やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
誤字脱字ありがとうございます。

すみません。ちょっと間が空きました。
つなぎ回なのですが、前回が意外とシリアスだったんで、軌道修正を掛けるために、
何度か書き直ししてました。なかなかいい案が浮かび上がらず、他を回しながらようやくです。
ハワイ編の終わりは決めていたんですが……なかなか



(104)横島師匠はどこに行っても横島忠夫だった。

着替えなどの荷物を取りに行くために、元のコテージに戻ると、部屋中酒の匂いで充満し、酒瓶がそこら中に転がり荒れ放題だった。

しかも、西条さんがソファーの上で仰向けで倒れるように寝ている。

 

なんだ?先日酒盛りでもやったのか?

横島師匠は酒を飲まないしな……西条さんが酒が結構強いのを知ってるが、酔いつぶれるまで飲むってのがどういう状況なんだ?

西条さんがここまでなる時って、大概美神さんのやけ酒に付き合った時だよな。

たまにお店の人に呼ばれて美神さんの行きつけのバーに迎えに行くと、決まって西条さんは酔いつぶれてるしな……そんで、オカG日本支部に送り届けるか、西条さんの実家の迎えが来るまで介抱するのが俺の役目だ。

まさか、美神さんが来てるのか?そんなわけないか。

 

それよりも、横島師匠はどこに?……こんな状況でも寝室で寝ているとか?

いや、あの人の事だ。大人しくしてるはずが無いが……

 

俺は床に転がってる酒瓶を避けながら、荷物が置いてある寝室へと向かう。

 

 

「な……な、なんだこりゃーーー!?」

俺は寝室の光景を見て固まる。

 

このコテージは、お店が開けそうなくらいだだっ広いリビングと寝室の1LDKで構成されている。寝室には大きめのベッドが3つ並んである。

 

………

 

真ん中のベッドの上で、横島師匠が大の字になって寝息を立てている。

まあ、ここまではいい……

 

横島師匠の大の字になった左右に……下着姿の美女が師匠の腕枕で寝ていた。

しかも残りのベッド二つにも下着姿の女の人が二人づつ……

 

………おい。

なんだこれ?

あんた昨晩何をやっていた?

 

俺はあんな目に遭ってたというのにだ。

しかも平塚先生をやきもきさせておいて……だ。

 

そういう事か……平塚先生を俺に押し付けて、自分はハーレム気分でお楽しみってことか……

 

 

「この!!腐れ外道がーーーー!!」

俺はこの外道師匠の首根っこを鷲掴み、思いっきり壁に投げつける。

 

 

「グボバ!?」

横島師匠を壁に叩きつけ、轢かれたカエルのような恰好で床に落ちる。

 

「痛たた?う、うーーん?アレ?八幡?なんか怒ってる?」

師匠は寝ぼけ眼でむくっと上半身を起こし、キョロキョロしながら俺を見上げる。

 

「師匠!!この状況を説明してもらおうか!!状況次第では!美神さんにこの惨状をチクるぞ!!」

 

「な……なんじゃーーーーこりゃーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」

師匠はベッドに寝息を立ててる下着姿の美女6人を見て、大口を開けて雄たけびを上げる。

 

「どういう……」

様子がおかしい。この師匠スケベで変態だが、こういう事に嘘を吐かない上に、逆に自慢しそうなんだが……

 

「いつの間に!?そうか!!無意識のうちにナンパを成功してこの美人ねーちゃん達とウッフ、ムハハな夜を過ごしたのか!!遂にハーレムを形成したのか!!横島忠夫19歳にして、ナンパ力が遂にハーレム王へクラスチェンジに!!」

師匠はわけわからない事を叫んでいた。

 

「……」

それはないな。あの師匠がナンパに成功するはずが無い。いや例外が1人いたか……よく考えればこの状況はおかしい。いくら何でも師匠が平塚先生以外でナンパを成功するはずが無い。

よしんば、西条さんがナンパして連れ帰ってきたとしても、師匠になびくなんて考えられ無い。

 

 

「しかし、なぜだーーーーーーっ!!全く記憶に無い!!せめて、記憶に残る一発をっ!!!!おねーちゃんーーたちーーっ!!」

師匠は涙をチョチョ切らせ、蛙飛びのように飛び上がる。

 

「いい加減しろ!!」

俺は、ルパンダイブでベッドに寝る美女たちに飛び掛かろうとする師匠を空中で叩き落とす。

 

「バボン!!」

頭が床に突き刺さる師匠を一瞥し、考え込む。

どういう事だ?この様子だと、横島師匠は本当に全く記憶が無い様だ。

横島師匠がナンパに成功するとはとても考えにくい。西条さんがナンパして連れて来たとして……

西条さんじゃなくて、横島師匠になびくものなのか?

