仮面ライダーメドゥーサ   作:JALBAS

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この話は、“Fate / stay night”原作の時期の約六年後の話です。
聖杯戦争の結果や、キャラの状況は大きく変えてあります。
あと、プリズマ☆イリヤの世界と少しごっちゃになっています。
更に、第四次聖杯戦争の結果も少し変えてあります。
ギルガメッシュは受肉していず一度消滅していて、言峰綺礼も一度死んではいず普通に生き残っています。
ちなみに衛宮切嗣は、聖杯の呪いで死んだのでは無く病気で死んでいます。第五次聖杯戦争の時期には、まだ生きていたという設定です。




《 第一話 》

僕の名は“城戸慎二(きど しんじ)”、東京にある“清明院(せいめいいん)大学”の大学院に通う学生だ。

僕は今、もう二度と戻る事は無いと思っていた、生まれ故郷である関西の“冬木市”に向かう電車の中に居た。

元々僕は冬木市に代々続いていた魔術師の家系である、“間桐家(まとうけ)”の長男で跡取りだった。祖先はロシア人であったようだが、二百年前に何らかの事情で日本の冬木市に移住して来たらしい。しかし日本の風土に合わなかったのか、間桐の魔術師としての血は年々薄れていき、僕の代でとうとう魔術回路は完全に無くなってしまっていた。

その為僕の祖父である“間桐臓硯(まとう ぞうけん)”は、同じく冬木に代々続く魔術師の家系の“遠坂家(とおさかけ)”から“桜(さくら)”という名の養女を取り、その娘に間桐家を継がせる事を画策した。

最初は、僕はその事を知らなかった。単に身寄りの無い娘を引き取っただけで、間桐の跡取りは自分だとばかり思っていた。だから僕は、桜を普通に可愛がった。彼女も僕を慕ってくれていて、兄妹の仲は非常に良かった。

ところが父が他界し、高校二年となった時に僕はその事実を知ってしまった。そして散々悩んだ末に、僕は家を出る決心をした。十七年間ずっと騙されていた事に腹が立ったという事もあるが、それ以上に僕と祖父の間に入って妹の桜が苦しむのを見たくないという気持ちの方が強かった。

祖父とかなり揉めた末に、僕は勘当同然の身で家を出て東京に移住した。そのまま“間桐”の姓を名乗るのも嫌だったので、戸籍を偽造して“城戸慎二”となったのだった。

 

そんな僕が何故再び冬木市に向かっているかと言うと、一年間行方知れずだった親友の“衛宮士郎(えみや しろう)”に突然呼び出されたからだ。

衛宮は高校時代僕と同じ弓道部に所属していて、妹の桜は彼に憧れてかなりの好意を抱いていた。

衛宮には、六歳下の“美遊(みゆ)”と言う名の妹が居た。僕と桜の関係と同じで本当の兄妹では無かったようだが、非常に仲の良い兄妹だった。更に、衛宮の美遊ちゃんへの溺愛は異常なくらいだった。いつも何よりもまず彼女が優先で、自分の事は二の次になっていた。まるで美遊ちゃんの幸せが自分の幸せだとでも思っているようで、桜がよくやきもちを妬いていた。

ただ美遊ちゃんは生まれつき体が弱く、元々長くは生きられないと言われていた。僕が家を出る約半年前、高校二年の夏頃に容体が悪化し、美遊ちゃんは寝たきりになってしまった。その介護の為に、衛宮は弓道部も辞めてしまっていた。

 

 

ところが僕が清明院大学の研究室に入る頃、何と衛宮が同じ大学の研究室に入って来たのだった。彼が東京に移住していた事も、同じ大学に入っていた事も僕は知らなかった。そんな事よりも何よりも、僕は衛宮が美遊ちゃんを一人冬木に残して東京の大学に進学して来た事が信じられなかった。旧知の藤村家に預けて来たとの話だったが、あれほど溺愛していた美遊ちゃんの側から衛宮が離れられる筈が無いと思っていた。何故東京の大学に進学したのか?どうして美遊ちゃんの側を離れたのか?いくら聞いても衛宮は頑として教えてはくれなかった。

しかも再会した衛宮は、依然とは全く人が変わってしまっていた。お人良しで誰とでも仲良くなり、頼まれるとまず嫌とは言わず“穂群原(ほむらはら)のブラウニー”とまで言われていた性格は一変し、無口で人付き合いの悪い変人と化していた。何があいつをそう変えてしまったのか?それは僕には全く判らなかった。

衛宮は大学では、唯々研究に没頭していた。僕では到底理解できないような研究を、一人昼夜を徹して黙々と続けていた。そうして一年前、僕らが大学院に進んだ頃に突然姿を消してしまったのだった。

