やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。 作:ローファイト
誤字脱字報告ありがとうございます。
いきなり、やって来た一色いろは編
前回までのGSムーブが何処にいったのか?
という感じのアレが久しぶりに来ちゃいました。
いろはすの内情は私感が多分に入ってるので許してください。
というわけで、いつもより倍ぐらいのボリュームです。
わけが分からない内に体に衝撃が走り、私は夜空に投げ出される。
先輩が言ってた通り、ここって星空がこんなに綺麗に見えるんだ。
森の木々よりも空高く飛ばされ、こんな状況だというのに、私はそんな事を思う。
浮遊感を感じ、星空が近づいたのも束の間、私の体は重力のまま落下していく。
あっ…これ、私死んだかな?
あーあ、結局私の人生一度も彼氏が出来なかったな。
これも全部先輩のせいなんですからね。
……先輩、私が居なくなったら悲しんでくれますか?
私が先輩に出会ったのは二学期の中旬。
クラスの女子の署名により勝手に推薦され、無理矢理生徒会長立候補者にさせられた時の事。
クラスの女子達の嫌がらせで結構なピンチに。
私はクラスの女子に嫌われていた事は知っていた。
男子や先生にチヤホヤされる私を気に入らないってことは分かってたけど、面と向かって言っても来ないし態度でも示しても来なかった。
男子や先生を取り込んでおけば、女子連中を黙らせる事が出来るとたかを括っていた。
だから、表立ってこんな事をしてくるなんて予想外だった。
これは私が油断して招いた結果。
でも、一人では何もできないくせに、陰でコソコソと陰口を叩き、人の足を引っ張る事しか考えてない様な女子連中にいい様にやられるのは、腹立たしい。
何時もの様に自分で解決策を見つけようとあの手この手と、男子や先生を味方に付ける方法など色々考えたのだけど、今回のこの件に関しては女子連中の鼻を明かす様な方法が思いつかない。
ムカつくけど、女子連中の中に頭が回る奴がいた様ね。
私は当時の生徒会長城廻先輩に、女子連中の嫌がらせで生徒会候補者に無理矢理推薦された事を正直に話し、メンツが潰れることなく立候補を取り下げる方法が無いか相談したところ、奉仕部という部を紹介され相談しに行った。
その時に初めて先輩と出会った。
先輩の最初の印象は、やる気のない人だと、目もどこ見てるかわからないような濁った感じだし……。その時の第一印象から私の先輩への対応を決めていた。
サッカー部の先輩達のように、適当に愛想を振りまいて、チヤホヤされながらも利用すればいいと。
そこらへんに居る男子と同じで、全くの興味の対象外の男子だった。
でも先輩は、サッカー部の先輩やクラスの男子達とは全く違ってた。
私が可愛らしくアピールしても乗ってこないし、それどころか私が男子受けするようにキャラ作りをしてた事を、直ぐに見抜かれちゃう始末。
それでも、先輩は私の話を親身に聞いてくれて、最初の依頼とは違うけど、私の納得いく形で解決してくれた。
私はこの時、本当の意味で『学校の先輩』というものを強く感じた。
サッカー部の先輩達やその他の学校の男の先輩達は、立場的には先輩なだけであって、私からすれば有象無象のその他男子、私の引き立て役程度にしか思っていなかったから……
普段の態度や風貌からはそうは見えないけど、先輩は私にとって頼りがいのある年上の先輩だった。
私の中で本当の意味での学校の先輩は、比企谷先輩が初めてで、それ以降も私の唯一の先輩。
だから私は先輩を名前で呼ばずに先輩とだけ、呼ぶ。
その先輩は学校一の嫌われ者で、マイナスイメージで有名な人。
文化祭での文化祭実行委員長の相模先輩を罵り泣かせた事が、全校で噂になり、最低男のレッテルを張られていた。
実際に先輩と話して関われば、先輩がそんな事をするのには何か理由があるハズだと分かる。
