あとUAとお気に入りが凄い増えてて驚きました、誤字報告等もしていただき本当に感謝しています。これからも拙作をお楽しみください。
──追記──
感想でも申し上げました通り、『カードリッジシステム』ではなく『カートリッジシステム』でした。作者の未熟な知識によって読者の皆様にご迷惑をお掛けしてしまい、大変申し訳ございません。これからも、『魔法科高校の夜の
九校戦。それは日本全国にある魔法科大学附属高校が雌雄を決する戦い。政府関係者、海外からのスカウト、その他様々な魔法関係者がやって来る一年に一度の御祭り。
今、その幕が上がる。
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「テストの結果がおかしいと思いまーす!」
第一高校、1-E組。その教室にいる一人の少年が声を荒げた。小学生にそのまま制服を着せたような彼の頭には、少し白髪が混じっている。
少年、名前を森崎雄大という彼は机に一枚の紙を叩きつける。それは彼の成績表だった。そこにはこう書かれている。
実技、最下位。理論、魔法工学及び魔法理論第二位。それ以外は最下位。
結論、総合成績最下位。
言ってしまえばこの少年。魔法工学、魔法理論を除いて常人以下の知能しか発揮できないのである。今回は
「誰だよこんなふざけた成績とった奴はァ‼」
「お前だろ」
ドアを開けて入ってきた彼のクラスメート、司波達也からの冷静な突っ込みに雄大はガクリ、と膝をつく。心なしか涙が溢れているような気がする。
「そういえば達也はどこ行ってたんだ?」
「ああ、実技試験について質問されていた」
雄大をスルーしてレオは隣にいた司波達也にそう質問し、彼はそう言って席に座る。教室には彼ら三人の他にも千葉エリカ、柴田美月のような二科生、そして森崎駿に光井ほのかや北山雫といった一科生の面々がいた。彼らは一様に心配そうな表情を浮かべている。
周りにも僅かばかり人がいたが雄大と駿の姿を認めると足早に去っていった。藪をつついて蛇を出す趣味は彼らにはないのである。なおそれを見た雄大がメンタルに多大なダメージを受けたのは最早言うまでもないだろう。
「あ、そうそう。達也くん理論一位おめでとうございます」
「…お前はもうちょっと自分の成績に危機感をもったらどうだ?」
「
そういえば、と言った風に呟かれた雄大の言葉に、達也はそう返して溜め息をつく。
と言うのもテスト初日。基礎魔法理論、魔法工学のテストが終わった直後、雄大がいきなりぶっ倒れ、そこから病院に搬送された後大事をとって一週間入院ということになったのである。追試をしようにもこのテストは九校戦の選抜にも関わってくるものだったため、一高教師陣は早めの決断を迫られていた。結果、雄大は基礎魔法理論、魔法工学以外のテストは成績に考慮されず、その代わり九校戦メンバーに選ばれることが無くなったのだった。
「で、実技試験の質問とは?」
「簡単なことさ。手加減だったんじゃないかって言われたんだ」
達也は肩を竦めながらそう言う。今回の試験、総合結果は以下の通りだった。
一位:司波深雪。
二位:光井ほのか。
三位:北山雫。
二位と三位は僅差とはいえここまでA組の名前が続き、四位でようやく
実技は余り変わりが見られない。強いて言うならば駿が三位に浮上しているぐらいだろうか。しかし理論のみの成績となると、この順位は大きな変わりを見せる。
一位:司波達也。
二位:司波深雪。
三位:
四位はほのか、十位が雫、十七位に美月、二十位がエリカ。レオと駿はランク外。
確かに一科生とニ科生との区分けの際、実技が多く比重を占めていることは否めない。だが、上位には多くのニ科生がおり、その中でも達也は合計点ではない、平均点で二位の深雪と十点以上の差をつけていたのである。
「まあ達也くんの点数は一科生、それも新入生総代であった深雪さんよりもかなり高い水準でしたからね…というか僕が一番自信のあった魔法工学と基礎魔法理論でも一位でしょう?だったら疑うのもおかしくはありませんねぇ。」
「それだけお兄さんの成績が衝撃的だったんでしょう」
何故か胸を張るほのかに対し謙遜しようとして、さりとてそれも嫌みになると思ったのだろう、苦笑いを達也は浮かべた。
「それで、誤解は解けたのか?」
「まあ一応は。と言っても、転校を薦められたがね」
駿から投げられた質問に達也が応答し、その返答に雄大と駿以外の皆が首を傾げた。雄大はあごに手を当てていたと思うと、
「転校…というと四高ですか」
「まあな。その方が魔法工学とかは進んでるだろうし、そっちに転校した方がいいんじゃないかと言われたんだ」
「え!?お兄さん転校されるんですか!?」といったほのかの驚きの声に、達也はもう一度苦笑いを浮かべ、