 

そんな衛宮から、昨夜急に電話があった。

 

『慎二……明日の夜二十一時に、冬木駅前のヴェルデの前に一人で来い……』

「はあ?い……いきなり何を言い出すんだ?お前……今迄ずっと何処に居たんだ?冬木に戻っていたのか?……いったい、何をやっていたんだ?」

『……来れば……話す……』

 

それで、電話は切られてしまった。

当然無視する事もできたが、今迄衛宮が何をやっていたのか?どうしてああなってしまったのかが気になった。だから冬木に来るのは気が進まなかったが、こうしてここまでやって来たのだ。

 

 

 

 

新都の冬木駅で電車を降りる。待ち合わせ場所は、駅前のヴェルデの入口前だ。

ヴェルデの入口前はもう閉店時間という事で、殆ど人の姿が無い。そもそも、こんな時間に待ち合わせというのも非常に胡散臭い。喫茶店なども当然閉まっていて、開いているのはコンビニか飲み屋くらいであろう。

しばらくその場に立って待っていたが、一向に衛宮が現れる様子も無い。

 

「な……何をやってるんだ?あいつは?こんな時間に、こんな所に呼び出して……」

 

等と文句を言っている時、既に明かりの消えたヴェルデの店内で何かが動くのが視界に入る。

 

「……っ?!」

 

驚いて振り向くと、店内に一人の女性が立っていた。だが、その格好は異様だった。そのブロンドの髪で金色の瞳の女性は、黒い西欧風の鎧を着ていたのだ。

 

「ま……まさか?」

 

その時代錯誤な恰好を見て、僕は思わず幽霊か何かだと思ってしまう。

 

「うわあああああああああっ!」

 

僕は大声を上げて、思わず逃げ出そうとしてしまった。ところが突然、何かに腕を引っ張られてしまう。

 

「えっ?!」

 

何とガラス窓を突き抜けてその女性の腕が飛び出し、僕の腕を掴んでいた。

 

「ぎゃあああああああああああっ!」

 

僕は、恐怖で錯乱してしまった。

必死に逃げようとするが彼女の腕力は強く、逆にどんどん引っ張られていく。そうして信じられない事に、僕の体はガラス窓の中に吸い込まれてしまったのだ。

 

「えっ?!……あ……あれ?」

 

気が付くと、僕を引っ張る腕も、時代錯誤の恰好をした女性の姿も何処にも無かった。僕は元通りヴェルデの前で、尻餅をついて座り込んでいた。

 

「な……何だったんだ?さっきのは……ん?!」

 

ふと先程までとは、周囲の雰囲気が変わっている事に気付く。

辺りが妙に静かすぎる。夜の二十一時過ぎとはいえ、さっきまで街には車等の騒音が響いていた。だが今は、それが全く無いのだ。

 

「……」

 

良く街を見てみると車は一台も走っていず、周りには人っ子一人居ない。おかしいと思って、ヴェルデ側のガラス窓を見てまた驚愕する。

 

「ええっ?!」

 

何と、ヴェルデのガラス窓には、背後を行き交う車や人が映っている。しかし振り向くと、やっぱり車も人も全く居ない。

 

「ど……どうなってるんだ?これは?……」

「う……うう……」

 

すると、静寂の中に微かに人の声が聞こえて来た。

 

「ん?……だ……誰か居るのか?」

 

先程の幽霊の件もあって怖かったが、やはり気になるので僕は声がする方に向かって行った。ビルの角を曲がって裏手の方に行くと、端の方に人が一人倒れていた。それは、女性のようだった。

 

「だ……大丈夫……ですか?」

 

近付いて行って顔を覗き込んで、僕はまたまた驚いてしまう。

 

「さ……桜っ?!」

 

それはもう六年も会っていない、妹の桜であった。

僕は慌てて、桜を抱き起して声を掛ける。

 

「桜!……おい!桜っ!」

「えっ?……に……にい……さん?……ど……どうして……ここに?……」

「どうしたんだ?しっかりしろ!桜っ!」

「ご……ごめんなさい……兄さんまで……巻き込んで……しまったのね……」

「はあ?何を言ってるんだ?巻き込んだって……何に?」

「や……やっぱり……わたし……先輩とは……た……戦え……なかった……」

「先輩?……え……衛宮の事か?……あ……あいつは何処に居るんだ?」

「ここだ」

 

その時、遥か後方から声がした。

誰も居ない筈の無人の街に、足音が響き渡る。桜を抱きかかえる慎二の前に、一人の青年が姿を現した。

 

