いやホントはもうちょいしてから登場させるつもりだったんだけど、俺の中で罵倒されたい欲が我慢出来なくなってしまって。ヒッパーの罵倒は愛情表現だからな、どんどん罵ってくれ。
つい名前出したけどバレバレやしままえやろ
第六十一鎮守府。ここは対セイレーンの最前線基地。規模も練度も他の鎮守府とは一線を画している。ここの指揮官である中佐は士官学校を首席で卒業し、数々の戦いを勝利に導いてきたエリートだ。その功績を認められ、最前線で一番大きなここを任されている。ただ、そんな人物にも一つ欠点があるらしい……
「で、また戻ってきたわけ? 今度も派遣? それとも出戻りかしら?」
「どっちでもないわ、今回はニーミと一緒に艤装のメンテよ。それともヒッパー、もしかして私に戻ってきてほしいの?」
その工廠に私とニーミは来ていた。目的は勿論艤装のメンテナンス。三十六基地には工廠がないため定期的にこっちまで足を運ぶ必要があって、正直面倒。けどあの指揮官が何とかしてくれるそうだし、一応期待しておかないとね。
「ハァ!? 誰がアンタに戻ってきて欲しいって!?」
「あら違うの?」
それでさっきから私に絡んできてるのは姉のアドミラル・ヒッパー。いつも不満気で文句ばっかり言っているけど、根はやさしいのよね。ただもう少し素直になったほうがいいと思うのだけど。
「アンタがいなくなって清々してるくらいよ……でもアンタ、なんか楽しそうね」
「楽しそう? 私が?」
あんな基地にいたって別に楽しくはないのだけど。まあ新しい指揮官はからかいがいがありそうだけれど……けどヒッパーからはそう見えるのね。
「そうよ。いつも指揮官や整備兵もからかって、そのくせいっつもつまらなそうな顔してた。私やドイッチュラントをからかう時はイキイキしててそれが気に入らないけど……そんなアンタが楽しそうに新しい指揮官の話をしだすんだもの、驚いたわ」
「私、そんなにつまらなそうにしてたかしら?」
「してた」
まあつまらなかったのは本当なんだけど、ヒッパーに気づかれるくらい顔に出てたのかしらね。でも楽しそうにあの指揮官の話なんてしてないのだけど……
「とにかく! まあ私はアンタが楽しそうにしてて一安心してるわけ。でも実際、そんなに面白い指揮官なわけ? 話聞いてるとただのバカにしか聞こえないんだけど。兵器を女の子として扱うとか、ここじゃ考えられないわよ。よっぽど変な指揮官なのね」
まあ変な指揮官なのは認めるけど、それにしても食いつくわね。あ、もしかしてヒッパーの奴……ふふっ、また指揮官に悪戯してやるとしましょうか。それに、確認したいこともできたわけだし。そうと決まれば早速取り掛かりましょうか。
「ねえヒッパー、その指揮官に会ってみない?」
本部から届いた書類の内容に溜め息をつき自分で淹れたコーヒーを啜る。うん、あんまり美味しくない。ニーミが淹れてくれたコーヒーは美味しいのだが、何が違うというのか。そのことにまた溜め息をつく。ふと時計を見ると既に昼過ぎになっていた。確かニーミとオイゲンがそろそろ帰ってくる時間だ。わざわざ艤装のメンテに他所まで行かなきゃいけないってのは面倒そうだよな、なんとかしてやりたいんだが。
コツン、コツン――
っと、噂をすれば帰ってきたようだ。ちょうどいい、このあとの用事にオイゲンでも連れていくとするか。ニーミとはちょこちょこ話しているが、オイゲンとはまだあまり話せていないからな。嫌われている――わけではないよな? たまにからかってくるし。
そうこうするうちに足音が止み、扉の前に人影が立つ。今にも開けて入ってくるだろう。大して美味くはないがコーヒーでも淹れて労ってやるとするか。そう思い立ち上がると同時に扉が開かれた。無論そこにいるのは――
「おかえ……り……?」
そこにいたのは見知らぬ少女だった。赤を基調とした鉄血の軍服、綺麗な黄金色の髪、透き通るような碧眼。腰に手をあてこちらを不躾に眺めているその姿はどことなく態度が大きい。と、おもいきや一部分はとても小さく――
「――なに見てんの?」
「いやなんでもない……えっと、君は?」
「科学の国の重巡洋艦、アドミラル・ヒッパーよ。アンタがここの指揮官? なーんか頼りないわね」
アドミラル・ヒッパー……アドミラル・ヒッパー級の一番艦、プリンツ・オイゲンの姉だよな。でもなんでここに?
