仮面ライダーメドゥーサ   作:JALBAS

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慎二は今回、世界最古の英雄王に挑みます。
必殺武器を山のように持つ相手に、彼はどう立ち向かうのか?
そして凛は、士郎との運命の戦いに。
Fate原作では実現しなかった、凛と士郎のガチのバトルです。





《 第七話 》

 

二十一時、慎二は言峰教会の扉を開く。

 

「来たか?」

 

言峰綺礼は、祭壇の前に立っていた。

慎二は綺礼の前まで歩いて行って、彼に話し掛ける。

 

「闘いに入ったら、あんたはあの高飛車な王様に変わっちまうんだろ?」

「……そうだが?」

「その前に一つ、聞いておきたい事がある」

「ん?……何をだ?」

「あんたはいったい、聖杯に何を望むんだ?」

「ふっ……そんな事か?」

 

綺礼は鼻で笑いながら、淡々と慎二に語り始める。

 

「私には特に望みなど無い……ただ、聖杯には非常に興味があるのでな?その完成を見てみたい。勝ち残らなければ、それを見る事は叶うまい……そう言うお前は、何を望む?」

「俺は……妹を助けたいだけだ!」

「間桐桜か?」

 

“何故知っている”と言い掛けて、慎二は言葉を飲み込む。昔からの魔術家系の間桐家の家族構成くらい、聖杯戦争の監督役だった綺礼は知っていて当然だろう。

 

「よし……それじゃあ始めようぜ!」

「よかろう」

 

慎二と綺礼は共にカードデッキを取り出し、腹部に当てて装着する。更にクラスカードを取り出し、それをデッキにセットする。

 

「変身!!」

『Install……Rider!Medusa!』

 

慎二の体に濃い紫のバトルプロテクターが装着され、頭部をコブラの頭を模った仮面が包み込み、巨大なバイザーがその眼部を覆う。

 

「変身!!」

『Install……Archer!Gilgamesh!』

 

綺礼の体に、眩い輝きを放つ黄金の鎧が装着される。彼の頭部も、同じく黄金に輝く仮面が包み込む。そして主導権が、綺礼からギルガメッシュへと切替わる。

 

「では遊んでやろう……ついて来るが良い!雑種!」

「な……何を偉そうに!」

 

アーチャーとライダーは、教会の窓を通してミラーワールドへと移動する。

 

「まずは、挨拶代わりだ」

 

アーチャーは、即座にカードをデッキにセットする。

 

『Attack Vent!……Gate of Babylon!』

 

アーチャーの背後に、無数の時空の歪が発生する。その中から無数の武器が飛び出し、ライダーに向けて放たれる。

 

「なっ?……何いいいいいいいいいっ?」

 

雨のように降り注ぐ武器群は、教会の扉どころか壁までをも吹き飛ばした。ミラーワールドの中のではあるが、教会の入口側の壁が完全に無くなってしまう。

アーチャーはそこから、ゆっくりと外に歩み出て来る。外に散らばった瓦礫の中には、何とか攻撃を躱し切ったライダーが立っていた。

 

「い……いきなり何しやがんだ?この野郎っ!」

「安心しろ。まだ全然本気は出していない……一射で終わってしまっては、面白味が無いからな」

「へっ!俺はお前と違って、闘いを楽しむ気なんて全く無いね!一気に勝負を決めてやる!」

 

ライダーはいきなり、必殺技のカードをデッキにセットする。

 

『Final Vent!……Qubeley!』

 

ライダーのバイザーが開き、石化の魔眼が激しい輝きを放つ。これでアーチャーの動きを封じたものと、ライダーは勝手に判断する。

 

「ライダーキック!!」

 

ライダーはアーチャーに向かって駆け出し、大きく跳び上がってキックの体勢を取る。そのまま火の玉となって、アーチャーに向って突撃して行く。

 

「うおおおおおおおおおおおっ!」

 

ところが……

 

「ふん!」

 

アーチャーは、全く動きを封じられてはいなかった。またも背後に無数の時空の歪を発生させ、突撃して来るライダーの火の玉に向けて無数の武器を放った。

 

