍かはある。流石最前線の鎮守府ってところか。

 

「では綾波はこれで失礼するのです」

 

「ありがとう、助かったよ」

 

 軽く手を挙げ感謝の意を伝えると、一度首を傾げ綾波はドックの奥へ行ってしまった。何か変な事でもしてしまっただろうか。それより、まだ艦隊は戻っていないのかな。きょろきょろ辺りを見渡すが、それらしい姿は確認できない。代わりに、見慣れた少女がこちらに気づき歩いてくる。

 

「にゃ、三十六の指揮官だにゃ。今日は燃料を持ってきてくれて助かったにゃ」

 

「一応補給基地だし、溜めてても使う機会はそんなにないしね」

 

 明石――猫耳と猫口調が特徴の重桜所属工作艦で、今はここの鎮守府に派遣されている。ウチも物資を融通したりしてもらったり、あと艤装のメンテでも大分世話になっている。

 

「だとしても助かるにゃ。それにお金じゃなくガラク――不要になった機材と交換でいいなんて、明石はとっても嬉しいにゃ」

 

「言い直す必要ないぞ……まあ、そんなガラクタでもウチにとっては宝の山でね」

 

 資金があっても総本部が新型の機材や装備をこっちに回すとは思えない。それなら多少ボロくてもここの型落ち品のが優秀だし、素材目的にバラしてもいいと至れり尽くせりだ。明石としても不良在庫が捌けるのでウィンウィンの関係ってやつ。

 

「それより、ここに何のようにゃ? ガラクタならもう搬入したのにゃ」

 

「ああ、オイゲンを迎えに――」

 

「あら? 指揮官じゃない。どうしたのこんなところに?」

 

 噂をするとなんとやら、背後からオイゲンがやってきていた。そういえばいつの間にかドック内が騒々しくなっていた。気付かない内に艦隊が戻っていたのか。

 

「久しぶりオイゲン。こっちに用があったついでにオイゲンを迎えにね」

 

「ついでって酷いわね……あら? ヒッパーは?」

 

「ヒッパーは、色々あってウチに転属することになった。もう中佐殿には報告済みだ」

 

 てっきり何か言ってくるかと思ったが、オイゲンはふぅんと言ったきり黙ってしまった。驚いた様子がないな、まるでこうなると分かってたかのような……まさかな。

 

「それで、問題がなければこのまま戻ろうと思うんだが。オイゲンはどうするんだ? 戻るか、こっちに残るか」

 

「勿論戻るわ――あ、でもその前に寄り道したいのだけど、いい?」

 

 寄り道? まあ急ぎの案件もないし別に構わないか。了承の意を伝えると、オイゲンはフフっと笑みを浮かべた――

 

 

 

「ごゆっくりどうぞ~」

 

 これでもかとフルーツとクリームが盛られたパフェが目の前に置かれ、しばし呆然とする。なんだこの量? これで一人前なのか? てか食い辛そう……運んできた店員はチラリと正面の席に座るオイゲンを見るとそそくさと去っていった。特盛パフェを食べにくる艦船少女、確かに珍しいだろう。艤装がないのでバレてないかもしれないが、それでなくても彼女の姿は目立って仕方ない。

 

 赤のメッシュが入った綺麗な銀髪、アンニュイでミステリアスな雰囲気。服装も結構派手。いやまあ軍服なわけだがワンピースタイプなのかスカートがない。そのくせ丈が短いので太ももは見えるわガーターも見えて色っぽいわ腋は隠す気ないしむしろ横乳が見えてしまっている。あと右乳房にある黒子も見えてるし……更にいうと丈のせいでパンツが見えそうで見えない絶妙なバランスを保ってやがる。ていうかコイツブラつけてんのか? もしかしてノーブラだったり……いやないな。ないがしかし。はっきり言って目に悪い。控えめに言っても美少女なんだよなぁ……

 

「どうしたの? 食べないの?」

 

 そんな美少女オイゲンとどうして街中の喫茶店に来ているのかというと、これがオイゲンのいう“寄り道”だからだ。寄り道というからてっきり知り合いの艦船少女に挨拶でもするのかと思っていたが、彼女は迷うことなく鎮守府の正門へ向かい、気付けば外へ出ていたわけ。そのまま真っ直ぐこの喫茶店まで来てしまったのだが……

 

「いや食べるけど……なんでまた喫茶店?」

 

