乙女(A-RISE)は年下の女の子?に恋してる。   作:CLOVER

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こんばんは、なんとか書けました第六話となります。 お気に入り登録、評価、感想、ありがとうございます。



油断大敵

 

 

 

 

 

 

 電話を終えてそのままベッドから立ち上がり冷蔵庫へと向かう。ここまで来る最中は緊張や、自分の置かれている立場からとてもじゃないけれど食欲なんて消えて空腹を一切感じなかった。だけれど……出会い方は置いておいて、この学園で初めて知り合った方々が綺羅先輩、優木先輩、統堂先輩の三人だったのは私にとってまさに救いだったと言える。

 

 冷蔵庫の扉を開けると正面の棚に映画とかで見て私がお母さんに頼んで作ってもらったりした私の大好きなアメリカンクラブハウスサンドがお皿の上に綺麗に盛られてありラップを被されてそこに鎮座していた。理事長先生こと藤澤透子さんの手作りとお手紙には書かれていた。私が好きなものをわざわざお母さんから聞いて作ってくれたみたいだ。空腹を抜きにしても、それはとても美味しそうで……私は理事長先生のお心遣いに深く感謝をしながら理事長先生手作りのアメリカンクラブハウスサンドを目を輝かせながら取り出して、内扉に入っていたミネラルウォーターを一緒に手に持つとテーブルまで移動してアメリカンクラブハウスサンドとミネラルウォーターをテーブルに置き席に着くと――

 

「いただきます」

 

 両手を合わせてそう言葉を言ってから食べ始めた。

 

「お、美味しい……!」

 

 理事長先生の手作りのアメリカンクラブハウスサンドはとてもボリュームがある作りだけれど、味付けとして使用されているマヨネーズとケチャップ、それに塩コショウのよく効いている両面が焼かれているベーコンエッグに酸味を醸し出すトマトとシャキシャキとした食感のレタス、それらが合わさりえも言われぬ味わいを醸し出していた。

 

 ――自分では見れないけれど……きっと、今の私はさぞかし幸せな表情をしていると思う。

 

 

 

 *

 

 

 

 食後あまりの幸せ感にぼーっとしていると、ようやく体も落ち着いて来たので今日の最後のやることとして脱衣所へと向かう。残りのボタンを外してワイシャツを脱いで洗濯籠へ入れ、洗面台にてメイク落しを手に取りメイクを落としていく。と言ってもとても薄いナチュラルメイクなのでそこまで落とすのに時間は掛からない。少し前まではお化粧のやり方なんて何一つ知りもしなかったのに……などと思いながら鏡で確認をしたあと、そのまま下着を脱いで浴室へ。

 

 コックを回して熱い温水にして、シャワーを浴びながらバスタブにお湯を溜めつつ先ずはお母さんから渡された結構いい値段のするシャンプーを髪に付けて馴染ませつつ、その間に頭皮をマッサージしながらゆっくりと丁寧に洗っていく。そしてシャンプーを流したあとはコンディショナーをし、更に流したあと髪のパックまでをやり終わったら髪をまとめてタオルで包んで留めると、続いて体を洗い始める。体も無理な力を込めず素手で優しく擦り洗う。そしてようやく一通り終わると、これまでの間にバスタブに溜めておいたお湯の中に身体を浸ける。

 

 

 

「……はー…………気持ちいい〜……」

 

 性別がどうとか関係なく、もともとお風呂は大好きなのでこの瞬間だけは最高にリラックスできる。

 

 チャプチャプとお湯を身体に掛けながら、思う。

 

 

 

「それにしても優木先輩、が……私のことを…………」

 

 

 

 凹凸のほぼ無い私の身体とは違い(当たり前だけど)、出るところは出て、引っ込むところはしっかりと引っ込んでいる。くびれも制服の上から見てもしっかりと有り、ダンスのレッスンからか、元々か……あるいは気を付けているからか、無駄な勢肉なと一切無い。抱き着かれた時に私の手の甲に触れた優木先輩の髪はサラサラとしていて、今はまだ幼さが残る顔も美少女そのもの。きっと、これから成長して行けば大人としての魅力的が現れ、更に美しくなることだろう。

 

 

 

 そんな彼女が……求める相手が私だなんて。お母さんが言う事だから、外れているかもとは疑ってなどいない。それに…… もちろん悪い気はしないどころか嬉しく思う。けれど、今の私の立場というか……やっている事は、彼女、先輩達への親切への明らかな"裏切りだと思う"。だから――――

 

 

 

「……出会い方、立場、生まれ、それらが違っていたのなら……彼女、彼女達と本当の意味での関係を築けたのだろうか?……私が一番欲っしているものに……」

 

 私が望んでも手に入らなかったもの

 

 そんな私の小さなつぶやきは湯気の中に溶けて消えていった。

 

 

 

 *

 

 

 

 お風呂から出て、髪をタオルで包み直して水滴が落ちないようにしながら、もう一枚の大きなバスタオルで身体を拭きつつ、拭き終わったら身体に巻くその丈は丁度、制服のスカートくらい。 額に張り付いた前髪から水滴がポタリと体に巻いていられるバスタオルに落ちて行くさまを感じながら髪を乾かそうと、ドライヤーを用意していると不意にチャイムが鳴った。

 

 

 

「――ん? 何だろう?」

 

 

 

 入浴によるリラックス効果から気が抜けている為か、はたまた私はまだまだこの後に色々とケアをしなければならないので慌てたのか……注意すべき事柄なのについつい"そのままの格好で部屋の入り口まで向かって行き、閉めていた鍵を開けて扉を引いてしまったのだった――そう"相手が誰かも確認せずに。

 

 

 

「あ、よかったわ♪ 七音さんまだ起きていたのね。あのね、さっきツバサと英玲奈とも話したんだけれど明日の朝七音さん私達と一緒に……職、員……し……つ」

 

 

 

 果たして、扉を開けた先には――――――優木先輩が居ました。話し始めに携帯、スマホを見ながら操作していた優木先輩はスマホの画面から顔を上げ私に笑顔を向けてくれて、私を見た途端、目を大きく見開き……言葉が途切れ始め、更に声もだんだんと小さくなって行きついには言葉は聞こえなくなりました。……そんな優木先輩は頬が気のせいか赤くなり始めていました。

 

 

 

 

 

「……明日ですか? 皆さんが私と職員室まで一緒に行ってくださるんですか……あの、私としては本当にとても助かります。ですが……あの、ご迷惑でないですか? なければ、その、お願いしてもよろしいでしょうか?」

 

 

 

 私の言葉を正面で聞きながらも綺優木先輩は何故か固まっている。 出会ってから先程別れるまでのふわふわ感と優しさにあふれていた優木先輩とは違う。頬も時間が経つ程どんどん赤くなってきているような?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く




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