横井祐太くんと別れを告げて家に帰った私は、母に彼のことを話した。すると…
「そう、祐ちゃん、帰ってきてたのね。」
たしかに母は、そう言った。
「え…?お母さん、何言ってるの?祐ちゃんは7年前に…」
「あれは嘘なの、ゴメンね楓」
7年ぶりに、母の言葉に耳を疑った瞬間だった。
「ちゃんと事情を説明して!」
私はいつの間にか声を荒げていた。
母は申し訳なさそうに語った。
「交通事故にあったっていうのは、本当だったの。でも、祐ちゃんは奇跡的に一命を取り留めたわ。記憶喪失という代償があったけど。」
「…記憶喪失?」
「そう。あなたたち、とても仲良かったから…母さんと祐ちゃんのママで話し合って…
楓、祐ちゃんに忘れられたって知ったらすごくショックだと思ったから、祐ちゃんのこと、忘れてもらおうと思ったの。…忘れられるわけないのにね、ゴメンね、楓…」
気が付いたら私の頬には涙が流れていた。
次の日、私は出来るだけ平然を装って祐ちゃんの家に行った。
ピンポーン
「はーい…あれ?楓ちゃん?」
「おはよう祐太くん。今日はね、祐太くんに町案内しようと思って。お母さんは?」
「あれ、言ってませんでした?
僕、M高入るために1人でこっち来たんですよ。っていうか、本当に案内してくれるんですか?ちょっと待っててください、着替えて来ますから。」
こうして私は“町案内”という口実で7年ぶりの祐ちゃんとのデートの予約をGETした。
「ここが春から私たちが通うM高。大きいよねー」
「そうですね。なんかドキドキするなー」
そう言っている祐ちゃんの顔を見ている私の方がドキドキしていた。
7年ぶりに見る祐ちゃんはもうすっかり“男の子”になっていて…
ついつい、見入ってしまった
「どうしました?」
「…え///?」
どうやら私は気づかぬうちに祐ちゃんの顔をガン見していたようだ。
「そんなに僕の顔、昔の知り合いに似ていますか?」
「え、あ、うん。(ってか本人だし…)」
「楓…さんは、その人のこと好きだったんですか?」
「うん、大好きだった///」
「今でも?」
「…うん///」
「…俺もだよ」
「え…」
そう言った祐ちゃんの顔は
真っ赤で、そしてドンドン近づいてきた…
ーその頃ー
プルルルル…プルルルル…
「はい、もしもし。」
『あ、楓ちゃんママ?』
「うそ…祐ちゃんママ?!」
『そうよ、久しぶり!!祐太、そっちに着いた?』
「えぇ、昨日ね。祐太くん、記憶戻ってないのにこっちに一人で戻ってこさせて大丈夫だったの?」
『え?何言ってるの、記憶ならずいぶん前に戻ったわよ?』
「嘘…だって、楓、祐ちゃんからはじめましてって自己紹介されたって…」
『えー?あいつなに考えてんのかしらねー?そっちに行ったのだって楓ちゃんと同じ高校に行くためだってのに…』
「俺もだよ」
「え…」
今、何が起こったの?
口に何か熱いものが…
「祐太…くん?」
「ブハっ、何その呼び方!もうこらえんの大変だった!楓にずっと敬語使うのも大変だったしさ〜(笑)」
「?!」
「久しぶり、楓。『祐ちゃん』こと竹中…今は横井祐太、帰ってまいりました( ̄^ ̄)ゞ」
「…えぇ〜?!」