やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。 作:ローファイト
誤字脱字報告ありがとうございます。
続きですね。
夏休みが終わり二学期始めの登校日。
家に帰るとタマモが泊りがけで遊びに来ていた。
タマモはたまに家にこうしてフラッと遊びに来る事があるため、気にも留めていなかったのだが……
翌日の朝。
既に両親は仕事に出かけ、俺と小町とタマモとダイニングテーブルを挟み3人で朝食をとる。
タマモは澄ました顔で揚げ豆腐を乗せた食パンを食べていた。
……食パンに揚げ豆腐は合うのか?
いや、突っ込むところはそこじゃない。
もっと別にある。
「タマモ……何、その恰好?」
タマモは、真っ白なブラウスに胸には赤色の細長いリボン、そしてチェック柄のスカートと俺が良く知る服装を着こんでいた。
「タマモちゃん、滅茶苦茶似合うね。どこかの国のお姫様がお忍びで学校に行くみたいだよ」
小町ちゃん、突っ込むところはそこじゃないと思うんだけど。
確かにタマモは金髪で目鼻立ちはどちらかと言えば欧米系とかハーフって感じで、煌びやかな感じの美女だが。しかも妙に艶っぽいというか色気があるというか、見慣れた制服を着ていてもだ。なんか別ものに見える。
そう、タマモは小町と同じ総武高校の女子の夏服を着ていたのだ。
「そう?よくわからないわ」
タマモは小町にいつもの様に素っ気なく応える。
「俺の話聞いてる?なんで、うちの学校制服を着てるんだ?」
「今日から通うからに決まってるじゃない」
タマモは当たり前のようにこんな事を言う。
「…………」
何が決まってるって?
通うってどこに?
しかもうちの学校の制服を着て?
「タマモちゃんと同じクラスになれればいいね」
小町は平然と会話を続ける。
…………
まさか、うちの高校に?
ど、どういう事だ?
何も聞いてないぞ!
タマモが?何で?
いやいやいや、ちょっと待て、そもそもタマモは見た目は美少女というより金髪美女そのものだが、妖怪だぞ。
それどころか、転生体とはいえ元はあの金毛九尾の大妖怪玉藻前だ。
平安時代には大妖怪玉藻前はあの酒呑童子や茨木童子と同等の力を持つとされていて、現在でいうS級妖怪と同じ扱いだ。
だが、本来は争いごとを忌避し、人間に庇護を受けながら、ゆるりと生きて来た妖怪だ。
平安時代当時、人に化け上皇の妃となった時にたまたま都に疫病が広がり、たまたま上皇も病に倒れ、たまたま時の陰陽師が、上皇に寵愛されていた玉藻前を妖怪と見抜き、疫病の原因が玉藻前だとして、討伐されたのだ。
疫病の原因が分からないため、とりあえず妖怪だった玉藻前を討伐して収めようとしたのだろう。
玉藻前にとったらとんだとばっちりもいい所だ。
今現在のタマモを見ても思う。
タマモが好き好んで人を襲うなんてことはあり得ない。
それに今のタマモは特殊協力者としての立場があるから普通に人間社会での生活を認められている。
だが、流石に学生として高校に通う事が出来るのか?
確かバンパイア・ハーフのピートさんの場合は、普通に学校に通っていたが、ピートさんは人間としての戸籍もあったから問題無かったそうだ。
そういえば、例外的に横島師匠が高校の時に使っていた学校の机だった机妖怪の愛子さんって言う妖怪は学校の教職員に認められて、特別生徒として待遇を得ていたな。
GS協会もオカルトGメンも特殊共存者丙Ⅱ種(特殊共存者丙種:人間社会に深く根付き、人間に無害な存在)と認められて、学区内では自由に活動が出来るらしい。
大きく表沙汰になってはいないが、正式には妖怪等の人外は人間社会での生活は認められている。いや、認めざるを得ないと言うのが正確か。
元々彼らの生活圏に人間が後から入って来たケースの方が殆どだ。
特に産業革命以降、人間の人口は爆発的に増えた影響で、彼らは生活圏を追われる事になった。
彼らの中には人間社会に溶け込んで生活しているものや、人間との接触を避けて生活しているものもいる。
人間や人間社会に害を成すものは討伐や除霊対象となるが、そうではない限り、彼らの存在は認められているのだ。
だから、彼らにも生活の権利は認められている。GSだからと言って何でもかんでも妖怪等を討伐していいわけではない。
だから俺達GSも警察のように名乗りを上げ、罪状を述べてから討伐や封印処置をする必要があるのだ。
まあ、彼らにとっては勝手に人間が作ったルールだ。文句を言われても致し方が無い気はする。
それはさておきだ。
現在の法律関係で人間と共存又は敵対関係ではない妖怪や人外たちは、こんな感じで分類されている。
〇特殊共存者甲種:土地神などに祭り上げられ、土着信仰の対象となっている、又はそれに随する存在。
〇特殊共存者乙種:人間社会から距離を置き、人間とは敵対関係ではない存在。シロの人狼族はこのカテゴリーに入っている。
〇特殊共存者丙種:人間社会に深く根付き、人間に無害な存在。
実際にはこのカテゴリーに入ってる人外が殆どだ。
雑霊などもこのカテゴリーの丙Ⅲ種に入っている。
これ以外には高次元存在者というカテゴリーがあるが、いわゆる神だ。
タマモはどこに入っているかというと、特殊共存者甲Ⅱ種に入っている。
タマモは元々、大妖怪玉藻前の転生体として危険視され討伐対象となっていた。
だが、転生し子狐となったタマモを横島師匠とキヌさんが討伐した事にして匿い、その後の観察で危険はないと判断した美神さんと美智恵さんが、社を失った元土地神の妖狐(お稲荷様の化身)として登録したと聞いている。
更に、タマモはシロ同様、特殊協力者という立場で、人間との良好な協力者として人間社会で普通に生活できるような立場でもある。
特殊協力者の中には人間相手に商売してる妖怪も居るしな。
あまり事例は無いが、法律上高校に通う自体は問題無いのか……。
もしかすると、総武高校に派遣されるGSって、タマモの事か?
