「で、何でワスカランはバカ指揮官と一緒に寝てたのよ」
「いや、それはだな……アハハ……」
まさか抱き着かれて泣き崩れてそのまま寝ちまって離れないから仕方なく寝た、なんて言ったらワスカランが恥ずかしさで死んでしまうかもしれん。どうしたものかと悩んでいると、おもむろにワスカランが口を開いた。
「指揮官は悪くない、ボクが頼んだんだ」
「は?」
「え?」
何を言ってるんだ。そんなこと一言も言ってもなかっただろお前。一体どういう……
「そ、それじゃあアンタは自分の意思でバカ指揮官と同じベッドで寝たっていうの!?」
「うん」
チラリとワスカランに目を向ける。変わらぬ無表情でヒッパーの問いに淡々と答えているが、一瞬だけこっちに見えるようにウィンクした。これは、庇ってくれてるのか? いやそもそも別にやましい気持ちとかは無かったんだが、まあいいか。
「それよりもヒッパー、指揮官に話があったんじゃないの?」
「あ、そうだった……」
そういや部屋に入ってきた時にそんなことを言ってたな。ひょっとしてもう帰るとかそんなとこかな? 元々ヒッパーはウチの所属じゃないしな。
「そうだな、まずは聞かせてくれないか?」
「そうね、そのために来たんだし……バカ指揮官、私をアンタのとこに置きなさい!」
「いや、置いてるだろ」
まあウチの所属なのは一時的なわけだが。それがどうしたのいうのか……なんだかヒッパーの目つきが厳しくなっている。これはもしかしなくても怒ってるのか……?
「アンタねえ……私は、アンタの下で働きたいって言ってんの! なにアホなこと言ってんの!?」
「それってつまり……転属希望?」
「そう言ってんじゃない!」
別にそんなぷりぷりしなくても……でもまさか、ここに来たいとは予想外だったな。一日付き合ってもらったけど楽しいことなんて何一つなかっただろうし、楽しみがあるとは思えない職場なんだけどなあ。
「えーっと、本気?」
「本気」
「ここくっそつまんないよ?」
「知ってる」
「なのにここがいいの?」
「そう」
「でも――」
「ああもううるさいこのバカドジアホマヌケヘンタイ指揮官! 私がここに居たいって言ってるんだから居させなさいよっ! なに!? それとも私は置きたくないっていうの!? ふざけないでよっ! 誰がアンタの意見や許可なんか聞いてんのよ?! いいから黙ってうんって言ってればいいの! いい?! アンタが何言っても私はここにいるんだからね! ほらっ転属届けなら書いてあるのっ! あとはこれにアンタの判子押してくれればそれでいいんでしょ!? 早くしなさいよ! あーもうノロマなんだから! ほら判子貸しなさい、私がやったげるわよ。はぁ? ちょっと落ち着け!? アンタがぐずぐずしてるから私がこうして手伝ってあげてんじゃない! それなのにアンタはあれこれ理由つけて! あっちょっとそれ返しなさいよ!? なに? 冷静になれ? なってるでしょうが! アンタもしかして私が冷静じゃないって言いたいわけ?!」
「うん、ボクにはそう見えるけど」
突然詰め寄られあたふたしていたところへワスカランが口を挟んだ。それでようやく冷静になったのか、ヒッパーの動きが止まった。と、すぐに顔が真っ赤になって――
「こ、この――バカァァァァァ!!!!!!」
「え~、このクソ暇な中わざわざ食堂にお集まり頂き誠にありがとうございます」
三十分後、今はいないオイゲンを除いた基地メンバーを食堂に集め緊急の会議を行っていた。一日俺が離れていたため今日も三十六基地は平和そのもの暇だらけだ。招集をかけたらすぐに全員集まった。
「ねえ指揮官の頬腫れてない?」
「ホントですね。なにかあったんですかね?」
「上司に暴言でも吐いたのでは? 独房に入ってたほどですし」
「え? 独房ってなに?」
なにやらひそひそ話が聞こえるがまあいい。ちなみに頬の腫れは大したことない。冷静に戻ったヒッパーが恥ずかしさからか平手してきただけだ。すぐに謝ってくれたし氷持ってきてくれたり冷やしたタオルを当ててくれたりもしてたし、ヒッパーは根は悪くなさそうだ。すぐ手が出る悪癖でもあるのだろうか……
「静粛に~。ほらひそひそ話はあとでやれ。っコホン、今日は全員に報告することがあってな。ほら、入ってこい」
俺の声を合図に、ヒッパーとワスカランが入ってくる。ヒッパーに関しては昨日からしばらくいると連絡が回っているはずなので驚きはなかったが、ワスカランには皆一様に首を傾げていた。どことなくワスカランも居心地が悪そうに見えたので、安心させるつもりで頭を撫でてやる。あっ、帽子の上からだからな? 健全だから、憲兵さん呼ばないでね。
「紹介するぞ、静かに聞け。今日から三十六基地配属になるアドミラル・ヒッパーとワスカランだ。ヒッパーは元々一時的にオイゲンと交代する予定だったが、こっちに移ることになった。面識もあるだろうから問題ないと思うが、よろしくしてやってくれ。ヒッパーも、これからよろしくお願いするよ」
「ふんっ……そういうことだから、これからも世話になるわね。よろしく頼むわ、Z駆逐隊のみんな」
よし、ヒッパーに関しては問題ないな。まあ心配なんてしてなかったけど。問題はワスカランだよなぁ。
「そしてこっちが工作艦のワスカラン。一応鉄血の所属なんだが、まあ気になることもあるだろうけど、一つ仲良くしてやってくれ。そうそう、艤装のメンテもやってもらうから、何かあればワスカランに相談すること。以上!」
ワスカランについては事情が色々あって説明するのダルいんだよな……ともかく、仲良くしてくれると俺も助かるし、安心できる。
「はい会議終わり。今日も一日暇だから好きにしてていいぞ。あっニーミ、ワスカランを部屋まで案内してやってくれないか? 空き部屋ならどれでも――」
「必要ない」
……ん? 必要ないってどういう意味だ? 呼び止めたニーミと顔を見合わせるが、彼女も言葉の真意が読み取れないようだ。
「どういうこと?」
ワスカランに向き直りじっと見つめる――恥ずかしいのかワスカランは帽子を深く被りそっぽを向く。この角度だと表情が読めないな。
「――ボクは指揮官の部屋で寝るから、いい」
え?
「「「「「えぇー!!!!!」」」」」
――なんか、爆弾が落とされた
ほのぼの日常とかあらすじに書いておいて誰得ストーリー繰り広げてる駄文があるってマ?
次からきっとほのぼの書くから……
ところで来月潜水艦が来ますね。僕の一推しはもちろんU-81ちゃんですよ。あーかわいいもちもちしてそう。一緒に潜水クルーズしたいね、あのバイクで