慎二は今回、世界最古の英雄王に挑みます。
必殺武器を山のように持つ相手に、彼はどう立ち向かうのか?
そして凛は、士郎との運命の戦いに。
Fate原作では実現しなかった、凛と士郎のガチのバトルです。
二十一時、慎二は言峰教会の扉を開く。
「来たか?」
言峰綺礼は、祭壇の前に立っていた。
慎二は綺礼の前まで歩いて行って、彼に話し掛ける。
「闘いに入ったら、あんたはあの高飛車な王様に変わっちまうんだろ?」
「……そうだが?」
「その前に一つ、聞いておきたい事がある」
「ん?……何をだ?」
「あんたはいったい、聖杯に何を望むんだ?」
「ふっ……そんな事か?」
綺礼は鼻で笑いながら、淡々と慎二に語り始める。
「私には特に望みなど無い……ただ、聖杯には非常に興味があるのでな?その完成を見てみたい。勝ち残らなければ、それを見る事は叶うまい……そう言うお前は、何を望む?」
「俺は……妹を助けたいだけだ!」
「間桐桜か?」
“何故知っている”と言い掛けて、慎二は言葉を飲み込む。昔からの魔術家系の間桐家の家族構成くらい、聖杯戦争の監督役だった綺礼は知っていて当然だろう。
「よし……それじゃあ始めようぜ!」
「よかろう」
慎二と綺礼は共にカードデッキを取り出し、腹部に当てて装着する。更にクラスカードを取り出し、それをデッキにセットする。
「変身!!」
『Install……Rider!Medusa!』
慎二の体に濃い紫のバトルプロテクターが装着され、頭部をコブラの頭を模った仮面が包み込み、巨大なバイザーがその眼部を覆う。
「変身!!」
『Install……Archer!Gilgamesh!』
綺礼の体に、眩い輝きを放つ黄金の鎧が装着される。彼の頭部も、同じく黄金に輝く仮面が包み込む。そして主導権が、綺礼からギルガメッシュへと切替わる。
「では遊んでやろう……ついて来るが良い!雑種!」
「な……何を偉そうに!」
アーチャーとライダーは、教会の窓を通してミラーワールドへと移動する。
「まずは、挨拶代わりだ」
アーチャーは、即座にカードをデッキにセットする。
『Attack Vent!……Gate of Babylon!』
アーチャーの背後に、無数の時空の歪が発生する。その中から無数の武器が飛び出し、ライダーに向けて放たれる。
「なっ?……何いいいいいいいいいっ?」
雨のように降り注ぐ武器群は、教会の扉どころか壁までをも吹き飛ばした。ミラーワールドの中のではあるが、教会の入口側の壁が完全に無くなってしまう。
アーチャーはそこから、ゆっくりと外に歩み出て来る。外に散らばった瓦礫の中には、何とか攻撃を躱し切ったライダーが立っていた。
「い……いきなり何しやがんだ?この野郎っ!」
「安心しろ。まだ全然本気は出していない……一射で終わってしまっては、面白味が無いからな」
「へっ!俺はお前と違って、闘いを楽しむ気なんて全く無いね!一気に勝負を決めてやる!」
ライダーはいきなり、必殺技のカードをデッキにセットする。
『Final Vent!……Qubeley!』
ライダーのバイザーが開き、石化の魔眼が激しい輝きを放つ。これでアーチャーの動きを封じたものと、ライダーは勝手に判断する。
「ライダーキック!!」
ライダーはアーチャーに向かって駆け出し、大きく跳び上がってキックの体勢を取る。そのまま火の玉となって、アーチャーに向って突撃して行く。
「うおおおおおおおおおおおっ!」
ところが……
「ふん!」
アーチャーは、全く動きを封じられてはいなかった。またも背後に無数の時空の歪を発生させ、突撃して来るライダーの火の玉に向けて無数の武器を放った。
「うわああああああああああっ!」
ライダーは武器群の攻撃を受けて、炎も消されて敢え無く撃墜されてしまう。
「ぐっ……ううう……」
派手に撃ち落されて結構ダメージを受けてしまったが、何とかライダーは立ち上がって言う。
「て……てめえ!……な……何で動けるんだ?」
