やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。 作:ローファイト
誤字脱字報告ありがとうございます。
その4です。
職場見学の体験コーナーも終盤にきて、この第2訓練室の後ろの扉から、美智恵さんが俺を手招きしていた。
俺は今は唯の学生なんですが……。
ふう、行かないわけにはいかんよな。
わざわざ、このタイミングで呼ぶって事は……
俺は雪ノ下と由比ヶ浜、川崎の3人にちょっと席を外す事を伝えてから第2訓練室を出ると、美智恵さんに近くの部外者立入禁止と書かれた部屋に連れていかれる。
ここは第2訓練室の監視室だ。監視室と言う名はついているが、訓練中の人達に訓練の指示を出したりする部屋だ。
この部屋には第2訓練室内で訓練を行ってる訓練者を各種センサー等で監視管理できる設備が整っている。
「どう?今回の職場見学は?比企谷君の忌憚ない意見を頂戴」
美智恵さんは監視室の中央にある椅子に座り、俺に雑多に置いてあるその辺の椅子に座る様に促す。
予想通り、美智恵さんはこの職場見学について、聞いてきた。
「まだ、美神さんのデモンストレーションが終わってないんですが?」
「令子のそれは特に影響はないわ」
「はぁ」
「じゃあ、午前中の講義はどうだったかしら?」
「プロパガンダとしては、成功じゃないでしょうか?」
俺はストレートにそう評した。
プロパガンダ。日本語に訳せば、情報戦、心理戦、宣伝戦、世論戦などと情報戦略の事を指す場合が多い。
要するにだ集団を特定の思想・世論・意識・行動へと誘導をさせるための戦略だ。
身近なところでいうと、選挙戦や世の中に溢れるあらゆるメディアに流れてる商品やサービス広告なんかもそれにあたる。
今回は午前中の講義は、生徒達に対して、オカルトGメンとGSへ対して、クリーンなイメージと、必要不可欠な存在であるというイメージを植え付けるというものと、オカルトGメンへの協力を促すものが含まれていた。
最近読んだ、第二次世界大戦のヨーロッパにおける情報戦略についての伝記本から派生して、現代の情報戦略に関する本を数冊この頃読んでいた所だった
「随分とストレートな言いかたね。君には意図まで丸わかりという事かしら。…本当に君は彼らと同じ高校生なのかしらね。まあいいわ。それならば話が速いわ。成功という事は生徒達の反応からマイナスイメージを払拭し、プラスイメージを持ってくれたと思っていいのね」
美智恵さんは呆れたような顔を俺に向けた後、真剣な表情で聞く。
「まあ、そもそも、今回ここに来た生徒は職場見学にここを選んだという時点で、最初から何らかの興味をもっていた連中だという事です。元々マイナスイメージを持った奴はまず来ませんしね」
「そう言う事ね。本来なら、全校生徒や全学年対象に実施したいところですが、なかなか難しい状況です。教師の中にも、生徒の保護者の中にも、マイナスイメージを持った人は多いわ。そう言う人達にこそ、来てほしいのだけど、……そう一足飛びには行かないわね」
美智恵さんは顎に手をやり、思案しながらそう応えた。
美智恵さんは必死だな。世間一般ではゴーストスイーパーは両極端なイメージを持たれてるからな。霊や妖怪などを倒すヒーローな様な印象と、霊や妖怪などが関わる怪しいヤクザな仕事だという印象だ。
前者のヒーローの象徴は美神さんだ。美神さんは美人で若いし、何せやる事が派手だ。
後者は、霊災事故などで死者が出た時に報道され、その矢面に立つGS協会とこの業界自身とゴーストスイーパーそのものだ。民間の法外な除霊料金もそれに拍車がかかる。今は随分とマシになったそうだが……。
そんなゴーストスイーパーの世間のイメージを払拭させなければ、何をするのにもこの業界の裾野は広がらない。
その為のイメージ戦略だろう。
だから、世間一般では受けの良い美神さんをイメージガール的な扱いをし、全面に押し出し、職場見学に来て下さいとアピールをしたのだろう。
俺的にはキヌさんの方がよっぽどクリーンなイメージだと思うんだけどな。
「それに、生徒達はオカルトGメンに本気で入ってみたいと思ってここに職場見学に来る奴はいないでしょうし、面白半分がほとんどでしょう」