「え……衛宮?……」

「一年振りだな?慎二……」

「だ……だめ……に……逃げて……にい……さ……」

 

そこまで言って、桜は気を失ってしまう。

訳が判らず、慎二は士郎に問い掛ける。

 

「衛宮?こ……ここはいったい何処だ?……な……何で?僕達以外誰も居ないんだ?」

「ここは、“Unlimited Mirror World”……俺が創り出した、固有結界の中だ」

「こ……固有結界?……ま……まさかお前、魔術師だったのか?」

「正当な魔術師家系の後継ぎじゃない……元々、親父の切嗣とは血が繋がっていない。だが、俺には生まれつき魔術回路があった。六年前までは、殆ど満足に使えなかったがな……」

「何だって?……うっ!……」

 

その時急に、慎二は息苦しくなって来る。

 

「えっ?」

 

更に気付くと、自分の体から塵のようなものが出て……いや、塵のように見えるが、それは彼の体が消滅し始めていたのだった。

 

「なっ?!……ど……どうなってるんだ?これは?……」

 

良く見ると、抱きかかえている桜も同様であった。

 

「この空間では、生有る物は長く状態を維持出来ない。人間など数分で消滅する」

「なっ?……何だとっ?!」

「ここに居続けるには、このカードデッキを使わなければならない……もっとも、それでも十数分程しか持たないが……」

 

士郎は懐から黒いカードデッキと、一枚のカードを取り出した。そのカードには、剣士の絵が描かれている。

 

「このように、デッキを腹に当て……」

 

士郎は、カードデッキを自分の腹に当てる。するとデッキからベルトが飛び出し、士郎の腹部にデッキが装着される。

 

「このクラスカードを使う……変身!」

 

士郎は剣士……“セイバー”のカードをデッキにセットする。

 

『Install……Saber!Alter!』

 

電子音のメッセージと共に、カードデッキを起点に黒い重厚な鎧が士郎の体を包んでいく。彼の目は金色に輝き、最後にその頭部を黒い騎士の仮面とバイザーが覆い隠してしまう。

 

「な……何っ?」

 

慎二は、唯々呆然とするばかりだった。

 

「お前も、早く変身しなければ消滅するぞ」

 

黒い仮面の騎士と化した士郎が、慎司に苦言する。

 

「はあ?……そ……そんな事言っても、僕はそんなデッキなんか……」

 

そう言う慎二に、士郎は無言で桜の腹部を指差した。

 

「?!」

 

桜の腹部には、士郎が使ったのとよく似た灰色のデッキがベルトで巻かれていた。更に桜の手には、一枚のカードが握られていた。ただそのカードには、何の絵柄も描かれていなかった。

 

「くっ!……」

 

慎二は慌てて桜の腹部からデッキを外し、それを自分の腹部に当てる。すると士郎の時と同じようにベルトが飛び出して、慎二の腹部へと巻き付いた。

 

「へ……変身!」

 

慎二も士郎と同じように叫び、何も描かれていないカードを腹部のデッキへとセットする。

 

『Install……』

 

電子音のメッセージと共に、カードデッキを起点に慎二の体にもプロテクターのような物が装着されていく。しかしそのバトルスーツは灰色の軽装な物で、頭部も簡素なマスクに覆われただけだった。但し、彼の体の消滅は止まっている。

 

「……っ?!……さ……桜!」

 

変身により慎二は消滅を免れたが、生身の桜の方はそうはいかない。彼女の体からは、未だに塵が噴き出していた。

 

「滞在時間を延ばせるのは、変身した者だけだ……生身の者は、そのまま消滅する」

 

動揺する慎二に、冷徹に黒い騎士の士郎が言い放つ。

 

「そ……そんな?……おい!どうすればいいんだ?お前は、何か方法を知ってるんだろう?」

「簡単な事だ……ここから出て元の世界に戻ればいい」

「何だと?」

「変身すれば、この世界と元の世界の行き来も可能となる」

 

そう言って黒い騎士は、側面のガラス張りの壁に向かって歩いて行く。そして、吸い込まれるようにガラス窓に入って行った。

 

「?!」

 

慎二はまた驚くが、慌ててそれに続く。桜を抱えたまま、ガラスの壁に飛び込んで行く。すると直後に、騒音の溢れる世界側へと飛び出した。

 

「こ……ここは?……周囲に音がある……も……元の世界に戻ったのか?」

 

慎二は直ぐに、抱いている桜に目を向ける。しかし桜の体からの塵の発生は無くなっていたが、彼女はずっと気を失ったままだった。

 

「桜?……おい!桜!しっかりろ!」

 