本当にハーレム状態で師匠が言うムフフな夜を過ごすことなんていう、現実離れした現象があり得るのだろうか?

 

 

そこで下着姿、いやよく見るとビキニだな。何れにしろそんな肌の露出度が高い姿をした美女たちが目を覚ます。

「ふぁーー、よく寝たのう。久々に満腹なのじゃ」

「むふぁーー、そうなのじゃ、これでしばらく持つのじゃ」

「満足なのじゃ」

「のじゃのじゃ」

何故か全員のじゃ言葉だった。しかも全員燃えるような赤髪に褐色の肌、スタイルも美神さんに劣らず抜群だ。しかも、寸分たがわず皆同じ顔だ……六つ子か!?

 

だが……この気配、人間じゃない。

 

俺は咄嗟に飛びのき、攻撃態勢を整える。

 

「ん?こやつも良質の霊気を持っておるのう。起き掛けにちょっと頂くのじゃ」

そう言って、一人が視界から突然消えて、俺の顔の前に現れる。

 

なっ?速い!

俺は逃れようとするが、自然な手つきで顔を両手で掴まれる。

そして……

 

「ムチュー、なのじゃ」

な、ななんだ?キ、キスをされた!?

ななななぜ?まさかの痴女?

 

「なななな?何を?」

 

「次は我なのじゃ」

「次の次は我な」

赤髪褐色の美女たちは次々と俺はキスをされていく。

 

ここ、これはヤバい!

このキスはまずい、……雪ノ下や由比ヶ浜にバレるのがヤバいとかじゃない。

いや、それはそれでやばいが……

 

言ってる場合じゃない!

霊気を吸われてる!俺の内包してる霊気量が見る見る減っていくぞ。

 

「朝食に丁度良かったのじゃ」

「「「「のじゃ」」」」

 

「くっ…あんたらは何者だ!?」

俺はよろめきながら、壁に手を付き戦闘態勢を保つ。

くそ、霊気を吸われながらだが、霊視である程度見えた。

凄まじい霊力だ。しかし、邪悪な感じが全くしない。

妖怪妖魔や悪魔ではなさそうだが……どちらかと言えば神聖な霊気さえ感じる。

 

「ふむ。ちょっとづつしか、吸わなかったとはいえ、まだ動けるのか。人間にしてはなかなかの霊気内包量なのじゃ」

赤髪褐色の美女たち6人は腕を組み、感心したようにこっちを見る。

 

くそ、横島師匠をのしてしまったのは、失敗だった。

 

しかし……

 

「弟子をからかうのはほどほどにしてくれないっすかね?」

横島師匠が美女たちの後ろに立ち、凄まじい霊力を放出していた。

 

「「「「うわっ、なのじゃ!!」」」」」

今度は飛びのくのは美女たちの方だった。

 

「で、精霊……いや、どちらの女神様っすか?」

 

「悪かった。そのバカでかい霊力を収めよ。少々冗談が過ぎた」

「昨晩我ら6人がかりで散々霊気を吸ったのにもう回復しておるとは」

「流石はかの魔神を手玉に取った奴よのう」

「我らの存在もお見通しというわけか」

な、女神?確かに神聖な霊気を感じるが……それにしても随分軽い女神様なんだが、小竜姫様とは大違いだ。

それよりも、この女神様達、さらっととんでもないことを言っていたぞ。

魔神と言った。横島師匠が手玉にとったとかどうとか……

どういう事だ!?横島師匠は昔、魔神と戦ったのか?

存在すら怪しいその魔神を?横島師匠が?どういうことだ?

