やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。

今回は繋ぎ要素的なお話です。


(121)くすぶる火種

 

7月初旬。

一学期期末テスト前で部活動停止期間だ。

だが、俺達はいつも通り、部室で過ごしていた。

俺は代り映えもなく読書だ。

俺の場合、家に帰っても、ここに居てもやる事は一緒だからな。

由比ヶ浜もいつも通り勉強をやってる。

家でやるよりも、此処でやる方が捗るらしい。

由比ヶ浜の家には、あの迷惑な天災錬金術師ドクター・カオスが居るからな。

家に居ても落ち着かないだろう。

雪ノ下はというと、小町に勉強を教えてくれていた。

小町は俺に習うよりも、雪ノ下の方が良いそうだ。

それを面と向かって言われると地味に傷つくんだけど。

 

そんで今、一色が奉仕部に現れ、俺の目の前に椅子を持ってきて、お互いの膝が付くぐらいの距離で座り、無言であざとい笑顔を俺に向けていた。

この頃の一色の奴、妙に俺に突っかかって来るんだが、俺はこいつに何かしたか?

全く心当たりが無いんだが……

 

俺は本で顔を隠し、こいつと目線を合わせないようにし、とことんスルーする。

だが、一色の視線は本越しにずっと感じる。

 

此処で先に声を掛けた方が負けのような気がする。

別に勝負なんてしてはいないし、何の勝負かわからんが、そんな気がするのだ。

 

もうそろそろ、由比ヶ浜か雪ノ下辺りが助け舟を出してくれて、一色に用事を聞いてくれるか、追い帰してくれるはずだ。

由比ヶ浜と雪ノ下はこの頃、一色になるべくかまわない作戦をとっているようなのだ。

挨拶の後は、一色から用事を言わない限り、こちらから声をかけないようにしていた。

そして、俺もそのスタイルを踏襲しているのだ。

なぜ、そんな事になってるのかは謎だ。

一色とあいつ等との間にも何かあったのかもしれない。

 

「せーんぱい♡なぜ顔を隠すんですか?私が余りにも可愛いから、恥かしいんですか?」

一色はそう言いながら、俺の本を持つ手首を掴み、こっちに引き寄せる。

一色の方から俺に声をかけて来たという事は、俺の勝ちだな。まあ、意味は全く無いが。

すると、一色に腕を寄せられ、俺の体は自然と一色の方に流れ、一色の顔が近づいてくる。

そして、俺は至近距離で一色のその大きな円らな目と、目が合ってしまう。

 

「やっと、目を見てくれました。せーんぱい♡人の話は目を見て聞かないといけないんですよ~。学校で習いませんでしたか?」

一色は至近距離のまま首を少しかしげ、囁くようにこんな事を言ってくる。

くそっ、いちいち仕草があざといんだよ!

俺は焦りながら顔をそむける。一色に手首を掴まれたままだから、強引に体を逸らすわけにもいかず、これぐらいしかできなかった。

 

「いろはちゃん!何か用かな!?」

「一色さん!用事はなにかしら?」

由比ヶ浜と雪ノ下は同時に我慢ならないという感じで、声を荒げる。

小町は何故だかその様子を見て目をキラキラさせていた。

 

「はい、用事で来たんですよ。せーんぱいと先輩方」

一色はそう言って、由比ヶ浜と雪ノ下にもそのあざとい笑顔を向けていた。

一色の奴、どんどんパワーアップしてやがる。

俺らの対処も、手慣れてきてる感じだ。

一学期の初めまで、由比ヶ浜にやんわりと追い返されていたが、それもいつの間にか効果がなくなり、最近までは雪ノ下が一色が現れた瞬間に用事を聞き、対処必要無しと判断すれば、それをネタに速攻で追い帰していたが、それもこの頃効果を表さなくなったのだ。

 

「はぁ、最初からそう言えばいいだろ?」

 

「え~、だって雪ノ下先輩と結衣先輩に話をすると、私を先輩から引き離そうとするからですよ~」

 