「勿論、丁重にお断りさせてもらったがな」
その返答に、ホッとした顔をする美月とほのか。エリカとレオは憮然とした顔をしていた。なお、残りの三人は心が読めないポーカーフェイスを維持していたが。
「何よそれ…あり得ない!」
「全くだぜ、授業についていけなくて成績が悪いならまだしも成績がいいから転校を薦められるなんて…!」
二人の言葉に達也は再び苦笑を浮かべる。そもそもテストでわざと悪い点数を取ることになんの意味があるというのだろうか。雄大のようにテストに途中から一切参加していないような生徒ならまだしも、実技試験は間違いなく達也の全力であったと言えるだろう。
「…司波達也の魔法関連の知識レベルは日本の高校生どころか、大人の基準すらも軽く越えている」
「なら達也くんが一部の教師に疎まれるのも仕方がありませんね」
恐らく一高教師陣より魔法を知ってるでしょうし、と続けたのは雄大と駿の二人だった。彼ら二人は一応ボディーガードの家系に産まれている(雄大は違うが)ので他人の思考を読むよう訓練されている。教師陣の心境を図るのも、二人にとっては造作もないことだった。
重い空気が彼らを包む。何とか話の流れを変えようとして、達也は口を開いた。
「所で雄大、そのパソコンはどうしたんだ?」
「これですか?これはですね…っと」
そんなことを言いながら雄大がパソコンを立ち上げ、パスワードを打ち込む。そこにはひとつのファイルがあった。
「これって…」
「駿のCADですよ」
そこに書いてあったのは、銃の形をしたCADだった。雄大は達也の前にそれを持っていき、机に置く。
「ちょっとこれを見て意見をいただきたいな、と。達也くんって多分深雪さんの調整もやってますよね?」
「……どうしてそう思うんだ?」
「何となーく、です。深雪さんの性格上達也くんの事はかなり信頼なさってるようですし、CADの調整位なら任せても
「…そう言うことにしておくか。どれどれ…」
達也がパソコンのモニターを見る。CADの設計、魔法式の構造。しばらく感心するような仕草を見せた彼だったが、ある一点で視線を止めた。
「雄大、ここの魔法式なんだが改造を加えてるな?」
「…やっぱ不味いですかね?駿が魔法式を展開しやすいようにむりくり弄ったんですけど」
「いや、別におかしくはない。ただ魔法式のこの部分は
「そこなんですけどね、実は魔法師が個人個人で発しているサイオン波が──」
「なるほど。それなら──」
静かではあった。しかし、達也と雄大が話している内容は既に一高校生のレベルを遥かに上回っている。従って付いていけないレオやエリカ、駿達の話の内容は別の方向へと進む。
「そういえば森崎くん」
「どうした?」
その口火を切ったのはほのかだった。彼女は駿の方を向き、口を開く。駿は口に飴を放り込もうとしていた手を止め、ほのかを見た。
「九校戦の準備は大丈夫なんですか?深雪さんは結構大変そうだったんですけど…」
「ああ、
「因みに何に出るんだ?」
「モノリス・コードとスピード・シューティング。とはいっても優勝は大分厳しそうだが」
モノリス・コードと聞いた所で、どことなく北山雫の目が輝いた気がする。それに駿は内心で首を傾げつつ「何でだ?」と質問するレオの声を聞いた。
「…今年は三高からあの
「──へえ」
その質問に答えたのは北山雫だった。レオンハルトの感心したような声と共に彼女はすらすらと、いつもの表情の読みづらい顔のまま語っていく。
「深雪は女子だから一条の
「優勝は難しい、と。」
「──やけに詳しいんだな」
「雫はモノリス・コードのフリークで、毎年九校戦を見に行ってるんです。ね、雫?」
「…うん。」
そう頷く雫は、いつも通りの無表情…とはいかず、若干の照れが滲んでいた。駿は感心したような目を向けつつ、口に入れた飴を噛み砕くのだった──
─────────────────
「…」
ボケッとしながら、少年は道を歩いていた。周囲には、彼を除いて誰もいない。人の気配すらなかった。ただ、空っぽであろう住宅とキチンと舗装された道路があるのみである。
「──ご報告を」
いつの間にか少年の隣には、一人の女性がいた。腰まで届く銀髪に袖無しのコート、右手には蛇のようなものが絡み付いている。少年は彼女に目を向けることもなく、いつもより数段低い声で応えた。
「よろしくお願いします」
「今日未明、主が学校に登校された後
「所属組織は?」
「『七草』、もしくは『例の組織』かと。」
「七草、って生徒会長の所ですよね?」
訝しげな表情をする少年に、女性は付かず離れず、絶妙な距離感を維持しつつ首肯した。
「ですが、今回の一件に
「…下手人は?」
「既に捕縛済みでございます」
「では、
少年…
「夜天の主として守護騎士に命ずる、『誰一人として殺すな』」