「そうでしょうね。午前の講義は飽くまでもマイナスイメージの払拭が第一。これを地道に何年も続けて定着すれば……。で、午後のGS体験コーナーはどう?」
美智恵さんは俺の言葉を肯定しつつ、次の話題に入る。
「午後のGS体験コーナー……、あれはGSの人材発掘の場ですかね。今迄手を付けてなかった広大な未開拓場所でのってところですか」
俺は思ったままを正直に話した。
「ふぅ、君には何でもお見通しってことね。……やっぱり君はうちに来るべきよ」
「やっぱそうですか。それとオカGの件は勘弁してください。俺が美神さんに殺されちゃいます」
俺の推測は当たりだったか。
「それは後々として……。そうね。午後のGS体験コーナーこそが、将来の人材確保の礎になると思ってます。これはほんの前段階。本当は義務教育中に身体測定と同じく霊気測定を行いたいぐらいね……でも、今のままでは確実に無理ね。やはりイメージ戦略を先に……」
何それ怖っ、それって、幼い時に霊気が多かったら、強制的にGS関係の仕事につかされるって奴じゃないのか?
もしかしてこの人、適正者は有無を言わさず、GS関係の仕事につかす様な法律を作るつもりとか………。
いやいやいや、どこの社会主義国家だよそれ!
ちょっと強引過ぎるような……。
美智恵さんは何かに焦ってる……何にだ?
それに、このままだと俺もオカGに無理矢理入れられそう。
「はあ」
「今回はめぼしい子が二人も……君の霊視に優れた目が有れば誰だかわかると思うのだけど、データによると材木座義輝君と川崎沙希さんね。君から見てどう思う?将来はGSとしてイケそうかしら?」
やっぱ目をつけられていたのか。そうなるよな。
「……確かに二人の霊気は量は多いです。下手をすると今のままでもGS資格免許試験の能力テストに霊気の保有量だけだったら通るかもしれないレベルです。ですが、それと実際にGSとしてやっていけるかは全く別だと思うんですが?」
「それはそうよ。だから比企谷君に聞いてるのよ」
「……材木座の方は、元々霊感が高い奴です。性格は臆病で、オカルト方面は苦手ですね」
「なるほど。川崎さんの方は?」
「……唐巣神父の元でバイトをしてます」
「そういえば、そんな事を聞いていたわね。そう川崎さん、彼女が……」
「川崎の霊気を得たのは後天的です」
「という事は、霊障……神父の元だから悪魔憑きだったってところかしら?彼女の性格とかはどうかしら?」
性格的には、材木座に比べればよっぽど適性が高い。
度胸もあって、悪魔を恐れないし、冷静さを保てるメンタルもある。
だが俺は………
「どうでしょうか、やはり一般人としてずっと生活していたんです。中々難しいと思いますよ。俺だってそうじゃないですか」
俺はそう言うだけに留めた。
川崎は確かに適正としては高そうだ。
だが、あの過酷な環境に身を置けとは、俺からはとてもじゃないが言えない。
「そうよね。それがネックなのよね。霊能家に生まれれば、意識的にGSになる事は幼い頃から植え付けられてるわ。修行の厳しさは大小はあるにしても、幼い頃から習慣的に行っていたでしょう。
しかし一般の人はそうじゃない。しかもよっぽどの動機づけが無ければわざわざGSに自ら成ろうなどという人は稀よ。ましてや高校卒業してからこの業界に入るのは、受け皿も殆ど無い今の状況では、相当厳しいわ。ハードの部分も進めて行かないといけないわね。一応大学や専門学校、六道女学院には、高校卒業後や、高校からの初心者に対応した教育環境を整えて頂くようにはお願いしているのだけど、……まだまだ難しいわ」
美智恵さんは思案顔をずっとしたまんまだ。
今回のこの職場見学は、試行錯誤中という事なのだろう。
「やはり、本人のよっぽどの覚悟がないと難しいのでは?」
「そうなのよね。しかも、それだけじゃないわ。もし本人が良くても、ご両親の理解を得られないとダメだわ。話は元に戻るのだけど、だからこそ人々の理解を得られるように、この業界のイメージをクリーンにする必要が急務になるのよ」
「………色々と難しそうですね」
「そうね。だから、比企谷君が手伝ってくれると嬉しいわ」
美智恵さんはワザとらしいニッコリした笑顔を俺に向ける。
「いや、それはですね……」
また、そこに持ってくるんですか?