「なんだそりゃ?」

意味が分からん。

 

「一色さん、手短に用事を言ってもらえないかしら?」

「いろはちゃん。期末テストも近いから」

雪ノ下と由比ヶ浜は少々いらだっているようだ。

 

「え~、まあいいです。えっとですね。私は行ってないんですけど、去年先輩方と小町ちゃんもボランティアで千葉村に行きましたよね。それ、今年もやりますからご協力お願いしま~す」

一色が言う去年のボランティアとは、俺がまだ、こいつ等にゴーストスイーパーだとバレる前の夏休みの事で、千葉村という千葉では結構有名な自然公園を兼ねた山深いキャンプ場で、小学生のキャンプ生活の補助をするボランティア活動のことだ。

俺は何も聞かされてない内に、小町を餌に誘き出され参加することに……。

奉仕部は強制参加で、学内の一般募集のボランティアとして、葉山と三浦のグループも参加していた。

そういえばあの時は、ちょっとした事件もあったが、今となってはいい思い出なのかもしれない。

 

「あ~、俺は仕事の可能性が大だからパス」

俺は目の前の一色に即、断りをいれた。

 

「雪ノ下先輩と結衣先輩、今回は2泊3日なんです。参加者は生徒会の女性陣と奉仕部の皆さんだけですね。だから男手が先輩だけなんです」

一色は俺の言葉など最初から聞いていないかのようにスルーして、雪ノ下や由比ヶ浜、小町の所に歩み寄り、話しかける。

 

「いや、可笑しいだろ?去年は葉山とかにも声をかけてたぞ、今年も声を掛けたらどうだ。お前にとって一石二鳥だろ?」

男手が俺だけってどういう事だ?だから参加しろっていうのか?

葉山に声を掛けろよ。あいつの事だから二つ返事でOKしてくれるだろ?

それに生徒会にも男がいるだろ、俺と同じ学年の副会長の、えっと誰だっけ?

 

「え~、だって葉山先輩達は今年は受験生じゃないですか、声をかけずらくて」

 

「俺達も受験生なんだが……」

 

「たまにはリフレッシュが必要ですよ。それに先輩方は皆勉強できるから大丈夫です」

なにその理屈は?おかしくないですかね。一色さんや。

 

「おい、雪ノ下と由比ヶ浜もこいつに何とか言ってやってくれ」

俺は雪ノ下と由比ヶ浜に助け舟を求める。

 

「………男の子はヒッキー一人、星が綺麗で……男子用の山小屋はヒッキー一人……」

「……………」

だが、何故か由比ヶ浜は何かぶつぶつと、雪ノ下黙って思案顔をしていた。

 

「おいって」

 

「そうね。リフレッシュは必要だわ」

「そうそう、たまには体を動かさないと」

何故か二人は一色の意見に同意しだしたのだ。

どういうこと?

 

「先輩方ならそう言ってくれると思いました~」

 

「俺は仕事があるから行かねーぞ」

だが、俺は仕事を盾に断る。

去年はゴーストスイーパーのアルバイトをしていた事はバレて居なかったから、これが使えなかったが、今年はここの皆は知ってるし、しかも今じゃ正式にゴーストスイーパーだしな。

 

「小町は、お兄ちゃんとまた一緒に行きたいな~。あっ、これ小町的にポイント高い?」

いや、お兄ちゃんには仕事があってだ。本当は小町とは行きたいんだぞ。

それに、一色の奴が何か厄介ごとを絡ませてるに違いないんだ。

 

「大丈夫よ。比企谷君の夏休みの修行の日程と、既に決まってる仕事の日程とは被ってないわ。今から休みを申請すれば、参加可能だわ」

雪ノ下は手帳とスマホを取り出し、何かを確認しながらそんな事を言う。

そ、そうだった。今は雪ノ下がうちの事務所の事務方のアルバイターになったんだった。

当然、俺のスケジュールも把握してるわけで……。

 

