やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。

いよいよ話が動いてまいりました。
今迄の伏線が漸く、ちょっとづつ回収できそうです。



(131)総武高校での攻防

俺は体育館の屋上からグランドへ飛び降り、バックネット付近の異界の門からグラウンドの中頃で屯するオーク30体の集団に突っ込む。

 

走りながら霊体ボウガンを構え、オーク共の集団25m程手前から、破魔札を巻いた銀の矢を放ち1体のオークの額に突き刺し、頭を吹き飛ばす。

 

少々横移動しながら素早く霊体ボウガンに銀の矢をセットし、狙いを定め再発射、1体オークの頭を吹き飛ばす。

そして更にもう1体と………

これで、オーク共は俺に気がつき、襲い掛かってるだろうと思っていたのだが……

 

先ほどまでまとまりが無かったオークの集団は、仲間の死骸を食ってハイ・オークとなった個体が叫び声をあげると、密集し集団を形成しだしたのだ。

 

その密集した集団は粗末ながら陣形らしきものを形成し、オーク共はこん棒を振り上げ構える。

更にそのこん棒を顔正面にもっていき縦に構えだす。頭を隠すかのように……。

 

俺は霊体ボウガンに銀の矢をセットし構えながら、その様子を見据える。

その構えは明らかな霊体ボウガン対策だ。

 

厄介だな。

さっきまで動きがバラバラだったから、楽にオーク共を倒す事が出来たが……

知能がある魔獣と文献にあったが、こういう事か。

上位種であるハイ・オークは相当知能が高い様だ。

こうもオーク集団をまとめるとはな。

こん棒を縦に構えて頭を隠す霊体ボウガン対策もそうだ。

オーク共は再生能力が非常に高い。脳さえ潰れなければ再生していくのだ。

元々はとある魔神が生み出した魔獣兵だったというしな。

戦闘慣れしているようだしな。

そう言う生き物なのだろう。

俺を唯の人間と認識して舐めてくれればいいものの、陣形を整えるとはな。

強敵だとでも思われたか?

 

 

そうこうしてる内に、オークが異界の門から次々と現れ、さらに集団の数が増えていく。

 

 

 

だが、まだやり様はある。

 

幸いにもここは俺のホームグラウンドだ。

好き勝手にやらせるかよ。

 

 

オーク共は、ハイ・オークの指示を受け、今度は俺に襲い掛かって来る。

5体の小集団を4つ作り、左右2隊に分けて、襲い掛かって来たのだ。

挟み撃ちか……いや、残りのオークもゆっくりと前進してくる。

三方向からの攻撃だ。

俺を逃がさないようにし、動きを封じる作戦か。

 

俺は少々後ろに飛びのきながら、霊気を開放し、俺の周囲10mに霊気の層を形成させ、俺の霊気で満たす。

霊視空間結界……

俺の周囲10m内を霊気を満たすことによって、その範囲内でリアルタイムで精密霊視が可能となる。

要するにこの範囲内の事象を把握し、相手の動き精密霊視レベルで読み取り、先読みが出来る。

今年の春休みの妙神山の修行で、さらに有効範囲の拡張や霊気の省エネ化など各種パワーアップしている。

 

 

そして、左右から20体のオークが俺にこん棒を振るったり素手で掴みかかったり、又はその体格を生かして突撃をして来るが、俺はそれを先読みして悉くひらりひらりと避ける。

俺の霊視空間結界内では、オーク共が次にどんな攻撃をして来るのか目を瞑っていたとしても全て把握できる。

オークの動きはそれほど早くないため、最小限の動きだけで避ける事が可能だ。

更に、全面からゆっくり迫って来るオークも含め、最大32体のオークの攻撃をかわし続ける。

 

俺はオーク共の攻撃を悉くかわしながら、少しづつ後退していた。

 

俺は言霊を紡ぎ出す。

少々長い詠唱だが、ゆっくりとな。

 

今だ!