「ここのパフェ、美味しくて量も多いって評判なのよ」

 

 一体どこからそんな情報を仕入れてくるのか。一口食べてみると口いっぱいにクリームの甘さが広がり、あとからフルーツの酸味が効いてきて確かに美味い。ちと甘すぎる気もするが、オイゲンは平気な顔でパクパク食べているし女の子にとってはこれくらい普通なのだろうか? というかスイーツなんぞ久しぶりに食べたな……やっぱ甘い、コーヒーでも頼んで口直ししよう。

 

「すいませーん、コーヒーお願いしまーす――それで、伝えておかないといけないことがあるんだが、今いいか?」

 

「食べながらでいいなら、いいわよ」

 

 それくらい構わないというか食べるのやめろとかいうくらいなら喫茶店で話なんかしないよ。えーっと、何から話せばいいかな。

 

「さっきも話したけど、ヒッパーがウチの所属になった」

 

「そうらしいわね」

 

「あと一人本部から艦船少女を預かってきた。紹介は戻ってからするから、一つよろしくしてやってくれ」

 

「そう」

 

 聞いてるのか聞いてないのかよく分からんな。まあそこまで重要なことじゃないし、言ってしまえば今はオフのような感じだ。このくらい目を瞑ろう。ちょうど注文していたコーヒーも届いたし、一息いれるか。

 

「ねえ指揮官。指揮官はどうして私達を人間扱いするの?」

 

 コーヒーを啜っているとプリンツがそんな質問をしてきた。やっぱりオイゲンも気になるのか。

 

「知り合いの影響。彼女がこういう考えの持ち主でそれに感化されたってとこ」

 

「ふぅん……」

 

 嘘は言っていないし要約するとこれで間違いはない。教える気は絶対ないけど。

 

「指揮官、彼女いたんだ」

 

「ぶっ!!」

 

 思わず吹き出してしまった、いきなり何を言い出すんだよ!

 

「お前なあ……彼女はそういうんじゃないよ……」

 

「あら違うの?」

 

「ちーがーいーまーすー。俺じゃ彼女と釣り合わないっていうか、そもそも……とにかくっ! 違うからな?」

 

 危ない危ない、テンパってとんでもないことを言いそうになっている、自制しろ自制……彼女と俺が? ありえないありえない。よし、オーケー。

 

「てか、なんでそう思ったんだ?」

 

「だってそんなに強い影響を受けるってことは、大事な相手なんでしょ?」

 

 っ――

 

「――くだらないこと言ってんじゃないよ。そうだ、残りのパフェ食ってくれないか? 俺にはどうも甘くて……」

 

 まだ半分は残っているパフェをオイゲンへ渡しコーヒーを啜る。そんな俺を見てオイゲンは溜め息一つ吐くと渡したパフェを食べ始めた。

 

「甘いのダメならそう言いなさいよ――いつか、話してくれる?」

 

「――いつかな」

 

 そう、いつか話せる日がくればそれに越したことはない――そのほうが“彼女”も喜ぶだろうか――

 

 

 

「で、今度はここか……」

 

 まだオイゲンの寄り道は終わらない。お次はいわゆるショッピングセンターの中にあるとある店前まで来ている。相も変わらず人目を集めてしまっているが、それはオイゲンのせいだけではなくこの店のせいでもある。

 

「いいでしょ? さ、入るわよ」

 

「いや待て! 待てって!」

 

 背後に回り目的の店へ俺を入れようと押してくるオイゲン。彼女の大きく柔らかい胸が押し付けられ何とも悩ましい状況――じゃなくって!

 

「ここ、女性服専門店じゃねえか! 行くなら一人で行け!」

 

「ダメよ指揮官。指揮官なら私達艦船少女が問題を起こさないように監視してなくちゃ」

 

 言ってることは確かに間違っていない。確かに艦船少女が軍施設から出る際は責任者がその動向を監視する必要がある。が、それとこれとは別問題だし、俺はオイゲンを監視する目的で着いてきてる訳じゃない。

 

「お前、俺に恨みでもあるのか!? 男がこんな店に入るなんて罰ゲーム以外の何物でも――」

 

「いいから入るっ」

 

 ……結局オイゲンに押し切られる形で店に入らされるのだった

 

 

「ねえ指揮官、これとかどう?」

「いいんじゃないか?」

 

「じゃあこっちはどう?」

「いいんじゃないか?」

 