「……いや、そのだな」

 

「せーんぱい♡因みに顧問の平塚先生からはOK貰ってますんで、せーんぱいは逃げたりしないでくださいね♡」

一色は今日一番のあざとかわいい笑顔を俺に向ける。

 

「……はぁ」

俺は盛大にため息を吐く。

千葉村ボランティアの参加が決まってしまった。

一色の奴、すげーパワーアップしてるんだが。

何時もは何故だかお互いけん制し合ってるはずの、雪ノ下や由比ヶ浜も味方につけるとか、……何この囲い込み戦術、陽乃さんに似てるぞ。

総武高校の生徒会長は皆こんな感じになっちゃうものなのか?

 

 

 

 

その週の金曜日の夜は、泊りがけの仕事だった。

俺はオカルトGメンの西条さんと都内ではあるが、山梨よりの体育館や学校の研修施設を含んだ自然豊かな公園に来ている。なんでも廃校になった中学校だった場所を再利用した施設らしい。

俺は今回、オカルトGメンの指名で出向依頼を受けて来ていた。

何でも、俺の霊視に優れた目が必要だとか。

西条さん以外に、俺も顔を知ってるオカGの若手の男性が3人参加してる。

西条さんの直属の部下の人だ。

 

因みに美神さんとキヌさん、タマモとシロと横島師匠は俺以外のフルメンバーでの仕事だ。

結構、大きな仕事だ。俺も本来こっちに参加する予定だったが、今日の昼過ぎにオカGから要請が急に来たらしい。まあ、俺が居なくても、このメンバーなら全然問題ないし、俺が居たところであんまり役に立てそうもないしな。

美神さん達のほうも、泊りがけになる可能性がある仕事だった。

だから翌日は事務所に誰も居ない可能性があり、まあ、人工幽霊は居るのだが、雪ノ下には予め翌日の土曜日は休むようにと連絡が入っていた。

事務所での仕事だが、まだ入ったばかりで半分研修期間のようなものだからな。

 

オカルトGメンの今からの仕事の内容はこうだ。

夜な夜な何者かに、公園内が踏み荒らされるというものだ。ただ、大きな建物施設は今のところほぼ無傷らしい。一応公園も一日あれば、何とか復帰できるレベルだったそうだ。

こんなことがこの1カ月間で3度あったそうだ。

最初はイノシシか何かが集団で侵入したのだろうとか、誰かの悪戯だろうと考えていたそうだ。

ここまでだったら、不法侵入や器物破損等で普通に警察の仕事だ。

此処は、閉園後は監視機器の作動だけで人は居ないそうだ。

だが、荒らされただろう夜間時間の監視カメラや警報機には全く異常を示さず、何も映っていなかったそうだ。

なのに、翌日には、公園は何者かに踏み荒らされたかのような感じで、1度目には、公園内で放し飼いで飼育してる鳥などの小動物が一匹残らず消えたそうだ。

一昨日の3度目で、人間の仕業ではないのではないかと判断し、ようやくオカGにお鉢が回って来たそうだ。

 

そして今は公園は昼間も営業停止をしている。

何者かに踏み荒らされたままの現状を残すための処置だ。

今日の朝から既に西条さん達は先行して現場に向かい、公園の内部を調査している。

聞いてる限りでは緊急性は無さそうなんだが……

 

俺は学校が終わり、事務所に寄って装備を整えてから、電車で近くの駅まで向かい西条さん達に合流した。

 

西条さんや部下の人達と挨拶を交わしてから、西条さんが現状を説明してくれる。

「急に呼び出して悪いね比企谷君。どうしても君の目がどうしても必要でね。後シロ君やタマモ君の手も欲しい所だが、令子ちゃんに断られたよ」

という事は、この事件はオカルト関係の事件だと確定して、しかも探査系の霊能が必要だということか、しかも緊急の……

 

