ローンを連れ本部内を歩いているが、誰かとすれ違う度にヒソヒソ言葉が聞こえて鬱陶しいったらありゃしない。ローンは見世物じゃないぞ? 散れ散れ。
「なあ待ってなくて良かったのか? 人間の相手なんて嫌だろ?」
「いえ別に。それより指揮官と一緒にいたいの」
そういうのならいいが……にしてもいつまで待っても連絡が来ないと思ってたら直接迎えに行けときた。適当にも程があるだろうがよ。ええと、指定された部屋は……ここか、コンコンとノックしてっと。
「――こぶたちゃん、お客様よ?」
「――あっ、待って、まだリアンダーちゃんの紅茶飲み切ってないんだ!
「――いいから出なさいっ!」
「――あぁっ! 蹴らないでエイジャックス様! 踏んで! 踏んでよぉ!」
「…………」
「…………」
うん、部屋を間違えたみたいだな。なんか変な幻聴までするし。ローンも変な顔でこっちを見てるしきっとローンも幻聴が聞こえてしまったに仕方ない。よし、二人仲良くティータイムに洒落こんでリラックスしてから出直そうか。そう思い踵を返そうとしたところでバンッと音と共にドアが開かれ青年が姿を現した。
「お待たせっ! 君が噂の窓際少尉かい? ボクはアーサー・イングランド少尉。ま、よろしくっ!」
そいつはおよそ指揮官らしくない、金髪で、イケメンで、このうえなく残念そうな青年だった。
「リアンダーちゃん紅茶淹れてくれない?」
「それはこぶたちゃんの仕事でしょう?」
「あぁっ! エイジャックス様~、もっと、もっとぉ!」
「…………」
アーサー少尉の背中をげしげしと蹴るエイジャックス。明らかに上官への態度ではないが当人は嫌がるどころかどこか嬉しそうにしているし、放っておいてもいいのか……?
「どうぞ、紅茶です」
「あ、どうも」
じゃれあってる(?)二人を他所にリアンダーが紅茶を運んでくる。そのままテーブルに腰かける俺とローンはもうどうすればいいのか分からなかった。
「あははっ、二人はいつもこんな感じだから気にしないでっ」
アキリーズは笑いながらお茶菓子をパクついている。どうやらアーサー少尉とエイジャックスもといリアンダー級三姉妹は普段からこんな日常を送っているようだ。しかし俺と同じ艦船少女と仲良くするタイプか。そりゃ確かにお偉いさんから毛嫌いされるわけだ。
「それでアーサー少尉、これから――」
「ところでキミ、見ない艦船少女だよね。名前は何ていうの?」
「私ですか? 私は三十六基地所属のローンといいます」
おい何人の目の前で部下をナンパしてるんだよ。ローンも真面目に答えなくていいんだってば。
「ローン、ローンかあ……聞いたことないな。でもまあ、よろしく!」
ウィンクしながら決めポーズして、完全に決まった感出してるけどさっきからエイジャックスに蹴られっぱなしなんだけど……
「それよりっ! アーサー少尉っ!」
「あっ、ボクのことは気軽にアーサー君って呼んでくれないかい?」
「こ・ぶ・た・ちゃん? いい加減真面目にやりなさいな」
「ふっ……エイジャックス様にそう言われたら、真面目にやるしかないね」
なんでコイツはドヤ顔なんだ? なんでエイジャックスはそんなにニコニコしてるんだ? 俺もう帰りたい。チラリとローンに目を向ける。ローンも愛想笑いを浮かべているがこめかみがひくついている。帰ろうか? とアイコンタクトを送るとすぐに帰ります! との返事が飛んできた。うん、やっぱりアーサー少尉が代理指揮官だなんて何かの間違いなんだよきっと。
「それじゃ、俺達はこの辺で」
「ああ待って待ってくれよぉ! 真面目にやる! 真面目にやるからさあ!」
「いやー悪いねわざわざ鎮守府まで送ってくれるなんてさ」
「いやまあ、任務ですから」
アーサー少尉とリアンダー級三姉妹をボートに乗せ、俺ら一行は六十一鎮守府へと向かっていた。ローンには艤装のチェックをさせているし、三姉妹も海風に当たってのんびりしている頃だろう。つまり船長室には俺とアーサー少尉しかいないことになる。
「それにしてもこんなボロボロなボートしかなかったのかい?」
嫌味か、こちとらこのオンボロが生命線なんだよ……ああ、早くまともなCPボートがほしい。この際電子機器積んだモーターボートでもいいぞちきしょう。
「これがウチで一番豪華なCPボートです」
「あ、うん、その、ごめんね? そんな本気でへこむなんて思ってなかったんだ。そうだっ、六十一にあるCPボートを融通してあげるよっ! だから元気だして。ね?」
そんなに慌てられると逆に虚しくなってくるだろ……というか襲撃された六十一に他所に回すCPボートあるのか?
「そういえばアーサー少尉は珍しく艦船少女に友好的な指揮官ですね」
「だからアーサーでいいって、それに君だって十分友好的だろ。でも、そうだなぁ……ボクは運命の出会いを果たしたからね!」
「運命の……出会い?」
「そう! まさしく運命! エイジャックス様はボクの女神なんだよ!」
目をキラキラさせながら謎ポーズを決めるアーサー少尉のその姿は、一言で言うと純粋に気持ち悪かった。
「ていうか、その女神様に雑な扱いされてませんか?」
「何を言うんだい君はっ! あれはエイジャックス様の愛だよ、愛! エイジャックス様は愛情溢れる鞭をボクにくれてるんだよ!?」
うん、すまない。さっぱり理解できないんだが。でもまあ、良好な関係なのか……?
「全く、エイジャックス様の愛を理解できないなんて……大体君だって運命の出会いを果たしたからこそ、そうして窓際に追いやられるくらい艦船少女を愛しているんだろう?」
「いや愛ではないです」
そりゃまあ運命の出会い的な感じだったとは思うけど、それは愛とかじゃないし……あれはただの――
「――憧れ、ですかね」
そう、憧れ――愛でも恋でもなくただ彼女に憧れを抱いてるだけ。彼女に惹かれて惹かれて仕方がない――
「なるほどなるほど、今君が頭に浮かべている子が君の運命の相手なんだね」
ニカっと笑うアーサー少尉にとっさに反論しようとしたが、何も思い浮かばなかった。その様子がおかしかったのかアーサー少尉は隣でしばらく笑い続けていた――
新たなオリキャラを増やしていくスタイル。お前キャラ書き分けできんのかよ……
言わなくてもわかるだろうけどロイヤル担当指揮官、リアンダー級含め説明雑なのはごめん許して。
ところでU-81ちゃん実装されたけどボイスないしニックネーム的なのないしどう呼べばええんや……クッソ可愛いんじゃあ。