この事を先輩に聞いても適当にはぐらかされるだけだから、結衣先輩になんとなしに聞いてみたら、どうやら相模先輩を助けるためにそんな事をやったような感じ。
今となったら先輩らしいなと思うけど、当時の私は自分を嫌ってる相手を助けて、自分が嫌われ者になるなんて、メリットどころかデメリットだらけなのに、なぜそんな事をするのだろうかと理解に苦しむしかなかった。
先輩は不器用で優しい人だからという理由は、随分後になって理解できたのだけど……。
そんな学校一の嫌われ者の先輩だけど、放課後には美人だけど怖い雪ノ下先輩と人気者の結衣先輩と何時も一緒にいる。
同じ部活の部員だから当然と言えば当然だけど……。
由比ヶ浜結衣先輩。一つ上の二年生
結衣先輩は葉山先輩の友達で、私も何度か話した事があった。
結衣先輩はどうやら先輩の事が好きだということは最初から分かってた。
なぜこんな人を好きなんだろうと疑問に思っていた時期もあったぐらい結衣先輩は学校では人気者。本人は自覚が無いようだけど、一年の男子からも人気が高い。
雪ノ下雪乃先輩も一つ上の二年生。
総武高校で一番美女だと噂高い先輩。
成績は常に学年トップで、品行方正、文武両道、非の打ちどころのない人だった。
確かに美女だったけど、氷の様な冷たい印象があった。
雪ノ下先輩は、先輩とは何かあったのか、当初はぎくしゃくした雰囲気だった。
でも、私の生徒会長問題が解決したあたりから、先輩の事を信頼してる風に見えた。
私は先輩の提案により生徒会長となった。
最初は正直色々と面倒だなと感じたけど、今ではやりがいがあるとまで思ってる。
何とか生徒会運営もうまく行き、今までの学校生活に比べ随分と充実した日々を送れてる。
私が堂々と生徒会長を名乗り生徒会をまとめる姿に、思惑が外れた女子連中には、表面上は賞賛の言葉を贈られるが、その裏では相当悔しそうにしているのが顔の表情の端々から見える。
ざまーみろ。
その後も先輩は嫌々そうにするけど、私の相談にはちゃんと乗ってくれる。
この頃、私は感覚的には近所の頼りになるお兄さんみたいな感じに思っていたのだと思う。
私は一人っ子だし、そんな感覚は今迄なかった。
だから先輩につい甘えて、軽口を叩いてしまう。
しばらくして、私は葉山先輩に振られた。
クリスマスイベントの参考にとディスティニーランドへと視察に先輩や奉仕部の先輩方、葉山先輩達と出かけた際に……
私は葉山先輩に告白してしまった。
まだ早いのは分かってた。
失敗する確率がかなり高い事も。
先輩と…雪ノ下先輩と結衣先輩との信頼関係を見ていると……私も欲しくなっちゃった。
強い絆を……。
だから私は焦って葉山先輩に告白を……。
葉山先輩から返事は「今は誰とも付き合うつもりはないんだ。今迄通りじゃダメかな」
予想通りの言葉。
それでも私は心が締め付けられて……悲しい気持ちに。
そして、慰めてくれたのは先輩だった。
不器用な言葉と態度だけど、嬉しかった。
私は先輩と出会う前から葉山隼人先輩を狙っていた。
最初の理由は単純。
単に学校中の女子の憧れの的だったから。
そんな人と付き合えたのなら、私の株も上がるだろう程度。
でも、実際会ってみると、カッコいいし、優しい笑顔が素敵だった。
勉強も出来るし、運動神経も抜群、ご両親は弁護士と医者と、もう非の打ちどころのない人だった。
私も何時しか他の女子のように憧れの目で葉山先輩を見ていた。
狙うなら本気を出して絶対振り向かせてやるんだからと意気込む。
女の子が自然と葉山先輩の所に集まって来るけど、当の葉山先輩はガードが堅い。
いつもそばに、狂犬のような三浦先輩が睨みを効かせているのもあるけど、そんな三浦先輩に対してもどこか気を許していない感じ。
そんな葉山先輩を落とすには、コツコツと親睦を深めて仲良くなる必要がありそうだと。
私は葉山先輩が所属してるサッカー部のマネージャーになる事で、先ずは物理的な距離を近づける事にした。