美神さんを説得して、円満に解決できるなら、一考の余地はあるのですけど。
「まあいいわ。120人中2人が適性者がいたわ。これが分かっただけでも今回の職場見学は価値があるわ。日本人口1億2000万人にたいしてGSは1000人弱、凡そ12万人に1人しかいないの……これがどういうことかわかる。さらに今日の午前中の講義のとおり、明らかに霊災等の案件が右肩上がりで増えてるわ。もう、今の体勢のままではこの10年で崩壊するわ。それまでに何としても……」
美智恵さんは遠くを見るような目をしていた。
この人はどこを見ているのだろうか?数年後いや、何十年後の世界をも見据えているのだろうか……。
それに俺を買いかぶり過ぎです。俺なんて今を生きることに精いっぱいなんで。
「ありがとね。君との話は何時も実に有意義だわ」
美智恵さんはそう言って、俺を開放してくれた。
俺は監視室を後にして、第2訓練室に戻ろうとする。
もう、美神さんのデモンストレーションは始まってしまってるだろうな。
俺は実は美神さんがどんな事を行うかは興味はある。
半分怖いもの見たさだ。
キヌさん曰く、六道女学院で講師を真面目にやってるらしいのだ。
普段の態度からは想像つきにくいのだが……。
俺は第2訓練室の扉に手を掛けようとすると、声を掛けられる。
「ヤッホー八幡。久しぶり。ちょっといい?」
陽乃さんだ。しかも八幡呼びだし、外面仮面は外れてる様だ。
陽乃さんがここに居るという事は既に体験コーナーは終わってるという事か。
「雪ノ下さん、ご無沙汰してます。いや、俺は今は生徒としてここに来てるんで戻らないと」
俺は無難な挨拶をして、戻ろうとした。
「良いじゃない。折角お姉さんと久々に会えたんだから」
陽乃さんはそう言って俺の腕を強引に引っ張り、直ぐ近くの機械室に連れ込まれる。
「ちょっ、待っ……はぁ」
ちょ、あのワザとなの?胸、腕に当たってますよ?ドキドキするからやめて頂けませんか?
