やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。   作:ローファイト

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そして、俺ガイルの中最も波紋をよぶイベントへと向かう。


⑭俺に任せろ

俺は土御門本家で、当主土御門風夏、その長男の土御門吉春、そして、土御門姓を名乗る陽乃さんとこのだだっ広い社で、豪華な昼食を頂き、今はティータイムだ。

 

そこで、社が微妙に揺れる。

地震か………いや、これは……場の霊気が漏れている。しかもなんだこの仄暗い霊気は………

 

「あらあら、地震かしらね………その様子じゃ分かっちゃったかしら?」

当主はとぼけたような事を言いながら、俺の様子を見ていた。

 

「そうですね。ただの地震じゃないです。霊気が漏れてますね。何かが地下深くに蠢くような………」

 

「やはり、横島くんの弟子ね。そこまで分かっちゃうのね」

この人、やはり横島師匠の事を知っている。もしかして俺以上に……

 

「土御門は古くから京都の守護を任された陰陽師の家系………京都には幾つもの妖魔が封印されているわ。物によっては一定の期間ごとに再封印が必要なの。それこそ100年単位の周期でね」

 

「そうなんですか」

 

「その内の一つが、今、ちょうどその再封印が必要な時期なの。前々から準備を進めていたの、比企谷くんが心配することは何もないわ。私がまだ元気な内にこの周期が来たことは幸いだったわ」

なるほど、ここは綺羅びやかな都であったと同時に魔都とも呼ばれた場所だ。綺羅びやかな裏にはこの様な事が1000年以上前から日常的に行われてきたのだろう。

その役目を陰陽術と共に脈々と受け継がれてきたのが土御門家か……

 

「私が戻ったのも。そのためなのよ。大規模な再封印が体験できる機会なんて滅多にないしね」

陽乃さんはあっけらかんと言う。

 

……それだけか?いや……考えすぎか……

 

ここは土御門本家。そして目の前に居るのは間違いなくSランクGSの土御門風夏。滅多なことは起きないだろう。

 

「そろそろ、御暇します。修学旅行中なんで………」

意外と時間が過ぎるのが早い、由比ヶ浜と約束した時間が差し迫っていた。

 

「ごめんなさいね。わざわざ来てもらって」

当主は笑顔をずっと絶やさない。このアットホームな雰囲気はこの当主あってこそだ。

 

「いえ、俺も貴重な話を聞けたので、ありがとうございます」

 

「じゃあ、比企谷くん。下の山門まで送ってくね」

俺はこの場を辞し、社を後にし陽乃さんと共に山門を降りていく。

 

「比企谷くん……霊能が急に発現したということは……霊障は…」

 

「大丈夫です。霊気・霊力のコントロールを会得できましたんで」

 

「霊能の家系でもない比企谷くんがそこまでになるなんて、相当努力したのね」

 

「いや、師匠の教えが良かったからですよ」

たしかにそうだ。俺は霊能の発現で霊気が溢れ出す体質となった……しかし俺には霊力コントロールを行う才能とキャパがなかった。だから霊気はそのまま体外へ垂れ流しになる。

それを制御するための霊力コントロールなのだ。

横島師匠は俺に叩き込んでくれた、霊力コントロールのすべを…根気良く、日々繰り返し教えてくれた。

 

「家の師匠もどうやら横島忠夫を買ってたけど、そんなになの?噂では変態だとかセクハラ常習犯だとかしか聞かないけど」

セクハラ常習犯に変態は合ってます。しかしそれ以外が聞こえて来ないとは、不可解だ。霊能力は少なくとも俺や陽乃さんよりも圧倒的に上だ。

 

「まあ、普段はアレですが、俺の目から見ても、かなりの使い手ですよ」

 

「ふーん。………比企谷くん。雪ノ下からは必ずちゃんとした償いはさせるわ」

 