……まさか。

いや、横島師匠はSSSランクGSだ。やはりその辺の事情が何かあるのか?

 

「ふう、で、なんすか?ナンパやエッチな事なら大歓迎なんすけど……なんなら今からどうっすか!?」

女神様相手にもこの態度、流石横島師匠というかなんていうか。

 

「うむ、噂通りのスケベな奴じゃ、我らが神であるとわかっててもこの態度か……我らはこの地の島々を守護する火山を司る女神じゃ、この地の者は我らを全員を同一視しておるがのう。……たまたま街にうろついていたところを、西条とかいう人間に誘われてな。酒もたんまり飲ましてくれると言うし、我らも霊気量が心もとなかったのでな、西条から分けてもらおうと。ここについてきたのじゃ。そこにたまたま縛られて寝ていたお主がおったんでな、美味しく霊気を頂いたんじゃ」

……横島師匠って日本以外の神様の間でも、スケベで通ってるんだ。まあ、そうだろうと思ったけど。

この人は人間だろうが妖怪だろうが、悪魔だろうが、神様だろうが、性別が女で美女だったら誰でも手を出すからな……まあ、大概未遂で終わるが。

しかし、この女神様達は何で街にうろついていたんだ?

霊気量が心もとないって、ここがあなた達が守護する土地だったら、そんな心配は無いハズなのだが……何か理由がありそうだな。この島で起きてる厄災と関係があるんじゃ?

 

「昨日あいつに飲み物を渡されて、その後の記憶が……西条ーーーーーーっ!!あいつ!また俺に睡眠薬盛りやがったな!そんで一人で街に飲みに行ってナンパを!!」

横島師匠、睡眠薬盛られたのか……それでも邪悪な存在が近くにいると直ぐに目を覚ますだろうが、相手が女神様だったから眠ったままだったのか。

西条さんもまあそんな事を平然とする……まあ、わからんでもないけど、横島師匠とナンパしても絶対失敗するし。それにしても西条さんって横島師匠に対してだけは大人げない態度をとるよな。普段は大人でカッコいい人なんだが。

 

「その女神様達は、どうして街に出られて、霊気が供給できない事態になったんですか?」

俺は怒り心頭って感じの横島師匠を余所に、女神様達に尋ねる。

 

「家出じゃ、家出したんじゃ!」

「「「のじゃ、のじゃ」」」

女神様達は思い思いにベッドに座りそんな事を言い出す。

このハワイの島々の守護する女神様が家出ってどういう事だ?

 

「我らの旦那が!浮気しおったのじゃ!!我らという美女が居るのにじゃ!!絶対許せぬ!!」

「だから出て来たやったのじゃ!!」

「あの木偶坊は我らが居ないと何もできないろくでなしの宿六の癖に、よりによって、他の女の尻を追うとは!」

「そうじゃ、そうじゃ!」

「謝って来ても100年は口きいてやらんのじゃ!!」

「のじゃ、のじゃ!」

 

女神様達が口々に愚痴りだした。

……どうやら痴情の縺れの様だが。

何その俗っぽい理由、神様も人間と同じなんだな。

 

ちょっとまてよ。

もしかして、女神様がこんなところに家出したから、厄災が起きてるんじゃないのか?

霊気の供給が途切れたという事は……何らかの影響で霊脈や神界とのリンクが切れた?

確か、土地に括られた神はその土地の霊脈範囲から出ると、霊気の供給が受けられないと聞いていたし、小竜姫様程の女神様でも日本という土地から出ることが出来ないと聞いたことが有る。

それが影響してるんじゃないだろうか?

 

「あのハワイの女神様達……そのどのくらい前から家出を?」

 

「うむ、2カ月前ぐらいからじゃのう」

「そうじゃっのう、そのぐらいじゃのう」

……やっぱりか。西条さんの話じゃ、2カ月位前から厄災が起き出したと言ってたな。

 

「もしかして、このハワイ島の火山地帯の異常は女神様達が、この島々との霊的リンクが切れたからですか?」

なぜそんな事になったのかはわからないが可能性はある。

 

「ほう、お主中々鋭いのう、じゃがそれじゃと半分じゃな」

半分正解という事か、ん?そういえば師匠は?