「うわああああああああああっ!」

 

ライダーは武器群の攻撃を受けて、炎も消されて敢え無く撃墜されてしまう。

 

「ぐっ……ううう……」

 

派手に撃ち落されて結構ダメージを受けてしまったが、何とかライダーは立ち上がって言う。

 

「て……てめえ!……な……何で動けるんだ?」

「愚か者め!我の鎧は耐魔力に優れておるのだ!如何に石化の魔眼と言えど、この我の動きを封じる事など出来ぬわ!」

「な……何だって?」

 

バーサーカー戦に引き続き、ライダーはいきなり必殺技を封じられてしまう。

 

「そら!次が行くぞ!」

 

アーチャーは時空の歪から、次々とライダーに向けて武器群を放って来る。

 

「くそっ!それなら……」

『Attack Vent!』

 

ライダーは両手に鎖のついた鉄杭を出し、飛んで来る武器群を迎撃する。

 

「ふん!それでいつまで持つかな?」

 

しかしアーチャーは、徐々に武器のランクを上げて数を増やしていく。

 

「くっ……ううっ!……うわっ!」

 

徐々に往なし切れなくなっていき、ライダーの体を翳める武器が増えていく。

 

「そら!そら!そらっ!」

「うぐっ!……ぐ……ぐぅわああああああああっ!」

 

とうとうまともに武器の攻撃を受けてしまい、ライダーは派手に弾き飛ばされてしまう。

 

「くっ……ううっ……」

「どうした?もうお終いか?……これでは遊びにもならぬな?」

 

まだアーチャーは、実力の半分も出してはいない。それでこのように一方的では、到底ライダーに勝ち目など無い。

 

「くそっ!こ……このままじゃ、直ぐに殺られちまう……こうなったら……」

 

ライダーは、もう一つの必殺のカードをセットする。

 

『Final Vent!……Bellerophon!』

 

ライダーの前方にバイクのハンドルが出現し、ライダーは両手でそのハンドルを握る。更に足元からは光のカーテンが立ち昇り、ライダーの全身を包み込んでいく。

 

『Survive!……Pegasus Cyclone!』

 

その光のカーテンを突き破り、銀色に輝くバイクに跨ったライダーが飛び出して来た。

 

「行くぞおおおおおおおおおっ!」

 

ライダーはアクセルを激しく吹かし、アーチャーに向かって突撃して行く。

 

「ふん!小賢しい!」

 

アーチャーは引き続き無数の武器でペガサスサイクロンを攻撃するが、ペガサスサイクロンはそれらを巧みに躱したり、弾き返したりして突進を続けている。

 

「何っ?!」

 

全く勢いの止まらないペガサスサイクロンは、アーチャーの眼前まで迫って来る。

 

「ぬぅうううううううっ!」

 

アーチャーは、咄嗟に横に飛び避けてこの突撃を躱す。

そのままアーチャーの遥か後方まで疾走した後、ペガサスサイクロンは反転して再びアーチャーに向かって来る。ライダーはアクセルを全開にして、ペガサスサイクロンを加速させながら叫ぶ。

 

「ライダーブレイク!!」

 

ペガサスサイクロンは一気に急加速して、炎の塊となってアーチャーに突撃して行く。

 

「ふん!ならば……」

 

アーチャーもここで、とっておきのカードをデッキにセットする。

 

『Final Vent!……Ea!』

 

アーチャーは時空の歪から最終兵器、“乖離剣エア”を取り出した。

 

「エヌマ……エリイイイイイイイイッシュ!!」

 

アーチャーがエアを一振りすると、そこから激しい光の斬撃が発生する。地面を砕きながら進む凄まじい衝撃波は、一瞬で迫り来る炎の塊を飲み込んだ。

 

「うわあああああああああああああああああっ!」

 

その場に途轍もなく大きな爆炎が吹き上がり、地面は激しく振動して辺りに爆音が響き渡る。そこから一塊の炎が離脱し、数メートル先の地面に落下した。

 

「うぐっ……ううっ……」

 