「初めまして、アドミラル・ヒッパー。ヒッパーは確か六十一鎮守府の所属だったはずだけど、どうしてこんな辺鄙な場所に?」
向こうから艦船少女が来るなんて報告は受けていない。というかニーミとオイゲンはどうしたんだろう?
「オイゲンから聞いてないの?」
「何を?」
「オイゲンの奴、しばらく向こうに留まるって。その代わりに私が来てあげたってわけ」
うん、全く聞いていないわけだ。というか、またかオイゲン。向こうにも迷惑をかけちまって……
「一応聞くけどさ、それって本部に通達してある?」
「ハァ? そんなのしてるわけないじゃない」
……ああうん、そうだよね。突発的に閃いた悪戯なんだろうし当たり前だよな、うん。また余計な手間が増えたわけだ。
「まあそうだろうな……そういやニーミは?」
「ニーミならシャワー浴びるっていってたわよ。あ、覗くんじゃないわよ?」
覗かねえよ、俺は何だと思われてるんだ。んー、でもちょっと困ったな、このあとの用事にオイゲンを連れていこうと思ってたんだよね。
「とにかく! オイゲンが戻ってくるまでの間世話になるから。一応よろしくしてあげるわ」
「よろしく。でも来てもらってすぐで悪いんだけど、俺はこれから――」
「指揮官、ただいま戻りました――取り込み中でしたか?」
タイミング悪く、いや良く? 入ったきたニーミによって俺の言葉が遮られてしまった。でもまあニーミがいてくれた方が助かる。
「ニーミ、俺は今から本部に出頭せにゃならんくなった。もうじきキュンネ達が委託から戻ってくるから、出迎えと雑用を任せてもいいか?」
「はい、任務了解しました」
「いやそんな固くしなくてもいいんだが……そうそう、知ってるだろうから説明は省くから、ヒッパ―の案内もお願いしていい?」
本来なら俺がやるべきことなんだが、いかんせん外せない予定が出来てしまったのだから仕方ない。行きたくないってのが本音だけどね。
「ハァ? 私も付いて行くわよ?」
だが当の本人はそんなのおかまいなしのようだった。なんで付いてくるんだ? 本部だぞ? 絶対つまらないぞ? それに厳密にはまだヒッパーはうちの所属と認められていない。なのに一緒に本部へ出頭とか、絶対ややこしくなる。主に頭の固い上層部の連中のせいで。
「一応聞くけど、なんで?」
「本部に行くんでしょ? あそこには私の妹がいるの。中々会う機会なんてないからいいタイミングだと思っただけ――あと、アンタがどんな奴か知りたいし……」
ん? 後半何か言ってたがよく聞こえなかったな。でも妹か。オイゲンはこっちにいるし、ニ番艦のブリュッヒャーだろうか。俺は会ったことない――てか、任官前に艦船少女に会わせてくれないのだから当然か。なんにせよそういう理由なら断る理由もない。それに本人がいたほうが説明もし易いのは確かだしな。
「よし、じゃあ三十分後にまた指揮官室に来てくれ。そしたらクソもつまらん本部ツアーに連れてってやるよ」
了解だと言うように軽く手を挙げながらヒッパーとニーミが部屋を出ていく――ぱっと見はとんでもない美少女なのにちょっと態度がキツイのがなぁ……それを言ったらオイゲンもだけどな……
「さて、俺も準備しないとな……」
放り出した書類を拾い上げ、溜息を一つつき俺も部屋をあとにする――
おかしいな、オイゲンの出番が減ってる(真顔)。なんでなんやろ(すっとぼけ)。
はい、皆(ではないかも)大好きツンツンデレデレ娘ヒッパーです。前書きでも書いたけどホントはまだ出番与えるハズじゃなかったんだ。でもヒッパーにハァ? って言わせたかった。反省も後悔もしてない。
ヒッパーのタッチ2ボイスかわいすぎ。かわいすぎない? あの小学生並の罵倒マシンガンすこすこ。今は違うけど最近までずっと秘書艦にしてた。ヒッパーの魅力を伝えたいのに文章力と語彙力が足りぬ。ぐぬぬ……
あっ、でもオイゲンも大好きだよ。知り合いに勧められて始めたアズレンだったけどプロローグのオイゲンで心持ってかれたし。ヒッパー級はさ、可愛すぎるんだよなぁ。オイゲンはエロ頼もしい。ヒッパーはツンツン癒し。だからブリュッヒャー下さいなんでもはしません運営さんよぉ。