 

ふと、振り返ると……

横島師匠が大人しいと思ったら、壁によりかかりニヤニヤしながら俺と女神様達の会話を聞いていた。

この顔の師匠はあれだ。俺一人でやってみろって言ってる顔だな。

 

ふう、これも修行の一環か。

 

 

「では……女神様達はそのリンク切れが影響して、神界、もしくはそれに類する場所に戻れないと」

 

「ふむ。そうではない………まあ、よいか。我らもこんな事態になるとは思っておらなんだ。この事態を起こしておるのは、浮気者の甲斐性無しの我らが旦那殿じゃ。我らのリンクを切り、霊気の供給を止めるためにな。そうすれば我らが泣き寝入りして戻って来るとでも思ったのじゃろう。その結果、我らが子ともいえる島の民に迷惑をかけるとは、とことんダメダメな奴じゃ、だから三流といわれ、人々の信仰を得られんのじゃ!」

「我らは、浮気者の甲斐性無しの旦那に制裁を食らわせんとしたが、他の島々の噴火を止めるので霊力を使い果たしてしまってのう」

「途方に暮れていた所に、お主らに出会ったんじゃ」

 

……なにそれ。女神様の旦那って、滅茶苦茶ダメな感じなんだが……人間味あふれ過ぎだろ。

 

「女神様達は今、霊気も十分整ってるから、その旦那さんに制裁を加えることが出来るんですね」

横島師匠から、吸い取った霊気で満足とか言ってたから十分なはず。

これで解決できるんじゃないか?

……そういえば、横島師匠の霊気量って、女神様を満足させるぐらいの霊気量が有るって事か?

武神斉天大聖老師の直弟子だしな。

 

「うむ。その事なんじゃが、良い方法を思いついたのじゃ!スケベなお主!我と契りを結べ!浮気した旦那に見せつけてやるのじゃ!!」

 

「ち、ち、契りぃっ!!ふっそういう事ですか……そういう事なら、不肖横島忠夫!!今から皆さんのお相手をこの体を使って存分にっ!!」

横島師匠はさっきまで結構真面目な顔をしていたのに、急にだらしない顔になって、セミが脱皮するが如く服をスポンと脱ぎ捨てる。

 

「服を脱ぐな!!」

「接吻だけでいいのじゃ!!」

「お主は獣か!!」

 

「え?違うの?若い果実を存分に味わいたいんじゃ……」

すっぽんぽんになった横島師匠は前を隠すでもなく、平然とこんな事を言う。

 

「ド阿呆なのじゃ!」

「凶悪な物を我らの前に晒すな!」

「罰当たりな!」

 

すみません。女神様達、この人こういう人なんです。

横島師匠は日本の恥をこうやって世界に拡散していたのか……

という事は出張の度にこんな事に?

 

「はぁなのじゃ、お主、人の話を聞いておったのか?」

「接吻だけで十分効果があるのじゃ、旦那は嫉妬深いのじゃ」

「もし、旦那の前で接吻を見せつけるだけで良いのじゃ」

「自分がしたことを認識させてやるのじゃ」

「接吻で旦那の奴が平然とした顔をしておったら、離婚なのじゃ」

 

すみません女神様達、内の師匠はちょっと思考がまともじゃないんで……

ん?ちょっと待てよ。俺もキスされたよな。霊力を奪うために……それって、女神様の旦那の嫉妬の対象って俺もはいるんじゃ?

 

……女神様の旦那って、神様だよな。神様に嫉妬されるとか避けたい。いやあれはキスじゃあない。

唯の朝食だ。日本人ではアレだが、ハワイの女神様の世界ではちょっとした挨拶みたいなもので、人懐っこい野良猫に顔をなめられた程度に思えば……アレ?……急に恥ずかしくなってきた。

女神は女神様でも、しょ、小竜姫様にキスとかされた日には……そのいけない事なのだが、それを想像するだけで俺の中の何かが爆発しそうだ!

 

 

 

 

そんな時だ……

 

「その横島さん。今までお騒がせして……すみま………………」

 

寝室の入り口から声をかけられる。

 

やばっ!

これって……

 




ハワイ編、次回で終わりです。

その次からは、事態が進みます。
2部のメインの話となります。
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