その際、マネージャーの仕事には一切手を抜かない事が大切。
葉山先輩から警戒されないように、葉山先輩を狙ってませんよ、サッカーのマネージャーがやりたかっただけですと、アピールする必要があるから。
サッカー部のマネージャーになって、確かに親睦を深められて、名前で呼んでもらえる様になったのだけど、そこから全く進展しない。
葉山先輩は意図的に女の子との距離感を保っていた。
ある一定以上踏み込ませないようにコントロールしてる節が見え隠れする。
これはかなり厄介……。
それでも、このまま親睦を深め続ければいつかはチャンスが来るハズだと。
そんな時に、生徒会候補者問題と共に先輩と出会った。
先輩に私が葉山先輩の事を狙ってる事を一目で見抜かれはしたけど、葉山先輩と付き合えるようにアドバイスや相談にも乗ってくれた。
でも、私は焦って葉山先輩に告白して振られる事に……。
その後、直ぐに冬休みに入り、葉山先輩の顔を見ずに済んだのが幸いして、気持ちを切り替える事ができた。
冬休みの間に葉山先輩の再攻略方法を考えたのだけど、有効な方法は思いつかない。
冬休みが終わり、三学期が始まって早々に衝撃な噂を耳にする。
葉山先輩と雪ノ下先輩が付き合ってるという噂。
葉山先輩が?しかもあの雪ノ下先輩と?
確かに、二人が並ぶと、悔しいけど美男美女カップルに見える。
二人が付き合ってるから私は葉山先輩に振られたの?
うーん、葉山先輩だったら、私の告白を断るのにちゃんと恋人がいるからと話してくれるハズ。
でも、二人がデートしてる所を見た子が数人いるとか。
私はこの噂に半信半疑、どちらかといえばデマじゃないかと。
一応確認は必要かな、真相を直接聞いた方が良さそう。
葉山先輩には今はまだ聞きづらいから、雪ノ下先輩に。
それと、もう一つ衝撃な噂があった。
『まさか!!学校一の嫌われ者が美女二人とWデート!?』
あの先輩がデート?あり得ない。
雪ノ下先輩や結衣先輩と出かけてるだけじゃないの?
最初は自分の耳を疑ったけど、どこもかしこも同じ噂が飛び交っていた。
しかも、モデルの様な年上の美女と、もの凄い金髪美女と。
私はこの噂を聞いて、何故かムカムカが止まらない。
先輩が?私の許可なくデートとか?
私は何故かそんな事を思ってしまっていた。
先輩がデートなんて、冷静に考えればあり得ないはずなのに、しかも何でこんなにムカムカするのだろう?
うーん。
これはもう直接本人に問い詰めないと。
その日の放課後、噂の真相を確かめるべく、早速奉仕部に向かった。
葉山先輩と雪ノ下先輩のデートの真相を雪ノ下先輩に確認するも、結果的には雪ノ下先輩は全力で否定、しかも何故か物凄く怒られた。
雪ノ下先輩と葉山先輩は、どうやら家族付き合いをしているらしくて、二人で歩いてる所をたまたま見られたとの事だった。
まあ、そんな事だろうと思ってはいたけど。
先輩の件は、デートとかじゃなくて、雪ノ下先輩のお姉さんとは偶然鉢合わせしたらしく、金髪美女の方は先輩のバイト先の同僚の人らしい。
しかも、結衣先輩もその場にいたらしいのに、結衣先輩とは噂にならなかったみたい。
先輩と結衣先輩は部活仲間だと知ってる人は知ってるし、結衣先輩が先輩と付き合うなんてありえないなんて思ってるから、本当は結衣先輩の方が先輩の事を好きなのにね。
それよりも先輩のバイト先の人が気になる。
先輩がバイト先で、金髪美女と天然っぽい氷室先輩とかと仲良くいちゃいちゃと勤しんでる姿なんて想像できない。
でも、それを思い浮かべると何故かまたムカムカと。
氷室先輩はクリスマス三校合同イベントの時に出会った六道女学院元生徒会メンバーで先輩のバイト先の先輩だった。
しかも、氷室先輩の前ではあの先輩が見た事もないようなデレた態度を。
それを見てるだけで私はムカムカする。
私が可愛くアピールしても、軽くあしらう癖に、なんですかあのデレ具合は!