確かに特別協力者という身分を持っているし、オカルトGメンでは正式に特殊特別捜査官という肩書も持っているが……、GSの誰かが同行していないと一人ではGSの活動出来ないはずだ。
俺か…、GSの俺が通ってる高校なら、俺が同行者という事でタマモも自由に活動出来るという事か。
そうなると、どういう立場でタマモは高校に通う事になるんだ?
こんな大切なことを俺は何一つ聞いてないんだが……。
「お兄ちゃんどったの?考え事なんてして」
「八幡はいつも考えすぎなのよ」
「タマモ、俺は何も聞いてないんだが、美神さんに何か聞いてないか?」
「令子が八幡と小町の学校に行けって」
「それだけ?」
「美智恵も楽しんで来たらいいって、それだけよ」
「…………」
俺は席を外し電話をする。
勿論美神さんにだ。
事務所の電話にはキヌさんが出て、美神さんに代わってもらう。
「朝っぱらから何よ」
美神さんって結構朝が弱かったな、ちょっと不機嫌そうだ。
「タマモが俺の学校に通うなんて聞いてないんですが?」
「アレ?あんたに言ってなかったけ?そうそう、タマモが何か言って無かった?」
美神さんからは何も聞いてないんですが?絶対面白がってワザと言わなかったな。
「タマモからは今日から学校に通うとしか聞いてませんが?」
「まあ、そう言う事だから頼んだわよ」
「頼んだって、どういうことですか?流石にちゃんと説明してもらわないと困るんですが」
「冥子が行くよりはいいでしょ」
「それはそうですが、それとこれとは別の話です。ちゃんと説明してください」
六道冥子さんが来るよりは断然いいが、そう言う事じゃないでしょ、説明位あってもいいと思うんですが?俺が間違ってるのか?
「何よ、ちょっとした茶目っ気じゃない」
「はぁ、勘弁してください」
これが茶目っ気で済む問題か?
「まあ、いいわ。タマモはオカルトGメンから派遣される事になったのよ。しかも学生身分で、短期留学扱いよ。仮の経歴はこうよ。タマモ・ミカミ年齢は17歳。私の遠い親戚のヨーロッパ系のクォーターって事になってるわ。あの顔立ちならそれでいけるでしょ?妖怪じゃなく人間って事になってるわ。特殊能力者で幼い時からオカルトGメンの特殊捜査官として活動していた。年齢のため留学生扱いで派遣されるという事よ。留学先はあんたの家。あんたと同じクラスにしようと思ったんだけど、学校では自称ボッチやってるあんたじゃボロが出るかもしれないでしょ?だからあんたの妹のクラスに入る予定だから。仲がいいでしょ?あんたの妹とタマモは、学校にはあんたや雪乃もいるんだし、問題無いわ」
その設定なら問題なさそうだ。
流石に大規模霊災で危険な目に遭ったところに、護衛の為に妖怪を派遣しましたって言うのは流石に厳しいだろう。
それにタマモならば、霊気の質を人間と同じに変える事が出来るから、高レベルな霊能者でない限り滅多な事では妖怪とはバレないだろう。
「はぁ、それならそうと、もっと早く言ってください」
タマモの細かい設定までちゃんと決まってるのに……この人は。
「昨日決まったばっかりなのよ。タマモは嫌がると思ったけど、すんなりOKしたわ。あんたの妹や雪乃の影響ね。学校生活に興味を持ったみたいよ」
「そうですか……、この事は雪ノ下には?」
「雪乃には昨日連絡して、フォローを頼んでおいたわ」
「………そうっすか」
何故雪ノ下に連絡を入れておいて、俺には連絡が無いんだ?やっぱり面白がってるとしか思えない。
「それにママも一枚かんでるのよ。妖怪のタマモが学校で大人しく生活できればってね。あんただったらわかるでしょ?今後の為にも事例が欲しいのよ」
美神さんは含みを持った言い方を俺にする。
そう言う事か。
美智恵さんは、妖怪であるタマモが人間社会の縮図でもある学校での共同生活を問題無く過ごす事が出来るという証明がしたい、若しくはそのモデルケースにしたいという事か。
今後、人外の協力者も増やしていくために、政府上層部のお偉いさんを納得させる材料となるだろうとでも考えているのだろう。
美智恵さんはこう言う時でも抜け目ないな。
「はあ、まあ、タマモだったら問題無いと思いますよ」
タマモは協調性に欠けるところがあるし、近寄りがたい雰囲気もある。ある意味ボッチ体質ではあるが、俺や雪ノ下でも曲がりなりにも学校生活が成り立っているのだ、大丈夫だろう。
「こっちはこっちで大変だったのよ。シロが行きたがってごねるもんだから、横島の奴としばらくコンビ組ませて仕事させる事で納得させたのよ。シロはご近所受けはいいけど、実年齢はまだ子供だし、高校生活にいきなり入れ込んだら何かとやらかす可能性が高いわ。タマモの場合、曲がりなりにも転生前は妖怪とバレずに人間生活を長い間営んでいたんだから、問題無いハズよ」
シロがごねる姿が目に浮かぶ、『拙者も学校に行くでござる!!タマモばかりズルいでござる!!』こんな感じだろう。
「わかりました」
「精々がんばりなさい。それとあんた、ちゃんとしないと……まあいいわ」
そう言って美神さんは電話を切る。
美神さん、何を言いかけたんだ?
