やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。   作:ローファイト

12 / 188
感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。
非常に助かります。

というわけで、今回はつなぎのお話です。


⑫修学旅行1日目の夜

宿泊先のホテルでの夕食を終わらせ、班ごとの部屋に戻る。

一風呂浴びたい気分だが大浴場への入浴はクラスごとに決まっている。

一般の客も宿泊しているため、学生で大浴場を占拠しないためだ。

 

入浴時間まで、班の連中はトランプを始める。俺はちょっと出ると言って断った。

今のうち横島師匠がなぜ京都にいるのかを電話で確認するために………

 

『よぉ!八幡』

 

「師匠、夜分にすみません。って、周り騒がしくないっすか?」

 

『うはははははっ、ナンパ中!!』

 

「まったく、美神さんに言いつけますよ………今日、夕方前、三条でナンパした黒髪の格好いい美人はどうしたんですか?」

 

『そ…それをどうして知ってる!』

 

「で、どうしたんですか」

 

『この横島!千載一遇のチャンス。もう二度とこのチャンスは巡って来ないかもしれんと思い、ちょっと地雷女ぽかったが、猛攻勢をかけた!しかし……時間が無いとかですぐに別れたが。電話番号を見事ゲットしたぞ!どうだ八幡!見直したか!』

めちゃ自慢げなんだけど横島師匠……電話番号手に入れたことがよっぽど嬉しかったのか……多分初めてなのではなかろうか?

……それにしても地雷女って。なんとなく意味はわかるな。平塚先生にぴったりなニュアンスだ。

 

「………その地雷女、俺の学校の部活の顧問なんで」

 

『なに!?八幡!どうなんだ!脈ありそうだと思うか!!』

 

「……やめておいたほうが良いですよ。多分ずっと付きまとわれる……ストーカーになるんじゃないっすかね」

 

『うーん………流石にそれは…………やはり地雷女だったか美人なのに』

なんだ。横島師匠が珍しく悩んでいるぞ。っていうか女に躊躇してるぞ。地雷女って……なんか過去に何かあったのか?

 

「そんなことより、なんで京都に居るんすか。しかも平等院で痴漢で、清水寺でのぞきまでして」

 

『ち、ちがうんやーーー!痴漢ものぞきもしてないのに!警備員や、お姉ちゃんにおいかけまわされるわでーーー!!』

やっぱり横島師匠だったか……かまかけて見たが、見事本人だったな。

 

「それはもう良いです。いつもの事だから……で、なんで京都に居るんすか?」

 

『そ………それは、仕事の依頼でそのだな。ちょっとした調査だ』

横島師匠は何か言いづらそうにしている。

 

「本当にそれだけですか?……何か怪しげな事をしてるんじゃないんですか?美神さんに怒られるような」

 

「はははははっ!そんなことは無い!ああっ!!仕事が残ってた!またな八幡!!」

横島師匠はわざとらしくそう言って、電話を切る。

ナンパ中じゃないのかよ……めちゃくちゃ怪しいんだが………

 

 

 

結局、横島師匠が京都に居る理由がわからなかった。

取り敢えず、美神さんにも聞いてみるか……この時間帯だと、仕事中かな?

 

「美神さん。夜分にすみません」

 

『比企谷くんか、今仕事終わったところよ。なに?京都で修学旅行じゃないの?』

 

「そうなんですが、その……昼間に京都三条あたりで横島師匠を見かけまして、横島師匠に電話で理由を聞いたんですが、はぐらかされてしまって」

 

『はぁ?あいつなんで京都に?あいつの出張先は新潟の三条よ』

 

「……まさか、三条違いで」

 

『それはないわ。少なくとも三条以外の新潟の幾つかの土地に調査を行っているはずだから…………嫌な予感がするわね』

 

「何の調査なんですか?」

 

『……君ももうGS免許を取得したれっきとしたプロだわ。いいわ。GS協会通じて依頼を受けた案件……鬼の封印の調査よ』

 

「鬼………ですか」

俺は知っている。鬼とはそんじょそこらの妖怪とは格が違う。下っ端でもBランク以上の強力な妖魔だ。

更に鬼と言っても幾つかある。地獄の番人、神の使いや神そのものになった鬼もいる。鬼と言うだけで邪悪な存在ではない。逆に邪悪な鬼はごく一握りだ。殆どがこの世界の秩序を司る何らかの役目を負っている存在だ。

鬼の封印ということは、現世で暴れた鬼が、封印されたのだろう。

その場合、多くが元神、または神の使いが鬼となり、現世に落ちたパターンだ。

西洋の堕天使や魔族と同じ格なのだ。

 

『あのバカ、報告は密にしろと言ったのに、いいわ。私からもあのバカに連絡をしとくわ。新潟から京都にわざわざ横島くんが向かったということは、その鬼の封印の何かに関わっているからだと思うわ。まあ、すぐどうこうするような事案じゃないけど、君も十分気を付けなさい』

そう言って美神さんは電話を切る。

 

美神さんがこう言うということは、横島師匠は本当に仕事で京都に来ていたんだ。

なんだかんだと、美神さんは横島師匠への信頼は厚い。……まあ、仕事の時だけだが。

ナンパしに来たんじゃなかったんだな……横島師匠。

 

「鬼か……」

俺は鬼を知ってる。但し、それは美神さんや横島師匠の知り合いの神の使いである鬼だ。

かなりの霊圧があったことを覚えている。

今の俺でも下っ端の鬼でも倒せるかどうか……

ましてや、封印されてるレベルの鬼は少なくともAランク、下手をするとSランク以上の可能性もある。

 