「公園内部を踏み荒らしたのは、間違いなく魔獣や妖獣の類だ。瘴気の残滓も残っていた。足跡からの推測ではそこそこの数だ。……なのにだ。今はきれいさっぱりその魔獣が居ない。周りは山々だし、そこに潜んでいるのだろうと、一応辺りを車で移動しながら、スーパー見鬼くんで探査も行ったのだが、それらしい反応は一切ない。公園の外にも足跡などが残っていないか調べたが、公園の敷地外には一切見つからないんだ。周りの住人にも聞き込みをしても、そんな魔獣やら姿どころか鳴き声等も無いらしいんだ。現状で考えられる事は、魔獣や妖獣はこの公園の敷地内限定で現れて、そして消えたということになる」

どういうことだ?公園限定で魔獣や妖獣が現れるなんて事があり得るのだろうか?

確かに、魔獣などは自然発生的な空間の歪みから急に現れたりするが、だからって綺麗さっぱり居無くなるとは……、また空間の歪みに帰って行った?いや、考えにくい。自然発生的に生まれた空間の歪みなんてものはずっと、そこに留まってる事は少ない。飽くまでも偶発的に起きる。

一瞬だけ開いて、そこにたまたま魔獣が現れる。そんで暴れまくるってのが普通だ。

だから、戻れなくなった魔獣はそこに留まって、ずっと被害を増やし続ける。

という事は……

 

「西条さん……誰かが意図的に魔獣か妖獣をここに放った。ということですか?」

俺は自分の考えを西条さんに聞いてみた。

人為的に何者かが魔獣をこの場所に召喚したということか?いや、結構な数だと言っていた。召喚者が複数居たという事か?いや、あの安田って人みたいに、封印筒を多数使って、解き放った?

それで、何かしらの目的を終わらせ、それらを強制的に召喚元に戻したか、再封印したかということなら……かなり難しいがやってやれない事は無い。

 

「比企谷君流石だね。これだけの情報でそこに行きつくとはね。君だったらすぐにオカGの即戦力になれる」

西条さんは、苦笑気味に褒めてくれる。

 

「ですが、センサーや監視カメラに魔獣たちや、魔獣達を召喚した人物や操ってる人物が写ってるはずです。それを警察も見逃すはずが無いでしょう。でも、実際にセンサーや監視カメラに写っていなかった。相当おかしなことになってそうですね」

だが、監視カメラやセンサーの類に全く反応しなかったという事はどういうことだ?センサーに穴が?実体化するぐらいの魔獣であれば、センサーに引っかかるし、監視カメラにも映る。ましたや、それを召喚した人間や解き放った人間も、映るだろう。

 

「そうだ。この公園を荒らしたのは魔獣や妖獣の類だと判明した。しかも人為的だろうという事も推測できる。だが、その魔獣たちの行方はつかめず、召喚者や操ってる者の行方も分からない。しかも魔獣をなぜここに寄せたのか、なんの目的でここに魔獣を顕現させる必要があったのか、やり方や目的がまるで分らない。だから君を呼んだ。君の目で色々と探ってほしいと思ってね」

………目的がわからない。やり方さえも……犯人は姿さえ見えない。

嫌な予感がする。これももしや……

 

「霊災愉快犯……ですか?」

……一連の霊災愉快犯、連中の中には、サイバーオカルトを得意としてる奴もいるようだ。

もしかしたら、センサーや監視カメラに何らかの処置を施したのかもしれない。

 

「ああ、僕もそう感じている。今回も目的は不明。それに僕らの目を欺く程の高度で、一見デタラメに見えるが、その実は計画性のあるやり口は……その可能性が非常に高い。しかし、奴らはこんなところで何がしたいんだ?」

西条さんは、眉を顰め俺にそう語った。

霊災愉快犯。その糸口になりそうな、先の若手テストで暴れてハイオークに成り果てた安田は、未だ回復をしていない。

 

「……とりあえず、園内をくまなく霊視してみます」

 

「今迄の経験上、トラップという可能性もある。十分警戒をしてくれ、僕らも君の援護が出来る範囲で行動する」

 