桜は死んでいる訳では無かったが、殆ど生気が感じられなかった。体は酷く冷え切っていて、まるで仮死状態にあるかのようであった。

 

「あの中に長く居過ぎたようだ……もう、桜が目覚める事は無いだろう。いずれ、その命の火も消える……」

 

相変わらず冷徹に、残酷な事実を言い放つ黒い騎士。

 

「なっ……何だとおおおおおおっ!」

 

その言葉に、慎二は激昂してしまう。

 

「ふざけるなっ!衛宮あああああああああっ!」

 

灰色のバトルスーツを纏った慎二は、怒りに任せて思い切り黒い騎士に殴り掛かった。

 

「ぐっ!……うううっ!……」

 

しかし黒い騎士の強靭な鎧はびくともしないだけで無く、逆に殴った慎二の拳の方が痺れて来てしまう。

 

「そんな、未契約の状態では話にならん」

「何っ?」

 

そう言われた直後、突如慎二の体が宙を舞った。

 

「ぐぅはああああああああああっ!」

 

その身は数メートル程飛ばされ、背後にあった壁に派手に叩き付けられてしまう。

 

「うっ!……ぐぅうううう……」

 

更に跳ね返って地面倒れ込み、それと同時に変身も解けて元の姿に戻ってしまう。カードデッキとクラスカードも飛ばされ、その横に派手な音を立てて転がった。

いったい今、何をされたのかは全く判らない。恐らく殴られたようなのだが、その攻撃は慎二には何も見えていなかった。

 

「桜の事で俺を恨むなら、それは筋違いだ。彼女は、あの中で死ぬつもりだったんだ……お前が来なければ、本当にそうなっていただろう」

「な……なに?……」

「桜は英霊を呼び出したが、契約をしなかった。土壇場で、戦いを拒んだのだ」

「戦いを……拒んだ?」

 

慎二の脳裏に、先程の桜の言葉が浮かぶ。

 

“や……やっぱり……わたし……先輩とは……た……戦え……なかった……”

 

慎二は、ゆっくりと体を起こす。

その前に立つ黒い騎士は変身を解き、元の士郎の姿に戻ってから言う。

 

「桜を助ける方法が、一つだけある」

「何?……本当か?」

「聖杯戦争に勝ち残る事だ」

「せ……聖杯戦争だと?……ばかな!そ……それは、お前の親父が潰したんじゃなかったのか?」

 

 

“聖杯戦争”……それはこの冬木の地で、約二百年前に始まった儀式である。

万能の願望器である聖杯に選ばれし七人のマスターが、七人の英霊をサーヴァントとして使役して聖杯を求めて殺し合う。呼び出される英霊のクラスは、“セイバー”、“アーチャー”、“ランサー”、“ライダー”、“キャスター”、“バーサーカー”、“アサシン”の七つだ。そうして最後に生き残ったマスターだけが、聖杯を手に入れてその願いを叶える事が出来るのだ。

二百年前より始まり過去に四度行われたが、ここまで聖杯を手にした者は未だに一人も居ない。六年前には本来五度目の聖杯戦争が行われる筈であったのだが、一人の男がこれを阻止してしまう。それが“衛宮切嗣(えみや きりつぐ)”、士郎の義理の父親であった。

切嗣は何らかの手段を講じて冬木の地の聖杯を封印し、二百年前から続いていた聖杯戦争に完全に終止符を打ったのだった。

 

 

「確かに衛宮切嗣によって、この冬木の聖杯戦争は六年前に絶たれた……だが、俺の開発したカードデッキシステムが、再び聖杯戦争を可能にしたのだ」

「なっ?……そ……それじゃあ、お前が大学で研究していたのは……」

 

士郎は慎二の問いには答えず、淡々と新しい聖杯戦争のシステムを説明する。

 

「カードデッキは、全部で七つある。そしてカードデッキに認められた者がマスターとなり、それぞれ一体の英霊をサーヴァントとして召喚出来る。マスターは英霊と契約し、クラスカードにその魂を封じ込める。そのカードに込められた英霊の力をデッキで解放し、マスターが鎧として纏って直接他のマスターと戦う。基本的に戦闘は、固有結界であるミラーワールドの中で行う事がルールとなる。ミラーワールドの中では何を壊そうが、実世界には一切反映されない。実被害が無ければ、魔術協会や聖堂教会に気付かれる事も無いだろう。但し、人の命だけは別だ。ミラーワールドの中で命を落とせば、その者はそのまま消滅する……それが俺が創り出した、新しい聖杯戦争のシステムだ」