確かに氷室先輩は可愛らしくて清純そうな人だけど、きっと裏があるのよ!あんな完璧な人なんて世の中にいない。
それに私だって、可愛らしいと思うのに!その態度の差はあんまりじゃないですか!
私は心の中で先輩を何度も罵ってた。
この頃くらいかな、先輩を妙に意識しちゃって、葉山先輩を狙ってるハズなのに、先輩が他の女の子と話してたりすると、先輩の癖にとイライラ、ムカムカしだしたのは。
この後の幽霊騒ぎでは、先輩が珍しく率先して依頼を受けてくれるだけでなく、一人でいいとか言うものだから、なんかちょっとかっこよく見えたり……。
しかも、私は見ちゃった。
先輩がその幽霊と対峙してたり、変な人と知り合いだったり、意識朦朧だったから半信半疑だったのだけど。
さらに先輩を意識するようになっちゃって、私は葉山先輩を狙っていて、先輩なんて何とも思ってない、捻くれてて面倒くさい性格してるし、目が腐ってるし、スポーツとかも出来そうもないし、たまに男らしいけど普段はダメダメだしと言い聞かせる毎日。
それでも、毎日奉仕部の部室に足が向かう。
そして……決定的だった。
バレンタインイベントの後だった。
あの先輩が本物の霊能者でプロのゴーストスイーパーだった。
私を襲ってきたクラスの女子の誰かが作った呪いのチョコを、私を抱き上げながらあっという間にやっつける。
その時の先輩の顔はたまに見せる真剣な時の先輩の顔、ううん、それよりもずっと凛々しくてかっこよかった。
普段は気だるそうに背中を丸めてる癖に、私を助けてくれた時は背筋がピンと伸びて、大人っぽくてたくましくてかっこいいなんて、そのギャップがまた私の心を激しく揺れ動かす。
最近抑えていた先輩に対してのもやもやした気持ちが膨れ上がり、葉山先輩との天秤が遂にひっくり返る。
え?なにこれ……私は葉山先輩が好きだったんじゃ?
私は改めてゴーストスイーパーについて調べる。
ゴーストスイーパー。
幽霊や妖怪等を退治したり、霊障や不可思議現象を解決する特殊な職業。
危険を伴う仕事だけど、高ランクのゴーストスイーパーはプロ野球選手並みに収入がある。
その中でも、特に有名な美人で高ランクの美神令子さんは、長者番付に出て来る程のお金持ち。
先輩はその美神令子さんの事務所所属でCランクGSだった。
先輩は去年免許を獲ったばっかりで、その時の記事を見つけて見てみると、名前と顔写真は載って無かったけど、写真の後姿は間違いなくかっこいい時の先輩だった。
しかも、記事には将来性が高いと書いてあったし、さらにオカルトGメンの本部長とも親しい仲みたいで、どんだけ有望株なんだって。
将来性を考えると先輩は有りかなと……。
でもこれは自分に言い聞かせるだけのいいわけ。
本当は分かってた。
その前から先輩の事が好きになってたことは……。
こんな面倒くさい私に何だかんだと付き合ってくれて、助けてくれる先輩を……。
そう自覚した時には、かなり出遅れていた。
結衣先輩は元々先輩の事が好きだってことは分かってたけど、今は雪ノ下先輩も。
でも、当の先輩は全く自覚が無いし、結衣先輩も雪ノ下先輩も奥手だからまだ大丈夫かなと思っていた。
だから私は、後輩のアドバンテージをフルに使って先輩の心を射止める作戦に出る。
3月に入って、何故か結衣先輩のガードがきつくなる。
私が奉仕部に先輩に会いに行くと、結衣先輩に追い帰されるようになった。
今も葉山先輩を狙ってる風を装っていたけど、たぶん、結衣先輩には私が先輩を狙ってる事がバレたのだろうと……。
しかも、雪ノ下先輩は何故か先輩の顔をチラチラと見ながら気恥しそうに……何かあった?