俺は一気に後ろに飛びのき……

 

「風来招雷陣!」

締めの言霊を発する。

 

すると俺の目の前で、電撃を纏った直径14メートル程の竜巻が巻き起こり32体のオーク共を巻き込む。

 

5秒ほどで竜巻は消え、32体のオーク共の半分以上は感電により絶命し地面に転がり、3分の1程度は直撃は避けたようだが、ダメージを食らい瀕死状態だ。

動ける3体は俺に必死に襲い掛かってきたが、俺は冷静に対処し、1体は霊体ボウガンで、2体は霊波刀で額を突き刺して倒す。

 

瀕死のオークは神通棍の霊力放電で止めを刺していく。

 

 

風来招雷陣……

この学校の至る所に結界陣や攻撃術式などの霊的トラップを仕掛けてある。

その中でも、攻撃に特化した最大級の術式がこれだ。

設置条件は厳しいがここにはそれが全部そろっている。

このグラウンドには丁度左右対称の物が離れた場所に対面に設置されている……それはサッカーゴールだ。これを風神、雷神に見立てて術式を形成させたのが今回の風来招雷陣だ。

総武高校のグラウンドは奥側が野球、体育館側手前はサッカーが出来る程の広さがある。

サッカーに至っては、野球側を使えばサッカーコートが同時に2面出来る。

しかし普段は、この体育館側の面をサッカーコートとしてサッカー部が使用してるため、サッカーゴールは何時もこの定位置に置いてあるのだ。

 

俺はそのサッカーゴールに例の如く、透明ペイントで術式陣を仕込んでいたのだ。結構大変だったがやってやれんことは無かった。さらにサッカーコートには、正確にラインが引かれ、中心部はご丁寧に円が描かれている。半径7メートルのセンターサークルだ。

そのセンターサークルは丁度サッカーゴールとサッカーゴールが向かい合う中心にある。

それを利用しない手はなかった。

サッカーコートのラインは消される事は有ったが、中心のセンターサークルだけは消えない仕様だった。

その円と左右対称に置かれたサッカーゴールのお陰で、風神雷神に見立てた結構大がかりな術式を仕込むことが出来たのだ。

そして、オーク共を円の周辺に誘き出し、一網打尽に出来たというわけだ。

餓鬼やインプ程度だったら即消滅の威力だが、流石は耐久力があるオークだ。

消滅には至らなかったが、ほぼ全滅に近い効果をもたらす事ができた。

出来れば死体も消滅させたかったんだがな、また食われてハイ・オークになられたら厄介だ。

 

俺は瀕死のオーク共に追い打ちをかけながら、残りのオーク共を見据える。

残りはハイ・オークと新たに現れたオーク共6体ほどか……

 

ハイ・オークは俺から距離を取るかのように下がりだす。

 

 

そうはさせるかよ。

 

そんな時だ。

通信札から雪ノ下の声が届く。

声のトーンがさっきよりも低い。

『比企谷君……』

それよりも、何か後ろで変な音が聞こえてくるんだが。

パパチッパパチッパパチッピュッピュッピュッって、まるでガン〇ムのホワ〇トベースの警報音みたいな奴だ。

 

「なんだ?なんかうるさくて良く聞こえないんだが」

 

『由比ヶ浜さんの時計が急にこんな音が鳴り始めて、カウントダウンしだして、後7分とか……一色さんが爆弾ではないかと言うものだから、由比ヶ浜さんが慌てふためいて』

 

「はぁ?そんな事の為に通信してきたのか?今戦闘中だ。後にしてくれ……」

どうせ、ドクターが由比ヶ浜の時計を無断で改造したんだろう。

それに爆弾なわけが無いだろ?ドクターが由比ヶ浜を害するような物を作るわけが無い。

いや、害する意図は無くても、はた迷惑な結果を残すのがドクターか。

……ドクターか…ドクター・カオス……そんで由比ヶ浜の腕時計を勝手に改造し、なぞのカウントダウンか………

もしや……いや、あり得る。

俺は由比ヶ浜を孫のように扱うドクター・カオスの顔を思い出していたのだが、そんな思考を一気にかき消す様な言葉を雪ノ下から聞く。

 

『そうじゃないわ。……落ち着いて聞いて、小町さんがいないの』

 

「……小町がなんだって?」

雪ノ下が何を言っているのか一瞬わからなかった。いや、聞き間違いだと思った。

 

『比企谷君。担任の先生が点呼したのだけど、小町さんだけが体育館にいないのよ』

 

「そんなはずは……。俺は小町と朝はいつも通り一緒に学校までチャリで登校した……」

俺は訴えかけるように話す雪ノ下の言葉を理解し、体育館に顔を向け霊視と気配察知を行い、小町の存在を確認しようとする。

 

『ホームルームにはいつもと変わらず出ていたようなのだけど……』

雪ノ下は言葉を続ける。

 

「………」

俺はそんな雪ノ下の声を半分以上聞こえてなかった。

霊視で確認したが体育館には小町がいない……。

俺が小町の気配や霊気を間違えるはずが無い……間違いなく小町は体育館にいない。

どういうことだ?