その炎の塊は、蹲ったライダーへと姿を変える。何とか直撃は避けられたようだが、かなりのダメージを受けている。ペガサスサイクロンに至っては、粉微塵に吹き飛ばされてしまっていた。

 

「何とか本体は逃げ延びたようだな?……我に、この剣を使わせた事は褒めてやろう。だがこれでもう、その奥の手はこの戦闘では使えまい?」

「くっ……」

 

アーチャーは、もう使うまでも無いとエアは締まってしまう。

 

『Attack Vent!……Gate of Babylon!』

 

そしてまた、背後に無数の時空の歪を発生させる。

 

「さて?あとどのくらい持ち応えられるかな?」

 

時空の歪からは、再び無数の武器が顔を覗かせていた。

 

 

 

 

穂群原学園の弓道場では、遠坂凛と衛宮士郎が対峙していた。

 

「ようやく、鏡の中から出て来たわね?」

「御託はいい……さっさと始めるぞ」

「相変わらず、愛想が無いのね?」

 

凛の口撃には、士郎は一切反応して来ない。元々凛がこの場所を選んだのも、少しは士郎を動揺させられるかと思ったからだ。

しかし士郎は全く動揺は見せず、淡々とクラスカードをデッキにセットする。

 

「変身!!」

『Install……Saber!Alter!』

 

士郎の体は黒い重厚な鎧に包まれ、頭部を騎士の仮面と黒いバイザーが覆う。

 

「まったく……何があったらここまで冷血人間になれるのよ!」

 

仕方無く、凛もクラスカードをデッキにセットする。

 

「変身!!」

『Install……Lancer!Cu Chulainn!』

 

赤いバトルプロテクターが凛の体に装着され、頭部をツインテールの髪が棚引く赤い仮面が覆い隠す。

変身後に射場にある鏡を通り抜けて、セイバーとランサーはミラーワールド内へと移動する。

移るや否や、まず先にランサーがカードをデッキにセットする。

 

『Lance Vent!』

 

赤い槍が出現し、ランサーの両手に握られる。

 

「はああああああああああああっ!」

 

ランサーは槍を構えて、セイバーに向かって突進して行く。すかさずセイバーも、カードをデッキにセットする。

 

『Sword Vent!……Barrier of the Wind King!』

 

セイバーは見えない剣を出現させ、ランサーの槍の突きを簡単に弾いてしまう。そして更にその剣で、ランサーへと斬り掛かっていく。

 

「くっ……」

 

剣が見えないので間合いが掴めず、バランスを崩されながら避けるしか無いランサー。その為迂闊に攻め込めず、どんどん圧されて射場から矢道に追いやられてしまう。

 

「だ……だめ……これじゃ、圧倒的に不利だわ!……そ……それならっ!」

 

凛は後方に大きく飛び退いて、セイバーと距離を取る。そこで、大技のカードをデッキにセットする。

 

『Final Vent!……Death Flight!』

 

ランサーの槍が、赤く激しく輝く。ランサーはそれを投槍の如く構え、魔力を高めてセイバーに投げ付けた。赤く燃える炎の槍が、どんどんセイバーへと迫って来る。

だがそれに対してセイバーも、即座に大技のカードをセットする。

 

『Final Vent!……Excalibur!』

 

突如見えない剣から、凄まじい風が嵐のように放たれた。そしてその嵐の中心から、黒い極光を放つ聖剣が姿を現す。セイバーはその剣を上段に振り上げ、大きく叫んで振り下ろす。

 

「エクス……カリバアアアアアアアアアアアアッ!!」

 

激しく広がる黒い極光が地面を裂き、そのまま地を抉りながら進んで行く。その極光の帯は瞬く間に炎の槍を飲み込んで、ランサー目掛けて向かって来た。

 

「きゃああああああああああああああっ!」

 

ランサーは、とっさに転げるようして飛び避けた。その極光の帯は凄まじい衝撃を伴い、ランサーの後方にあった射的の的を背後の壁ごと吹き飛ばした。

その衝撃が去った後、顔を上げて後方を見たランサーは驚く。

 

「う……うそ……」

 