でも、先輩はいつも通りだし、考えすぎかな。
そして、3学期の終業式。
私は生徒会の仕事を終わらせて、奉仕部に向かうと……。
呆けた顔の先輩が結衣先輩と雪ノ下先輩に手をつないで、連れられる様に教室から出て来る。
私はその光景を目の当たりにして、つい身を隠してしまった。
これは!?
まさか!?
結衣先輩と雪ノ下先輩は先輩に告白した!?
しかも、二人同時に!?
そんな事ってある!?
奥手の二人が!?
やっぱり、何かあった!
バレンタインの時?
あの時そう言えば、バレンタイン後の1週間ぐらい結衣先輩と雪ノ下先輩は奉仕部を休んでた。
でも、その時先輩は一人奉仕部の部室に居たし、その後位に何かあったのかもしれない。
結衣先輩と雪ノ下先輩が積極的にならないといけない事態が!?
私は胸が締め付けられ、腰が落ちそうになったのだけど、何とか踏みとどまり、三人の後をこっそりつける。
すると、さらにあり得ない事態が……
陽ちゃん先輩こと、雪ノ下先輩のお姉さんでこの学校のOGの雪ノ下陽乃さんが、結衣先輩と雪ノ下先輩に挟まれフラフラと呆けた状態で歩いてる先輩に、不意打ちにキスを!?
しかも『結婚してね』って!!
そう……そう言う事ですか先輩!!!!
先輩の癖に、なにリア充やってるんですか!!!!
先輩の癖に、年上美人とかありえないです!!!!
結衣先輩と雪ノ下先輩といちゃいちゃ何をやってるんですか!!!!
そんな先輩は先輩らしくない!!!!
何やっちゃってるんですか!!!!その人は私の先輩なんで!!!!誰の許可とってキスとか!!!!
悔しさとか悲しみを通りこして、怒りが最大限にこみ上げる私。
やってやりますよ!!!!
その人は私の先輩なんで!!!!
私はこの時に完全にスイッチが入った気がした。
春休み中に先輩とお出かけ作戦をと思っていた所、先輩は泊りがけで仕事とか。
プランを変更して、妹の小町ちゃんを手なずける作戦を実行。
でも、小町ちゃんは既にあの3人に、取り込まれていた。
そう言う事ですか、既に先輩の妹まで!!
そっちがその気なら!!
私は先輩が居ない内に先輩の家に上がり込んで、先輩のご両親と小町ちゃんと仲良く食事をしたりと、外堀埋める作戦を実行。
春休みが終わり、新学期には小町ちゃんを生徒会に加入。
先輩には後輩のアドバンテージを活かして今まで以上にかまってちゃんを演じて、先輩と毎日のように会ってそれと無しにアピール。
そんなこんなでいつの間にか夏休み前に……。
先輩との関係は、まったく進展しない。
仲良くはなってるとは思うんですよ。
でも、扱いが小町ちゃんといっしょというか……ほぼ、妹扱い。
後輩のアドバンテージは先輩にとって恋愛に結びつかないのかもしれない。
これは早く次の手を考えないと……。
まだ、あの三人もあれから進展らしい進展は無さそうだけど、結衣先輩と雪ノ下先輩は積極的に先輩にアピールを続けている。
いつ急展開になるか。
しかも地味に川崎先輩が厄介かも、お互い信頼し合ってる様だし、今は恋愛って感じはしないけど、いつコロっといい感じになってもおかしくない。
そして、あの事件が起こった。
総武高校の大規模霊災。
本来なら、大規模霊災は状況にもよるけど高ランクGSが複数以上で対処しなくてはならないレベル。大きいものだと、関東に在住するGS全員で対処しないといけないものもあるとか……
それを先輩が途中までとはいえ一人で私達を守ってくれた。
先輩が戻って来た時、裸だったのはそれ程激しい戦いだったのだと思う。
先輩、体を鍛えてて逞しかったし。
それに先輩は私を信頼してくれて、私にも色々と指示をだしてくれて…うれしかった。
実際何が起こったのか知らされなかったけど、その後の自衛隊やオカルトGメンの対応を見ると、かなり危険な状態だったことは分かる。
犠牲者は誰一人出ずに解決。
ニュースでは、神奈川の高校で同じような事が起きてかなりの犠牲者がでたとか。
やはり先輩は……
もう、うかうかしていられない。
このままじゃ、いつまでたっても後輩や妹扱い。
何か一発逆転の方法は無いかと探して見つけたのがこれ。
稲田姫のご利益。
札や絵馬に自分と意中の人の名前を書くだけで恋愛運アップ。
さらに、試練を乗り越えると恋愛運が50倍アップ、意中の人と必ず結ばれると。
これだ!