横島師匠が鬼の封印の調査のために、新潟からわざわざ京都に……さっき俺に話をはぐらかしたのは、修学旅行中の俺に無用な心配をさせないようにとの配慮だろう。師匠はああいう所は結構不器用なのだ。

 

 

俺はホテルのロビーの土産売り場の前の椅子に座る。この時間帯は周りに誰もいないようだ。

 

京都に鬼……京都には鬼の伝承が多数ある。それも伝説級の鬼となると、もはやSランク以上だ。

そんなものの封印が解かれたらどうなる。

横島師匠でもどうにもならないかもしれん。

SランククラスはAランクGSが数人でやっと倒せるレベルだ。

美神さんや美神さんの母親の美智恵さんクラスでないと、一対一じゃ対抗すら出来ない。

それほど危険な相手だ。

俺なんかがどうにかできるレベルではない。

いや……美神さんはそんなことが起きないとは言っていた。

たぶん。大丈夫だろうが………

そもそも横島師匠を鬼の調査に新潟にやったということは、大きな問題が起きる可能性が少ないため、派遣したのだろう。

しかし、なぜ、その横島師匠が京都に?

 

俺はマッカンに匹敵するほど甘いとされる京都限定の缶コーヒーを飲みながら、思考にふける。

流石は京都、マッカンに匹敵する甘さだ。

 

すると、俺の目の前に雪ノ下が現れる。

一瞬俺を見て、何もなかったように通り過ぎ、土産物コーナーで物色し始める。

 

「……ふう」

俺は雪ノ下の様子を見ていたが……京都限定のパンダのパンさんキーホルダーを顔を若干緩め眺めていた。

 

俺の視線に気がついたのか、緩めた顔を見られたのが恥ずかしかったのかはわからないが、俺の元につかつかと歩き毒舌を吐く。

「あら、比企谷くん。気が付かなかったわ。部屋から追い出されたのかしら?」

 

「ちげーよ」

雪ノ下は今気がついたかのような素振りだ。……さっき俺とモロに目があったよな?なんなの?

 

「そう、……その依頼の方はどうかしら、あなた達に任せっきりになって申し訳ないのだけど」

雪ノ下は俺が座ってるベンチに、人1人分空けて横に座る。

 

「戸部の依頼か……、雪ノ下はクラスが違うから仕方がない。由比ヶ浜が頑張ってたが、空回りしているぞ」

 

「その言い方だとあなたは何もやっていないように聞こえるのだけど」

 

「何もやってないな。そもそも、戸部自身が空回りしている上に、海老名さんは故意に避けているように見える」

 

「堂々とよく言えるわね。………でも、海老名さんが避けてる様に見えるとはどういうことかしら」

雪ノ下は呆れたように言ってきた。

 

「観察だけはしていたからな。あまりにも相手の情報が少ないからまずは情報からと思ってな。由比ヶ浜の話からしても、海老名姫菜は、男を避けてるように聞こえた」

 

「………そう、私にはわからなかったわ」

 

「この依頼は、諦めたほうがいい……相手にその気が最初からない上に、戸部の告白を望んでいない奴が身近に居る」

 

「そこまで……あなたは………」

 

「更に言うと……まあ、由比ヶ浜がやるって言い出したんだが……戸部が告白した場合の、その結果がどうなるかを由比ヶ浜は想像出来ていない」

俺は少し躊躇したが、雪ノ下にこの事を告げた。

依頼を受ける前にだ。その依頼を遂行した場合。どの様な結果が待っているかを由比ヶ浜はまったく考えていない。

俺が予想するに、戸部は振られるだろう。その結果、葉山と三浦のグループに微妙な空気が流れる。最悪海老名姫菜はそのグループから距離を置くだろうと………

 

俺はこの一年半、美神令子除霊事務所で散々その事を学んだ。

除霊の依頼も一緒なのだ。その除霊を行った結果どういう事が起こるのか、最悪二次被害、三次被害へと拡大するかもしれないのだ。そのことも検討しながら、除霊を行っていくのだ。状況によっては調査だけでもかなりの時間を取って行うこともある。

 

「結果の想像……由比ヶ浜さんにその事を指摘してあげなかったのかしら?」

 

「あの時、俺が口を出しても納得いかなかっただろう。雪ノ下もこの依頼に否定的だっただろ?」

 

「私は……そこまでは」

 

 

そんな時、ちょうど目の前にめちゃくちゃ上機嫌な、平塚先生が前を通る。

「おお、比企谷と雪ノ下か!!ちょうどいい、今から京都の有名店のラーメンをこっそり食べに行くところだ。君たちも来たまえ!!」

 

そう言って、平塚先生は俺と雪ノ下を強引に外で待たせているタクシーに載せ、白川通りまで走らせる。

 

「比企谷!!聞け!!私も中々のものだぞ!!ちょっとナンパされてしまってな!!しかも電話番号交換までしてな!!相手は私に夢中なのだ!!さっき電話したら本人にも繋がったしな…………今までは電話番号交換した男の番号はホストクラブや警察や消防署につながったからな!!はははははははっ!!」

 

………横島師匠……やばくないっすか?絶対この人のターゲットになってますよ。付きまとわれて、本当にストーカーしかねない勢いっすよこの残念美人教師。

 

俺と雪ノ下は散々その事を聞かされながら、濃厚スープのラーメンを食べたのだった。

食べ終わった後の雪ノ下の表情は疲れ切っていたことは言うまでもない。

 

 

 




というわけで、次回は2日目、陽乃タイム><
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。