なんか良い匂いもするし……
何時ものパターンだ。こう強引に来られると俺にはなすすべもない。
俺はため息を吐くばかりだ。
「ちょっと顔が赤いわよ。相変わらず初心ね八幡ったら。何?お姉さんに強引に連れ込まれて、いけない事されると思った?」
陽乃さんは悪戯っぽい笑顔を俺に向ける。
「………いえ、別に」
冷静を装おうとするが、どうしても視線が泳いでしまう。
俺も男なんで、そういう事されると流石に……。
それに3カ月前に告白されて、キスまでされた年上の美人に……流石に厳しいというかなんていうか……。
「安心して、流石にここでは無いわ。ムードがないもの。そうね。この後、お姉さんとデートに行きましょ」
「……勘弁してください」
「ダーメ。今日は無理でも、来月中旬にこっちに戻って来るから、その時はどう?」
「どうって言われましても……仕事が」
「雪乃ちゃんとガハマちゃんばっかりズルい。二人の言う事はホイホイと聞く癖に! 私もデートしたーい」
「ぜ、善処します」
素の陽乃さんが駄々をこねだすと、手が付けられない。
強引にあの手この手を使ってくる。
そんで、この曖昧な言葉で乗り切る作戦だ。
「じゃあ、平日のこの日の13:00、週の中盤だし仕事はないわよね。期末テスト最終日で学校は午前中でしょ?もし来なかったら学校まで迎えにいっちゃうから」
陽乃さんはそう言ってスマホのカレンダーを俺に見せてくる。
どうやら、乗り切れなかったようだ。
学校の行事も把握され、仕事のスケジュールも凡そに目途をつけられ、もはや逃げ場なし……。
「はぁ、で、それだけじゃないですよね。俺を連れ込んだのは……」
「流石八幡。私の事を分かってるわ。これが愛」
「そう言うの良いんで」
「つまんなーい」
「はぁ、……雪ノ下さんは今日はこの職場見学の体験コーナーの為に来たんですよね。土御門の人間として、人材確保やイメージアップ戦略を見定めるために」
「土御門家からはそう言われてるわ。……確かに関西でも変革が必要ですしね」
「それについては俺は何も関わってないんで、何もお答えできませんよ」
「この件は、オカGも非常に協力的なのよ。情報交換も密に行っているわ。だから今のところ問題が無いし……私がわざわざ八幡に会う事以外で、ここに来た理由は別にあるの」
「……??」
俺はてっきり、この職場見学について、何らかの情報を俺から得ようとして、引っ張り込まれたのだと思っていたが……それ以外では心当たりがない。
「八幡、ちょっと聞きたいのだけど」
陽乃さんは何時になく真剣な顔で迫って来る。
なんか迫力があるんだが……、これは何かにちょっと怒ってるらっしゃる?
俺は陽乃さんを怒らせるような……デートを断ろうとした事とか?
いや、俺以外の事だと言っていたし。
「俺の答えられる範囲ならば」
「……氷室絹の弱点を教えなさい」
陽乃さんは俺に顔を近づけ、力強くこんな事を言った。
俺は一瞬目を丸くする。
………はぁ?
どういうことだ?
キヌさんの弱点って?
陽乃さんと絹さんと接点何かあったか?
陽乃さんは続けて語る。
「氷室絹の弱点を見つけようと、この依頼楽しみに来たのよ。これがメインだと言っていいわ。なのに何なのあの子?表面上はぽわぽわしてる癖に、全く隙が無いのよ。打ち合わせで会話して、色々と言葉で探りを入れてもボロの一つ出さないわ。何かボロをだすんじゃないかとずっと様子を見ても、無いのよ。完璧なのよ。完璧すぎるのよ!あの笑顔に、あの気遣い、優しく包むような話し方。どれを取っても完璧なのよ!おかしいわ!完璧な人間なんて居るはずが無いのよ!!」
………あれだ。キヌさんと会って間もない頃の俺が、キヌさんに抱いた印象と全く同じ事を考えてるぞ。
残念ながらそれは真実ですよ。
確かに完璧な人間などいないと俺も思っていた。キヌさんに出会うまでは。
だが、彼女は純粋で清純なのだ。100%優しさで出来てると言っても過言ではないのだ。
外面仮面を被って、理想の女性像を演じている陽乃さんと違って、キヌさんは100%天然ものなんだ。あれが素の彼女なのだ。