射的の的があったと思われる場所は、地面ごと抉れて的も壁も一切跡形も無くなってしまっていた。そんな何も無い抉れた地面が、かなり遠くの先まで伸びていたのだった。

 

「あ……あれが……セイバーの聖剣?……な……何て威力なのよ?!」

 

ただランサーの槍だけは消滅を免れ、再び彼女の腕に戻って来ていた。

 

 

 

 

アーチャーは、時空の歪から絶えず武器を放ち続けている。これに対してライダーは何とか直撃だけは避けているが、確実にダメージは蓄積していっていた。

 

「ふん!以外にしぶといが、もう時間の問題であろう?」

「くっ……これじゃ嬲り殺しだ……な……何より、全然あいつに近付けない……」

 

そう言った時、ライダーはある事に気付く。

 

“……いや?待てよ?……意図的に、近付けさせないようにしているのか?”

 

バーサーカーを倒した時も、アーチャーは直接武器を扱ってはいない。唯一乖離剣だけは自分で振るっていたが、超強力な斬撃を放っただけで実際に剣を交えてはいない。

 

“もしかして、あいつは?……な……ならば!”

 

ライダーはある事を思い付き、アサシンのクラスカードを取り出してデッキにセットする。

 

『Borrow Vent!……Assassin!Hide!』

 

突如ライダーは、その姿と気配を消してしまう。

 

「何っ?……何処にいった?」

 

アーチャーは精神を集中させるが、ライダーの魔力も気配も感知出来ない。

 

「小癪な真似を……だが隠れたところで、もはや我を倒せる武器が奴にはあるまい?」

 

すると突如、アーチャーの目の前にライダーが出現する。

 

「なっ?!……」

「うおおおああああおおおおおおっ!」

「ぐぅはあああああああああああっ!」

 

ライダーは怒涛の拳を繰り出し、アーチャーの腹部に連打を浴びせる。激しい火花が飛び交って、アーチャーは後方に跳ね飛ばされてしまう。

 

「こ……この下郎がっ!」

 

アーチャーは倒れた体勢のまま、上方に時空の歪を発生させてライダーに武器を放つ。しかし、ライダーはまた直ぐに姿を消してしまう。

 

「くっ……」

 

アーチャーは直ぐに立ち上がるが、ライダーは今度はその背後に出現する。

 

「何っ?」

「うおおおああああおおおおおおっ!」

「うぐぅうううううううううううっ!」

 

振り向きざまにまた連打を食らって、再び跳ね飛ばされてしまうアーチャー。

 

「お……おのれっ!」

 

アーチャーも直ぐに時空の歪から武器を放って反撃するが、ライダーはまた直ぐに姿を消してこれを躱してしまう。

そのような攻撃を、ライダーは何度も繰り返した。

 

「へっ!……やっぱり、肉弾戦は不得手か?」

「と……当然だ!そのような野蛮な戦い方を、王である我がする筈がない!」

「ふん!それでやられてりゃせわねえぜ!」

「誰がやられたか?こんな小技で、この我が倒せるわけが無かろう?」

「じゃあ、大技を喰らわせてやるよ!」

 

そう叫び、ライダーは再び姿を消す。

 

「この雑種が!……何をするつもりだ?」

 

今度はライダーは、直ぐには姿を現さなかった。辺りには、しばしの間静寂が流れる。アーチャーは時空の歪を発生させたままで、何時でも武器の雨を降らせられる体勢でライダーの出現を待っている。

 

「……っ?!」

 

そこでライダーは、何とアーチャーの目の前に出現する。そのライダーの手には必殺技のカードが握られていて、出現と同時に彼はカードをデッキにセットする。

 

『Final Vent!』

「馬鹿め!石化の魔眼など、効かぬと言ったであろう!」

「石化の魔眼なんて使わねえよっ!」

 

ライダーは素早い動作で腰を落として、右手に魔力を集中する。それによって炎に包まれた右の拳で、反動を付けて思い切りアーチャーに殴り掛かった。

 

「なっ?!」

「ライダーパアアアアアアアアアアンチッ!!」

 

炎の拳がアーチャーの胸に炸裂し、今迄に無い程の凄まじい火花を噴き上げる。

 

