やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。 作:ローファイト
誤字脱字報告ありがとうございます。
こ、こんな感じになりました。
皆さんのご期待に答えられなく、すみません。
竹林の小道。程よく薄暗い明かりが、光と影の幻想的な世界を築き上げる。
戸部はここを告白場所として選び、相手である海老名を呼び寄せる。
海老名姫菜は戸部が待つ小道の中頃にゆっくりとした足取りで到達しようとした。
戸部には悪いがその告白阻止させてもらう!
阻止方法の残りの選択肢は2つ。
一つは戸部が海老名に告白する前に戸部を後ろからドロップキックをカマシ、気絶させ、そのまま連れ去り、告白自体を無かったことにする。強引な美神令子方式。
もう一つは。戸部が海老名に告白する前に、俺が先に戸部に後ろから抱きつき告白する。耳元で愛を囁くのだ。戸部は戸惑い、告白どころではない。腐女子の海老名はその俺達を見て、豪快に鼻血を出して倒れるだろう。もはや告白どころではない状況を作り出す。究極の方式。
時間がない。どっちだ!
いや、考えるまでもない。後者は却下だ!由比ヶ浜を助けてやりたいが、俺の精神が持たない!
ならば、戸部には罪はないが、ハチマンクラッシュ(ドロップキック)で気絶させ、告白を無かったものにさせてもらう。
俺は戸部の背中に狙いを定め、足を速め、勢いをつけ飛ぶ!
ハチマ~ン!クラッ…………アレ?
俺が狙いを定めた戸部の前……いや、戸部と海老名の間にどこからか急に人影が紛れ込んだ!
「眼鏡が似合うお嬢ーーさん!!ボク、横島!!!あそこのベンチでボクと永遠の愛を語り合いましょう!!!!」
人影が、いきなり現れ海老名の両手を取って、超ニヤケ顔でこのタイミングでこんなアホなナンパをしだしたのだ。
なんでやねん!!!!つい師匠の関西弁が…………横島師匠!!!!なにやってるんすか!!!!!
「え?なに!?」
「ちょっ!?え!?えええ!?」
海老名と戸部が盛大に驚き戸惑っている。
当たり前だ。この緊張感の中、緊張とは程遠い声で、とんでもない事をしでかした。
まさしく『場の空気クラッシャー』
そんな事を思っている場合ではなく……やはりというか、やっぱりというか………
「あ!」
ドゴン!!
「グボバ!!」
既に地を離れたハチマンクラッシュは戸部ではなく横島師匠の後頭部に炸裂してしまった。
横島師匠は盛大に吹っ飛びっ転げ回り、竹林に頭から突っ込む。
俺は海老名と戸部の間に割るように華麗に着地する。
「「「………………」」」
長い沈黙がこの場を支配する。
竹林の柵に頭を突っ込んだままヒク付いているナンパ男。
いざ、好きな女の子に告白すると緊張しながらも息巻いていた戸部
どう断ろうかと悩みながらも、戸部の告白を受けに来た海老名
そして、ナンパ男を派手に撃沈させ、図らずも戸部と海老名の間に挟まって立ってる俺。
なにこれ?なんだこれ?なんなんだこれ?これをどうしろというんだ?
「………え、海老名さん。なんか災難だったな。……とんでもないナンパ男に絡まれて、……変態男は俺が撃沈した……………つ…続きをどうぞ」
「…………あの人、大丈夫なのかな」
海老名は竹林の柵に頭を突っ込んでヒクついてるナンパ男を指さして、そう言った。
「だ、大丈夫じゃないか。きっと」
絶対大丈夫だから。こんなことで死なないし、怪我しても一瞬で治るし……この人。
「ヒキタニ(比企谷)くんなにげに酷くない?まあ、俺らは助かったけど」
「なにが大丈夫じゃーーーー!!人のナンパの邪魔をした上に!!この仕打ち!!許さーーーーんん!!」
ナンパ男(横島師匠)は竹林の柵から頭を引っこ抜いて、ビヨーンと立ち上がり、涙をちょちょ切らせながら俺に抗議する。
なんだ。横島師匠。俺の事を他人の振りで通した?
………なるほど………そういうことか………流石は俺の師匠!!かっこ良すぎる!!
横島師匠は多分、俺の代わりにこの告白をクラッシュしてくれたのだ。
何処かで俺達の話を盗み聞きしたに違いない!!
「いい加減にしないと、警察に通報しますよ」
よし、ここは横島師匠の小芝居に乗るのが吉。
「ああ!!誰かと思ったらお前か八幡ーーーーーー!!この眼鏡美少女とも知り合いだと!?この裏切り者ーーーーー!!」
ええええ!?あれ?俺の代わりに告白クラッシュさせてくれたんじゃないんすか?まさかのマジギレ!?