「──管制人格、リインフォース
「───ハァ…」
少年は短く溜め息を吐き、
─────────────────
「ガ、ギィ!?」
同業者の悲鳴が辺りに木霊する。どうしてこうなった、と奥歯が割れそうなほど強く噛み締める。
そこにあった筈の毒のカプセルは既に噛み砕かれている。本来ならば、自分という人間は全身を
「うるせぇな、ちょっと黙ってろ‼」
赤毛を三編みにした少女が、その背丈に見合わぬ程大きな槌で鉄球を放つ。同業者へその凶弾が当たることはない。少し後ろで派手な音をたてて爆発するだけだ。
「ヴィータちゃんあまりやり過ぎないの‼」
「分かってる、でもあたしはこいつらが納得いかねえ」
くるくると、まるでバトンでももつかのような気軽さで巨大な槌を振り回すヴィータという名前の少女。彼女の鋭い目と大きな槌は、こちらに向けられていた。
「あたし達は
「今帰ったぞ」
来た。自分達を撃破した
『──闇に、沈め』
一瞬だった。今考えてみても、どうやって自分達が撃破されたのか皆目検討もつかない。
「どうだったアインス?」
「『誰一人として殺すな』だそうだ…相も変わらず甘い」
「
アインスと言うらしいバケモノの声に、私達をよくわからない鎖のようなもので拘束している男が、そう言って足で地面を叩く。
「締め上げろ…『鋼の
地面がまるで杭のように流動したかと思うと、私たちをまるで磔にするかのように拘束し直した。
「さあ…キリキリ吐いてもらうぜ!」
「(ヴィータのあの張り切りようはなんなんだ?)」
「(…そういえばあの子実体化してから戦うのって始めてだったかしら)」
─────────────────
「ただいまー…あれ?」
家のドアを開けると、そこには五人の人物がいた。こちらに軽く頭を下げるシグナム、本を読んでいた顔をこちらに向け、すぐに本へ戻す
まだ一週間も経っていないのに彼女たちに体があることにもう慣れつつある自分に苦笑しつつ、靴を脱いで廊下を歩く。
『だったら実体化でもしてくださいよ‼』
事の始まりは、テロリストの一件からだった。基本的には夜天の書に搭載されているヴォルケンリッター以下守護騎士達は夜天の書に書いてあるものではなく、僕が
デバイス達は実体化出来ないわけではない。僕の持つリンカーコアの性質上、僕が命じれば実体化は可能ではある。しかし、彼女たち自身が自らの意思で実体化したことは今までなかった。だからこそそう言ったのだが…
──何とこの騎士達、たった二日で完全な実体化を修得したのである。
レイジングハートのような二つ人格があるデバイスは何というか
「まだアインス達は帰ってきてはないみたいですね」
「あ、さっき帰ってくるって連絡があったですよ?」
そんな事を言いつつ歩いていると、体長三十センチにも満たない小さな騎士、リインフォース
僕はリュックを降ろしデバイスを調整するときに使用する机の近くに投げた。パソコンが入ってはいるがこの程度で壊れはしないだろう、頑丈だし。
「…どうしたんですかシュテル」
その一連の動作を、じっとシュテルが見つめていた。何が何だか分からないけど無表情で見つめられると心にくるものがあるんだけど…シュテルはすっ、と右手を僕の、正確には僕の頭の辺りまで持っていった。
「いえ、何となくですが、白髪の割合が増えてませんか?」
「そうなんですか?さっき鏡を見たときは特に変わってないように思うんですけど…」
そう言いながら本棚からファイルをたくさん机の上に放り投げ、リュックから取り出したパソコンを起動する。
「──コーヒーです、どうぞ」
「どうも」
コトリ、と音をたてて机の上にコーヒーが置かれた。さっきから静かだと思ったらそんなことしてたんですねシグナムさん。…美味い。眠気を吹き飛ばすには丁度いいな。
「只今戻りました」
玄関から、そんな声が聞こえてくる。椅子ごと体を回転させると、アインス達がそこにいた。
「おかえりなさい」
「只今戻りました」
「ただいまー」
「ただいま」
微笑みながらそう言うと、アインス達は口々にそう言って大して広くもない家へ入ってくる。
もう一度コーヒーを飲み、溜め息をつく。
「どうされましたか主」
「いえ…最近騒がしくなったな、と」
そう言うと、シグナムは笑みを浮かべて、
「ですが、たまにはこういった騒がしさも悪くは無いでしょう?」
そんなことを言ってきた。…全く。もう一度ため息を吐きつつ、口を開く。
「悪く
そう言うとシグナムはもう一度微笑んだ。…本当、デバイス達に人格を引っ付けたのは失敗だったかもしれないなぁとか、いつまでユーリ達はキャットファイトをしているつもりなのかとか、シグナム含め騎士達はどうしてそれに突っ込まないのかとか。色々言いたいことをコーヒーを三度飲む事によって喉の奥に流し込む。
──ドクリ、と。