「だったらこれとか? 結構派手なんだけど……」

「いいんじゃないか?」

 

「…………ヒッパーと私どっちが好き?」

「いいんじゃないか?」

 

「ちゃんと聞きなさいよっ!」

「ごはっ!?」

 

 突如腹部に鈍い痛みがはしる。どうやらオイゲンに腹パンをされたらしい。なんで俺がこんな目に……

 

「指揮官の意見を聞きたいんだから、真面目に見てくれない?」

 

「それが無理矢理連れてきた奴のセリフか……?」

 

 右も左もどこまでも店内は女だらけ、唯一の男客となってしまっている身としてはかなり居辛いものがある。そりゃ俺だって出来ることならとっととこの店からおさらばしたいものだ。

 

「大体、俺は服のセンスとかないからよく分からん」

 

「仕方ないわね……じゃあ選べとは言わないから、何着か試着するから感想言って」

 

 ……それはそれで辛いものがある。主にオイゲンが試着している間一人残されるってところが。だがまあそのくらいはしてやるか。変なことされるくらいよりまだいいはず。了承の意を伝えるとオイゲンは悪戯な笑みを浮かべ売り場へ向かっていった――あれ? 俺放置されてね?

 

 

 周りの目線に耐えつつ試着室の近くで待つことしばし、ようやくオイゲンが買い物カゴをぶら下げてやってきた。今更だが俺ではなく誰か艦船少女を誘えばよかったのでは……少なくとも俺よりマシな対応をしてくれただろうに。

 

「じゃあ試着するから待ってて。なんなら一緒に入る?」

 

「入らないから」

 

 そのままオイゲンが試着室に入る。俺はその横で手持ち無沙汰のまま待ちぼうけ。相変わらず視線が気になって仕方ない。が、それよりも重大な問題が発生してしまった――ごそごそと何かの音が聞こえる。いや分かっている、これはオイゲンの衣擦れの音だ。考えないようにしたいが、そうすればするほど考えてしまうのは男の性だからだ、仕方ないんだ。大体オイゲンはスタイル抜群だしなにかとからかってくるしたまに胸を押し付けてきやがるし……

 

「きゃっ!――」

 

 突然オイゲンの悲鳴が聞こえた。なんだ? ズッコケでもしたか?

 

「し、指揮官助けてっ!」

 

「っ!? どうしたっ!」

 

 ――そんな考えもすぐに掻き消えた。咄嗟に試着室の仕切りを開け中に入ると同時にオイゲンが抱き着いてきた。いつもの彼女らしくなく身体が震えている。

 

「し、指揮官……」

 

「ああ、俺だ。どうした? 何があった?」

 

「指揮官…………捕まえた」

 

 は?

 

 ニヤリと笑みを浮かべ更に密着するように抱き着くオイゲン。しかもいつの間にか仕切りが閉められている。そこにはついさっきまで何かに怯え震えていた少女はいなかった。

 

 は?

 

「……オイゲン?」

 

「あら? どうしたの指揮官?」

 

 いやどうしたのじゃねえし、どうなってんだよ。

 

「お前、今助けてって」

 

「あらそんなこと言ったかしら?」

 

 言った! 絶対言ったぞコイツ! ああそういうことか。つまりこれもいつものからかいってこと――

 

「ところで指揮官? この水着どうかしら?」

 

「は? 水着――水着!?」

 

 そういえばどことなくいつもより柔らかい感触が――っ!?

 

「ば、バカ離れろ! 大体試着室に男を入れるんじゃないっ!」

 

「指揮官が入ってきたんじゃない」

 

「それがお前が悲鳴なんてあげるから!」

 

「心配してくれたの? 嬉しいわ指揮官。嬉しいから放してあげるわ」

 

 そういうとオイゲンは俺が何か言う前に俺を突き飛ばした――試着室の奥へ。

 

「いつつ……おい、オイゲン……っ」

 

 打った頭を押さえつつ、文句を言おうとして顔を上げた俺は言葉を失った。黄色のラインの入ったビキニタイプの水着が白い肌をより強調し、着痩せするタイプなのか元より大きいと思っていた胸に食い込み不適な笑みを浮かべこちらを見下ろす姿がより一層エロスを醸し出す

 

「~っ!?」

 