「愚か者め!我の鎧は耐魔力に優れておるのだ!如何に石化の魔眼と言えど、この我の動きを封じる事など出来ぬわ!」
「な……何だって?」
バーサーカー戦に引き続き、ライダーはいきなり必殺技を封じられてしまう。
「そら!次が行くぞ!」
アーチャーは時空の歪から、次々とライダーに向けて武器群を放って来る。
「くそっ!それなら……」
『Attack Vent!』
ライダーは両手に鎖のついた鉄杭を出し、飛んで来る武器群を迎撃する。
「ふん!それでいつまで持つかな?」
しかしアーチャーは、徐々に武器のランクを上げて数を増やしていく。
「くっ……ううっ!……うわっ!」
徐々に往なし切れなくなっていき、ライダーの体を翳める武器が増えていく。
「そら!そら!そらっ!」
「うぐっ!……ぐ……ぐぅわああああああああっ!」
とうとうまともに武器の攻撃を受けてしまい、ライダーは派手に弾き飛ばされてしまう。
「くっ……ううっ……」
「どうした?もうお終いか?……これでは遊びにもならぬな?」
まだアーチャーは、実力の半分も出してはいない。それでこのように一方的では、到底ライダーに勝ち目など無い。
「くそっ!こ……このままじゃ、直ぐに殺られちまう……こうなったら……」
ライダーは、もう一つの必殺のカードをセットする。
『Final Vent!……Bellerophon!』
ライダーの前方にバイクのハンドルが出現し、ライダーは両手でそのハンドルを握る。更に足元からは光のカーテンが立ち昇り、ライダーの全身を包み込んでいく。
『Survive!……Pegasus Cyclone!』
その光のカーテンを突き破り、銀色に輝くバイクに跨ったライダーが飛び出して来た。
「行くぞおおおおおおおおおっ!」
ライダーはアクセルを激しく吹かし、アーチャーに向かって突撃して行く。
「ふん!小賢しい!」
アーチャーは引き続き無数の武器でペガサスサイクロンを攻撃するが、ペガサスサイクロンはそれらを巧みに躱したり、弾き返したりして突進を続けている。
「何っ?!」
全く勢いの止まらないペガサスサイクロンは、アーチャーの眼前まで迫って来る。
「ぬぅうううううううっ!」
アーチャーは、咄嗟に横に飛び避けてこの突撃を躱す。
そのままアーチャーの遥か後方まで疾走した後、ペガサスサイクロンは反転して再びアーチャーに向かって来る。ライダーはアクセルを全開にして、ペガサスサイクロンを加速させながら叫ぶ。
「ライダーブレイク!!」
ペガサスサイクロンは一気に急加速して、炎の塊となってアーチャーに突撃して行く。
「ふん!ならば……」
アーチャーもここで、とっておきのカードをデッキにセットする。
『Final Vent!……Ea!』
アーチャーは時空の歪から最終兵器、“乖離剣エア”を取り出した。
「エヌマ……エリイイイイイイイイッシュ!!」
アーチャーがエアを一振りすると、そこから激しい光の斬撃が発生する。地面を砕きながら進む凄まじい衝撃波は、一瞬で迫り来る炎の塊を飲み込んだ。
「うわあああああああああああああああああっ!」
その場に途轍もなく大きな爆炎が吹き上がり、地面は激しく振動して辺りに爆音が響き渡る。そこから一塊の炎が離脱し、数メートル先の地面に落下した。
「うぐっ……ううっ……」
その炎の塊は、蹲ったライダーへと姿を変える。何とか直撃は避けられたようだが、かなりのダメージを受けている。ペガサスサイクロンに至っては、粉微塵に吹き飛ばされてしまっていた。
「何とか本体は逃げ延びたようだな?……我に、この剣を使わせた事は褒めてやろう。だがこれでもう、その奥の手はこの戦闘では使えまい?」
「くっ……」
アーチャーは、もう使うまでも無いとエアは締まってしまう。
『Attack Vent!……Gate of Babylon!』
そしてまた、背後に無数の時空の歪を発生させる。
「さて?あとどのくらい持ち応えられるかな?」