「ぐぅふううううううううううううっ!」

 

アーチャーは大きく跳ね飛ばされて、そのまま地面に叩き付けられてしまう。

 

「とおおおおおおおおおおおおおおおっ!」

 

直後にライダーは、大きく上空に跳び上がった。

 

「お……おの……れ……」

 

アーチャーは首を起こして立ち上がろうとするが、結構なダメージを受けてしまった為に思うように立ち上がれなかった。周囲に発生させていた時空の歪も、今のダメージを受け消えてしまっていた。そんな満足に動けないアーチャーに向けて、ライダーは必殺のキックを放つ。

 

「ライダアアアアアッ!キイイイイイイイイック!!」

 

炎の塊となったライダーが、急降下でアーチャーを直撃する。

 

「がぁはああああああああああああああっ!」

 

アーチャーの断末魔の叫びと共に、ひときわ大きな爆炎が吹き上がる。

その爆炎の中から、ライダーはゆっくりと歩み出て来る。少し歩いて足を止めて振り返るライダーの手には、アーチャーとバーサーカーの二枚のクラスカードが握られていた。

爆炎が治まったその場には、傷付いて跪く綺礼の姿が残っていた。その綺礼の腹部で、カードデッキが小さく爆ぜて消滅する。

 

「……み……見事……だ……」

 

綺礼が、ライダーに言う。

ライダーは相手がいけ好かない神父と言えども、やはり人を殺める事には大きな抵抗があった。そんな葛藤に苛まれながら、彼は綺礼に言葉を掛ける。

 

「……何か、言い残す事はあるか?」

「ふっ……この聖杯戦争に参加した時から、死ぬ覚悟は出来ている……命は惜しく無いが……その結末を、この目で見れぬのが心残りだ……最後に残るのが……お前か?……衛宮士郎か?……」

「な……何を言っている?遠坂かもしれないじゃないか?」

「ふっ……それは有り得ん……凛では……衛宮士郎には……勝てん……」

「ど……どうして?そう言い切れる?」

「凛には……叶えたい望みが無い……背負ったものが無い……」

「背負ったもの?」

「お前には……妹の命という……背負ったものがある……衛宮士郎にも……同様に重い……背負ったものがある……」

「な……何で?そんな事が判る?衛宮は、何も言わないだろう?」

「そ……そうでなければ……聖杯戦争を……復活させようなどとは……考えん……十六年前……自ら地獄を……味わった男が……再び……あの地獄を……再現……しよう……など……と……は……」

 

そう言いながら、綺礼は消滅していった。

 

「地獄?……十六年前?……何を言っていたんだ?」

 

まだ士郎が幼かった頃、第四次聖杯戦争で受けた爪跡の事等、ライダーには知る由も無かった。

 

 

 

 

ランサーは、どんどん追い詰められていっていた。

遠距離からの攻防は、完全に分が悪い。かと言って近接戦闘でも、主導権は全く握れなかった。

槍の方が剣に対して間合いが長いものの、セイバーの剣撃は速くて異常に重い為ランサーの突きは悉く弾かれてしまう。それでバランスを崩され、その後の連撃を必死に逃げ回る羽目になる。既にセイバーの剣はカモフラージュが解かれているが、それでも戦況は何一つ好転しなかった。そんな感じで迂闊に攻め込めずにいると、逆にセイバーに攻め込まれて来てしまう。とにかくセイバーは一撃一撃の威力が半端では無いので、下手に剣撃を受けてしまえば、直ぐに戦闘不能に陥るのは明白だった。

 

“こ……ここまで、圧倒的に力の差があるなんて……”

 

それでも必死に猛攻に耐えて、ランサーは僅かなチャンスを狙っていた。一対一の闘いであるのならば、彼女には発動さえすれば必殺の決まり手があるからだ。

そしてようやく、その為の絶妙な間合いを手に入れる。

 

「ふう……確かにまともにやったら全然適わないみたいだけど、貴方でも絶対に防げない必殺技が私にはあるのよ!」

 

ランサーはそう言って、素早く必殺技のカードをデッキにセットする。

 

『Final Vent!……Gei Boruku!』

 