――彼女に見惚れた――そのことに恥ずかしさを感じた俺は咄嗟に顔を背けた。恥ずかしさもあるが、正直今のオイゲンは目に毒だと思った。いい意味で。

 

「ほら指揮官、感想は? 感想を言う約束だったでしょ?」

 

 そんな俺の心境など知ったことかとじわりじわりと寄ってくるオイゲン。いや確かに感想言うとは言ったが水着とは思ってなかったし何よりこの状況がまず不味い! 冷静に、冷静に――

 

「ひょっとして興奮しちゃった? かわいいんだからー、もう」

 

 遂に目の前までオイゲンが来てしまう。立ち上がらない俺に合わせるようにしゃがみ込み、さらっと視界に胸を入れやがる。これ以上首を回すことは出来ないので諦めて正面を向く――それに合わせてなのか偶然なのか更に身体を密着させるオイゲンの胸の中に頭が入ってしまい……

 

 ――冷静になれるかこんなもんっ!!

 

 

 

「悪かったわよ、だからそろそろ機嫌直しなさいよ」

 

「…………」

 

 鎮守府への帰り道、試着室でのあれこれからずっと黙っている俺にさっきからオイゲンがあれこれ話しかけてくる。確かに直後は不機嫌な顔をしていただろうが、もうそれは治まっている。

 

「悪ふざけが過ぎたのは自覚してるから、ね?」

 

「…………」

 

 ぶっちゃけ、単に気恥ずかしいだけだ。脳裏に水着姿のオイゲンが焼き付いてしまったのかまともにオイゲンの顔を見れない。かといって正直に言えばからかいのネタになるのは必至だ。

 

「はぁ……」

 

 根負けしたのか、それとも無言の俺に飽きたのか深い溜め息をついたあと黙ってしまった。どことなく居辛そうな感じに見えるのは俺の気のせいだろうか……何にせよ、流石にこのままじゃオイゲンにも悪いか……

 

「…………公園でも寄ってくか」

 

「え?」

 

 きょとんとした声をだすオイゲンを置いて目に入った公園へと足を向ける。適当なベンチにオイゲンと一緒に座るが、やはりどことなく距離をとっているように感じる。実際そんなことはないのだが、なんだ?

 

「なあオイゲン」

 

「……ゴメンなさい」

 

 何か言う前に謝られた。これはきっとまだ怒っていると思われてるな……

 

「もう怒ってないよ」

 

「……本当?」

 

「やりすぎだとは思うが。悲鳴を上げながら女性服専門店から逃げ出す男の気持ちがお前に分かるか?」

 

「……さっぱりね」

 

 だろうな、俺も分からん。いきなりのことでテンパってたのだけは覚えている。正直恥ずかしいというか穴があったら入りたいというか、確実に不審者のそれだ。

 

「そういえば感想だが……似合ってた。それもとても……」

 

「え?」

 

 なに意外そうな顔してやがる、お前が感想欲しいっていったから。でもさっきは言う前に逃げ出したから今言っただけで……あ~くそっ! 恥ずかしさでオイゲンの顔を見れない! またかっ!

 

「飲み物買ってくる。待ってろ」

 

「あ、ちょっと指揮官っ」

 

 結局適当な言い訳でまたその場を逃げ出してしまった。面と向かって感想ってのも中々こっぱずかしいものがあるな……ただああ言った以上何か買ってこないとな。自販機くらいあるだろ。

 

 

 ――近くに自販機が見当たらず結局十分ほど経ってしまった。なんでこの辺には自販機が少ないんだ。無駄に時間を取られてしまった。オイゲンは待ってくれているだろうか……おや?

 

「――――」

 

 何やら通りすがりの男二人に絡まれてるオイゲン。これはあれだな、ナンパってやつだ。あの男達オイゲンが艦船少女だって知ってるのか? いや知ってたらナンパなんてしないか。遠目からみても分かるくらいオイゲンは不機嫌そうだし。ていうか全く相手にしてないな。とりあえずここが俺が一言言ってやるか。

 

「――――っ!」

 

 だがそれも男の一人が無理矢理オイゲンの手を引っ張ったのを見たことで無くなった。一言注意するだけで済まそうと思ったが、心のどこかから怒りが湧いてきた――

 

「おいお前ら! 何してやがる!」

 

 その感情に逆らわず声を張り上げた。当然男二人もオイゲンも俺に気づいたようで、男二人がこっちにガンを飛ばしながら近づいてくる。

 