 

『クラスメイトが避難勧告前に、小町さんが校門の外に慌てて出て行く姿を見たと言っているわ』

 

「そ、そうか。だったら大丈夫じゃないか?雪ノ下、焦らせるなよ」

俺はホッと息を吐き、雪ノ下にこう言ってやった。

そうだ。この結界が張られる前に、小町が学校の外に出ていれば、巻き込まれる事は無いだろう。

 

「それならいいのだけど……」

雪ノ下は不安そうに言い淀んでいた。

 

大丈夫だ。きっと小町は大丈夫だろう。

結界の外にいるのだからと、俺自身に言い聞かせる。

だが、俺も雪ノ下同様に得も言われぬ不安感に襲われていた。

小町は何故、校門の外に出て行ったのか?

小町に限って勝手に学校を抜け出す様な真似はしないはずだ……。

 

 

いや、今は考えるな。

小町はきっと外で無事だ。

 

今は目の前の事に集中しろ。

あと少しで終わる。

あのハイ・オークと残り少なくなったオークを倒して、異界の門に広範囲結界を張るだけだ。

 

 

だが、急に通信札に激しいノイズがかかり、雪ノ下との通信が遮断され、別の声が入って来る。

聞いたことが無い男の声だ。

 

『やあ、初めましてかな?こうやって話すのは初めてだから初めましてだろうね。このほどBランクに昇格した比企谷八幡君』

 

誰だ?

雪ノ下との通信札とは明らかに遮断された形跡がある。

俺の霊視では雪ノ下の近くには由比ヶ浜と川崎、それに一色と平塚先生が体育館準備室にいるだけだ。

川崎に渡した通信札とも異なる。

 

割り込んできたのか?

そもそも、そんな事が可能なのか?

 

「あんたは誰だ?」

俺がGSでBランクに昇格したことを知ってるという事は、GS協会会員の誰かか?

外からの救援か?

いや、この状況でどうやって?

そもそもこのとんでもない結界の外から通信が可能なのか?

俺は自然と警戒し、通信してきた男に名前を聞く。

 

 

『僕かい。僕の事はどうでもいいんだけど。ちょっと君にお願いがあってさ、そのオーク達を倒さないでくれないかな』

声の主は平然とこんな事を言って来やがった。

……こいつは敵だ。この結界を形成し異界の門の形成にかかわった奴だ。

それともこの結界やら異界の門の首謀者本人か?もしかすると霊災愉快犯の首謀者の可能性もある。

 

「あんたがこの結界やら異界の門を仕掛けた首謀者か?……!?」

俺は異界の門まで下がったハイ・オークとオーク達を見据えながら、総武高校全体に意識を飛ばす。

いや………、学校の校門に誰か居やがる。こいつの可能性が高いな。一人じゃない……二人……しかも、片方は!?

「……おい、お前がどうして俺の妹を連れてる」

俺は自然と声のトーンが低くなる。

 

『君、凄いね。そこからじゃ僕らが見えるわけが無いのにね。僕はこの結界内の事は凡そ把握できるけど……君はどうやったのかな?ああ、君は霊視が得意だったっけ』

『………お、お兄ちゃん…』

その男はおどけた風にそう言って、ワザと俺に小町の声を聞かせた。

 

「そんな事をきいてねーよ。どうしてお前が俺の妹を連れてるんだと聞いてるんだ!」

そいつと小町はゆっくりとした足取りで、校門からグラウンドへと歩んで来るのが霊視と気配察知で見えている。

 

『おお怖いね。君、そんな声も出せるんだ。聡い君ならもう分かってるんだろう?人質だよ。君に対しての一応のつもりだったのに、こんなあっさりカードを切るとは思っても見なかったよ。ああ、一応言っておくよ。君は今からオークや異界の門にはちょっかい掛けない事、ちょっとでも抵抗したらこの子どうにかなっちゃうよ。そうだね。オークの餌にしちゃおうかな?』

俺は一瞬その言葉を聞いて、怒りで頭が沸騰しそうになる。

 

冷静になれ八幡。

確かに小町はこいつの手中だが、今は無事だ。霊視では怪我とかも無さそうだ。

精神操作なども受けてない。まだ、大丈夫だ。

それで、こいつが今回の首謀者か首謀者の一人で間違いないだろう。

よりによって小町を人質に取りやがって!