時空の歪からは、再び無数の武器が顔を覗かせていた。
穂群原学園の弓道場では、遠坂凛と衛宮士郎が対峙していた。
「ようやく、鏡の中から出て来たわね?」
「御託はいい……さっさと始めるぞ」
「相変わらず、愛想が無いのね?」
凛の口撃には、士郎は一切反応して来ない。元々凛がこの場所を選んだのも、少しは士郎を動揺させられるかと思ったからだ。
しかし士郎は全く動揺は見せず、淡々とクラスカードをデッキにセットする。
「変身!!」
『Install……Saber!Alter!』
士郎の体は黒い重厚な鎧に包まれ、頭部を騎士の仮面と黒いバイザーが覆う。
「まったく……何があったらここまで冷血人間になれるのよ!」
仕方無く、凛もクラスカードをデッキにセットする。
「変身!!」
『Install……Lancer!Cu Chulainn!』
赤いバトルプロテクターが凛の体に装着され、頭部をツインテールの髪が棚引く赤い仮面が覆い隠す。
変身後に射場にある鏡を通り抜けて、セイバーとランサーはミラーワールド内へと移動する。
移るや否や、まず先にランサーがカードをデッキにセットする。
『Lance Vent!』
赤い槍が出現し、ランサーの両手に握られる。
「はああああああああああああっ!」
ランサーは槍を構えて、セイバーに向かって突進して行く。すかさずセイバーも、カードをデッキにセットする。
『Sword Vent!……Barrier of the Wind King!』
セイバーは見えない剣を出現させ、ランサーの槍の突きを簡単に弾いてしまう。そして更にその剣で、ランサーへと斬り掛かっていく。
「くっ……」
剣が見えないので間合いが掴めず、バランスを崩されながら避けるしか無いランサー。その為迂闊に攻め込めず、どんどん圧されて射場から矢道に追いやられてしまう。
「だ……だめ……これじゃ、圧倒的に不利だわ!……そ……それならっ!」
凛は後方に大きく飛び退いて、セイバーと距離を取る。そこで、大技のカードをデッキにセットする。
『Final Vent!……Death Flight!』
ランサーの槍が、赤く激しく輝く。ランサーはそれを投槍の如く構え、魔力を高めてセイバーに投げ付けた。赤く燃える炎の槍が、どんどんセイバーへと迫って来る。
だがそれに対してセイバーも、即座に大技のカードをセットする。
『Final Vent!……Excalibur!』
突如見えない剣から、凄まじい風が嵐のように放たれた。そしてその嵐の中心から、黒い極光を放つ聖剣が姿を現す。セイバーはその剣を上段に振り上げ、大きく叫んで振り下ろす。
「エクス……カリバアアアアアアアアアアアアッ!!」
激しく広がる黒い極光が地面を裂き、そのまま地を抉りながら進んで行く。その極光の帯は瞬く間に炎の槍を飲み込んで、ランサー目掛けて向かって来た。
「きゃああああああああああああああっ!」
ランサーは、とっさに転げるようして飛び避けた。その極光の帯は凄まじい衝撃を伴い、ランサーの後方にあった射的の的を背後の壁ごと吹き飛ばした。
その衝撃が去った後、顔を上げて後方を見たランサーは驚く。
「う……うそ……」
射的の的があったと思われる場所は、地面ごと抉れて的も壁も一切跡形も無くなってしまっていた。そんな何も無い抉れた地面が、かなり遠くの先まで伸びていたのだった。
「あ……あれが……セイバーの聖剣?……な……何て威力なのよ?!」
ただランサーの槍だけは消滅を免れ、再び彼女の腕に戻って来ていた。
アーチャーは、時空の歪から絶えず武器を放ち続けている。これに対してライダーは何とか直撃だけは避けているが、確実にダメージは蓄積していっていた。
「ふん!以外にしぶといが、もう時間の問題であろう?」
「くっ……これじゃ嬲り殺しだ……な……何より、全然あいつに近付けない……」
そう言った時、ライダーはある事に気付く。
“……いや?待てよ?……意図的に、近付けさせないようにしているのか?”