「そ……それが……聖杯戦争だと言う事は……」

「そうだ!……勝ち残った者だけが、聖杯を手にする事が出来る。そうすれば、どのような願いでも叶う」

「じゃあ……桜を助ける事も……」

「そういう事だ……桜を助けたければ、お前もマスターとなって戦え!七つのカードデッキを全て破壊し、七枚のクラスカードを全て集めれば聖杯が手に入る……その為に、まずは英霊と契約しろ!」

「英霊と……契約?」

「そうだ!契約を交わせば、クラスカードに英霊を封じ込められる。その証が、この令呪だ!」

 

士郎は左手の甲を慎二に翳し、そこに刻まれた紋章見せ付けた。

 

「さっき言ったが、お前が契約すべき英霊は既に桜が召還している。英霊は霊体だから、この世界では実体化出来ない。人間とは逆で、ミラーワールドの中でしか実体化は出来ない。だから、ミラーワールド内を捜せ……但し、変身しても滞在できるのは十三分だ。それ以上滞在すれば、消滅してしまうから注意しろ」

 

そこまで言って、士郎は慎二に背を向けて立ち去ろうとする。

 

「ま……待て!衛宮っ!」

 

慎二に呼び止められ、士郎は足を止める。

 

「契約って言っても、令呪を受ける事ができるのは魔術師だけだろう?僕にはもう、魔術回路は無い。だから英霊と契約は出来ない……」

 

慎二が言い切る前に、士郎は返答を始める。

 

「それは心配無い。お前は元々、魔術師の家系の生まれだ。魔術回路が無くなっていても、その痕跡は体に残っている。カードデッキがそれに作用して、擬似魔術回路をお前の体に作り出す。さっきお前は、カードデッキで変身が出来ただろう?このシステムなら、お前でも英霊と契約する事が出来る……」

 

言いながら、士郎はまた歩き出して行く。

 

「ま……まて……待てよ!衛宮っ!……お……お前は僕に、殺し合いをしろって言うのか?!」

 

士郎は今度は立ち止まらず、去りながら慎二に告げる。

 

「偽られていたとはいえ、お前も十七歳までは自分を間桐の後継者と思っていた筈だ……聖杯戦争に、関わる覚悟はあったんだろう?」

「そ……そんな事を言われても……ぼ……僕は……」

「殺らなければ、お前が殺される……そして、桜も死ぬ!」

 

そこまで言って、士郎は何処かへと立ち去ってしまった。

 

「……」

 

慎二は冷たくなって動かない桜を呆然と見詰めながら、しばらく無言でその場に佇んでしまうのだった。

 

 

 

 

< 仮面ライダーメドゥーサ……次回予告 >

 

「いったいどういう事なの?」

「どうもこうも無い。聖杯戦争が、再び始まったというだけだ」

「だから!何でこの冬木でまた、聖杯戦争が始まるのかって聞いてんのよっ!」

 

 

「ま……待ってくれ!……ぼ……僕と……契約してくれ!」

「何故?私が貴方と契約しなければならないのですか?」

「えっ?」

「私を召喚したのは桜です。貴方では無い……」

 

 

「変身!!」

『Install……Rider!Medusa!』

「仮面……ライダー……だと?!」

 

 

『戦わなければ、生き残れない!』

 




ライダー陣営がメインのFateの二次創作を書きたくなって、ライダーと言ったらやっぱり“仮面ライダー”かなと思って、仮面ライダーとのクロスにしました。
更に、Fateの世界観に一番合う仮面ライダーを考えたら“仮面ライダー龍騎”だと思ったので、この話になりました。(実際に、Fateも龍騎の影響を受けているのでしょうけど……)
偶然かFate側が意識したのか、“龍騎”の主人公は“シンジ”で、ラスボスは“シロウ”でした。
だったらライダー陣営がメインなのでいっそのこと慎二を主人公にして、士郎をラスボスにしようと思いました。
加えて、カードを使って変身し、マスターが英霊の能力を使います。士郎は妹を救うためにカードデッキシステムを開発するので、“プリズマ☆イリヤ”の設定も混ぜ込みました。

慎二が主役なので、この話の慎二は妹思いで情にもろい“いい奴”です。龍騎の“城戸真司”に近くなっています。もっとも、原作の慎二も環境が違えばいい奴になれたのかもしれませんが……
逆に、士郎は冷徹な“人でなし”になっています。(ランサーは殺していませんが……)

最後、龍騎風に次回予告を入れてみました。
映像じゃ無いので、誰の台詞か判らないでしょうけど、皆さんで予想してみて下さい。


『シン・仮面ライダー』を見たら、急にこの話を少し書き直したくなりました。
内容自体は大きく変わっていませんが、文章は一通り書き直しています。
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