霊能家で有名な六道家が関わってるし、間違いない。
私が恋愛運50倍アップとか、先輩と結ばれるの確定ね。
ちょうどボランティアの日程と場所も重なるし、チャンス到来。
ボランティアの一日目が終わった後に、先輩をこっそり連れ出してその場所へと向ったのだけど、結衣先輩と雪ノ下先輩にバレてしまっていた。
この頃、勘が鋭くないですか?結衣先輩。
たぶん、結衣先輩と雪ノ下先輩は稲田姫のご利益の絵馬やお守り目当てだろう。
その程度は予想済み。
狙いは恋愛運50倍が貰える試練。
これで一発逆転できる。
そして、私は稲田姫の試練、スペシャルコースに参加した。
いい感じでスタートも切れ、霊能者達はお互いで潰しあってるいい展開だと思っていたところ、突如として体に衝撃が走り、夜空に投げ出された。
私はその光景に死を覚悟した。
でも、私の体は地面に落ちることなく、再び浮遊感を感じると同時に、何かに優しく包み込まれる。
「一色!大丈夫か!?」
「せ…先輩?」
私の目の前いっぱいに先輩の顔が……
え?どうして先輩がここに?夢?
「無事なようだな」
先輩はホッとした顔を私に向ける。
私は先輩に優しく抱き留められていた。
先輩の心臓の鼓動が耳に……
夢じゃない。本物の先輩。
「……は、はい」
先輩が助けに来てくれた……
この時の先輩の顔と目は何時もの気だるげな感じじゃなく、カッコいい時の先輩……。
「っと」
先輩は私を抱き留めながら、大きな木の上に着地する。
「せ、先輩…そ……その、ありがとうございます」
私は今、お姫様抱っこの様な体勢に……、
抱き上げられたまま、先輩の顔を見上げ、お礼を言う。
「はぁ、お前、わざわざ何でスペシャルコースなんかに参加してるんだ?一般部門のご利益でも十分だろ?何でこんな無茶をしたんだ?」
「だって……」
「普段は計算高い癖に、たまにこんな暴走をするよなお前」
「せ、先輩のせいです!」
「はぁ?何で俺のせい?」
「先輩が先輩がっ!!」
私は思わず声を荒げ……自然と涙がこぼれ落ちる。
こんなはずじゃなかったのに……、こんなはずじゃなかったのに!
先輩のせいなんですよ!
「怖い思いをさせてすまなかったな」
先輩は泣きじゃくる私に申し訳なさそうにそう言った。
そうじゃないんです!!
「先輩が…先輩が好きだからっ!!」
涙で声が震えるけど、はっきりと言ってしまった。
これが今の素直な感情。
「お前、何言ってんだ?」
「だから!!先輩が好きなんですっ!!!」
私はそう叫んで抱き上げたまま戸惑った顔をしてる先輩の顔に両手を添え、引き寄せて無理矢理唇にキスを……
「おおお、お前、ななななな何を!!!???」
先輩は目を大きく見開いて、顔を真っ赤にして……。
こんなのズルいと思うけど、もう好きという感情は止まらない。
「私は先輩が好きなんですよ」
先輩の目を見て、今度は気持ちを抑えてちゃんと言う。
「おおおおおおおれれ!?」
なんですかその動揺っぷりは?
そんなにおかしいですか?私が先輩の事が好きな事。
「先輩!先輩…先輩…先輩……」
私は感情のまま先輩の首に腕を回し思いっきり抱きついて……でも、そこで意識を失った。
式神暴走に巻き込まれて、吹っ飛んじゃったいろはす。
八幡に助けられたけど絶賛式神暴走中……次回どうなるのやら?
やっと千葉村編が次回で終了です。