バーサーカーを倒した時も、アーチャーは直接武器を扱ってはいない。唯一乖離剣だけは自分で振るっていたが、超強力な斬撃を放っただけで実際に剣を交えてはいない。
“もしかして、あいつは?……な……ならば!”
ライダーはある事を思い付き、アサシンのクラスカードを取り出してデッキにセットする。
『Borrow Vent!……Assassin!Hide!』
突如ライダーは、その姿と気配を消してしまう。
「何っ?……何処にいった?」
アーチャーは精神を集中させるが、ライダーの魔力も気配も感知出来ない。
「小癪な真似を……だが隠れたところで、もはや我を倒せる武器が奴にはあるまい?」
すると突如、アーチャーの目の前にライダーが出現する。
「なっ?!……」
「うおおおああああおおおおおおっ!」
「ぐぅはあああああああああああっ!」
ライダーは怒涛の拳を繰り出し、アーチャーの腹部に連打を浴びせる。激しい火花が飛び交って、アーチャーは後方に跳ね飛ばされてしまう。
「こ……この下郎がっ!」
アーチャーは倒れた体勢のまま、上方に時空の歪を発生させてライダーに武器を放つ。しかし、ライダーはまた直ぐに姿を消してしまう。
「くっ……」
アーチャーは直ぐに立ち上がるが、ライダーは今度はその背後に出現する。
「何っ?」
「うおおおああああおおおおおおっ!」
「うぐぅうううううううううううっ!」
振り向きざまにまた連打を食らって、再び跳ね飛ばされてしまうアーチャー。
「お……おのれっ!」
アーチャーも直ぐに時空の歪から武器を放って反撃するが、ライダーはまた直ぐに姿を消してこれを躱してしまう。
そのような攻撃を、ライダーは何度も繰り返した。
「へっ!……やっぱり、肉弾戦は不得手か?」
「と……当然だ!そのような野蛮な戦い方を、王である我がする筈がない!」
「ふん!それでやられてりゃせわねえぜ!」
「誰がやられたか?こんな小技で、この我が倒せるわけが無かろう?」
「じゃあ、大技を喰らわせてやるよ!」
そう叫び、ライダーは再び姿を消す。
「この雑種が!……何をするつもりだ?」
今度はライダーは、直ぐには姿を現さなかった。辺りには、しばしの間静寂が流れる。アーチャーは時空の歪を発生させたままで、何時でも武器の雨を降らせられる体勢でライダーの出現を待っている。
「……っ?!」
そこでライダーは、何とアーチャーの目の前に出現する。そのライダーの手には必殺技のカードが握られていて、出現と同時に彼はカードをデッキにセットする。
『Final Vent!』
「馬鹿め!石化の魔眼など、効かぬと言ったであろう!」
「石化の魔眼なんて使わねえよっ!」
ライダーは素早い動作で腰を落として、右手に魔力を集中する。それによって炎に包まれた右の拳で、反動を付けて思い切りアーチャーに殴り掛かった。
「なっ?!」
「ライダーパアアアアアアアアアアンチッ!!」
炎の拳がアーチャーの胸に炸裂し、今迄に無い程の凄まじい火花を噴き上げる。
「ぐぅふううううううううううううっ!」
アーチャーは大きく跳ね飛ばされて、そのまま地面に叩き付けられてしまう。
「とおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
直後にライダーは、大きく上空に跳び上がった。
「お……おの……れ……」
アーチャーは首を起こして立ち上がろうとするが、結構なダメージを受けてしまった為に思うように立ち上がれなかった。周囲に発生させていた時空の歪も、今のダメージを受け消えてしまっていた。そんな満足に動けないアーチャーに向けて、ライダーは必殺のキックを放つ。