「お兄ちゃん何やってるの、そろそろ学校に行かないと遅刻しちゃうよ」
ちょうど小町から催促の声がかかる。
既にタマモの分のチャリまで用意されていた。
しかも電動補助自転車を……。
こうして、タマモと小町と共にチャリで学校へ。
チャリを漕ぐタマモはどことなく楽し気だった。
まあ、いいか。
朝のホームルーム時に、校内放送で聞きなれた声の主が丁寧に自己紹介の挨拶をする。
「本日付けでGS協会から派遣されました土御門陽乃です。既に職場見学で顔を合わせた方もいますが、総武高校を3年前に卒業したOGでもあります。皆さんの安全確保のために全力を尽くしますのでよろしくお願いします」
……どういうこと?タマモだけじゃなくて、陽乃さんも?
二人共ってどういうことだ?
校長が続いて、校内放送で補足説明をする。
「えーー、GS協会からは、自己紹介して頂きました本校卒業生の土御門陽乃さんが安全確保のため派遣されます。それともう一人、えーー、オカルトGメンからはタマモ・ミカミさんが護衛役として派遣されます。彼女は年齢的にも皆さんと同じ年頃で短期留学生として1年F組に入られます。何かオカルト関連で困った事や、悩みがあれば、土御門陽乃さんが対応してくださいます、えーー、先ずは担任の先生又は教育指導の平塚先生を通して下さい」
校長の口ぶりからすると今回のこの件はメインが陽乃さんという事か、タマモは護衛人員って感じの扱いだな。
そういえば、美神さんが今朝言いかけたのは陽乃さんの派遣の事か?
美神さん、そう言う事はちゃんと言ってほしいんですが。
それにしてもGS協会とオカルトGメンの両方の組織からの派遣か……。
大規模霊災で総武高校は被害者ゼロだったとはいえ、神奈川の高校はほぼ潰滅状態だ。これぐらいやらないと、世間が納得しないという事なのだろう。
しかも、よりによって派遣された人員が陽乃さんとタマモの二人か。
年始に六道さんの式神が逃亡した際、2人は顔を会わせているが、あまり相性は良く無さそうな雰囲気だった。
……面倒な事にならなければいいが。
何故、陽乃とタマモなのか?
美神さんには別の思惑があるようですが、今は忘れて頂いて大丈夫です。
前回のアンケート結果発表!!
『GS側女性陣で恋人にするなら誰がいいですか?』
一位、タマモ
二位、氷室キヌ
三位、小竜姫
四位、魔鈴めぐみ
五位、六道冥子
一位のタマモと二位のおキヌちゃんは結構競ってましたね。
ちょっと離れて、三位の小竜姫様、そこから、更に離れて、魔鈴さんと冥子さんはほぼ同じ得票でした。
正直、四位と五位には驚きました。
四位に魔鈴さんも驚きましたが、GS最大の地雷女と目される冥子さんが五位とは……。
因みに私はおキヌちゃん派です。
次点で小竜姫様。
アシュタロス編のメインヒロインだったルシオラが上位に入ってないのは意外でした。
美神さんは……仕方がないですよね。因みにメドーサに僅差で負けてます><
では、次は俺ガイル編でw
皆さんにご質問、自分の恋人にするとしたら誰?俺ガイル女性編
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雪ノ下雪乃
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由比ヶ浜結衣
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一色いろは
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川崎沙希
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鶴見留美
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折本かおり
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平塚静
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比企谷小町
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三浦優美子
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海老名姫菜
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相模南
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城廻めぐり
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雪ノ下陽乃
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川崎京華
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藤沢沙和子