「いえ、別に良いです。入院費や病院の個室とかすべて持って貰ってましたんで、半分俺が車に突っ込んでいった様なもんだし、霊能に目覚めたのは、誰のせいでも無いですよ。たまたま運が悪かった………いや、こうして霊能者になれたのは運が良かったと言ったほうがいいのか」

 

「……そう………でも」

陽乃さんは心苦しそうにする。やはり土御門に居る陽乃さんの表情は自然だ。

これが、素の陽乃さんか………雪ノ下では堅苦しい思いをしていたのだな……

 

山門まで陽乃さんに送ってもらい。別れ際には………

「比企谷くん、今日言ったこと本気なんだから」

 

「何のことですか?」

 

「君を落とすわ、雪乃ちゃんには悪いけどね!」

 

「………ちょ!?」

 

「じゃねー、八幡!」

陽乃さんは山門から、駆け上がって行ってしまった。

 

………まじなのか?……なんで俺?冗談じゃないのか?

悪い気はしないが、なんというか俺は………うーん。

 

俺は土御門家での出来事や、陽乃さんの言葉を思い出しながら歩いて……嵐山の駅まで向かった。

途中由比ヶ浜に連絡して、嵐山の駅近くの喫茶店で待ち合わせの約束したのだが、何時もの元気が無かった。

 

 

 

「あら、あなた何処に行ってたのかしら」

 

「ちょっとな」

 

「女人禁制の寺なんてものは、今はないわよ嘘付谷くん」

雪ノ下は俺を疑うような目つきで見据える。

しまったな。そりゃそうか、雪ノ下にはばれるのは当然か……

 

「どうしても、前々から1人で見ておきたい場所があったんでな、すまなかった」

 

「意外と素直に認めるのね。で、何処に行ってたのかしら?」

 

「それは、秘密だ」

 

「………まあ、今はいいわ。今度じっくり聞いてあげるわ」

聞く気まんまんだな。おい。なんで俺のことなんかそんなに気になるんだよ。

雪ノ下はそう言って、隣にうつむき加減で座る由比ヶ浜に視線を移す。

 

「………ヒッキー、どうしよう」

俯き加減だった由比ヶ浜は俺を涙目で見る。

 

「どうした?由比ヶ浜」

 

「ヒッキーがさっき言った事ね。考えたの。姫菜の気持ちになって考えてみたの。もし私が姫菜だったら、あたしに戸部っちが告白してきたらどうするか……………」

 

「そうか……」

 

「あたしが戸部っちに告白されたら………絶対断る」

なにその絶対って、ちょっと戸部が可愛そうじゃない?そんなに戸部が嫌いか?ちょっとはいいところあるぞ。声が大きいとか。

 

「………」

どうやら、俺の言葉で由比ヶ浜は真剣に考えてくれたようだ。

 

「それで、その戸部っちに、姫菜や優美子が応援してたら、あたし、嫌な気分になる。……好きでもない人に告白されたら……あたし、そんな事考えもしなかった」

 

「そうか……じゃあ、由比ヶ浜はどうする?」

 

「姫菜に謝ってきた……姫菜、やっぱり怒ってた。でも許してくれたの……………、戸部っちにもこれ以上協力出来ないって謝ったの……でも、告白はやめないって……どうしよう」

由比ヶ浜らしい。

由比ヶ浜は自分の間違いに気がついたら、それに素直に認める事ができる。こいつの良いところだ。普通は中々そうは行かない。俺だってそうだ。だが由比ヶ浜はそれができる。素直に認め、間違っていたことを相手に伝え謝る。単純なようだが難しい事だ。俺がこいつに好感が持てる理由だ。

 

由比ヶ浜が間違いに気が付き、反省し、そして……それを正そうとした。

ならば後は………………

 

 

「後は俺にまかせろ」

 

 

 

 

そして、戸部が選んだ告白スポットに3人で向かう。

すでに時間が押し迫っていた。

「あなた、どうするつもり?」

 

「………ここでは言えん。すまんが黙って見ててくれ」

 

「ヒッキー、ごめんね。あたしのせいで」

 

「いや、最初っから分かってて止めなかった俺も悪い」

 

「それを言うなら、依頼を受けてしまった私も同罪ね」

 

 

深い竹林に囲まれた幻想的な小道。そこは夕暮れになり、ライトアップされ、ほんのり光が灯っていた。

戸部にしては、なかなか雰囲気のあるところを選んだな……戸部の本気度が伝わる。

しかし、悪いな戸部。阻止させてもらう。

 

戸部が見えた!