「ライダアアアアアッ!キイイイイイイイイック!!」
炎の塊となったライダーが、急降下でアーチャーを直撃する。
「がぁはああああああああああああああっ!」
アーチャーの断末魔の叫びと共に、ひときわ大きな爆炎が吹き上がる。
その爆炎の中から、ライダーはゆっくりと歩み出て来る。少し歩いて足を止めて振り返るライダーの手には、アーチャーとバーサーカーの二枚のクラスカードが握られていた。
爆炎が治まったその場には、傷付いて跪く綺礼の姿が残っていた。その綺礼の腹部で、カードデッキが小さく爆ぜて消滅する。
「……み……見事……だ……」
綺礼が、ライダーに言う。
ライダーは相手がいけ好かない神父と言えども、やはり人を殺める事には大きな抵抗があった。そんな葛藤に苛まれながら、彼は綺礼に言葉を掛ける。
「……何か、言い残す事はあるか?」
「ふっ……この聖杯戦争に参加した時から、死ぬ覚悟は出来ている……命は惜しく無いが……その結末を、この目で見れぬのが心残りだ……最後に残るのが……お前か?……衛宮士郎か?……」
「な……何を言っている?遠坂かもしれないじゃないか?」
「ふっ……それは有り得ん……凛では……衛宮士郎には……勝てん……」
「ど……どうして?そう言い切れる?」
「凛には……叶えたい望みが無い……背負ったものが無い……」
「背負ったもの?」
「お前には……妹の命という……背負ったものがある……衛宮士郎にも……同様に重い……背負ったものがある……」
「な……何で?そんな事が判る?衛宮は、何も言わないだろう?」
「そ……そうでなければ……聖杯戦争を……復活させようなどとは……考えん……十六年前……自ら地獄を……味わった男が……再び……あの地獄を……再現……しよう……など……と……は……」
そう言いながら、綺礼は消滅していった。
「地獄?……十六年前?……何を言っていたんだ?」
まだ士郎が幼かった頃、第四次聖杯戦争で受けた爪跡の事等、ライダーには知る由も無かった。
ランサーは、どんどん追い詰められていっていた。
遠距離からの攻防は、完全に分が悪い。かと言って近接戦闘でも、主導権は全く握れなかった。
槍の方が剣に対して間合いが長いものの、セイバーの剣撃は速くて異常に重い為ランサーの突きは悉く弾かれてしまう。それでバランスを崩され、その後の連撃を必死に逃げ回る羽目になる。既にセイバーの剣はカモフラージュが解かれているが、それでも戦況は何一つ好転しなかった。そんな感じで迂闊に攻め込めずにいると、逆にセイバーに攻め込まれて来てしまう。とにかくセイバーは一撃一撃の威力が半端では無いので、下手に剣撃を受けてしまえば、直ぐに戦闘不能に陥るのは明白だった。
“こ……ここまで、圧倒的に力の差があるなんて……”
それでも必死に猛攻に耐えて、ランサーは僅かなチャンスを狙っていた。一対一の闘いであるのならば、彼女には発動さえすれば必殺の決まり手があるからだ。
そしてようやく、その為の絶妙な間合いを手に入れる。
「ふう……確かにまともにやったら全然適わないみたいだけど、貴方でも絶対に防げない必殺技が私にはあるのよ!」
ランサーはそう言って、素早く必殺技のカードをデッキにセットする。
『Final Vent!……Gei Boruku!』
ランサーの槍が、赤く激しく輝き出す。その槍をランサーは両手で構えて、体勢を低く落として技を発動する。
「その心臓、既に貰ったわっ!」