「ヒキタニ(比企谷)くん?……知り合い?」
「いいえ、こんな変態知りません。誰かと勘違いしてるんじゃないかな?」
そうだ。ここは徹底的にとぼける。こんなナンパ男は知らんし。こんな空気を読まない師匠なんてものは俺の師匠でも何でも無い。
「………裏切り者とかなんとか……ヒキタニくんの……………」
「何を言ってるんだ。海老名さんに戸部、ここは京都だぞ。しかもボッチの俺に知り合いなどいようはずがない」
なんとしても誤魔化さないといかん。
「許さーーーーーん!!ボッチだなんだ言っておきながら!!何時も何時も美女、美少女を侍らせやがって!!」
「いつ誰が、美女と美少女を侍らせた!!この変態!!もっとマシなナンパしろよ!!」
「なんだと!!あのDカップのねーちゃんとか!!地雷女の美人女教師とか!!部活の女の子と何時もイチャついてるんだろ!!なにがボッチだ!!」
「何言ってんだあんた!どこをどう見たら、イチャついてるように見えるんだ逆だろ!!あんただって!!キヌさんに好意を寄せられてるのに、なんでなんにもしないんだ!!気がついてるんだろ!!このヘタレ!!」
「何をーーーー!!」
「何をってなんすか!!」
俺はいつの間にか横島師匠とおでこ同士が当たるぐらい顔を突き合わせていた。
「…………ヒキタニくん、やっぱり知り合いだね」
「……………ヒキタニくん。無いわーーー。これは無いわーーーー!」
し……しまった!!
つい、師匠に乗せられてしまった!!
「…………いいえ、赤の他人です」
海老名と戸部は俺をジトッとした目で見てくる。
「………八幡、わるかった。まさか、痴情のもつれだったとは…、眼鏡美少女を巡って、男の戦いをしていたのだな。……影ながら応援するぞ!さらばだ!うはははははははっ!!」
横島師匠は何を勘違いしたのか、俺とこの二人の会話を聞いてそう判断したらしい。
そして俺の背中を強めに叩いて、高笑いしながら猛スピードでこの場を去って行った。
なにこれ?どうするんだこれ?どうするんだよこれ!!
あの人、この場をかき回すだけかき回して、消えやがった!!
「えーーっと、そのだな、うーん」
これ言い訳しようがないぞ。どうする?
「ふう……もういいよ。比企谷くん……ありがとね」
海老名は何時ものヒキタニ呼びをやめ、比企谷と俺を呼ぶ。
「おい」
俺は海老名に声を掛ける。
海老名は何かを決心した様な顔だった。
そして海老名と戸部の二人は……
「戸部っち……」
「海老名さん……その俺」
「私ね。知ってたの。戸部っちが私に告白しようとしてたの。私は今は誰とも付き合わない。今の皆との関係がすごく良いの。だから、ごめんね。
それで戸部っちや皆との関係が壊れるのが怖くて、逃げてたの。それで比企谷くんや皆に迷惑かけちゃった」
「……そう、なんだ。でも俺は」
「今はそれ以上言わないで、……今は友達でいよう」
「…………わかった。いつかまた、必ず」
「うん。その時は盛大に振って上げる」
「ええ?それって振られたのと同じじゃない?」
「ちがうよ。皆も心配してるから、戻ろう戸部っち」
二人の間の距離は離れながらも、同じ方向を向き、歩いていく。きっと三浦や葉山の元だろう。
なんだかんだと元の鞘に戻ったようだ。
結果オーライ…か
で………残された俺は何?道化もいいところなんだけど。
これどうすんだ?
「……依頼は完遂したようね」
「……ヒッキー、ありがとう」
雪ノ下と由比ヶ浜が取り残された俺のところに歩いてくる。
「ああ」
しかし……
「それで…なんなのかしら、あれは、あの変人はあなたの知り合いのようだけどどういうことかしら?」
「ヒッキー!!美女と美少女とイチャイチャってどういう事!!」
雪ノ下はツンドラのような凍てつく視線で俺を睨んでくる。
由比ヶ浜はプンスカしだした。
「……いや、あのだな」
「キヌって人は誰かしら?」
「Dカップ美女って誰?」
「あの……だな」
横島師匠……これがイチャイチャしてるように見えますか?マジで……
というか、あの人何しに来たんだほんとに!!
これか、占いでとんでもない目に遭うってのは!!
俺ガイルイベント完遂。
次は京都GS編