「あ、指揮官……」

 

 が、オイゲンの口から洩れた言葉に男二人の動きが止まり、すぐに真っ青になる。当然だ、鎮守府の近くで指揮官と呼ばれる存在は十中八九軍人だと誰もが知っていることだろう。俺はここの所属じゃないけど。

 

「そいつは俺の女だ、とっとと消えろ」

 

 自分でも驚く程低い声が出た。それに、なんで俺の女だなんて……艦船少女だって言ってもこの場は収まっただろうに……いつの間にかナンパ男達は影も形もなくなっていた。頭を振りながらオイゲンの元へ向かう。

 

「あー、大丈夫だったか?」

 

「え? ええまあ。それより指揮官、今のって……」

 

「他意はない、気にするな……あのほうが追い払えそうだと思っただけだ」

 

「……ふぅん」

 

 手渡した缶コーヒーを飲みながらこっちをマジマジと眺めるオイゲンを他所に鎮守府へと歩き出す。その横をオイゲンがついてくるのだが、さっきまでと違い何やら楽しげだ。

 

「なにか楽しいことでもあったか?」

 

「そうね、あったわ。アンタのおかげよ」

 

「俺の? うわっ!?」

 

 何がだと聞き返す前にオイゲンが腕を絡め、耳元にずいっと顔を寄せ――

 

Ich liebe dich.(イッヒリーベディッヒ)好きよ、指揮官――」

 

 そう口にして――~っ!?

 

「お、お前、またからかって」

 

「本気か冗談か、どっちだと思う?」

 

 そう口にする彼女はいつもと違う、明るく柔らかな笑みを浮かべていて――

 

「知るか、俺は先に行くからな」

 

「あ、待ちなさいよ指揮官っ」

 

 こんな表情のオイゲンもいいなと思ってしまったことが恥ずかしく、オイゲンを振り払い早足で鎮守府への道を急いだ――




 というわけでオイゲン回でした。オイゲンの魅力伝わった? そもそも皆オイゲンの魅力には気付いてるよね?
 いつもアンニュイな感じなのに指揮官を誘惑するようなからかいをしてクスクス笑ってるけどさりげない気遣いが出来たりでも無意識の内に指揮官に惹かれていって次第にからかいじゃなく本気で誘惑してきたりヒッパーのことからかってるけど実はヒッパーとブリュッヒャーにだけは本音を零せたりこれは妄想というか希望なんだけど二人にだけはたまに甘えたりしてると尚グッドだしそういう一面を指揮官にだけは見せてくれて指揮官だけは特別みたいなこと言われて昇天したいあとあの暴力的なくせに着痩せするおっぱいとか素晴らしすぎてヤバい水着のオイゲンおっぱいは大きいだけじゃなく紐を吊り上げてるせいで水着が食い込んでむにゅっとした感じになっててすっごい柔らかそうだしウェールズ仕込みのあのポーズも悩ましくてもうヤバいそのうえあの位置の黒子ってもう黒子ピンポンダッシュしろってことじゃん俺は黒子なんて別段興味なかったけどオイゲンというかアドミラル・ヒッパー級のせいで黒子属性にも目覚めそうおっぱいの次はお尻だよねなにあのプリケツ卑怯でしょヒッパー級の制服ってスカートじゃないっぽいけどどうなんだろこの小説ではスカートじゃないってことにするとしてあのプリケツはもう履いてないと言われても仕方ないし正直あのプリケツに惹かれたせいでアズレン続けてるとこあるしそこからの太ももが眩しくて眩しくてあーもうえっちすぎるでもでもそんなえっちな年上お姉さん感溢れるのに戦場では熱く激しく敵に向かっていく芯の強いところがありそうでよいぞよいぞ幸運艦として有名だけどそんな渾名を嫌ってるのか悪運だと卑下するアンニュイオイゲンに幸せを徹底的に教え込んで幸福感という名の海に沈め落としてやりたいオイゲンが心の底から笑った時そこにはきっと決して散らない最高に最強に綺麗で素敵な鉄の華が咲くに決まってるでも幸せオーラ全開なのは指揮官の前だけで他の艦船少女の前では普段通りにして過ごして二人きりになった途端ダダ甘えられたいつまりなにが言いたいかっていうと

後書き先駆者兄貴達すまない、本当にすまない。やってみたくなっただけで他意はないんだ本当にすまない
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