「わかりました」

 

俺はこうして、西条さんと共にこの公園施設を隈なく調査を実施した。

調査は翌日の朝までかかった。

 

そして、判明したことが一つ、これは何者かが仕掛けたという事だけだった。

まずは、公園広場の中心に近いの草むらの中に、魔法陣らしきものを見つけた。

そう、らしきものだ。

 

草むらに何らかの規則性を持って石を配置しただけのものを見つけた。

石を置いて術式や魔法陣を描くこともある。

古代の大規模魔法陣なんかでよく見かけるものだ。

世界遺産のストーンヘンジは実は古代の大規模魔法陣の一部だと言う事が分かっている。

 

そして、俺は霊視空間把握能力をフルに使い、魔法で使用された霊気などの力の残滓を辿ると、公園の何か所かに、隠されるように、石が並べられていた。

これだけでは、魔法陣としては、かなり不足したものだ。

ただ単に石を並べただけのものだ。

なにも発動させることも出来ない。

だが、これらの石には明らかに霊気が通ったような跡が、俺の霊視では見えた。

これが、後一日遅れていたら、霊気の残滓のような跡は完全に消えて、俺の霊視でも見えなかっただろう。

 

だが、どうやって、この石を並べただけのものが、何らかの魔法陣として発動できるのかがまるで分らなかった。

 

これが、魔獣や妖獣との関連性は今のところ分からない。

だが、状況的にこれが何らかの関係性が在るだろうということ容易に想像できるが、この石の並びだけでは、何せ魔法陣としては、意味はなさないのだ。

どんな魔法陣なのかすらわからない。

ただ、状況から魔獣や妖獣を召喚するための魔法陣の一部の可能性が高いとしか言えない。

 

とりあえず、再度利用される可能性があるため、写真を撮った後に石は全て回収した。

それだけでも、かなりの時間が掛かった。

 

一応の作業を終えた後、西条さんは俺をうちの事務所まで送ってくれた。

西条さんは、美智恵さんに報告と共に、今回の石を並べただけの魔法陣らしき物が、どのような魔法陣と関連しているかなどの検証を、オカGに戻って改めて行うらしい。

さらに、何者かが事前にこの石ころの配置を行った事は確かなため、公園を出入りした不審者が、この1~2カ月に居ないか等を追跡調査もするらしい。

重大な事件に発展していないだけに、警察もオカGも人数が割けないのだそうだ。

西条さんは、また徹夜だなとぼやいていた。

 

別れ際に、また何かあれば頼むよと、苦笑いを浮かべていた西条さん。

オカGの人手不足は慢性的なようだ。

 

 

俺は事務所に戻ると、1Fの駐車場に美神さん達の車が戻っていた。

美神さん達は既に事務所に戻っていた。

 

俺が現地で調査を終え、現場から美神さんに報告の連絡をしたのは、一晩明けた今日の午前10時頃。

美神さんの依頼の方はどうやら、空振りだったようで、現場に横島師匠を残して、昨日の内に早々に引き上げたそうだ。

確か依頼内容は、高級デパートのとある階層だけ、一夜の内に荒らされたように破壊されていたとか。何らかの心霊現象のようだが。

美神さんが荒らされた写真を見て、眉を顰めていたのを覚えている。

結構な厄介な事になるんじゃないかと……だが、結果的に空振りだったという事だ。

 

依頼が達成できないため、依頼料の前払い分しかもらえなかったのだろう。

電話で応対する美神さんは明らかに機嫌が悪かったな。

 

 

「ふぁぁぁ」

エレベータの中で欠伸が出る。

流石に一晩中の広い範囲での調査は、気力的にも体力的にも堪える。

霊視能力もフルに使ったし、霊気も限界に近い。

美神さんにさらっと挨拶と報告をして、仮眠室で寝るか。

 

 

俺はまだこの時、事務所に俺宛に客が来ていた事を知らなかった。

 





すみません。新キャラは次回に持ち越しです。

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