ここは厄介払いの前線基地   作:イヌ魚

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基地探索をしよう

「指揮官、起きて下さい。指揮官――」

 

「んぅ……?」

 

 突然の眩しさとすぐ近くから聞こえる声に目を開けると、目の前には一人の少女が。Z23――ニーミ、だったか。

 

「おはようニーミ……わざわざ起こしに来てくれたのか?」

 

「何を言ってるんですか、もう昼前ですよ? 夜更かしでもしたんですか?」

 

 ふと時計に目をやると、確かに昼前だ。なんとまあよく寝たものだ。我ながら呆れるね。

 

「すまん、昨日まで三日間独房にいたから時間間隔が狂ってるのかな?」

 

「独房って、一体何をしたんですか……」

 

 呆れたようにジト目で睨んでくるニーミ、ちょっと可愛い……っと、いかんいかん。

 

「……まあ、それはいいとして。どうしたの? 何か用事?」

 

「用事というか……仕事、してくれませんか? 指示もない起きもしないでは何をしていいのか……」

 

 ふむ、まあ至極真っ当な意見だ。俺がニーミの立場でもそう言う。きっと言う。でも困ったな……

 

「仕事、仕事……ってか、ニーミは秘書艦になるのか?」

 

「そうですけど……オイゲンさんのほうが良かったですか?」

 

「いやそういうつもりじゃないから……あ、そうだニーミ、この基地の案内お願いできない? 昨日は部屋の片づけで手一杯だったから」

 

「なら私も付き合おうかしら」

 

 扉の方へ目をやると、そこにはオイゲンが。そうか、ニーミが暇なら当然オイゲンも暇なわけだ。

 

「構わない、むしろお願いしたいくらいだよ。この基地のことはまださっぱりだからさ」

 

 そうして、部下二人を連れ基地探索をすることになった。

 

 

「これは……」

 

「まあ、見ての通りです……」

 

 二人に案内され最後にやってきたのは備蓄倉庫。仮にも補給基地を名乗っているわけだし、そうでなくても備蓄資源は大事だ。その確認ついでの案内願いだったわけだが……

 

「……これ、昨日俺の着任ついでに輸送した物資だけじゃ」

 

「そうよ。元々この基地なんて使われていなかったのだし」

 

 つまるところ、備蓄資源は空っぽだったということ。補給もできない補給基地って一体……

 

「まあ物資は伝手――とはちょっと違うけどなんとかなるはずだ」

 

「……独房に入れられるような人に伝手なんているんですか?」

 

「だから、伝手じゃないんだって」

 

 本部のお偉いさん方はいい顔をしないだろうけど、

あの子”の名前を出せばまあ通るだろう。だからニーミ、そのジト目をやめなさい。

 

「それで指揮官、この基地のことは大体頭に入った?」

 

「おかげ様で。備蓄資源はない購買部も戦術教室も大講堂も、工廠さえもない本当にただの補給基地だってことがね」

 

 真っ当な職場じゃないと思っていたが訂正しよう、ここはまともじゃない職場だ。まさに厄介払いにはちょうどいいのかもしれない。できることといえば委託で資源を集め、いつ来るか分からないここへ寄る部隊への補給くらいだろうか。

 

「なあ二人とも、ホントに転属しなくてもいいのか? 正直ここにいても委託か近海偵察くらいしか任務はないぞ?」

 

「いいんです。ここへの配属が命令でしたので」

 

「そうね、命令だったし」

 

 命令、か……まあ本人がそういうのならこれ以上言っても無駄か。正直ここにいてもらっても退屈しかさせてあげれないと思うんだよな。ここは俺と“あの子”を監視する檻なんだろうから。はぁ……

 

「それならそれでいい。ならこれからのことを話さないか? 現状ここの艦船少女は二人だけ。これだと委託と近海警備で手一杯だし」

 

 かといって新たに艦船少女を建造するのは不可能だ。この基地には艦船少女の元になるメンタルキューブも、工廠すらもないのだから。本部に増員要請するくらいしかないが、昨日今日で応じるなら最初からもっと配属させているだろうし……

 

「しばらく二人には忙しい日々を送ってもらうことになりそうだな……何か要望はないかな?」

 

「………………」

「………………」

 

「なぜ黙る」

 

「いえ、要望を聞かれたことなんてありませんでしたから……」

 

「急にそんなこと言われても、ねえ?」

 

「何もないのか? 何でもいいんだぞ?」

 

 せっかくここにいてくれるっていうんだから、少しでも快適に過ごしてほしかったんだがなー。口ぶりからすると二人はごく普通(・・・・)の職場だったろうから、急に対応が変わっても困惑するだけか。けどもう少し仲良くというか、親睦というか、なんかそういうの深めていきたいところだが。

 

「――静かに勉強できる場所がほしいです」

 

「えっ?」

 

 返事なんて返ってこないと思ってたから間抜けな声が出てしまった。

 

「なんです指揮官? 指揮官が要望を言えといったから答えたのですが」

 

「あ、ああ悪い……静かに勉強って、戦術教室のことか?」

 

「まあそうですね」

 

 戦術教室――言葉通りの施設で、持ち前のスキルやらなんやらを鍛えることができる、らしい。らしいってのは艦船少女じゃないと利用しないし、実際に利用したところなんて見たことないからな。

 

「善処する。するが……あんまり期待しないでくれ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 とりあえず本部に要請してみるだけしてみるか。せめて工作艦でもいてくれたら多少は勝手が変わるんだが。

 

「オイゲンは? なにかある?」

 

「そうねえ……実戦をしたいかしら。ああ、一応言っておくけど転属はしないから」

 

 転属せず実戦ね……確かここ最前線だったし、近隣の基地なり鎮守府なりに派遣って形でいけるかな? ちょっと相談してみるか。

 

「それも善処するが、どっちにしろ時間はかかる。他には?」

 

「………………」

「………………」

 

「だからなぜ黙る」

 

「いえ、すんなり聞いてくれたなと……」

 

「まあすぐにどうこうできるわけじゃなさそうだけどね」

 

 なんて優しい評価、嬉しくて泣きそうだよ……聞くと言った以上実現させようとするのは普通だろう?

 

「どっちにしろ工廠すらないのは困るから、本部に文句言うつもりではいたんだ。それで次は……」

 

 この後もとりとめのない話や今後の事を話したりと、我が基地ではのんびりとした時間が過ぎていった……




話広げるのむずい(自業自得)
もっと艦船少女の魅力を伝えたいのに指揮官の話ばっか……
次辺りでメンバー増やそうと思います。あとオリ艦船少女も出てくるかも?
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