そう叫んでランサーは、セイバーに向かって突進する。その速度はどんどん加速され、光の矢となってセイバー目掛けて飛んで行く。
“心臓に槍が命中した”という結果を作ってから放たれる槍は、如何にセイバーと言えども回避する術は無い。バーサーカーのように複数の命を持たない限り、この攻撃は間違い無く必殺なのであった。
だが……
これを見たセイバーは、一枚のカードをデッキにセットした。
『Time Vent!』
その瞬間、時間は巻き戻る。
セイバーに当たる寸前であった光の矢は後退し、元居た位置まで来てランサーの姿に戻る。槍の輝きも消えてしまい、必殺のカードをセットする前の状態にされてしまった。
「えっ?」
ランサーには、何が起こったのか判らなかった。
『Final Vent!……Excalibur!』
その間に既にセイバーは、自身の必殺のカードをデッキにセットしていた。
「エクス……カリバアアアアアアアアアアッ!!」
セイバーが起こした極光の帯が、瞬時にランサーを包み込んでいく。
「きゃああああああああああああああああっ!」
その極光の帯は数十メートル先まで到達し、周囲の地面までも大きく抉ってしまう。
極光が去った後には、傷付いた凛が横座りしていた。赤いバトルプロテクターも消え去っており、彼女の腹部でカードデッキが小さく爆ぜて消滅する。セイバーの手には既に、ランサーのクラスカードが握られている。
虚ろな目でセイバーを見詰めながら、消滅し始めている凛が呟いた。
「ふ……ふふふ……死に際になって、やっと思い出した……わ……私達……違う……記憶を……」
「……」
ミラーワールド内にも関わらず、セイバーはここで変身を解いて士郎の姿に戻る。
「し……士郎……わ……私は……あなたを……」
「……遠坂……俺は、修羅の道を選んだ……」
相変わらず表情一つ変えずに、士郎は淡々と答える。
「そ……そうよね……だ……だって……あなた……は……」
最後には涙を流しながら、凛の体は塵のように消滅していった。
「遠坂……」
ここで初めて士郎は、少しだけ顔を曇らせるのだった。
< 仮面ライダーメドゥーサ……最終回予告 >
「お前と、美遊ちゃんは悲しむ……いや、僕を恨むかもしれないが……僕は、衛宮を倒す……」
「強がりはよせ……立ち上がったところで、もうお前に俺を倒す手段は存在しない」
「だけど、お前は一つ大事な事を忘れているぜ。自分で作ったシステムの、最大の利点を……」
「……六年前、この冬木で第五次聖杯戦争が行われなかったというのは、偽りの記憶だ」
「何っ?!」
「美遊はその命を犠牲にして、世界を救ったんだ!そのくらいの権利はあるだろう?」
「それはお前のエゴだ!美遊ちゃんが望んだ事じゃ無い!それに、お前は一番大切なものを彼女から奪うんだ!それが分かっているのか?」
『戦わなければ、生き残れない!』
対英雄王最後の手段は、Fateでは有り得なかった肉弾戦。
これこそ仮面ライダーの醍醐味、パンチとキックの最強コンボ!
ただ、メドゥーサが全然関係無くなっちゃいましたが……
ランサーのゲイ・ボルク対策は?
これはもう“撃たさない”しか無いんですが、これ撃たないで殺られたらランサーの見せ場が全然ありません。
かと言ってセイバー・オルタの幸運度では避けようが無いし、バーサーカーのように復活は出来ない。
という事で、ここも仮面ライダー側の反則技“Time Vent”で時間の巻き戻し。
発動前に戻して、エクスカリバーで粉砕……
士郎、外道です。
本編の流れは変わっていませんが、戦闘の描写を少し丁寧に書き直しました。