 

「どうやって、小町を連れ出した」

 

『簡単な事だよ。霊能なんて使わなくても普通にね。お母さんが職場で大けがして入院したって、僕はお母さんの会社の同僚だと言ってね。学校とお兄さんには伝えたから、今車を外に用意してると言ったら、急いできてくれたよ。ほんと助かった。素直でいい子だね小町ちゃんは』

 

「……お前の目的は何だ………」

小町を人質に初めから取るつもりだったという事は、俺狙いか?

怨恨か?いや、俺は人に恨まれるような事は……知らず知らずという事もある。

勝手に向こうが勘違いしてという線もあるかもしれない。

そうだったとしても、俺を陥れる為に、学校の連中まで巻き込んだという事か?

いや、もっと考えろ。冷静に……冷静にだ。

俺一人を陥れる為に、こんな大それた結界や異界の門が必要か?

俺に怨恨があるとしても、ここまでの物は必要ないだろう。

こんな結界や異界の門を形成でき、小町まで簡単に人質にとれるような奴だ。

もっとやり様があるはずだ。

 

『さーね』

そいつはとぼけた風に応える。

丁度、校門方面からグラウンドに下がる階段の上側にジーパンにパーカー姿の線の細そうな男と制服姿の小町が現れたのが見えた。

小町は後ろ手を何かで縛られてるようだ。

小町の顔は強張っているようだが、取り乱したり絶望してるようには見えない。

霊視でも小町の精神状態は下降しているが、折れてはいない。

 

俺の今居るグラウンドの体育館側から、小町までは直線距離で120mってところか。

この距離ではどうにもならないか……。

何とか奪還しないとな。

 

『僕が見えたかい?』

そいつは俺にこっちに体を向け、手を振ってアピールして来る。

俺は男の方を霊視と直接視認し、ある事に気が付いた。

さっきから気にはなっていたが、この気配と霊気の感じ、それにこの声……

こいつがそうだったのか!

 

「お前は……若手テストバトルロイヤルで俺とハイ・オークとの戦いに居合わせた……稲葉義雄……」

そう、こいつは俺がハイ・オークと化した安田と戦ってる最中、ハイ・オークの突撃進路上に突然現れて、慌てふためいていた奴だった。

オカルトGメンの調べでも白と出ていたが、俺は何か引っかかって調べた。

稲葉義雄23歳DランクGS。安田と同じ世代のGSだったが、特に安田との接点は無かったはずだ。GS特性は防衛型だった。

調べた資料からはオカルトGメンの見解と同じで特に何も出なかったし、経歴も平々凡々だった。

 

『あちゃー、失敗したな。あの時だよね。僕の事調べちゃった?まいっか。そうれっ』

稲葉は通信札越しにそう言って、何やら懐から取り出すと、ハイ・オークが4体程現れた。

封印筒にオークだと!?

 

『君に一応紹介しておくね。左から事務所の先輩の青木さん、平田さん、水野さん、井上さん』

稲葉は楽し気にハイ・オーク共を指さし日本人の苗字で紹介して行く。

 

「……お前、まさか!?………」

俺は奴の戯言を聞いて嫌な予感がする。

 

『そうだよ。安田君同様、ハイ・オークになって貰いました。凄いよね。Dランクだった先輩方が、Bランクの魔獣になるなんてね。安田君が暴走してくれたお陰で色々と検証がすすんでね。そのおかげで先輩達もご覧のとおりさ』

稲葉は今も俺に楽し気にそんな事を語り掛けてくる。

 

「…………自然公園のあれはお前の仕業か」

 

『あちゃー、それもバレちゃった?あそこで色々実験やっててさ。先輩方もあそこでハイ・オークになって貰いました』

 

「お前、自分が何をやってるのか分かってるのか?」

こいつはとんでもないサイコ野郎だ。

楽し気にこんな事を言ってのける。

 

『何言ってるの?分かってるから、やってるんじゃん。この結果は相当凄いよ。それにさっきからお前お前って、僕は年上でGSとしても先輩だよ。敬称ぐらい付けたらどうだい。稲葉さんってね』