 

俺は由比ヶ浜と雪ノ下にその場で待機するように言い、俺も様子を伺う。

海老名姫菜が戸部を挟み対角線上の向こうからゆっくり歩いて戸部に近づいていく。

 

告白の時は近い。

 

俺は……静かに歩み、戸部と海老名に近づいていく。

 

 

俺の戸部告白阻止プランは5つある。今もどれを選ぶべきか悩んでいる。

 

①戸部が海老名に告白する前に、俺が戸部の前で海老名に告白し振られる。

 察しのいい海老名のことだ。今は誰とも付き合うつもりがないことを戸部の前で俺に言う。

 それで、戸部も引き下がるだろう。

 

②戸部が海老名に告白する前に、後ろから戸部にドロップキックをかます。

 戸部を気絶させ、引っ張って帰る。告白チャンス自体をなくす。

 できれば戸部は修学旅行が終わるまで気絶してもらう。

 まさに、美神令子直伝の方法だ。告白自体を無かったことにするのだ。

 

③戸部が海老名に告白した時点で俺が横から口出しし、うまいこと収める。

 八幡スマイルをだし、平和的解決を試みる。

 まさに、聖母の如く。キヌさんバリに皆を幸せに導く。

 

④戸部が海老名に告白する前に、二人の前で強烈な一発ギャグをかます。

 戸部が告白するのを忘れるぐらいの一発ギャグだ。

 横島忠夫直伝の一発ギャグだ。これに毒気を抜かれた戸部は告白するタイミングを失う。

 海老名は笑いながら俺をネタに盛り上がらせる。

 さすれば、告白などというムードはゼロになり、すべてが無に帰するのだ。

 

⑤そして、俺が美神令子除霊事務所で培ったすべてを投げ売って行う、究極の阻止方法。

 戸部が海老名に告白する前に、俺が戸部に告白する。

 俺が戸部の後ろから抱きついて、戸部に愛の告白を耳元で囁くのだ。

 戸部は海老名に告白することなど、忘れてしまうだろう。

 そして、そんな俺達を見た海老名は鼻血を出してぶっ倒れる。

 もはや、告白どころの騒ぎではない。

 しかしこれにはただならぬリスクが伴う。

 

 戸部が俺の告白を受け入れたときだ。

 ……………今は考えないでおこう。

 

 

 俺は戸部と海老名に静かに近づいていく。

 

 どれだどれが正解だ?

 

 ③と④は現実的に無理だ。

 ③俺にはキヌさんのような聖母的な包容力やあの笑顔を出すことが出来ない。

 八幡スマイルはゾンビスマイルになること間違いなしだ!

 ④俺には横島師匠バリの一発ギャグは出来ない。『のぴょぴょーん』だけで、

 敵を倒すなど、アレで敵の動きを封じることができるのは横島師匠だけだ。

 一発ギャグでの『場の空気クラッシャー』など俺には到底無理だ。

 

 ならば、①か②か⑤だ。

 しかし、①は俺の霊感が止めておいたほうが良いと言っている。

 なぜだかわからないが……ビンビンに俺に語りかけてくる。

 

 

 どうする後は2択だ!

 

 

 もう時間がない、海老名が戸部の前まで来た!

 

 

 どうする。どうする俺!

 

 

 

 そして………その時が来た!

 




美神令子除霊事務所の色に染まった八幡。GS的解決方法でどう乗り切るか……
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