ランサーの槍が、赤く激しく輝き出す。その槍をランサーは両手で構えて、体勢を低く落として技を発動する。

 

「その心臓、既に貰ったわっ!」

 

そう叫んでランサーは、セイバーに向かって突進する。その速度はどんどん加速され、光の矢となってセイバー目掛けて飛んで行く。

“心臓に槍が命中した”という結果を作ってから放たれる槍は、如何にセイバーと言えども回避する術は無い。バーサーカーのように複数の命を持たない限り、この攻撃は間違い無く必殺なのであった。

だが……

これを見たセイバーは、一枚のカードをデッキにセットした。

 

『Time Vent!』

 

その瞬間、時間は巻き戻る。

セイバーに当たる寸前であった光の矢は後退し、元居た位置まで来てランサーの姿に戻る。槍の輝きも消えてしまい、必殺のカードをセットする前の状態にされてしまった。

 

「えっ?」

 

ランサーには、何が起こったのか判らなかった。

 

『Final Vent!……Excalibur!』

 

その間に既にセイバーは、自身の必殺のカードをデッキにセットしていた。

 

「エクス……カリバアアアアアアアアアアッ!!」

 

セイバーが起こした極光の帯が、瞬時にランサーを包み込んでいく。

 

「きゃああああああああああああああああっ!」

 

その極光の帯は数十メートル先まで到達し、周囲の地面までも大きく抉ってしまう。

極光が去った後には、傷付いた凛が横座りしていた。赤いバトルプロテクターも消え去っており、彼女の腹部でカードデッキが小さく爆ぜて消滅する。セイバーの手には既に、ランサーのクラスカードが握られている。

虚ろな目でセイバーを見詰めながら、消滅し始めている凛が呟いた。

 

「ふ……ふふふ……死に際になって、やっと思い出した……わ……私達……違う……記憶を……」

「……」

 

ミラーワールド内にも関わらず、セイバーはここで変身を解いて士郎の姿に戻る。

 

「し……士郎……わ……私は……あなたを……」

「……遠坂……俺は、修羅の道を選んだ……」

 

相変わらず表情一つ変えずに、士郎は淡々と答える。

 

「そ……そうよね……だ……だって……あなた……は……」

 

最後には涙を流しながら、凛の体は塵のように消滅していった。

 

「遠坂……」

 

ここで初めて士郎は、少しだけ顔を曇らせるのだった。

 

 

 

 

< 仮面ライダーメドゥーサ……最終回予告 >

 

「お前と、美遊ちゃんは悲しむ……いや、僕を恨むかもしれないが……僕は、衛宮を倒す……」

 

 

「強がりはよせ……立ち上がったところで、もうお前に俺を倒す手段は存在しない」

「だけど、お前は一つ大事な事を忘れているぜ。自分で作ったシステムの、最大の利点を……」

 

 

「……六年前、この冬木で第五次聖杯戦争が行われなかったというのは、偽りの記憶だ」

「何っ?!」

 

 

「美遊はその命を犠牲にして、世界を救ったんだ!そのくらいの権利はあるだろう?」

「それはお前のエゴだ!美遊ちゃんが望んだ事じゃ無い!それに、お前は一番大切なものを彼女から奪うんだ!それが分かっているのか?」

 

 

『戦わなければ、生き残れない!』

 

 






対英雄王最後の手段は、Fateでは有り得なかった肉弾戦。
これこそ仮面ライダーの醍醐味、パンチとキックの最強コンボ!
ただ、メドゥーサが全然関係無くなっちゃいましたが……

ランサーのゲイ・ボルク対策は?
これはもう“撃たさない”しか無いんですが、これ撃たないで殺られたらランサーの見せ場が全然ありません。
かと言ってセイバー・オルタの幸運度では避けようが無いし、バーサーカーのように復活は出来ない。
という事で、ここも仮面ライダー側の反則技“Time Vent”で時間の巻き戻し。
発動前に戻して、エクスカリバーで粉砕……
士郎、外道です。



本編の流れは変わっていませんが、戦闘の描写を少し丁寧に書き直しました。
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