こいつは、ちょっと不満そうにこんな事を言ってくる。

 

「……大人しく投降しろ。今なら死人は出てないし、その4人の先輩とやらも元に戻れるかも知れない」

無駄そうだが、時間稼ぎに説得を試みる。

時間を稼いで、小町の奪還とこいつを捕まえる方法を考えないとな。

 

『投降しろって、何処にだい?誰に?誰に投降すればいいの?』

 

「お前をオカルトGメンに引き渡す」

 

『オカルトGメン?あの嘘つきの組織に!?冗談じゃない!!僕らに投降するのはオカGや協会の連中と日本政府のほうだ!!僕らを騙し、偽りの平和を等々と騙るあの連中こそ悪だ!!僕はその悪を正すためにこうしてる!!僕らにひれ伏し懺悔するのはあいつらの方だ!!』

稲葉は急に豹変し怒鳴り散らしてきた。

 

「こんな結界を張って学校の生徒を巻き込み、禁忌魔術の異界の門まで生成しておいて、何を言ってやがる」

 

『そうか……君は知らないんだ。かわいそうに。この世が偽りで出来てるって事を……あいつらは3年半前のあの大戦争をひた隠しにし、偽った事を……』

稲葉の怒りは収まり、静かにそう語った。

 

「何を言ってる?」

 

『知らない君には罪は無いよ……』

 

「どうでもいい。大人しく投降して、異界の門を閉じ、結界を解除しろ!小町と今すぐ生徒達を開放しろ!」

 

『ダーメだよ。まだ実験が完了してないんだし、君が邪魔するから大幅に遅れちゃってるんだけどね……まさか、君がここまで強いなんて想定外だよ。Bランクに昇格なんて、あの汚いGS協会やオカGが身内の君にえこ贔屓していたんだと思ってたのに、あの時だってハイ・オーク1体に手間取ってた感じだったのに、まさかあの時は手を抜いてたの?今の君を見ればBランクどころか、Aランクと名乗ってもおかしく無さそうだね。君は本物だよ。どうだい僕達の仲間にならないかい?』

 

「人の妹を人質にとっておいて何言ってるんだ?」

 

『そうだよ。僕には妹ちゃんがいるんだよ。今は僕がイニシアティブをとってるんだ。君が僕に投降して、仲間になるって悪魔契約してくれたら、妹ちゃんの小町ちゃんは開放してあげるよ。ああっと、因みに僕を傷つけない事だね。僕が意識を失うとここの結界が解けちゃうんだ。でも、異界の門はそのままだし、オーク達は街にも行っちゃうかもね。ほら、君と話してる間に、オークは80体位に増えちゃったよ。このオーク共を一気に殲滅できるかい?まあ、僕も痛いのは嫌だし、僕の実験は失敗しちゃうからそんな事はさせないんだけどね』

俺は異界の門の方をちらりと見やると、オークの数は確かに80体ほどに増えていた。

しかも、さっき俺が倒した32体のオークの死骸も既に無い。オーク共が喰らったのだろう。80体の中に二回り程体が大きい奴が5体…ハイ・オークも5体に増えているしな。

だが、オークの群れは、俺に襲ってくる気配はない。

それどころか、大人しくし陣形を整えていた。

稲葉はオークを操るすべを持っているのかもしれない。

それに、奴の周りには元人間のGSだったハイ・オーク4体が奴と小町の周りに大人しく控えているしな。

……それにかなり用意周到な奴だ。

そりゃそうか、あの一連の霊災愉快犯の仲間か首謀者かもしれないからな。

何れにしろ、今のままじゃ、手も足も出ない。

今は時間を稼いで、この状況を打破する方策を考えろ。

 

「言う事を聞けば……生徒達も開放してくれるのか」

 

『それはダメだよ。実験にならないじゃん。だから君の対価は妹ちゃんだけだよ』

 

「どういうことだ?」

 

稲葉は薄ら笑いを浮かべ、こう答えた。

『あー、さっきは言わないって言ったけど、せっかくだから教えてあげるね。僕の目的はね。ここの総武高校の生徒を使って、実験する事なんだ。オークが人間を何人喰らったらハイ・オークに進化するのかってね』

 




まだまだ、伏線の回収は続きます。
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