ここは厄介払いの前線基地   作:イヌ魚

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 短いし話進まなかった


居場所

「待たせたわね……何してんの?」

 

「ああ、おかえりヒッパー。見ての通り。ゴミを積み込んでるんだよ」

 

 怪訝な表情を浮かべるヒッパーを他所に、俺とワスカランはローンの部屋から運び出した残骸をせっせと連絡ボートに積み込む作業を続ける。よし、こんなところか……ゴミにしかならないであろう残骸ですら、我が基地には貴重な資材となりえる。まあ、加工他の処理は全部工作艦であるワスカランに丸投げすることになるのだが。

 

「てか、誰そいつ?」

 

「……ボクのこと?」

 

 やはりというか、当然というべきか、ヒッパーはワスカランに覚えがないようだ。恐らく他の鉄血の子達もそうなのだろう。

 

「この子は工作艦のワスカラン。三十六基地に配属になったんだ。まあよろしくしてやってくれ」

 

「指揮官、雑」

 

 いやヒッパーはうちの所属じゃないし、このくらいでもいいだろ。だからジト目をやめなさい。

 

「それより、そろそろ出港しよう。ほら乗った乗った」

 

 ヒッパーとワスカランを促し、俺もボートへ乗り込むとするか。今からなら到着は夜になってしますが、まあ仕方ないな。

 

 

 

 空はすっかり夜の帳が降り、明かりのない海は不安になるほど真っ暗だ。もし今セイレーンに襲撃されたらたまったものじゃない。とまあこんなのんびりと考え事に耽れるのもボートのオート操作機能のおかげだ。進路さえしっかり設定しておけばあとは勝手に目的地へ導いてくれる。イレギュラーがなければだが。

 

「お疲れ様。ほら、コーヒー淹れてあげたわよ。インスタントだけど」

 

 ガチャリと船室が開く音と共にヒッパーの声が聞こえる。どうやらわざわざ様子を見に来てくれたらしい。しかもコーヒーまで淹れてくれるなんて、優しいところもあるんだな。

 

「ありがとう。ワスカランはどうしてる?」

 

「アイツならずーっと海を眺めてる」

 

「そうか」

 

 色々と思うとこはあるだろうからなぁ……出来れば色々と話をしておきたいのだが、俺にはボートの操作などやることがあるからな。基地に戻ってからだなー。ヒッパーからコーヒーを受け取り軽く口につける。んー、インスタントも悪くはないがやはりニーミの淹れたコーヒーには敵わないな。

 

「それで、いつ説明してくれるわけ?」

 

「何の話だ?」

 

「とぼけんな、ワスカランのことよ。名前と軍服から鉄血の艦船少女なんだろうけど、私はアイツを知らないの」

 

 そりゃそうだろう、艦船少女のデータベースにも登録されていないような存在だ。きっとこれから先登録されることもないだろうし。

 

「俺だって今日初めて知ったし、初めて会った」

 

「それよ、なんで何の関係もないアンタの元に配属されたわけ? 工作艦なんて貴重じゃない。アンタみたいな馬の骨のところに送るなんてちょっと信じられない」

 

「お前結構酷いこと言うのな」

 

 ただまあ、任官直前に独房入りした指揮官がまともなわけないのは確かだろうな。上層部からも煙たがられてるってのもポイントが高い。いや低い。

 

「別に話してもいいけど……これからもヒッパーの鎮守府には世話になると思う。いつかワスカランも……仲良くしてくれとまでは言わないけど、偶に気にかけてやってくれないか?」

 

「それくらい構わないけど……わざわざ念押しするってことは、何かあるの?」

 

「ワスカランには、俺のとこくらいしか居場所がないだろうから」

 

「それってどういう意味?」

 

「そのままの意味。あいつは“失敗作”らしくて、偶々俺が再三要求したのと同タイミングで生まれたから俺のとこに厄介払いされた。そうじゃなければ廃棄か、もしくは……とにかく、あいつは望まれて生まれた艦船少女じゃない」

 

 望まれつつ期待に添わず隔離されたローン、望まれずに見放されたワスカラン。過程も結果も違うが、境遇は似ている。だからなんというか、放っておけないと思った。

 

「せっかく巡り合った縁だからな、少しでも楽しく過ごしてほしいって思う。だから、気にかけてやってほしい」

 

「アンタ……」

 

 

――突然電子音が室内に鳴り響く。計器に目を向けるとレーダーが何かに反応したらしく、一定の間隔で音を鳴らし続けている。この辺りは委託の航路ではないはず。それにこの方角は……

 

「なに? 友軍? こんな暗い中どこのどいつよ」

 

「確認する――これは、登録外の艦船だな」

 

「なんですって!?」

 

 アズールレーンの登録艦艇にはない艦艇……! なんだってこんなところに。それに、もしかしたら――計測器に目を配りつつ咄嗟に船内放送のマイクを入れる。

 

「ワスカラン、すぐここに来てくれ! ――ヒッパー、悪いけど偵察に出てくれないか?」

 

「それはいいけど、水偵とかないわけ?」

 

「そんな便利なモノ、俺の基地には一機たりともないな」

 

「ほんっと嫌われてるのねアンタ――いいわ、出てあげる! 今回はアンタの指揮に従ってやるわ!」

 

 返答しつつ艤装を取りにヒッパーが駆けていく。俺も通信用のヘッドセットをつけいつでも指示を飛ばせるように準備する。とはいえ軍用でもないボートに機材を詰め込んだだけだ、どこまで出来るか……でもやるしかない。反応は大きくない。駆逐か軽巡数隻、悪くても重巡だろう。

 

「ヒッパー、恐らく相手は駆逐か軽巡クラスが数隻ってとこだ。無理せず慎重に頼むぞ」

 

『何よ恐らくって、頼りないわねえ。でもまあ、私に任せておきなさいって!』

 

 悔しいし情けないが、戦う術を持たない俺はヒッパーをサポートすることしか出来ない。なら、それを全力でやるだけだ――




 次回戦闘回……? 大変だ、俺は戦闘描写が苦手なんだ、誰か助けて!
 それにしてもコイツヒッパーよりオリキャラの話しかしてねえじゃねえか……
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