「キヌさんに弱点があったとしても、他の事務所の人に、教えるわけないじゃないですか」
「良いじゃない。ちょっとぐらい。何かあるんでしょ!」
「正直言って全くありませんよ。そりゃ、GSとしての得手不得手はありますが、人間的には何もないです」
「おかしいわ!そんなのありえないわ!八幡、私に隠しごとなんて、つれないわ」
「本当に何も無いんです。俺も2年以上一緒に仕事してますが、全く無いです。これだけは断言できます。だから探っても無駄ですよ」
「八幡がそこまで言うなんて……、しかもあの八幡が年上の女性を下の名前で……ありえないわ。私でさえまだなのに……きっと何かある」
陽乃さんは俺の言葉で、半分納得したような感じだったが…なんかぶつぶつ言いだした。
「あの~、そもそもなんで、キヌさんの弱点なんて探ろうとしてるんですか?雪ノ下さんとキヌさんとの接点は今迄、ほとんどなかったでしょ?」
この二人に接点があったとしたら、温泉訓練のあの後に、ちょろっとあったぐらいだ。
「………雪乃ちゃんがね。電話をしたらね。ちょっと氷室絹の話がでたの……。どうやらかなりの頻度で会ってるみたいなの!勉強も教えて貰ってるみたいだし、相談事なんかもしてるみたいなのよ!……私がお姉ちゃんなのに!!雪乃ちゃんは私の大切な妹よ!!……私の可愛い雪乃ちゃんをかどわかすなんて、何か裏があるに違いないわ!!」
…………あ、あれだ。陽乃さんは絹さんに姉の座を奪われるんじゃないかと思ってるってことか……。陽乃さんは雪ノ下大好きの超シスコンだからな。これ完全に嫉妬だ。
確かに、雪ノ下は随分とキヌさんを慕ってるようだ。
雪ノ下はキヌさんの前では、かなり素直なようだし、俺の知らない間によく会ってる様だしな。
多分だが陽乃さんは、キヌさんの弱点でも見つけて、雪ノ下にそれを突きつけて、姉の座を復権させようとしたんだろう。
無駄だと思うけどな。
「……もう一度言っておきますが、キヌさんは完璧ですよ。あれ程完璧な人を見た事が無い。料理から家事洗濯、まめですし、癒してくれますし、それにダメなところは注意もしてくれます。そして人を傷つけるような行為を全くしませんし、それとは対極な人です。キヌさんは雪ノ下をどうこうするとは到底思えない。そんなキヌさんの人柄に雪ノ下が慕ってるだけです」
「………でも、可笑しいとは思わない?そんな完璧な子が、なんで、悪鬼羅刹の如く美神令子と一緒に働いているのかしら?きっと裏があるのよ!」
確かに、それだけは謎だ。
そういえば、俺はキヌさんが美神さんところで働くようになった経緯を知らない。
まあ大方、俺と同じで、美神さんに偶然助けられて、そのまま一緒に働くことになったのだろう。キヌさんは情にも厚い人だ。あんな悪鬼羅刹だろうと、美神さんを見捨てないだろう。
「美神さんに裏があっても、キヌさんには無いです。もし何か裏があるとしたら、すべて美神さんが悪い!」
俺はこう断言する。そう、どんな事情があるにしろ、すべて美神さんが悪い。
「そう……でも、ちょっとは苦手な物位あるでしょ?」
「無いと思いますよ」
「……ゴキブリもムカデもダメだったし……」
って、何やってんだこの人。
まさか、キヌさんとの打ち合わせ中に、ゴキブリやムカデとかを潜ませたのか?
「別に雪ノ下は雪ノ下さんの事は嫌って無いですし、心の中では尊敬してますよ」
「え?本当に?」
急にデレデレしだしたんだけど、この超シスコン姉は……
「まあ、たぶんですけど」
「でも、雪乃ちゃんの一番は姉である私であるべきなのよ!やはり、何とかしないと」
まあ、無駄だと思うけどな。
「じゃあ、俺は行きますよ」
俺は機械室を出ようとする。
流石に職場見学がすべて終わる前に戻らないとヤバいよな。
「八幡、来月はデート絶対よ!それと、氷室絹の弱点を見つけたら教えてね!」
陽乃さんは俺にそう言って、手を振ってから、また何か考え事し出した。
はぁ、デートって。
まあ、しないわけにも行かないし……。不公平っていわれるとな。
俺は彼女達の誰かを選ぶ事ができるのだろうか?
次で職場見学は終わりだと思います。
章はそのままで、次のお話に……